広葉樹(白)  
          

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2009年12月 文献タイトル
1日3杯以上のコーヒーでC型慢性肝炎の進行リスクが低下
「がん研究が無駄とは…」事業仕分けで「廃止」 久留米大の臨床試験中止に
喫煙と大腸癌の関連性が明らかに
スタチン使用によりCOPD患者の特に肺以外のがん死が減少
小児がん生存者/多くは妊娠中の合併症はなく正常児を出産 慎重なモニタリングは必要
ニコチン応答に遺伝的関与 ゼブラフィッシュ(熱帯淡水魚)を用いた実験で証明
H. pyloriの除菌で胃がんリスク減少 メタアナリシスで証明
マンモグラフィ・スクリーニング 乳がんをより早期の段階で検出
乳がん手術を受けた女性の約半数が2〜3年後も疼痛を訴える
禁煙のきっかけは「料金増大」がトップ,1箱1,000円で85%が「やめる」
前立腺がんの診断・治療に効果が期待される抗体を発見、米研究チーム

1日3杯以上のコーヒーでC型慢性肝炎の進行リスクが低下
 コーヒーを1日3杯以上飲むことでC型慢性肝炎の進行リスクが低下することを示すデータが,米国立がん研究所などのグループにより発表された。

 地域集団研究で,コーヒーの多量摂取が慢性肝疾患の発症に保護的に働くことが示唆されている。同グループは,コーヒーの摂取がC型慢性肝炎の進行にどのような影響を及ぼすかを検討した。

 対象は,生検でC型肝炎による線維性架橋形成または肝硬変が確認され,ペグインターフェロン+リバビリン併用療法でも持続的ウイルス学的反応が得られなかった766例。3.8年間追跡し,肝関連死などを含む肝疾患進行の発生を調べた。肝硬変のない患者では,生検によるIshak線維化スコアの2ポイント上昇を転帰に含めた。

 230例に肝疾患の進行が認められた。100人年当たりの進行発生率はコーヒー非摂取群11.1,1日1杯未満群12.1,1〜3杯未満群8.2,3杯以上群6.3で,非摂取群と比較した肝疾患進行の相対リスクは1杯未満群が1.11,1〜3杯未満群が 0.70,3杯以上群が0.47であった。

 登録時の治療割り付け,肝硬変の状態によるリスク推定値の違いはなかった。紅茶にはコーヒーのような効果は見られなかった。

Medical Tribune 2009-12-3
「がん研究が無駄とは…」事業仕分けで「廃止」 久留米大の臨床試験中止に
科学技術 地方は衰退懸念
 2010年度政府予算の事業仕分けで、「廃止」や「予算縮減」が相次いだ科学技術分野。久留米大が中心となって取り組むがんワクチン研究も「廃止」とされ、波紋が広がっている。今月始める予定だった臨床試験は「見通しが立たない」として中止になった。年末に予定される予算編成で「復活」はあるのか。関係者は注視している。

久留米大病院には、がんワクチン接種のため全国から患者が集まる(4日)

 今月4日、久留米大病院。前立腺がんを患う佐賀県内の男性(70)の太ももに、看護師が「がんペプチドワクチン」を注射した。免疫細胞を活性化し、がん細胞を攻撃させる狙いがあり、抗がん剤や放射線治療に比べ副作用は弱いとされる。

 がん細胞表面にある「ペプチド」と呼ばれるアミノ酸結合物と、同じタイプのワクチンを接種する仕組み。久留米大は患者の免疫細胞の性質に合わせ、最も効果的なものを接種する方法を確立、2005年、前立腺がんなどのワクチンの実用化に向け治験が始まった。

 医薬品として承認されていないため、公的医療保険は適用されず、1回の治療(6回接種)で約60万円かかるが全国から患者が訪れる。男性は「副作用がほとんどなくありがたい」。だが「廃止」の動きに、「研究が進めば、保険を使って多くのがん患者が接種を受けられるようになるのに……」と漏らした。

 今回廃止とされたのは、肺がん、ぼうこうがん、肝臓がんのワクチンの効果を検証する共同研究。新産業創出を目指す文部科学省の「知的クラスター創成事業」に採択された。今年度から5年間、毎年3億円の補助金を受ける予定で、久留米大など全国の約20大学で今月、患者約300人に接種を始めることにしていた。

