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2014年7月 文献タイトル
マンモグラフィ検診による乳がん死リスクの減少効果を確認
若年成人期の赤肉高摂取は乳がんのリスクを高める
アスピリンの膵がん予防効果確認
日本人男性の平均寿命、初の80歳超え 女性も過去最高

マンモグラフィ検診による乳がん死リスクの減少効果を確認
 乳がんの早期発見や死亡率減少を目的としたマンモグラフィによる乳がん検診は世界各国で導入されている。これに対し,同検診による乳がん死の減少効果を疑問視する研究者もいる。

 ノルウェー・Norwegian University of Science and TechnologyのHarald Weedon-Fekjr氏らは,同国の最新データを用いてマンモグラフィ検診による乳がん死リスクへの影響を前向きに検討。1995年から段階的に50〜69歳の女性への2年ごとのマンモグラフィを導入してきた同国の検討では,検診による乳がん死リスクの減少効果が確認されたと報告した。

 ノルウェーではこれまでにもマンモグラフィによる住民検診に関し,精度の高い研究が実施されてきた。

 今回の研究では,同国で50〜69歳の全女性への2年置きの乳がん検診が段階的に導入された1995〜2005年を含む,導入前後の86〜2009年の期間において,50〜79歳の全女性を検診を通知した群(検診群)としなかった群(非検診群)に分類し,乳がん死亡率を比較した。

 1986〜2009年の1,519万3,034観察人年で検診後に乳がんで死亡していたのは1,175例(10万人当たり48.8例)であった。これに対し,非検診群の同死亡数は8,996例(同70.4例)であった。

 Weedon-Fekjr氏らは「1,500万観察人年以上の規模を有する今回の検討から,マンモグラフィによる検診によって,同検診を受けなかった場合に比べ乳がん死が28%減少していた他,1件の乳がん死を防ぐために必要な検診者の数は368人と推計された」と結論付けている。

 さらに,母集団の規模や死因の観察期間の長さなどを考慮すると,この推計はかなり正確なものであると強調。現時点において検診に有効性があることを示す結果であるとしている。

 ただし,同氏らは「乳がんの治療成績が改善しつつあるため,検診の絶対的なベネフィットは徐々に減少していく可能性がある」との見解も示している。

Medical Tribune 2010年4月1日

若年成人期の赤肉高摂取は乳がんのリスクを高める
 若年成人期の赤肉(牛肉,羊肉など)の高摂取は乳がんの危険因子の1つであると,米・Harvard Universityのグループが発表した。

 同グループは,1991年にNurses’ Health Study Uの食事に関する質問票に回答した閉経前女性8万8,803例を20年間追跡し,若年成人期の食事による蛋白質の摂取源と浸潤性乳がん発症リスクとの関係を検討した。

 追跡期間中に2,830例に浸潤性乳がんの発症が確認された。解析の結果,赤肉の総摂取量の多さは乳がんのリスク上昇と関係し,摂取量の最低五分位と比較した最高五分位の相対リスク(RR)は1.22と有意に高かった。

 一方,鶏肉,魚,卵,豆類,ナッツ類の高摂取は乳がんのリスクとは関係していなかった。

 閉経前および閉経後乳がんとの関係性の検討では,鶏肉の高摂取による閉経後乳がんの有意なリスク低下が観察された。

 また,1日1サービングの赤肉を1日1サービングの豆類に置き換えることで,乳がん全体および閉経後乳がんのリスクがそれぞれ15%,19%低下すると推定された。同様に,1日1サービングの鶏肉に置き換えた場合の推定リスク低下はそれぞれ17%,24%であった。

Medical Tribune 20104月1日

アスピリンの膵がん予防効果確認
 米・Yale School of Public HealthのSamantha A. Streicher氏らは,コネティカット州の住民約1,000人を対象とした症例対照研究で低用量アスピリンと膵がんリスクの関連を検討し,有意な負の関連が確認されたと報告した。

20年以上使用でリスク61%低下

 同氏らはこの強固なエビデンスの妥当性を確認するため検討を実施。2005年1月〜09年8月にコネティカット州の総合病院30施設で膵がんと新たに診断された患者362例と同州住民を性,登録時の年齢で頻度マッチングを行った690例を対象に,アスピリン使用〔心血管疾患予防を目的とした低用量(75〜325mg/日)使用例,鎮痛・抗炎症作用に対する常用量使用例を対象〕と膵がんリスクの関連を評価した。

 アスピリン非使用群を1とした場合の全アスピリン使用群の膵がんの調整後オッズ比(OR)は0.52と低下していた。また,低用量アスピリンの服用歴別の解析では20年以上の群で非使用群に比べ膵がんのORは0.39と低下,3年以内の群でも非使用群に比べ膵がんのORは0.52と低下していた。

 同氏らは「今回の研究からアスピリン使用と膵がんリスクに有意な負の関連が確認された」と結論。過去のポジティブな成績を支持する結果だったとした上で,「予後不良ながんの1つである膵がんに対し化学予防のための至適レジメンなどを検討する必要がある」と指摘している。

Medical Tribune 2010-4-1

日本人男性の平均寿命、初の80歳超え 女性も過去最高
 日本人男性の平均寿命が初めて80歳を超えた。2013年の平均寿命が前年を0・27歳上回り、80・21歳となった。女性は前年より0・2歳上がって過去最高の86・61歳となり、2年連続の世界一だった。厚生労働省が31日に発表した「簡易生命表」で分かった。

 男性の平均寿命は前年の世界5位から4位に順位を上げた。世界一は香港の80・87歳だった。

 厚労省は毎年1回、各年齢の人が平均してあと何年生きられるかを表す「平均余命」の見込みを計算していて、そのうち0歳の平均余命が平均寿命となる。同省によると、平均寿命が延びたのは、各年齢でがんや心疾患、脳血管疾患、肺炎の死亡状況が改善したためという。

 日本は男女ともに「人生80年時代」に入ったことになるが、厚労省の担当者は「医療技術の進展により、平均寿命はまだ延びる余地がある」と話す。

 日本人の平均寿命は、最も古い1891(明治24)〜98(明治31)年の調査で男性が42・8歳、女性が44・3歳。戦後間もない1947年は男性が50・06歳、女性が53・96歳だった。70歳を超えたのは女性が60年、男性が71年。84年には女性が80歳を超えた。女性に29年遅れて、男性が80歳を超えたことになる。

m3.com 2014年7月31日