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2013年7月 文献タイトル
乳がんに対するタモキシフェン治療の予後判定 マンモグラフィ画像の濃度変化が乳がん死亡リスクと関連
レストランチェーン店の食事はカロリーが高く脂質やナトリウムが過剰な傾向に
がん治療にiPS細胞活用 千住熊大准教授ら開発
自宅や自家用車内で依然多い受動喫煙 自発的な禁煙ルールによる効果は限定的
A・ジョリーの遺伝子検査と予防的乳房切除は受けるべきか
患者からの質問の一助に〜昭和大・中村清吾教授に聞く
がんとアルツハイマー病が逆相関,それぞれリスク4割前後減少 イタリア・一般人口対象研究

乳がんに対するタモキシフェン治療の予後判定
マンモグラフィ画像の濃度変化が乳がん死亡リスクと関連
 カロリンスカ研究所(スウェーデン)医学疫学・生物統計学科のPer Hall教授らは,乳がんの再発予防に一般的に使われるタモキシフェンの予防に対する効果を評価する新しい方法を開発したとJournal of Clinical Oncology(2013; 31: 2249-2256)に発表した。

 重要ポイントは,タモキシフェン治療中にマンモグラム上の濃度変化を監視することで,治療中にこの濃度が著しく低下した女性では,乳がんによる死亡リスクが50%低下した。この方法により,患者が同薬から恩恵を受けるか否かを治療の初期段階に評価できる可能性が生まれた。

20%超の濃度の低下で50%リスク減

 タモキシフェンは,乳がんに対する一次治療を終了した女性の再発予防を目的に,通常5年間にわたり投与される。しかし,どの女性がタモキシフェンに反応し,乳がんの再発が抑制されるかを評価する方法はこれまで存在しなかった。今回,それを可能にする方法が考案された。

 Hall教授らは乳房のマンモグラフィ画像に着目した。乳房組織はマンモグラム上で主に脂肪組織と高濃度組織に分類できる。白く高濃度に映る部位は乳腺やがんで,黒い部分は主に脂肪である。これまでタモキシフェンによりマンモグラム濃度が低下することが示されているが,どの程度の変化が治療に反応する患者を同定する指標として使えるのかは不明だった。

 今回の研究では,乳がんの治療を受けた閉経後女性974例が組み入れられ,そのうち474例がタモキシフェンを投与されていた。これらの女性を平均15年間追跡したところ,12.4%(121例)が乳がんで死亡した。タモキシフェン投与開始後に撮影した2枚のマンモグラム(ベースラインと初回フォローアップ時)の濃度差は,乳がん生存と関連していることが分かった。タモキシフェン開始時から濃度が20%超低下した女性では,濃度変化がほとんど,あるいは全くなかった女性と比べて,15年間に乳がんで死亡するリスクが50%低かった。

 同教授らは「マンモグラム上の濃度変化が,タモキシフェン治療に反応する乳がん患者を同定する指標に使用できるのではないかと期待している。このような患者は,既に年1回フォローアップのマンモグラフィを受けているため,それ以上の検査は不要だ。必要なのは,現在ルーチンワークになっていないマンモグラム濃度の測定を正確に行うことである」と説明。さらに「濃度変化の測定は,治療効果を簡単かつ安価に評価する手段になりうる。もし患者がタモキシフェンに反応していなければ,別の抗がん薬に切り替えるべきだろう」と指摘している。

Medical Tribune 2013年7月4日

レストランチェーン店の食事はカロリーが高く脂質やナトリウムが過剰な傾向に
 トロント大学(カナダ)のMary R. L’Abbe博士らは,レストランチェーン店で出される朝食,昼食,夕食のカロリーおよび栄養成分を調べ,「カロリーが極めて高く,脂質やナトリウムの量も過剰であることが分かった」とJAMA Internal Medicine(2013; オンライン版)に発表した。
 