 ところが、知的クラスター創成事業は、事業仕分けで「廃止」とされた。「経済産業省の分野ではないか」「規模が小さく成果が生まれない」。仕分け人は研究の中身に踏み込まず、事業の枠組みなどを問題視した。

 前立腺がんの治験は継続されるが、肺がんなどのワクチン研究が宙に浮く形になった。ワクチン開発は各国がしのぎを削っており、久留米大の山田亮教授(がん免疫学)は「先に特許を取られれば、計画は頓挫する。研究の停滞は致命的だ。国民の2人に1人ががんになる時代に、無駄と判定されるとは」と嘆いた。

読売新聞 2009-12-7
喫煙と大腸癌の関連性が明らかに
 喫煙が原因となる悪性腫瘍のリストに新たに大腸(結腸直腸)癌が加わったことが、報告された。これで喫煙に関連する癌の種類は17となる。また、別の研究では、受動喫煙によって女性の乳癌リスクおよび小児の生涯の肺癌リスクが増大することが示された。いずれの知見も明るい話ではないが、たばこの規制に取り組む上では有用なものだと専門家は述べている。

 第1の研究では、長期的な喫煙により大腸癌の発症リスクが増大することが判明した。これを受けて国際癌研究機関は両者の関連を示すエビデンス(科学的根拠)について、これまでの「限定されている」から「十分にある」へと見解を変更した。

 研究著者である米国癌協会のMichael Thun博士によると、喫煙と大腸癌との関連は他の癌ほど強くないため、関連性を把握するには長い時間を要したという。スクリーニングを受けない、肥満、運動、赤身肉や加工肉の多量摂取など、喫煙以外の大腸癌の危険因子について調整後もなお、喫煙によるわずかなリスク増大が認められた。

 今回の大規模前向き試験では、約20万人を13年間にわたり追跡。その結果、喫煙経験のない人に比べて、現喫煙者は大腸癌リスクが27%高く、元喫煙者は23%高いことが判明した。中でも喫煙期間が50年以上に及ぶ人は、喫煙経験のない人よりもリスクが38%高かった。一方、40歳前にたばこを止めた人、31年以上喫煙していない人にはリスクの増大は認められなかった。

 別の2件の研究は、受動喫煙のリスクに焦点を当てたもの。その1つは米国立癌研究所をはじめとする複数施設の研究グループによるもので、受動喫煙にさらされた小児は成人後の肺癌発症リスクが2倍であり、MBL2遺伝子に特異的な変異をもつ場合、リスクは2.5倍にもなることがわかった。

 カリフォルニアのグループによるもう1つの研究では、喫煙しない成人女性が受動喫煙に長期間曝露すると、閉経後の乳癌発症リスクが増大することが判明。軽度の曝露では17%、中程度で19%、長期にわたる高度の曝露では26%のリスク増大が認められた。

 さらに別の研究では、頭頸部癌の診断後も喫煙や飲酒を続けている人は、禁酒禁煙した人よりも予後が悪いことが米エール大学の研究グループにより明らかにされた。過去の研究では、診断前の喫煙および飲酒により頭頸部癌の死亡リスクが高くなることが示されている。

日本経済新聞 2009-12-9
スタチン使用によりCOPD患者の特に肺以外のがん死が減少
 スタチン(高脂血症治療薬)を使用している慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者はがんによる死亡,特に肺以外のがんによる死亡が少ないと,オランダのグループが発表した。

 COPD患者は肺がんのリスクが高いが,その他のがんとの関係は明らかではない。同グループは,COPDとすべてのがんによる死亡リスクとの関係,またスタチンの使用が両者の関係に影響を与えているかどうかを検討した。

 対象は1990〜2006年に血管手術を受けた末梢動脈疾患患者3,371例で,うち1,310例がCOPDを併発していた。主要評価項目は,中央値5年の追跡期間中のがん死とした。

 解析の結果,COPDは肺がんおよびその他のがんによる死亡リスク上昇と関係していた。この過剰リスクのほとんどは中等症〜重症のCOPDによるものであった。スタチン非使用のCOPD患者と比べ,使用していた患者はがん死のリスクが低い傾向が見られた。興味深いことに,スタチン使用COPD患者では特に肺以外のがんによる死亡リスクが低かった。

Medical Tribune 2009-12-10
小児がん生存者/多くは妊娠中の合併症はなく正常児を出産
慎重なモニタリングは必要
 小児期または思春期のがん生存者の女性および小児がん生存者である男性パートナーを持つ女性では,妊娠中の重度合併症,先天異常または乳児死亡に関してリスク上昇は認められないとする研究が発表された。しかし,早産と低出生体重の割合が,一部のがん患者やある種の治療を受けた患者では特に高いことから,これら患者の妊娠と乳児については慎重なモニタリングを実施する必要があるとしている。
 
