LC発振器の実験

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目次
LC発振器の実験
LC発振器の回路図
LC発振器の回路定数と部品について
実験と計測結果について
各部の波形
■追試として次の実験もしてみたいと考えています
 □通電直後の周波数変動
 □コイルケースと周波数変動の関係
 □コアと周波数変動の関係


LC発振器の実験
「トロイダルコアの活用百科」 山村 英穂 著/CQ出版社 にコイルのインダクタンスを
測定できるLC発振回路が掲載されています。

この発振器の目的は発振器の出力周波数と既知のコンデンサの静電容量から製作したコイルの
インダクタンスを計算によって求めようとするものです。

インダクタンスが分かっているコイルをサンプルとして用意しておけば発振器の周波数から
その相対値として試験コイルのインダクタンスを正確に測定することが出来て大変便利です。

 LC発振器の実験の様子
 試験コイルにはFCZコイルを使用
 



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LC発振器の回路図
出典:「トロイダルコアの活用百科」 山村 英穂 著/CQ出版社 (34p 第1-52図)

▲Q1:オリジナルは2SK19ですが2SK192Aに変更
▲R1:オリジナルは100Ωですが発振出力の振幅がとても小さかったので1kΩに変更
▲C1+C2:オリジナルは560p又は1560pですが(820p+820p)に変更
▲L1が試験用の被測定コイル



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LC発振器の回路定数と部品について
◎C1,C2の静電容量の許容偏差は±5%
◎2SK192AのIDSSを実測すると5.2mAでした
◎試験用被測定コイルには3.5MHz FCZコイル(9.4uH 20ターン 中点タップ10ターン)を使用

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実験と計測結果について
△発振周波数は1/2π√L√Cで発振しますから、
試験コイル9.4uH、コンデンサ1560pFの発振周波数の計算値は1.2818MHzです

△計測精度について
私の周波数計測精度(最小分解能)は発振周波数1.2818MHzで100Hz(0.0001MHz)
ですのでインダクタンスの相対値は0.01%をもって比較できます

実験、計測結果
△実測周波数は1.3029MHzでしたので絶対値誤差は1.6%でした
((1.3029-1.2818)/1.2818)×100

△LC発振器がコイルのインダクタンスを計測するツールとして使えるのか?
その可能性を探るため次の実験をしてみました。

△カタログなどでインダクタンスが明記されているコイルを被測定コイルとして
実験しその測定結果と製品のカタログ値を比較し評価することにします。

△3.5MHz FCZコイル(9.4uH 20ターン 中点タップ10ターン)を標準サンプルとし、その相対値として
計測、計算した結果を下表に示します。
試験数が少ないのですが、誤差の最大は+側が+11.4%で−側は-16%でした。
(注意)試験に使用したコイルはコア入りなのでコアの調整でインダクタンスが変化します。

△この実験の結論として「LC発振器」は自作コイルのインダクタンス測定ツールとして
十分であると思っています。

インダクタンス 誤差
コイル 型式 発振周波数 測定値(計算値) カタログ値 L(uH) %
サンプルコイル 3.5MHz FCZコイル 1.3029MHz 9.4uH
被測定コイル 1.9MHz FCZコイル 892.08kHz 20.05uH 18.0uH +2.05uH +11.4
5MHz FCZコイル 1678.2kHz 5.66uH 6.75uH -1.09uH -16.0
7MHz FCZコイル 1960.0kHz 4.15uH 4.31uH -0.16uH -3.71
7MHz 東光モノコイル 1892.6kHz 4.45uH 4.60uH -0.15uH -3.26

上表の測定値インダクタンスは発振周波数から下記算出式によって計算する
L(uH)=(1302.9kHz/fLkHz)2×9.4・・・・・(1式)
L:被測定コイルのインダクタンス
1302.9kHz:サンプルコイルの発振周波数
fLkHz:被測定コイルの発振周波数


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各部の波形(試用コイルは3.5MHz FCZコイル/9.4uH)
プローブは1:10を使用しています
ゲート波形 ゲート波形:VGS
 ゲート波形は綺麗なサイン波です

上の点線が0Vラインですからゲート波形のマイナス側最大値は4.95Vで2SK192Aのピンチオフ電圧(-3v)を
超えています。
発振周波数は試験開始後、温度の上昇と共に変動しています
このときは1.2953MHzでした(写真の右下部に周波数表示があります)
試験時間の経過に対する発振周波数の変動についても実験、記録してみようと考えています


発振器出力 発振器出力波形
 回路図のOUT端子の波形

出力のP-Pは約2.8V
ゲート波形VGSのマイナス側最大値は4.95Vで2SK192Aのピンチオフ電圧(-3v)を
超えていますから出力波形は正弦波でなく非対称になっています。
動作点はA級にはならずAB級ですね


ドレイン波形 ドレイン電圧波形


下の点線が0V
印加した電源電圧は12.85V
オリジナルのドレイン抵抗(R1)は100Ωでしたがドレイン電流が小さいため
ドレイン電圧波形は確認できない程小さなレベルでした。
この写真と上の2枚の写真はドレイン抵抗(R1)を1kΩに変更した以後の記録です


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