生態、分布、保護に関するコメント付き同地域の種のリスト



LUCANIDAE  LATREILLE, 1806

亜属Syndesinae  MACLEAY, 1819

Sinodendron cylindricum (LINNAEUS, 1758)

生態: 幼虫は落葉樹の腐木内で約3年間成長する。幼虫は幹、枝、根に食い入る。成虫は落葉混交林で3月から10月にかけて見られる。成虫は昼間活動する。本種は特定の用途を持つ木材に対して害虫となりうる。

ラトビアにおける本種の典型的ビオトープ(生息空間)- 図.3-4.

図. 3. ケメリ国立公園(ラトビア中央部)の湿った混交林はSinodendron cylindricumの最も典型的なビオトープである。(Photo: Telnov, IV.1997).

図. 4. イエリキ(ラトビア中央部)近郊のペルルペ川の谷の混交林。(Photo: Telnov, IV.1996).

同地域での分布: ドイツ、デンマーク、ポーランド、ラトビア、リトアニア、エストニア、ベラルーシ、カレリア地方(北西 Russia)、フィンランド、スェーデン、ノルウェー

保護: ドイツでは保護対象(第三種分類、稀少)

脅威となる要因: 枯死木、洞のある木の減少。古い森の環境や公園の古木の破壊、伐採。


亜属Lucaninae LATREILLE, 1806

Lucanus cervus (LINNAEUS, 1758)

生態: 幼虫は通常5年、最高8年もの間、腐朽したカシ(Quercus属)、ライム(Tilia属)、ブナ(Fagus属)、ヤナギ(Salix属)、ポプラ(Populus属)、ハシバミ(Corylus属)、トネリコ(Fraxinus属)、栗(Castania属)、果実木(例えば桜など)、ごく希に針葉樹、の中で育つ。幼虫は幹や根の中で成長する。成虫は落葉樹林、公園、小道などで初夏に発生する。成虫は夕暮れや夜に活動する。本種は特定の用途を持つ木材に対して害虫となる事はない。

ドイツにおける本種の典型的ビオトープ - 図.5.

図. 5. Lucanus cervus 及び Aesalus scarabaeoides は古い落葉樹の森に発生する(ドイツ、ツリンギアのハイニッヒ国立公園)(Photo: Telnov, VI.1995).

同地域での分布: ドイツ、デンマーク、ポーランド、ラトビア(分布域の北限)、リトアニア、エストニア(分布域の北限)、ベラルーシ、スェーデン

保護: 保護の状況は、 ドイツ (第2種分類 - 危惧種), デンマーク (第0種分類 - 絶滅種), ポーランド (第2種分類 - 危惧種), ラトビア (第0種分類 - 絶滅種), ラトビア (第1種分類 - 危急種), エストニア (第0種分類 - 絶滅種), ベラルーシ (第2種分類 - 危惧種), スェーデン (第2種分類 - 危惧種).

脅威となる要因: 樹木種の構成割合の変化、枯死木、洞のある木の減少。古い森や生息環境の破壊。


Lucanus cervus (LINNAEUS, 1758) var. capreolus SULZER, 1776

本亜種はその基準亜種の形状と比べると、小型で、オオアゴも小さいところが異なっている。




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