広葉樹(白)   

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2007年8月-2007年12月文献タイトル
ドネペジル(商品名アリセプト)によるアルツハイマー病の精神障害治療 プラセボと効果に差はなし
お茶を飲むと骨損失が遅くなる可能性
喫煙者率26%、過去最低 07年調査、12年連続で
夜更かしによる不眠で脳の時計細胞、リズム狂う
アルツハイマー進行、高学歴ほど加速度的に…米チーム研究
早期肺がん「定位照射」効果、手術に匹敵…初の共同研究
果物で脳卒中かかりにくく 喫煙者は効果鈍る
在宅療養支援診療所、3割が「看取りゼロ」
肥満は世界的問題 世界的規模の研究では半数以上が過体重または肥満
健康的な食事と生活習慣によって心筋梗塞のリスク、心不全が減少する
「がんワクチン」実用化前進
太り過ぎでがん危険高まる 英研究機関が発表
「混合診療」禁止は違法、東京地裁が国側敗訴の判決
食欲制御のタンパク質解明 豪チーム、がん治療応用も
余分な体重によって癌のリスクが増大
酵素「カテプシンE」に抗がん作用 増殖、転移を抑制
衝撃吸収材入りの靴が膝に良くない可能性
音楽が女性ホルモンと作用 性別で不安緩和効果に差
リハビリで脳活動が拡大 脊髄損傷のニホンザル
老化の記憶障害にも関与 アルツハイマー関連物質
イワシなどの不飽和脂肪酸、妊娠中の摂取で統合失調症予防?
葉酸不足でうつが多めに 食習慣調査で関連判明
ストレスが少女の思春期の早期発現と関連
長期のβカロテン補充が認知機能に有効である可能性がある
小児期の十分な睡眠は太り過ぎを防ぐ
がんの約2%、CTが原因 医療被ばくで米チーム
大豆で脳梗塞のリスク低下 中高年女性、厚労省が調査
いかなる程度の蛋白尿兆候も心血管リスクを上昇させる
「トイレ行きたくない」水飲まず エコノミークラス症候群 大半は女性
身体活動量は家系に特有である
緑茶が進行性前立腺がん抑制、1日5杯以上で危険性半減
「体が全然違う」と退院 大阪大の心臓再生医療で
米国の平均総コレステロール値が200 mg/dL未満に下がった
微小粒子で子どもの肺に害 母体通じて体内に 妊娠ザルで動物実験

ドネペジル(商品名アリセプト)によるアルツハイマー病の精神障害治療 プラセボと効果に差はなし
 ドネペジル(商品名アリセプト)はアルツハイマー病患者の認知機能を改善するが、精神障害の治療ではプラセボ以上の効果を示さないことがランダム化試験で分かった。

 2006年に発表されたClinical Antipsychotic Trials of Intervention Effectiveness trialの結果で、アルツハイマー病患者の精神病、精神障害、攻撃的行動の主力治療薬である第二世代抗精神病薬とプラセボは効果に有意差がなかった。

 「我々の試験結果は、コリンエステラーゼ阻害薬がアルツハイマー病による臨床的に重要な精神障害の代替治療薬にならないことを意味する」とロンドン大学研究者らは記述している。
m3.com 2007-10-12
お茶を飲むと骨損失が遅くなる可能性
 お茶を飲んだ高齢女性はお茶を飲まなかった高齢女性より、股関節部の骨密度が高く、骨損失が少ないことが新規研究で示されている。

 この結果から、お茶を飲むことによって骨損失や骨粗鬆症から保護される可能性があることを示唆した先行研究の結果が確認される、と研究者らは述べている。

 この研究において、オーストラリアの研究者らは、カルシウムサプリメントおよび骨粗鬆症に関する大規模な5年研究に参加していた70-85歳の女性275例を対象に、紅茶および緑茶(ハーブ茶は含まない)を飲んだ量について調査した。5年研究の開始時と終了時に股関節部の骨密度測定も行った。

 その結果によれば、習慣的にお茶を飲む女性はお茶を飲まない女性に比べて股関節の2部位で骨密度が高かったという。

 この研究では、1日に飲んだお茶の杯数と骨塩量との間に相関関係は認めなかった。
m3.com 2007-10-15
喫煙者率26%、過去最低 07年調査、12年連続で
 日本たばこ産業(JT)が発表した2007年の全国たばこ喫煙者率調査によると、たばこを吸う成人の割合は前年に比べて0・3ポイント減の26・0%と、12年連続で過去最低になった。