胎内発育遅延リスクは高くない

 がんの化学療法,放射線治療と手術は小児がん患者の将来の生殖に影響を及ぼすことがある。若年のがん生存者数が増加していることから,これら患者の児へ及ぼす可能性がある有害な影響を明らかにすることへの関心が高まっている。

 フレッドハッチンソンがん研究センター(シアトル)のBeth A. Mueller博士らの研究では,がん登録のデータから1973〜2000年に20歳未満でがんと診断された女性を同定した。次いで,これら女性にリンクした出生記録データからがん診断後の最初の出産児1,898例を同定。これら出産例を,同年に出産したがんの既往歴がない同年齢,同人種の女性の出産1万4,278 例を対照として比較した。

 小児がん生存者が出産した乳児は出生異常や死亡に関してリスクは高くなかったが,早産リスクは54%高く,体重2,500g未満のリスクは31%高かった。しかし,これら乳児では胎内発育遅延となるリスクが高くなかったことから,体格の差がここで規定した低出生体重の基準に合致するほど重大ではなかったことが示唆された。

 同博士らはまた,母親のがんの種類と受けた治療法の種類別に乳児の転帰を解析した結果,「早産リスクは白血病の後が最大であったが,リンパ腫,骨腫瘍,軟部肉腫,腹部がんの原発巣とも関連性が認められた。治療による影響に関しては,化学療法が早産リスクを2倍に上昇させる原因となったが,他の治療法のほとんどでも相対リスクが有意に上昇した」と報告している。

 糖尿病,妊娠中毒症,貧血がすべての女性で同等に発症した。しかし診断と治療の特徴で集団を層別化すると,骨がん生存者で糖尿病リスクが高く,初回治療で化学療法のみを受けたがん生存者と脳腫瘍だった女性で貧血リスクが上昇していた。併用化学療法や,手術と放射線療法の併用治療を受けた女性では子癇前症のボーダーラインを超えたリスクが認められた。

 同博士らは「小児期と思春期のがん患者では,奇形と乳児死亡リスク上昇が第1世代の子で認められなかったので安心してよい」と結論。「小児がん生存者における低出生体重と早産,および若年の生殖器がん生存者における早産が増加していることは今回の研究だけでなく他の研究でも認められているが,これらが潜在的に児へ及ぼす問題はそれほど深刻に受け止める必要はないであろう。しかし,この結果は家族に大きな影響を与えうることに変わりなく,著しく出費を増加させるため,小児と思春期のがん生存者の妊娠に対しては慎重なモニタリングの必要性が喚起される」と述べている。

m3.com 2009-12-10
ニコチン応答に遺伝的関与
ゼブラフィッシュ(熱帯淡水魚)を用いた実験で証明
 ミネソタ大学のStephen Ekker博士らは,ニコチンに対する生物の生理学的・行動学的応答を変える可能性のある遺伝子変異を探索するために,ゼブラフィッシュを用いたシステムを開発し,結果を発表した。

 これまでの研究から,たばこの中毒成分であるニコチンに対するヒトの応答は,遺伝子構成に大きく依存することが証明されている。今回の実験では,動物モデルのゼブラフィッシュに転移因子(GBT-P9,GBT- R15)を導入し,遺伝子変異を誘発させた。その後,さまざまなニコチン濃度の水溶液を用意し,そのなかに実験ゼブラフィッシュを泳がせ,その動きを監視することでニコチン応答をテストした。さらにニコチン応答を正常なゼブラフィッシュと比較,ニコチン中毒と肺がん感受性の素因に関与する遺伝子変異を同定した。

 その結果,トランスジェニック・ゼブラフィッシュを高濃度のニコチンに曝露すると魚の動きは鈍くなったが,中等度の濃度ではより素早く泳ぐようになった。また,遺伝子スクリーニングにより,ゼブラフィッシュのニコチン応答に影響を与える2つの遺伝子変異bdav/cct8とhbog/gabbr1.2(ヒトにも存在)を同定することができた。

 同博士らは「今回の研究から,ゼブラフィッシュがニコチン中毒研究用の動物モデルとしてふさわしいことが証明された。また,ヒトの各種中毒に対する脆弱性を決定付ける遺伝子マーカーを同定する際にも,利用できるだろう」と述べている。

