象気功

象気功

開合功



命門を開く


象形流開合功の基本は、臍の前に氣の玉を置き、それを両手のひらで持ち、手の開閉開合を行い、氣の玉を押しつぶし押し開くのである。

なぜ臍の前かというと、まあ、臍はもともとが胎盤から臍帯で身体とつながり、酸素栄養素を母親の胎盤から取り入れていた部位であるので、臍帯動脈と臍帯静脈が産後に閉塞したとはいえ、身体の中心であり、そこから全身の氣道への氣の入り口でもあるのである。

臍帯静脈・臍帯動脈は血管としての静脈・動脈につながるわけであるが、氣の入り口としての臍からは命門に連絡し、そこから脊髄の氣道あるいはスシュムナーを通して全身の氣道ナディに氣が送り込まれるのである。

命門は人体後背部の督脈上にあり、臍と真裏に位置する経穴である。

その位置については、これも古来より言ったもん勝ちで、肋骨の一番下の骨を後背部にたどった位置であるとか、左右の腎臓の中間であるとか、第2腰椎と第3腰椎の棘突起の間の陥凹部であるとか、第2腰椎棘突起の下の陥凹部とか、まあ、センセーホラ吹きの皆さんが勝手に色々言い張るわけであるが、氣道の拡張拡大ということを目的とした場合には、ざっくりと後背部の臍の裏側の位置でよろしいのである。


また、これは背骨の外側の体表と考えるよりは、意識としては、背骨あるいは背骨の内側と考えた方がよろしいのである。

しかし、この命門の位置は何センチ何ミリという正確な位置を意識する必要はなくて、臍の反対側の背骨あるいは背骨の内側の数センチ四方をふわっと意識すればいいのである。

そのあたりを意識して丹念に継続すると、命門の正確な位置がわかってくるのであるが、当初はだいたいざっくりと臍の裏側のあたりの背骨の内側の数センチ四方を命門と考えればいいのである。

命門はヨーガでいうところの氣の大動脈であるスシュムナー管への、いわばジャンクションである。

臍からその命門に氣道がつながっているのである。

たとえば、臍が身体の中心真ん中と捉えた場合、氣道ナディの中心真ん中を命門と捉えると今回の本題は理解しやすいのである。

臍から氣道が命門につながり、そこから氣道の大動脈である脊髄の氣道あるいはスシュムナーにつながり、全身に枝分かれし張り巡らされた毛細の氣道ナディに氣が送り込まれるのである。


臍はいわば氣の動脈、静脈としての氣道ナディへの出入口である。

しかし、臍から直接に全身の氣道ナディにつながっているということではなく、氣の臍帯静脈・臍帯動脈として氣道が臍の裏側背側の命門につながり、命門から脊髄の氣道あるいはスシュムナーを通してさらに枝分れして全身の毛細氣道に氣が広がるわけである。

まあ、いってみれば臍は高速道路の入り口であり、命門は本線への合流地点であると考えてもいいのである。

手のひらとの間に氣の玉を挟み、その氣の玉を押しつぶし押し広げることにより、氣の入り口である臍から臍の裏側の命門を通して全身の氣道ナディに氣を送り込むのである。

いわば、氣の玉は氣道に氣を送り込む鞴(ふいご)あるいはポンプあるいは空気入れあるいはコンプレッサーということである。

このことが理解できると、一般的に言われる「命門を開く」という意識を持たなくても、命門は自然に開かれ、全身に氣が広がるのである。

それで、この意識で開合功を行い、足の指先、手の指先、百会まで氣が通れば、全身に氣が通っているということである。


身体の末端である手の指先と足の指先と頭頂部の百会に氣が通っていれば、全身の氣道は開かれ、毛細血管も開かれているということである。

もちろん、命門は督脈上にあるので、経絡で言えば、頭頂部の百会に通り任脈に通り、全身の経絡に広がるわけである。

ううむ、複雑でわけがわからんかねこれは。

まあ、とにかく、象形流開合功の基本は、臍の前に氣の玉を持ち、命門を意識して開合開閉を行い、全身の氣道に氣を送り込み、氣道の拡張拡大を行うということである。

この方法による象形流開合功の効果は絶大なため、特に上級者の場合は偏差も起きやすいので、身体の変調不調を慎重に観察しながら、やり過ぎないようにコントロールすることが必要である。

氣道拡張のためには、ハードトレーニングは禁忌で、スロートレーニングにる継続が望ましいのである。

頭痛、めまい、吐き気などの偏重不調が起きた場合は即刻中止して、症状が収まるまで行ってはいけないのである。

体調が良い状態での継続が氣道の拡張拡大をもたらし、怒涛の氣を発する身体を作るのである。

続く。

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