 男女別では、男性の喫煙者率は1・1ポイント減の40・2%、女性は0・3ポイント増の12・7%だった。地域別にみると、喫煙者率が最も高かったのは男性が東北地方(46・0%)、女性は北海道(19・4%)だった。北陸・甲信越、東海、近畿、中国、四国の5地域では男性の喫煙者率が40%を下回った。

 たばこを吸う人が減っている理由についてJTは「健康意識の高まりや喫煙規制の強化が影響した。退職した団塊の世代が、仕事のストレスがなくなったために喫煙をやめていることも背景にある」と分析している。
m3.com 2007-10-18
夜更かしによる不眠で脳の時計細胞、リズム狂う
 夜更かしを続けると体内時計が狂って不眠などになる「シンギュラリティ」現象が起きるのは、脳に約2万個ある時計細胞の刻むリズムがばらばらになるためであることを、理化学研究所などが突き止めた。同現象を巡っては、時計細胞が一斉に機能を停止するためとの説もあり、30年以上論争が続いていた。不眠や時差ぼけなどの予防、治療に結びつくと期待されている。

 研究チームは、マウスの皮膚の時計細胞を改造、細胞自身が光を感知するようにして実験した。細胞の活動が鈍る時間帯に光を照射し試験管内でシンギュラリティを起こすことに成功。時計細胞のリズムがばらばらになることを確認した。

 理研の上田泰己チームリーダーは「夜中にどの程度の光を浴びれば体内時計に影響するのかを調べ、予防や治療につなげたい」と話している。
m3.com 2007-10-22
アルツハイマー進行、高学歴ほど加速度的に…米チーム研究
 高学歴の人ほど、アルツハイマー病による記憶能力低下は遅い時期に始まるが、いったん低下が始まると、病状の進行度は学歴の低い人に比べ速いことが、米アルバート・アインシュタイン大の研究で明らかになった。

 研究チームは「高学歴の人は“認知力の蓄え”があるために、ある一定レベルまで病状が進むまで症状が見えないのでは」と指摘している。

 研究チームは、1980年代からニューヨーク市の高齢者488人に対し、記憶力のテストを定期的に実施。

 その結果、教育を受けた期間が1年長いと、記憶能力の低下が始まる時期が約2か月半遅れたが、いったん記憶障害が始まると、記憶低下の速度が教育期間1年あたり4%速まっていた。
読売新聞 2007-10-23
早期肺がん「定位照射」効果、手術に匹敵…初の共同研究
 早期の肺がんに対し、がんに放射線を集中させる「定位照射」と呼ばれる放射線治療の効果が、手術に匹敵することが国内14医療機関の初の共同研究で明らかになった。

 定位照射は、治療装置を患者の体の周囲で回転させ、様々な角度から照射し、がんに放射線を集中させる方法で、ピンポイント照射とも呼ばれる。体力的に手術が難しい患者も切らずに治すことができ、2004年に保険が適用された。

 手術の場合、日本肺癌学会と日本呼吸器外科学会の報告によると、5年生存率は1A期で77%、1B期が60%。今回の放射線治療はこれとほぼ同等だった。
読売新聞 2007-10-23
果物で脳卒中かかりにくく 喫煙者は効果鈍る
 果物を毎日たっぷり食べる人は、脳卒中や心筋梗塞といった循環器の病気にかかりにくいとの疫学調査結果を、厚生労働省研究班が発表した。

 1日に420グラム(中ぐらいのミカン4個)ほど食べる人は、35グラム(ミカン3分の1)ほどの人に比べ、発病の危険度が19%減っていた。たばこを吸わない人に限ると24%減だったが、喫煙者では減少幅は18%と果物の予防効果がやや鈍ることが分かった。
m3.com 2007-10-24
在宅療養支援診療所、3割が「看取りゼロ」
 高齢者の自宅などでの療養を支援する在宅療養支援診療所が過去1年間に在宅で看取(みと)った患者は、全国で2万7000人に上ることが、読売新聞社の調査でわかった。

 在宅での看取りの実数が明らかになったのは初めて。支援診療所が本来の機能を果たしているかを測る指標となるが、一人も看取ったことがない施設が3割を占めた上、地域差も目立った。