1食分のカロリーは1,128kcal

 L’Abbe博士らは今回,19店のレストランチェーン店で提供される685種の食事と156種のデザートから成る3,507の組み合わせを調べた。これらの食事のカロリーを算出するとともに,食事中の脂肪(コレステロール含む)やナトリウムなどの含有量を算出し,成人の1日摂取量に対する割合として指標化した。脂肪やナトリウムの過剰摂取は,肥満,高血圧,心疾患,糖尿病,がんと関連することが分かっている。

 朝食,昼食,夕食(計3,507の組み合わせ)を合算し,1食分のカロリーの平均値を割り出したところ1,128kcalで,これは1日摂取量2,000kcalの56%に相当した。

 同様に,脂肪が同58gで1日摂取量65gの89%,コレステロールが同179mgで1日摂取量300mgの60%,ナトリウムが同2,269mgで1日摂取量1,500mgの151%だった。

 同博士らは「今回の研究の結果,多くのレストランチェーン店で提供される食事のカロリーは高く,脂肪やコレステロール,ナトリウムの量は注意が必要なほど多いことが示された。レストランの食事を栄養の面から改善していくことを,今後,公衆衛生上の取り組みにおける優先課題とすべきである」と結論付けている。

Medical Tribune 2013年7月11日

がん治療にiPS細胞活用 千住熊大准教授ら開発
 熊本大大学院生命科学研究部免疫識別学の千住覚准教授らの研究グループが、人工多能性幹細胞(iPS細胞)から作った免疫細胞を、がんが腹腔に広がって治療が難しいがん性腹膜炎や、膵臓がんの治療に活用する技術を開発した。2〜3年以内に臨床試験に向けた審査を学内の倫理委員会に申請する方針。

 千住准教授らによると、がん性腹膜炎は、胃の外側まで進行した胃がんが、腹腔内にがん細胞をばらまくことなどによって起きる。確認された場合、胃がんの切除手術は断念せざるを得ず、抗がん剤などで治療しても平均生存期間は約1年間という。膵臓は胃の裏側にあり、がんの発見が難しく、見つかった場合は既に進行しているケースも多い。

 同准教授は2011年までに、iPS細胞からマクロファージという免疫細胞を大量に作る技術を確立。免疫細胞が細菌など特定の対象を攻撃する仕組みを、がん治療に応用する研究を進めてきた。

 グループは、免疫機能をなくしたマウスの腹腔内に、ヒトの胃がんや膵臓がんの細胞を移植。作製した免疫細胞を腹腔に注射すると、がん組織の内部に入り込んだ。この細胞の遺伝子を操作して抗がん作用があるインターフェロンを生産する機能を持たせたところ、がんの領域が小さくなり、細胞の増殖を抑える効果を確認できた。

 特に、膵臓がんの細胞を移植したマウスの中には、がんがほぼ消滅する個体も出るなど効果が大きかった。

 一方、治療しなかったマウスは、約2週間で腹腔全体にがんが広がった。

 治療が実用化されれば、がん性腹膜炎が確認されても、胃がんを切除できる可能性が出る。千住准教授は「がん患者には待ったなしの人が多い。治療に役立つ研究を急ぎたい」という。

 今後、共同して臨床研究を進める熊本大消化器外科の馬場秀夫教授は「ヒトのがん組織に対する効果を確かめられれば、手術や抗がん剤との併用で、治療の新たな戦略となる」と話した。

 研究成果は、米オンライン科学誌プロスワンに掲載された。

m3.com 2013年7月16日

自宅や自家用車内で依然多い受動喫煙
自発的な禁煙ルールによる効果は限定的
 米疾病対策センター(CDC)喫煙・健康事務局のBrian A. King博士らが発表した全米成人喫煙率調査の分析から,自宅での自発的禁煙については成人の81.1%が,自家用車内での自発的禁煙については73.6%がルールを決めているにもかかわらず,依然として多くの非喫煙者が受動喫煙にさらされていることが明らかになった。詳細はCDC発行のPreventing Chronic Disease(2013; オンライン版)に掲載された。

