あこがれの檜枝岐を訪ねて・・・PART.1

川口のトム




はじめに
私が檜枝岐というところを知ったのはいまから25年ほど前の中学生のころであった。
小学校の修学旅行での日光の、さらに遠くに昆虫の宝庫があるという。
当時、熱中していた蝶にもまだ見ぬ珍蝶がたくさん生息していると聞き、
 「まだまだ未開拓の地域なので蛾や甲虫を中心に記録が増えるだろうということと余力のある虫屋に調査を望む」
という記事にいつかは自分で訪れて捕虫網を振ってみたいと思っていた。


この夏、そのチャンスが
いままでクワガタというと山梨へオオクワ、というパターンがほとんどであったがヒメオオクワガタを自分で採ってみたくなった。
この気持ちは昨年、檜枝岐採集記を惜しげもなく発表したあいあんさんの影響が大きい。
私以外にも彼の影響で檜枝岐の字が読めるようになったり、福島県に足を運ぶようになった人はかなりいるであろう。



初めての檜枝岐は8月上旬、仕事が終わった夜から息子と一緒に車で出発、翌日の夜帰宅というパターンだ。
ただ子どもの頃に夢見た採集の対象が、蝶からクワガタに変化したことが大きな違いだ。
当日、仕事が終わって午後10:00頃出発、おそらく今日も灯火ポイントには多くの採集者が訪れていることだろう。
途中から高速を下り、外灯の下を探しながら檜枝岐を目指す。
ミヤマ、アカアシが少しずつ追加されていく。
深夜3時近くだろうか、オオクワポイントのあたりを通るが採集者は誰もいない。>当たり前か。
それでもミヤマ、アカアシは拾えた。
でも、周りの環境が韮崎とは違いすぎる。
第一印象はこんなところでほんとうに採れるのだろうか、オオクワ? >(しかし、翌日の夜には証明された。)
4時頃に車中にて睡眠。数時間寝てからH林道に向かう。



採集地は子どもの頃に懐いていた檜枝岐のイメージとはだいぶ違い、明るく開放的な山と林道であった。
林道には図鑑や山梨で見たヤナギがたくさん生えていたがヒメオオもアカアシも見つからなかった。
どんどん林道を下っていって、途中二組の採集者と情報交換。
どちらもヒメオオは採れていなかった。
単に探し方が悪いのか、極度に落ち込む。
結局、ヒメオオにはあえずにオオクワポイントに戻ることにした。
すこしでもオオクワ飛来のチャンスがあるならと、前日見ておいたスキー場のポイントを訪れてみた。



驚いたのはひとつの外灯の下に採集者がひとり張り付いていることだった。
うーむ、お花見と同じく早い時間から場所取りが必要とは奥が深い。
これで自分の灯火セットを用意する人たちの気持ちがよくわかった。
ふっと空を見上げると星がきれいだ。
天の川から白鳥座、さそり座と有名どころがはっきり見える。
子どもは夏の星座を習ったばかりで、プラネタリウムにも行ったところだったのでしきりに星空を眺めていた。
人工衛星も見られ、これだけの星を見ただけでも良い体験をしたものだ。



大した成果もなく自動販売機のオオクワポイントに移動。
ここを見たら帰ることにしようと思っていたらいるわ、いるわ。
オオクワではなく採集者がいっぱいいる。
早速、自分たちも仲間入りする。
前日、一番気になっていたポイントにはひとりの採集者がいた。
 「採れましたか?」
と聞くと
 「ええ」
とオオクワ♀を差し出して見せてくれた。
その方はなんと埼玉支部で私と何度も夜間ドライブに同行していただいているHさんであった。
彼は初めての檜枝岐で採ってしまった。
よほど日頃のおこないが良いのであろう。
お話をしていてもいろいろなことを知っている勉強家でもある。
その場所ではほかにも埼玉掲示板に参加されている方たちとお会いでき、いろいろお話をすることができた。
実際に採集場所が確認できてオオクワ♀を採ったのを目の当たりにすると、いったいどこで発生していてどこから飛来するのか確かめたくなる。
また、まだ見ぬ埼玉オオクワも同じような環境にいるのかと思いながら初めての檜枝岐をあとにした。


採集品
ミヤマ♂♀、ノコ♂♀、アカアシ♂♀、カブト
ほしかったけど目撃だけ・・・キベリタテハ





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