 調査は、支援診療所が看取った患者数について、全国の9777施設が今年7月、各都道府県の社会保険事務局に報告したデータを読売新聞社が情報公開請求して集計した。対象期間は、昨年7月から1年間。

 それによると、在宅で亡くなった患者は2万7072人。このうち、2万1724人が自宅で、5348人が特別養護老人ホームや老人保健施設などで亡くなっていた。地域別では、東京が4514人で最も多く、大阪2345人、神奈川1844人などの都市部が続き、少ないのは高知、富山などだった。

 国立長寿医療センターの大島伸一総長の話「看取りの数は予想していたよりも非常に少ない。手を挙げながら、実際には機能していない支援診療所が多いことが裏付けられた形だ」
読売新聞 2007-10-27
肥満は世界的問題 世界的規模の研究では半数以上が過体重または肥満
 肥満は現実に世界中に広がっており、これは健康と疾患に関する世界的規模の問題であることが新規研究から示されている。

 世界全体の肥満率を検討する過去最大規模研究のひとつにおいて、男性では60%以上、女性では50%以上が過体重または肥満であることが認められた。

 肥満は世界のあらゆる地域で深刻化している問題であり、伝統的には細身のアジア人集団でさえ例外ではないと研究者らは結論している。

 「過体重は世界中に広がっており、全被験集団の1/2-2/3が過体重または肥満であることがこの研究から示されている」と研究を行ったフランス国立医学研究機構のBeverley Balkau博士は述べている。

 この研究では、5大陸にわたる63カ国の男性69,409名および女性98,750名を対象として、プライマリーケア医が体重、身長、心血管疾患(心疾患、脳卒中)、糖尿病、胴囲について評価した。なお、米国はこの研究には含まれなかった。
m3.com 2007-10-29
健康的な食事と生活習慣によって心筋梗塞のリスク、心不全が減少する
 いくつかの健康的な生活習慣の組み合わせの効果に注目した新しいスウェーデンの研究で、女性のほとんどの心筋梗塞(MI)は健康的な食事を摂ること、身体をよく動かすこと、たばこを吸わないこと、健康体重を維持することによって予防できることがわかった。

 Akesson博士らによれば、いくつかの健康的な生活習慣を組み合わせることによって得られる効果に関する情報はこれまでにほとんどないという。研究結果から、食事、生活様式、健康体重の効果が重なることによって、4分の3以上のMIを予防できる可能性があることが示唆されるとAkesson博士らは指摘している。

 「われわれの研究では、上記のそれぞれから、またすべてが組み合わさることによって大きな効果が得られることを示している」とAkesson博士は語った。「これは極めてシンプルな健康に対するメッセージであり、自分自身で実行できる」
m3.com 2007-10-30
「がんワクチン」実用化前進
 国立がんセンター中央病院が、治療の難しいすい臓がん、胆道がん患者を対象に「がんワクチン」の臨床試験に着手することがわかった。

 自らの免疫機能を高め、がん細胞を退治する、がんワクチンは、副作用の少ない第4の治療法として国内の大学で臨床試験が行われているが、実用化は足踏みしている。がん治療・研究の拠点である同センターが臨床試験に乗り出すことで、実用化に向けて前進すると期待される。

 臨床試験は、病状が進行し、手術が適さないすい臓、胆道のがん患者十数人を予定。どちらも早期発見が難しいがんだ。

 ワクチンには、正常細胞にはなく、がん細胞の表面にある「WT1」というたんぱくのかけら(ペプチド)を利用。体内に入ると、がん細胞だけを直接攻撃する免疫細胞(キラーT細胞)を増やす作用がある。年内にも臨床試験を始める予定で、2週に1回ずつ2か月間、両肩や腹部など6か所に注射。抗がん剤も投与する。
読売新聞 2007-11-1
太り過ぎでがん危険高まる 英研究機関が発表
 世界がん研究基金(ロンドン)は、太り過ぎが少なくとも6種類のがんを引き起こす危険性があるとする調査結果を発表した。研究者はタイムズ紙に、がんの危険性を下げるためには体格指数「BMI」は25未満が望ましいとの考えを示した。

 同紙によると、報告書は1960年代以降の7000件以上の研究結果を分析。太り過ぎと、食道がんや膵臓(すいぞう)がん、腎臓がんなどの間には明確な関連があると結論付けた。

