By 天敵

私がシーラカンスとか言う生き物を自宅で飼育し始めて早12年という歳月が流れた。シーラカンスは自分こそが家を所有し、妻を養っているとかノタマウかも知れないがそれは違う。私が餌をやらねばこいつは餓死してしまう程アホだし、着替えがどのタンスにしまってあるのかも把握していない。つまり私が身の回りの面倒を一切見ているので、やはり私がこれを飼育しているというのが正しい見方であろう。

さて私がシーラカンスを発見したのはパソコン通信で、やたらほえまくる変わった古代魚を飼育しようと(気の迷いだったのだが)思ったのは外国語を使うとかパソコンに詳しいから、今より20キロも少ないヤセ型の体型で趣味はハンググライダ―、東京都民である事からだった。しかし、しばらくするとこいつはなんと私が最も苦手としていた生物、すなわち「昆虫」が大好きだという事が判明したのである。

動く生き字引として飼われているもののこのシーラカンスの行動には不可解なことが沢山ある。ゴミは捨てたくないと言って小学校の頃のテストやノートをとってあったり、子供のおもちゃやボロボロの家具も何かに使えるかもしれないと言って絶対捨てない。もし私が先に死んだら、三鷹のゴミ屋敷でワイドショーに出るだろう。
健康診断で太りぎみの診断結果がでれば、酒をひかえればいいのに、毎日自転車で三鷹から目黒まで15キロを1時間半かけて通っている。満員電車が嫌いとか言い訳するが、11時までに行けばいいプータロー会社員がラッシュアワーに出社するはずが無い。(足は中野浩一のように太くなったが、あまり痩せない)
夜には宇宙語の寝言をしゃべる(英語やフランス語やドイツ語だと思うが意味不明)たまに睡眠時無呼吸症できっと明日の朝には冷たくなってるかもしれないなぁと思うときもある。飲み会は必ず女の隣に座る。チャットも女がいないと来ない。いつもウケないオヤジギャグを連発し、あまりのさむさかげんに妻に冷たく笑われる。習いもしないのに、ギターやピアノが弾けたり、料理もしないのに魚が三枚におろせたりする。未だに新発見が多い魚なので研究の対象としてはかなり面白い。

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