1,000万人超が過去7日間に受動喫煙を経験

 受動喫煙は成人非喫煙者では心疾患や肺がんの原因となる。また,小児ではより重篤かつ頻繁な喘息発作,急性呼吸器感染症,耳感染症,乳幼児突然死症候群(SIDS)の原因となる。今回の研究の背景情報によると,全米における受動喫煙が原因の死亡事例は年間約5万例と推定されている。

 米国公衆衛生局のRegina Benjamin長官は「受動喫煙に安全レベルというものはなく,危険な受動喫煙から非喫煙者を守ることができるのは全面禁煙政策のみであると断定している。窓を開けたり,他の換気システムを利用しても効果はない」と述べている。

 筆頭研究者のKing博士らは今回,2009-2010 National Adult Tobacco Surveyのデータを用いて,米国の成人を対象に自宅または自家用車内での禁煙をルール化している(喫煙を許可しない)ことと,過去7日間における受動喫煙の有無との関連について調べた。同Surveyは,全米50州とコロンビア特別区の18歳以上を対象に携帯電話を用いて実施された,全米を代表する集団を対象とした調査である。

 解析の結果,自宅と自家用車内での自発的禁煙ルールを決めている率はそれぞれ81.1%,73.6%と高いにもかかわらず,成人非喫煙者のうち6.0%(全米成人に当てはめると約1,090万人)が自宅で,9.2%(同約1,670万人)が自家用車内で過去7日間に受動喫煙を経験していることが明らかになった。
喫煙者では禁煙ルールを決めている割合低い

 CDC喫煙・健康事務局のTim McAfee局長は,この結果について「公共の場所での受動喫煙防止策はこの15年で大きく前進した。人々が禁煙ルールを自宅や自家用車内でも決めているのは好ましいことだ。しかし,そのような環境下でも,依然として何百万人という非喫煙者が受動喫煙に曝露されており,その多くは子供たちである」と述べている。

 その他の結果としては以下の項目が挙げられる。

 (1)自宅での禁煙ルールを決めていると回答したのは,非喫煙者の89.1%に対し,喫煙者ではわずか48.0%であった

 (2)自家用車内での禁煙ルールを決めていると回答したのは,非喫煙者の84.9%に対し,喫煙者ではわずか27.0%であった

 (3)非喫煙者の受動喫煙率は,男性,若年成人,非ヒスパニック系アフリカ系米国人,教育レベルが比較的低い者の間で最も高かった

 King博士は「米国民の約半数が,職場やレストラン,バーで実施されている全面禁煙政策によって保護されている。しかし,CDCの2010年のデータによると,全米で推定8,800万人の非喫煙者が依然として受動喫煙に曝露されている。受動喫煙リスクについて周知し,自宅と自家用車内での禁煙によって同リスクの低減が可能であることを指導する必要がある」と述べている。

Medical Tribune 2013年7月18日

A・ジョリーの遺伝子検査と予防的乳房切除は受けるべきか
患者からの質問の一助に〜昭和大・中村清吾教授に聞く
「4月27日,私は乳房切除を含む3カ月にわたる医学的処置を終えました」

 米女優アンジェリーナ・ジョリーさんは,5月14日付の米紙ニューヨーク・タイムズへの寄稿でこう告白した。遺伝子検査から乳がんが発症しやすく治療しにくい遺伝子変異を持っていることが分かり,発症していないのに両乳房を切除したという決断は,全世界に賛否を呼んでいる。

 ジョリーさんが受けた遺伝子検査と予防的乳房切除(リスク低減手術)は,ハリウッド女優のように強く金銭的に恵まれている人でなくても受けるべきなのか。日本の第一人者である昭和大学乳腺外科教授の中村清吾氏(同大学病院ブレストセンター長)に聞いた。患者に質問された場合の一助にしてもらえたらと思う。