 報告書は、わずかな体重超過でもがんの危険性が高まると警告。ベーコンなどの加工肉は腸がんの危険性が高まるため避けるべきだとし、食べる量は牛肉などの赤肉を週500グラム以内にすべきだと勧告している。

 ファストフードや甘い飲料、過度のアルコールも勧めないとしている。

 この調査報告書に対し英大学の専門家は同紙に「適量の赤肉やベーコンなどは人体に害はない」と指摘、極端な食事制限などはすべきではないとコメントした。
m3.com 2007-11-1
「混合診療」禁止は違法、東京地裁が国側敗訴の判決
 健康保険が使える診療(保険診療)と保険外の診療(自由診療)を併用する「混合診療」を受けた場合、保険診療分も含めて全額患者負担になるのは不当だとして、神奈川県内のがん患者が国を相手取り、保険を受ける権利があることの確認を求めた訴訟の判決が2007年11月7日、東京地裁であった。

 定塚誠裁判長は、混合診療を原則禁止している国の政策について、「混合診療を禁止する法的な根拠はない」と述べ、原告に保険の受給権があることを認め、国側敗訴の判決を言い渡した。
読売新聞 2007-11-7
食欲制御のタンパク質解明 豪チーム、がん治療応用も
 オーストラリアのセント・ビンセンツ病院などのチームは、進行したがん患者の食欲低下の原因となっているタンパク質を特定し、それへの抗体を与えることで食欲を回復させる動物実験に成功したと発表した。

 チームはマウスに対する実験で、進行したがん患者の血液中に高い値でみられるMIC-1と呼ばれるタンパク質が脳で食欲を低下させる働きをしていることを突き止めた。
 このタンパク質に対する抗体をマウスに与えたところ、食欲が戻り体重減少が止まった。近い将来、患者が化学療法などの治療に耐える体力を回復するのに使える可能性があるとしている。

 一方、肥満のマウスにこのタンパク質を与えたところ、食欲が抑えられ、体重も減少した。この手法で肥満患者の食欲を抑え、減量する治療も可能だとしている。
m3.com 2007-11-7
余分な体重によって癌のリスクが増大
 太りすぎが癌の筆頭原因であることがパネル調査で判明、リスクを減らすための10か条を公表した。

 この知見は、肥満、栄養、癌、公衆衛生、疫学分野の専門家からなるパネルによって実施された非常に大規模な国際研究から得られたものである。

 「ひとつのメッセージとは、肥満が癌のリスクにいかに多くの影響を及ぼすかということである」とJames博士は語る。「このメッセージは非常に明確である:癌と肥満の関係は非常に強く、米国においては近い将来、喫煙問題に近い位置づけになるだろう」

癌のリスクを減らすための10か条

1.正常体重範囲内で可能な限りやせた状態を保つこと。

2.日常生活の一部として体を動かすこと。少なくとも30分間の適度な運動(早歩き等)を毎日行うこと。テレビを見るといったカウチポテト行動は控えめにすること。

3.高エネルギー食品の摂取を減らすこと。甘味飲料は避けること。ファーストフードは控えめにし、できれば避けること。 4.植物性の食品を多くとること。色々な非でんぷん質の野菜と果物を毎日5皿分(約397g)以上とること。全粒粉および/または豆類を毎食とること。精製でんぷん性食品は制限すること。

5.レッドミート(牛肉、ラム肉、豚肉)の摂取は1週間あたり(約510g)に制限すること。燻製肉、加工肉、塩漬け肉は避けること。

6.アルコール飲料は制限すること。癌の予防にはノンアルコールが最適である。ただし、適量なアルコールは心臓に良い効果があるため、摂取は1日2杯(男性)および1日1杯(女性)以内に制限すること。

7.ナトリウムの摂取量を1日2.4gに制限すること。塩辛い食品を避けること。輸入食品はカビの生えた穀物から製造されている可能性があるため、注意すること。カビの生えた食品には発癌性のあるアフラトキシンが含まれている。

8.癌の予防には食事サプリメントは推奨されない。「現在、サプリメントの使用によって癌の発症率が低下するという明確なエビデンスは存在しない」。

9.母乳育児は母親と子の両方を癌から守る。生後6ヵ月までは母乳のみで育てることを目標とし、6ヶ月以降は母乳にベビーフードを追加すること。

10.癌を克服した人は、資格を有する専門家の栄養管理を受けるべきである。癌を克服した人にとって、食事、健康体重、身体活動に関する勧告は特に重要である。
m3.com 2007-11-7
酵素「カテプシンE」に抗がん作用 増殖、転移を抑制
 九州大大学院の山本健二教授らの研究グループは、人間などの細胞にある酵素「カテプシンE」に、がん細胞の増殖や転移を抑制する機能があることを確認したと発表した。山本教授は「従来の抗がん剤とは違い、正常な細胞へ影響を与えない。まだ動物実験の段階で安全性などの検証が必要だが、新たながん治療薬開発の可能性がある」と話している。

