初めてのツヤハダクワガタ (1/4)
by tsuu3


1999年4月29日(晴れ)

 諸事情により,ゴールデンウイーク前から実家に帰省した.そのままゴールデンウイーク突入である.真っ直ぐ家に帰るのもつまらないので,ブナの森のクワガタを見てから帰ることにした.なぜブナの森なのかと言うと.思い出したのである.学生時代,学会のサマースクールで奧志賀に行ったこと,広大なブナ林があったことを.そこはカヤノ平と言った.
 とにかく車を走らせる.沼田を抜け,子持村を経由して草津温泉を抜ける.まだ雪が残っており,各スキーコースには春スキーを楽しむ連中であふれている.苗場が好きだった!
 そう言えばあのころ,ホイチョの「見栄講座」が流行っていた.まずはスタイルからの時代だった.今も変わっていない.原田知世の姉ちゃんになったつもりで車を走らせる.白の流面形セリカが憧れだった.もちろん四駆!「凍ってるは!」,ユーミンの「ブリザード」が頭の中に流れる!今はいない沖田裕之が言う「とりあえず!」.そして,「Happy New Year!・・・」."私をスキーに連れてって"は結構楽しい映画だったと思う?
 さらに走らせ奧志賀林道に入る.

 ガーン!林道は途中からまだ閉鎖であった.近くの奧志賀高原ロッジの人の話では,5月中まで閉鎖とのことであった.しばらく地図とにらめっこするが,カヤノ平は遠い!しかし,ここまで来て,タダでは帰れない??近辺の観光地図を見ると”ブナ林”と書かれた赤字が目に入る.ここから3Km地点である.とりあえずそこまで行ってみるか!
 いつもの登山の恰好に着替え林道を歩き出す.まだまだ雪が多い.雪溶けの音と雑魚川の水の音だけが聞こえる.と,思ったらざわざわ音がした.やばい!熊か?いや違った,人の良さそうな兄ちゃんである!釣り竿持って,”どーも!”である.こちらも一応”こんちは”である.あっちもオノを持ったこちらに驚いていた様子であったが,何も聞かれなかった!最近思うが,高山系の虫屋と渓流釣り屋は似ている.目指すは最高の山,ブナ森があって綺麗な渓流が流れている山である.どちらもパックであることに間違いは無い.しかしここの雑魚川には,禁漁と書いて有るぞ,ほらそこ!
 崖が崩れている場所や大きな石が転げ落ちている林道をてくてくと,いい木を探しながら,オノを振りながら,時にはスロープキックをしながら歩く.
 2個目か3個目の橋を渡るとやっとブナ林が見えてきた.渓流沿いでなかなか良い場所である.新芽にはほど遠い.よし,今日はここでクワガタ虫を探そう.気合いを入れる.朽ち木割りは得意分野である??
 考えて見れば何の下調べもせずに来た時点で無謀なのであるが...!思い付きのみ.でも,ブナ林には必ず何かしらのクワガタがいるはずである.