治りにくい乳がんになりやすい

 ジョリーさんは,母親(米女優のミシェリーヌ・ベルトランさん)が卵巣がんのため10年間の闘病生活を経て56歳で他界。さらに最近,母方の叔母も乳がんのため61歳で亡くなっている。がんが発生した部位は違うが,2人に共通するのはBRCA1の変異を持っていたこと。遺伝子検査の結果,少なくとも2人の家族歴があるジョリーさんも同じ変異を持っていることが分かった。

 欧米では,他の部位から転移したものでない乳がんのうち5〜10%が遺伝性で,その7〜8割がBRCA1もしくはBRCA2の変異を持つといわれている。中村氏らの調査によると,家族歴などがある日本人のうち30.3%が遺伝子変異を持っており,そのうち半数以上(56.8%)にBRCA1の変異が認められたという。

 ジョリーさんも持っていたBRCA1変異は,2つの女性ホルモン(エストロゲンとプロゲステロン)の受容体とヒト上皮増殖因子受容体(HER2)が関係しない,「トリプルネガティブ」と呼ばれるタイプのがんになりやすいことが分かっている。つまり,薬が効きにくく経過が悪いタイプのがんになる可能性が高いのだ。

 また,通常の乳がんは40歳代後半〜50歳代にかけてなだらかな発症年齢のピークがあるのに対し,BRCA1変異を持つ人では25歳ぐらいから始まってピークも40歳前後と若い。さらに卵巣がんの他、膵がんや前立腺がん,胃がんなども発症しやすい。

 ジョリーさんは寄稿で「担当医から乳がんになるリスクが87%,卵巣がんになるリスクは50%と推定されました」とつづっていたが,中村氏は「乳がんは50歳までに発症するリスクが33〜50%,70歳までだと56〜87%。卵巣がんは70歳までに発症するリスクが27〜44%とされている」と説明する。

遺伝子検査は理解を深めてから

 ジョリーさんが乳がんを発症していないのに乳房を切除したのは,上記のように他の人よりも若い年齢で治療が難しい乳がんや卵巣がんになりやすいことが分かったためだ。さらに今後,卵巣の予防的切除(卵巣卵管切除)も行う予定だという。

 しかし,遺伝子検査によって自分のリスクが分かるのは怖いことであり,病気になっていないのに自分の体へ,しかも女性にとって大切な部分にメスを入れることは,多くの人にとって抵抗があるだろう。また,遺伝子検査で20〜30万円,乳房切除と再建の手術で100万〜200万円と費用がかかる点も障壁だ。やはり,ジョリーさんのように意志が強く,金銭的に恵まれている人でないとできない選択なのか。

 中村教授は以下のように話す。「すぐに検査を受けて結果が出る,というものではない。まず,遺伝カウンセリングで遺伝子検査のメリットやデメリットなどさまざまな説明を受け,病気そのものや早期発見の意義を十分に理解をしてもらった上で,希望した人だけが実際に遺伝子検査を受ける」。

 専門のカウンセラーと話し,心の準備をした上で検査を受けるかどうか自分で判断できるのだという。遺伝カウンセリングとBRCA遺伝子検査を行っている施設は,6月現在で昭和大学病院ブレストセンターをはじめ36施設に上る(日本HBOCコンソーシアム公式サイトによる)。

乳房切除だけが選択肢ではない

 予防的乳房切除を行っている施設は聖路加国際病院(東京都)の他,相良病院(鹿児島県)も間もなく実施する予定。また,昭和大学病院ブレストセンターをはじめ,数施設が実施を検討しているという。

 また,予防的乳房切除だけが選択肢というわけではない。乳房切除は母乳をつくる乳腺を取ってしまうため,子供が生まれたときに授乳ができなくなる。中村氏は「ジョリーさんが予防的乳房切除を選択したのは,事実上の夫であるブラッド・ピットさんの理解もさることながら,養子を含め子供が数人いて,今後は出産しない,授乳をしないと判断したことが大きいだろう」とする。