 山本教授によると、カテプシンEはタンパク質分解酵素の一つ。試験管に入れた前立腺がんの細胞や、がん細胞を移植したマウスにカテプシンEを投与したところ、がん細胞を殺してがんの増殖や転移を抑えることを確認した。

 人体の免疫機能や自然治癒力などと関係があることは推測されていたが、がん細胞に対する抑制効果などが明らかになったのは初めて。すでに乳がん細胞などに効果があることが確認されている。今後はほかのがん細胞への効果や、酵素を人体に投与した時の安全性の検証などが必要となる。
m3.com 2007-11-9
衝撃吸収材入りの靴が膝に良くない可能性
 足を固定するウォーキングシューズやクロッグは関節炎の膝に負担をかける可能性があることが研究で示される。

 関節炎の膝には、足を保護し、衝撃を和らげるようデザインされた衝撃吸収材入りの運動靴やクロッグが良くない可能性がある。

 研究者らが様々なタイプのフットウェアが膝関節の変形性関節炎の人に与える影響を検討したところ、裸足でいる方が足を固定するウォーキングシューズやクロッグよりも膝関節にかかる負担が小さいことがわかった。

 通常の歩行時には、かかとのないサンダルや柔らかいウォーキングシューズも膝にかかる負担を最小限にするために好ましい選択肢であった。
m3.com 2007-11-13
音楽が女性ホルモンと作用 性別で不安緩和効果に差
 音楽を聴くと不安が和らぐ効果には女性ホルモンの作用が関係しており、これが性別による効果の差を生んでいる可能性があることを、徳島大の近久幸子助教(環境生理学)らの研究チームがマウスを用いた実験で突き止めた。

 不安が音楽によって取り除かれるとの報告は多いが、男性より女性で効果が強く現れる傾向があり、理由は不明だった。

 チームは、高所で不安定な実験装置にマウスを入れて行動を分析。メスにクラシック音楽を聴かせると、装置から落ちそうな場所を避けるなど不安を示す行動が減った。

 オスではこの効果がなく、女性ホルモンの一種プロゲステロンを働かなくしたメスでも効果が消失。チームはこの物質が音楽による不安緩和に重要な役割を果たしており、性別で効果の差が出る一因と結論した。
m3.com 2007-11-15
リハビリで脳活動が拡大 脊髄損傷のニホンザル
 脊髄の部分損傷による麻痺の後にリハビリを続けると、脳の活動領域が拡大し、失われた機能を補うことを自然科学研究機構生理学研究所などのチームがニホンザルの実験で突き止めた。脳活動を適切に測りながら行うリハビリ法を開発できれば、より効果を挙げることが期待できるという。

 チームは、脊髄の一部を傷つけ指の動きをまひさせたニホンザルに、人さし指と親指でエサをつまむリハビリを繰り返し、脳の活動を陽電子放射断層撮影装置(PET)で計測した。

 リハビリ開始から約1カ月間は、本来指を動かすのに使われる脳の領域の活動が高まり、さらに損傷前には使われなかった反対側の脳も働いた。

 3カ月後に指の動きが回復。その際、反対側の脳の活動はなくなったが、本来の活動領域の範囲が広がり、働きも高まっていた。

 損傷前より余分に働いている脳活動を薬剤で抑えると、指がうまく動かなくなったことから研究チームは、指の機能を回復させるため、損傷した脊髄のルートを迂回して脳活動が広がったり高まったりしたと判断した。
m3.com 2007-11-16
老化の記憶障害にも関与 アルツハイマー関連物質
 理化学研究所は、アルツハイマー病の発症に関与する異常タンパク質の脳への蓄積が、老化に伴う記憶障害の原因にもなっていることを高島明彦チームリーダーらがマウスの実験で確認したと発表した。

