コルリ&ミヤマツヤハダの採集
     by えりー


1998年10月24日,福井県K山
昨晩少し時雨(しぐれ)ていたようだった.地面はうっすらと濡れていた.天気は曇りの予報だが,山の天気は変わりやすい.前線は太平洋側に南下していたが,雷雨が来そうな予感がする.K山は岐阜県境の山でブナ林があること,コルリクワガタがいるということが文献で分かっていた.コルリの材採集はまだ経験が浅く,春にはマークの着いた材を見つけることすらできなくて新芽で少数の♂を採るにとどまっていた.前週のRR山におけるパイロット採集で5♀出していたので,マークを見つけること,また少なくとも幼虫は採れるであろうと思っていた.
K山へ至る道が思ったよりきつい.植林が進んだ山は,林道のあちこちで斜面が崩落し,湧き水が道路を覆い隠す.保水力のない山は崩れるままである.結局県境の登山道入り口まで2時間も掛かってしまった.というのも,途中の林道脇でブナの太い倒木を見つけてしまい,アカアシやらスジクワ(もしかしたらオニクワ?)の幼虫を20匹弱割り出していたためである.結局,県境で車を降りて登山道を歩き始めたのは11時くらいであった.
K山登山道は稜線を歩く為,福井県側,岐阜県側のどちらをみても非常に景色がよい. おりしも紅葉がすすんで色づいた山々が見えるが,もう少し天気がよければなあと云った感じである.下の写真は笹の生えた稜線(登山道)から岐阜県側を見る.岐阜県側は植林も少なく雑木林が続いている.どこでもコルリが採集できそうだ.


今回は福井県産ラベルの追加であるから,稜線に対して福井県側で採集しなければならない.岐阜側には目もくれず,ただひたすら福井県側の斜面を登り居りする.コルリ採集の時はどうしても北側あるいは西側斜面がポイントになるが,幸い福井県側は必ず北側斜面である.かなりきついガレ場をへて山頂まで半分くらい登山道を進んだところでブナ林が現れた.


さっそく斜面を降りて(というより斜面にへばりつきながら)材を探す.福井県におけるコルリは積極的に湿度の多い環境を好むらしく日の当たらない斜面や沢に多くいる.また,細い材が好みらしく,親指くらいから5〜6cmの材を見るとかなりの多くのマークを見ることができる.太い木の根本に落ちた枝や,落ち葉に埋もれた枝は乾燥を免れコルリにとっては絶好の環境ということになる.材の朽ち方はよく,グレー〜黒枯れという感じで古いほだ木にも良く似た材がある.もっともそれでもコルリよりは訳の分からない雑虫のほうが多くて私の嫌いなセーターを着込んだような変な幼虫がわらわらでてくることがある.しかし,先ほど述べたように産卵マーク(・)を見つければ簡単だ.最低でも幼虫は入っている.これが2年前の産卵マークなら成虫がいるはずだ.下の写真はコルリの産卵マークである.



なんとか幼虫はでてくるが成虫がでない.そうこうするうちに雲行きがにわかに怪しくなってきた.雷が鳴り始め雨も落ちてきた.結局10程度幼虫を叩きだし,成虫は1♂2♀♀出たところで止めて引き上げることにした.アカアシ,スジクワ幼虫〜20,オサムシ2が本日の成果.下はコルリの幼虫.


 


次へ