象気功

象気功


はちだんきん
八段錦



八段錦1


まあ、なんである、八段錦(はちだんきん)はあまりにも有名な気功法であるので、今さら八段錦でもないのであるが、たかが八段錦されど八段錦である。

八段錦は、本来は道教の養生術として不老長生を目的とする神仙家における導引や呼吸法に中国武術が相和して生み出されたメソッドである。


八段錦は太極拳の準備運動や整理運動として教えるセンセーもおられないではないのであるが、太極拳は基本が武術・格闘技であるのに対して、八段錦は基本が養生法であるので、発祥の経緯からして違うのである。

八段錦はそれ自体で独立し完結した優れた気功法である。

まあ、そうは言っても、時代が変わって、太極拳が命のやりとりである武術から健康法という方向に大勢が転換してしまったので、どちらがどうということでもないわけであるが、少なくとも八段錦は太極拳の準備運動ではないわけである。

まあ、それはともかく、八段錦の錦とは、この場合は織物の名称ではなく、「色鮮やかで華麗であるもの、立派なもの、優れたもの」てな意味合いであるので、つまりは、ざっくりと、「八つに構成された優れもの」ということであるわけである。


なにしろ八段の錦であるから八段もあるわけであるが、なぜ八段なのかとゆーと、ちゅーごくでは八(パ)の発音が発(ファ)の発音に似ており、これは発財つまり財をなすことを想起させ、めでたいとゆーことでもっとも好まれる数字であるので八段になってるのかもしれないのであるが、日本でも八は末広がりということでめでたいのであるからいいかもしれないのであるが、つまり、九段でも七段でも良かったのであるが、八が縁起の良い数ということで、さらに縁起の良い錦を付けて、八段錦となったわけである。

なにしろ道教の養生法から始まっているので、運気上昇・健康成就ということであるわけである。

まあ、どーでもいいことはひとまずあちらに置いといて、おいおい、どーでもいいのかよ、とにかく、それで、気功法は「氣を作る」方法と「氣を体内に巡らせる」方法に大別されるのである。

その他に他人の氣を操作するあるいは操作されるという、いわゆる外氣があるわけであるが、これはろくなことがないので、象気功では無視するのである。

それで、「氣を作る」方法の代表が站椿功であり開合功であり昇降練氣であるわけであるが、「氣を体内に巡らせる」方法の代表のひとつが八段錦である。


八段錦は八通りの動きで、心臓、肺、胃、腸、腎臓、肝臓、膀胱、などに氣を巡らせて、隈なく氣道を開き、血流を促進して、リンパの流れも促し、神経組織の機能を整えて、さらに八段目では、骨に衝撃を与えて骨芽細胞を刺激して、カルシウムの吸収と、骨を形成するために働き始めることによる内臓の活性化を促すという、実に効率的に考えられたメソッドである。

八段錦の基本はもちろん站椿である。

氣を発生させるためにもっとも効率的な立ち方である站椿功の姿勢で立ち、発生した氣を八つの動作で全身に送り、巡らせるわけである。

よく「氣の流れ」という表現を使うわけであるが、氣は実際には血流のように絶え間なく「流れている」わけではないのである。

いわば細長い風船のような管である氣道に、氣が「満ちている」という状態である。

まあ、これは言い方にかなりの語弊があると思うが、血管や神経組織やリンパ管の周囲に取り巻き膨らませているのが氣道であると考えると分かりやすいのである。


その氣道の氣の量が不足すれば、風船がしぼみ、氣道が狭窄・閉塞し、そのことにより、血管も狭窄し、血流が悪くなり、さらには神経組織が十分に機能しなくなり、具合が悪くなって、氣がすっかり抜ければ、すべての機能が停止してお亡くなりになるわけである。

八段錦は站椿により作り出した氣を、動作により体内の氣道を通してあちこちに運び、全身の氣道の狭窄・閉塞を改善し、滞りなく血流を促し、細胞の修復・メンテナンス・再生を成就する方法であるのである。

八段錦の発祥の経緯から効果まで、彩りも鮮やかに解説したところで、本日の講義はこれまでということで、次回も八段錦である。

続く。


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