 記憶障害を手掛かりに、異常タンパク質の蓄積を早期に見つけられれば、将来はアルツハイマー病の予防にもつながり得るという。

 このタンパク質は「タウ」と呼ばれ、記憶障害や認知障害が起きるアルツハイマー病では、過剰にリン酸化された異常な形で、記憶をつかさどる脳の海馬や大脳皮質の神経細胞に沈着する。

 高島さんらは、遺伝子操作で人間のタウを持たせ、老化すると記憶障害を起こすマウスに対し、深いプールを繰り返し泳がせ足場の場所を探させる記憶力テストを実施。生後20カ月以上の老齢マウスは場所をなかなか覚えられず、記憶力の低下が起きていることが分かったが、このマウスの脳には、完全な沈着まではいかないものの異常なタウが蓄積しており、それで神経活動が低下していたらしいと分かった。
m3.com 2007-11-19
イワシなどの不飽和脂肪酸、妊娠中の摂取で統合失調症予防?
 イワシなどに含まれるドコサヘキサエン酸(DHA)などの不飽和脂肪酸の体内への取り込みに関係する遺伝子が、統合失調症の原因遺伝子の一つであることを、理化学研究所などの研究チームがマウスを使った実験で特定した。不飽和脂肪酸は胎児の脳の形成過程に必要な栄養素で、妊娠中の不飽和脂肪酸の摂取が不十分だと、統合失調症発症につながる危険性があることも示唆する結果だという。

 研究チームは、音の刺激への反応が統合失調症の患者とよく似たマウスを正常なマウスと掛け合わせ、その孫世代のマウス1010匹の全遺伝情報を詳しく調べることで、発症に関係する遺伝子を絞り込んだ。

 その結果、DHAや卵などに含まれるアラキドン酸などの不飽和脂肪酸と結合し、細胞内に取り込むのを助けるたんぱく質を作る「Fabp7」という遺伝子との相関が強かった。この遺伝子を欠くマウスは、脳の神経新生が少なくなることも確認した。この遺伝子は人間にもある。
m3.com 2007-11-19
葉酸不足でうつが多めに 食習慣調査で関連判明
 野菜や果物などに含まれる葉酸の摂取量が少ないほど、うつ症状の人が多い傾向にあることを、村上健太郎東京大医学部助教らが調査で見つけた。

 日常の食事が精神的な健康にかかわっていることを示す研究。関連は欧米では報告されていたが、日本人のデータは初めてという。

 研究グループは昨年、福岡県の20代から60代の517人(男性309人、女性208人)に、過去1カ月間に食べたものを詳しく聞き、各栄養成分の摂取量を算出した。同時に別の質問でうつ症状があるかどうかを調べ、摂取した各栄養素との関連を探った。

 その結果、葉酸の摂取が少ない人ほどうつ症状の割合が高かった。摂取が多い人では、少ない人よりうつ症状が半減していた。この傾向は女性でもうかがえたが、男性でよりはっきりしていた。

▽葉酸 ブロッコリーなどの野菜やグレープフルーツなどの果物、緑茶に多く含まれるビタミンBの一種。胎児の成長に不可欠で、妊娠の可能性がある女性は1日0・4ミリグラムの摂取が望ましいとされるが、不足がちだという。米国では小麦粉に添加されている。安価なサプリメントもある。
m3.com 2007-11-19
ストレスが少女の思春期の早期発現と関連
 最近発表された研究の知見は、家族の対立が少女における思春期の発現時期に影響する可能性があるという考えを支持する。

 ウィスコンシン大学のMarilyn Essex博士らは、学齢前から小児期中期まで小児を追跡調査した。経済的問題、夫婦関係の問題、親のうつ病、および子育てのスタイルを含む家族ストレスを評価するため、小児の両親の聞き取り調査も行った。

 親のサポートが大きく夫婦間の対立が少ない家庭の少女は、他の小児よりも最初のホルモン変化の発現が遅かったことが明らかになった。夫婦間の対立、不十分な親のサポート、および母親ではなく父親のうつ病は、思春期の早期発現と関連があった。

 この結果は、たとえ小さな家族の対立またはストレスでも少女の性的発育に影響する可能性があることを示唆すると、Essex博士は述べている。
m3.com 2007-11-21
長期のβカロテン補充が認知機能に有効である可能性がある
 医師健康調査IIの結果により、短期のβカロテン補充は認知能力に対して効果がないことが明らかになったが、長期の補充は認知機能に有効である可能性が示された。