Medical Tribune 2009-12-10
H. pyloriの除菌で胃がんリスク減少
メタアナリシスで証明
 ボローニャ大学(伊)のLorenzo Fuccio博士らは,ランダム化試験7件のメタアナリシスを実施した結果,Helicobacter pyloriの除菌治療が胃がんリスクを減少させる可能性があると発表した。

 H. pyloriの感染が胃がんに関連していることは周知の事実であるが,H. pyloriの除菌によって胃がんリスクが減少するか否かについては一部では,疑問視されている。Fuccio博士らは,今回のメタナリシス実施に当たってプールする研究の選択基準を,(1)H. pylori陽性患者の除菌治療群と未治療群を比較したランダム化比較試験(2)経過観察中に発見された胃がんの症例数が明記されているもの−とした。研究手法としては,2人の研究者が独立して論文の精査を行い,矛盾点についてはすべての研究者の同意を得ることで解決した。

 メタアナリシスに用いた7件の研究はすべて胃がん発症率の高い地域で実施されたもので,6件はアジア(日本2件,中国4件),他の1件はコロンビアで実施された。7件の研究中2件のみが二重盲検試験で,4件はプラセボを使用していた。

 全体では,除菌治療群3,388例中37例(1.1%)に胃がんが発症したのに対して,未治療群では3,307例中56例(1.7%)に発症した。

 Fuccio博士らは「今回のメタアナリシスでは,大多数の患者が試験開始前に胃粘膜萎縮または腸上皮化生と診断されていたことから,H. pylori除菌治療が発がんプロセスの後期でも有益な可能性があり,また発がんがH. pylori除菌によって抑制できることが示唆されたことは重要である」と述べている。


Medical Tribune 2009-12-10
マンモグラフィ・スクリーニング
乳がんをより早期の段階で検出
 ドイツでは2005年からマンモグラフィ・スクリーニング・プログラムが提供されているが,その医学的有用性に対する疑念は今なお根強い。連邦共同委員会(G-BA)の委員長であるRainer Hess博士は「今回,新たに実施された研究が,同プログラムに対して女性や一部の専門家が抱いている疑念の払拭につながることを期待する」と語った。

 マンモグラフィ・スクリーニングの是非が議論される場合,しばしば争点とされるのは費用と偽陽性率の高さであるが,マンモグラフィ推進協会もG-BAもこの点に関して正式なコメントを発表していない。

 同スクリーニングは,欧州のガイドラインに準拠しつつ,乳がん死亡率の持続的低下を目標に掲げ,50〜69歳の女性1,000万人以上を対象として実施されている。しかし,死亡率の低下を評価するまでには少なくとも10年必要である。そのため,今回の研究では同スクリーニングの有効性を評価するため,他の指標の解釈を行うこととし,連邦全域の77スクリーニング施設が所有している2005〜07年のデータから,特に乳がん検出率,上皮がん,10〜 15mm未満の浸潤がん,リンパ節転移が認められない浸潤がんなどの割合を評価した。

 その結果,ガイドラインが定める推奨値をほぼ達成していたが,唯一,受診率については検診対象者の50%を超えるレベルにとどまり,70%以上という目標には届かなかった。しかし,同プログラムの期間が比較的短かったことを考慮すれば驚くには値しないとしている。

 重要なのは,同スクリーニングで小さながんの検出率が高かったことである。10mm以下の浸潤がんの割合は,スクリーニング導入前には約14%にすぎなかったが,今回の調査では30%を超えており(ガイドラインにおける推奨値は25%以上),リンパ節転移を伴わない浸潤がんの割合で見ても 76.7%とガイドライン推奨値である70%以上を達成していた(スクリーニング前の数値は49%)。

 Hess博士は「小さながんや非転移がんであれば,完治の可能性は非常に高い。したがって,乳がんをできる限り早期に検出し,迅速かつ適切な治療を通じて治癒率を向上させることが重要である。そのためには,現時点で最も優れているマンモグラフィ・スクリーニング・プログラムをよりいっそう普及させることが求められる」と強調した。

Medical Tribune 2009-12-17
乳がん手術を受けた女性の約半数が2〜3年後も疼痛を訴える
 乳がん手術を受けた女性の約半数に2〜3年後も持続する疼痛が認められると,デンマークのグループが発表した。