 では,予防的乳房切除以外にどんな予防方法があるのか。中村氏は25歳までなら自己触診(自分で乳房を触ってしこりを発見する方法),25歳以上はマンモグラフィとMRI(磁気共鳴画像)を半年に1回受けることを勧めている。こまめに検診を受けることで超早期にがんを発見するという方法だ。

卵巣切除の方がより重要

 一方,中村氏が懸念するのは卵巣がんの方。「BRCA変異を持っている人の卵巣がん発症率は乳がんよりも低いが,卵巣がんは早期発見が難しく,再発や転移を繰り返す例が多い。予防的切除をするならば,卵巣の方が重要と言えるだろう」。ジョリーさんが卵巣も切除しようとしているのは,こうした背景があるためだ。

 なお,予防的卵巣切除は昭和大学病院ブレストセンターの他,がん研有明病院,慶應義塾大学病院などが実施している。

 最後に,中村氏は「ジョリーさんの件で非常に注目されている遺伝子検査と乳房・卵巣の予防的切除だが,彼女の選択だけでなく,決断に至った過程が非常に大事だ。本人ががんのリスクと向き合い,家族とともにより良い方法を選んでいく。遺伝子検査も予防的切除も,選択肢の1つとして捉えてもらいたい」と助言。ジョリーさんも下記の言葉で寄稿を締めくくっている。

「がんのリスクにさらされながら生きている可能性があることを,多くの女性が知らずにいるので,私は自分の話を公表することにしました。遺伝子検査が受けられること,そしてリスクが高い場合には有力な選択肢があると知ってもらうことを願っています。人生にはさまざまな困難を伴います。しかし,受け入れて支配できる困難を恐れる必要はないでしょう」

Medical Tribune 2013年7月25日

がんとアルツハイマー病が逆相関,それぞれリスク4割前後減少
イタリア・一般人口対象研究
 がんとアルツハイマー病(AD)抑制との関連については,今年7月の国際会議でも米国の研究結果が相次いで報告されたばかり。今度は,イタリア学術研究会議のMassimo Musicco氏らによって行われた,同国北部の一般人口を対象とした両者の関連についての研究結果がまとめられた(Neurology 2013年7月10日オンライン版)。

 それによると,AD患者におけるがん罹患リスクは43%,がん患者におけるAD発症リスクは35%それぞれ減少し,逆相関が確認された。

60歳以上の男女20万人超対象

 がんとADの逆相関については過去10年間に幾つか報告されているが,Musicco氏らはより大規模な一般人口を対象に,いずれかの疾患を発症した場合のもう一方の疾患発症リスクを双方向に検討した。

 対象は,2004年1月1日〜09年12月31日に伊・ミラノの医療保健制度に登録されていた60歳以上の男女20万4,468例(がんまたはADのリスク人年122万5,891.0)。

 同期間中の新規患者〔がん2万1,451例(男性57.0%,平均年齢72.4歳),AD 2,832例(同33.4%,78.1歳)〕を患者レジストリから抽出。同制度の全人口における年齢,性,1年ごとの両疾患発症率に基づき,がんおよびAD患者それぞれにおける互いの疾患の発症予測数を求め,実際の発症数と比較した。

高齢者層で顕著なリスク低下示す

 対象者全体およびリスク人年による年齢層別に,がん患者におけるAD発症,AD患者におけるがん発症の相対リスク(RR)をそれぞれ求めた。

 がん患者全体のAD発症は,246例の予測に対して161例が発症し,AD発症リスクのRRは0.65と有意な低下が示された。リスク人年による年齢層別の検討では,75歳以上の3群でそれぞれAD発症リスクは26〜44%の有意な低下が認められた。

 一方,AD患者では,全体のがん発症は281.2例の予測に対して161例が発症,がん発症リスクのRRは0.57と有意な低下が示された。年齢層別では,70歳以上の4群で36〜52%の有意なリスクの低下が認められた。

Medical Tribune 2013年7月25日