環境への優しい心


平成11年11月18日の小春日和の日、アイドリングストップ運動推進会議主催のフォーラムで映画監督・大林宣彦さんの基調講演がありました。

主題はアイドリングストップでしたが、その講演の中で大林監督は「満てた」という生まれ故郷の方言(瀬戸内)についてお話になりました。
この「満てた」の使い方は、例えばビールを飲んでビール瓶が空になってしまった時など、「瓶が満てたね」というように使われるそうです。瓶が空になってしまったのに、なぜ満てたと逆の事を言うのか不思議ですが、この理由はビールを飲んで喉の渇きが癒され満足したその思いが、(ビールはなくなったけれども、)空になった瓶に、いっぱいに満ちたという意味だそうです。
この思いがあれば、幸せがいっぱい詰まった空き瓶や空のペットボトルを捨てる気持ちがなくなるのではないでしょうか?空き瓶に再度ビールをいっぱいに詰めて、また満てた状態にする事は何と素晴らしいことでしょうか。

さらに、監督はエネルギー問題で下記の様な事を話されていました。
ある女子高校生が九州にある風力発電を見学した時の話です。
風力発電はいわゆる風任せで電気を起こしますので、原子力発電や火力発電と異なり装置の割には発電能力はかなり低いそうです。それを一緒に聞いていた人々は、風力発電だけではとても電力需要を賄う事は不可能と思ったそうです。しかし、その女の子は自然が我々に与えてくれるエネルギーは、このささやかな電力を起こす風力発電の電力の範囲でで生活する事が自然と共存していくベストな方法と思ったそうです。 私たちは、今世紀あまりにも地球環境を考えずにエネルギーを消費してきたのではないでしょうか? 自然が我々に与えてくれた恵みで生活する方法を真剣に考えて見る事が必要ではないでしょうか?

この地球上の生物全ては互いに食い合いながら生きています。
共存共栄という言葉がありますが、これは互いに食い合いながら上手く調和をとりながら生活すると言う事です。この調和を乱したのが20世紀だったのではないでしょうか?大林監督はさらに、この問題に関して文明は素晴らしく発展したが、文化は全く発展しなかった。人類の為によかれと思われて発展した文明は、本当に地球上の生物に役にたったのか、今一度振り返る時間が必要ではないかと説かれていました。小津監督は過去を振り返ることは、未来を見る事であり、休止する事は進歩であると、大林監督へ話されたそうです。

いま一度、私達は、文明の進歩を休み、過去を振り返る事が必要な時に来ているのではないでしょうか? 幸い、現在日本は経済的な発展が止まっています。これを良い機会と捉え、過去を振り返り何が人類や他の生物に大切な事か反省してみる必要があると考えます。

TOPへ戻る