 乳がん手術後の疼痛や感覚障害には患者特性,手術手技,補助療法が関係している可能性がある。同グループは,2005〜06年に乳がん手術と適応がある場合に術後補助療法を受けた18〜70歳の女性3,754例を対象に,2008年1〜4月に質問票を送付。術後の持続的な疼痛と感覚障害の有病率,関連する因子を検討した。

 2008年6月までに87%に当たる3,253例から回答が得られた。その結果,1,543例(47%)が持続的な疼痛を報告し,201例(13.0%)が重度,595例(38.6%)が中等度,733例(47.5%)が軽度の疼痛であった。

 持続的疼痛には若年(18〜39歳)であることと補助放射線療法が関係していたが,化学療法との関連は認められなかった。センチネルリンパ節生検と比べ,腋窩リンパ節郭清を受けた女性では疼痛を訴える頻度が高かった。

 感覚障害を報告した女性は1,882例(58%)で,そのリスクには若年であることと腋窩リンパ節郭清が関係していた。

Medical Tribune 2009-12-17

禁煙のきっかけは「料金増大」がトップ,1箱1,000円で85%が「やめる」
 ジョンソン・エンド・ジョンソン コンシューマーカンパニーは12月16日,喫煙者を対象に実施した禁煙に関する調査の結果を発表した。政府は来年度(2010年度)からのたばこ税大幅引き上げを見送る意向を示しているが,禁煙経験者のきっかけでは「自分の健康が気になって」を抑えて「たばこの料金増大」がトップとなった。「たばこ1箱がいくらになったら喫煙をやめるか」についても1箱1,000円までの回答が85%を占めたものの,来年度のたばこ税引き上げで予想されている「400円以内」に限定すると7.2%にとどまった。

3割が「2010年元旦から禁煙したい」

 経済協力開発機構(OECD)のHealth Data 2009によると,昨年(2008年)におけるわが国の喫煙率は25.7%。G7(日本,米国,英国,フランス,ドイツ,イタリア,カナダ)のなかで最も高く,低下率が低いことから各国との差もほとんど縮小されていない。

 今回の調査は11月10〜11日,20〜59歳の喫煙者632人(男女各316人)を対象にインターネットを介して行われた。各年齢層の構成は各158人となっている。

 禁煙に挑戦した経験のある357人を対象にそのきっかけを複数回答で尋ねたところ,「たばこ料金増大」(32.8%),「自分の健康が気になって」(27.7%),「子供ができた」(19.3%)の順で多く,たばこ税の引き上げが禁煙の動機につながることが示された。

 上記の質問では1割にとどまった「年初め」だが,2010年元旦から挑戦したい目標(複数回答)では「貯金」(48.7%)や「ダイエット」(35.3%)に続いて「禁煙」(29.6%)が3位となっている。

 「タバコ1箱がいくらになったら喫煙を止めますか」との質問には,1,000円以内と答えた人が85.0%にのぼった。しかし,このなかで多数を占めたのは「901〜1,000円」(31.8%)と「401〜500円」(27.8%)で,「400円以内」に絞ると7.2%と激減。

 来年度はたばこ1 本当たり2〜3円程度,代表的な銘柄で340〜360円程度になることが予想されているが,今回のたばこ税引き上げでは十分な禁煙の動機にならないことが浮き彫りとなった。一方で「1,500円以上」とする回答は14.1%と,「400円以内」を大きく上回っている。

Medical Tribune 2009-12-21
前立腺がんの診断・治療に効果が期待される抗体を発見、米研究チーム
 F77と呼ばれる抗体が、マウスの前立腺がん細胞を捕捉し、細胞死を促進する効果をもっていることが明らかになった。米ペンシルベニア大学の研究者らが28日、米科学アカデミー紀要で発表した。

 研究によると、F77は、良性の組織・細胞よりも、がん性の前立腺組織に容易に付着しやすく、そのがん性組織の死を促進させるという。マウスでの実験では、F77は原発性前立腺がん組織の場合は97%、転移性前立腺がんの組織の場合でも約85%の割合で付着した。

 研究チームは、「F77は前立腺がん細胞の細胞死を促進し、効果的に腫瘍の成長を妨げる」とし、「将来的には、前立腺がんの診断や治療に活用されることが期待できる」としている。

 世界保健機関(WHO)によると、前立腺がんは、男性がかかるがんのうち2番目に多く、毎年世界中で50万人が死亡している。

AFPBB NEWS 2009年12月30日