「怪説・世界のクワガタ」 第13回 (1)

A.CHIBA

今回は一見しただけではミヤマの仲間とは見えない小型のミヤマクワガタを主に紹介してみたい。ミヤマクワガタと言えば特徴の有る頭部の張り出しと良く発達したオオ顎で人気が高いのだが、この仲間はオオ顎もあまり発達しないものが多く体色も地味で殆どの種は大きくても50mmを越える事は少ない。 中には多く採集されていない種も有り、生態の解明も詳しくされていないものが殆どだと思われる。




Lucanus gracilis Albers,1889

分布 ネパール・シッキム
体長 ♂30mm ♀28mm
左側が♂右が♀だが♂でもオオ顎は発達せず、♂♀大きさもあまり差が無く原始的な種だと言われる。森林限界を越えた標高の高い場所でも灯火に飛来すると聞くが、登山家の張ったテントの灯りにでも飛んで来るのだろうか?今まで採集された個体もあまり多くないと思われる。




Lucanus oberthueri Planet, 1896

分布 ネパール・シッキム(N.INDIA)
体長 ♂26〜35mm ♀28mm〜
並べた2頭は良く似ているが別種。始めに写真左(left)の個体。体色は黒く頭部・胸部は艶消しで上翅には艶が有る。写真の個体(体長30mm)ではオオ顎 に内歯は見られない。

Lucanus davidis Deyrolle, 1878

分布 雲南省・四川省(CHINA)
体長 ♂26mm〜 ♀25mm〜
次に写真右(right)の個体。載せる事が出来た個体は体長26mmで最小個体に近いサイズ。更に大きいサイズのものではオオ顎の先端近くに内歯が出る。この種は現在あまり見かけないようで多くは採集されていないらしい。




Lucanus atratus Hope, 1831

分布 北東インド・ネパール (NE.INDIA)
体長 ♂30〜40mm ♀25〜27mm

この種も前種と体型は良く似ているが、触覚先端4節の幅が広くなっている事などで区別が出来る。左(left)は北東インド (NE INDIA)Tiger Hill 産、右(right)は ネパール(NEPAL)産で、ネパールに産するものは平均して小型でオオ顎に内歯が出ない。


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