 βカロテンやその他のサプリメントが慢性疾患を予防する効果を調べるランダム化試験である医師健康調査IIの結果によれば、βカロテンの短期補充は認知能力に対して効果がないが、長期補充が認知機能に有効である可能性がある。

 「3年以下のβカロテン治療は認知能力に影響を持たなかったが、15年以上の治療によって、複数の認知測定項目にわたって有意な一貫した便益が得られた」と筆頭著者であるハーバード大学医学部 のFrancine Grodstein, ScD が結論づけている。

 認知機能の低下はそれがほんのわずかであっても、最終的には痴呆を発症することへの強い予測因子であることがいろいろな研究で示されている、と著者らは記している。しかし、認知機能低下のごく初期であるその段階は、それ以上の機能低下の進行と痴呆を止める絶好の機会でもある。

 酸化ストレスは脳の加齢に関与し、認知機能を低下させる主要因子でもあるが、これまでの抗酸化物質のランダム化試験では神経保護作用が示されてこなかった、と著者らは記している。しかし「抗酸化ビタミンのランダム化試験が評価してきた治療期間は3年から9年までであり、これでは注目に値するような便益をもたらすには不十分である可能性がある。」
m3.com 2007-11-27
小児期の十分な睡眠は太り過ぎを防ぐ
 ある研究結果によれば、睡眠障害ではないが睡眠時間が短い子供と、現在または3年後の過体重とに関連があるという。同研究の著者らは、睡眠時間を長くするよう勧めることが肥満予防に役立つという。

 「エネルギーバランス、食欲、体重維持など多くの生理機能で睡眠が重要な調節因子であることを明らかにした研究が出てきた」とミシガン大学のJulie C. Lumeng博士らはいう。「米国の肥満率は過去最高のレベルに達し、慢性的睡眠不足の若者や成人の割合も増えてきている。このため、睡眠と体重の関係は特に関心の高い話題になった。短時間睡眠や睡眠障害と小児期の過体重の関係はこれまで十分に説明されていない」。
m3.com 2007-11-28
がんの約2%、CTが原因 医療被ばくで米チーム
 放射線を利用するCTスキャンの使用頻度が米国で急増、将来のがん患者のうち約2%をこれらのCT検査による被ばくが引き起こす恐れがあると、米コロンビア大の研究チームが発表した。

 CT検査の3分の1は医学的に不要との統計もあるとして、不必要な使用を避けるよう警告している。

 チームによると、米国の医療現場でCTスキャンの使用回数は1980年の約300万回から2006年には約6200万回へと急増。断層画像を取得するのに何度もエックス線を照射するため、撮影1回当たり15-30ミリシーベルトを被ばく。一連の検査でこれを2、3回繰り返し、計30-90ミリシーベルト被ばくするという。

 通常の胸部エックス線撮影では0.01-0.15ミリシーベルト、乳がん検診では3ミリシーベルトを被ばくするとされる。

 チームは広島や長崎の原爆被爆者の疫学データと比較するなどした結果、現在のCT検査による発がんリスクが将来、全米のがん患者の1・5-2・0%に達すると推計した。
m3.com 2007-11-30
大豆で脳梗塞のリスク低下 中高年女性、厚労省が調査
 大豆食品をよく食べる中高年女性は、そうでない人より脳梗塞や心筋梗塞の発症リスクが低いとの疫学調査結果を、厚生労働省研究班がまとめた。

 大豆に含まれるイソフラボンが影響しているらしい。男性にはこうした傾向はみられなかった。

 豆腐や納豆などの大豆食品を週に5日以上食べる女性は2日以下の女性よりも、脳梗塞の発症リスクが36%、心筋梗塞の発症リスクは45%低く、循環器疾患による死亡のリスクは69%低かった。

 大豆食品の量からイソフラボンの摂取量を算出して分析したところ、イソフラボン摂取量が多いほど脳梗塞、心筋梗塞のリスクが低い傾向があり、特に閉経後の女性でその傾向が顕著だった。
m3.com 2007-11-30
いかなる程度の蛋白尿兆候も心血管リスクを上昇させる
 蛋白尿は「正常」範囲内の低レベルでも心血管などのあらゆる原因による死亡の独立した予測因子であることが心臓試験の新規解析で示されている

 この研究はScott Solomon博士(ブリガム&ウィメンズ病院・ボストン)が率いる研究グループが行ったものである。

 Solomon博士は次のように話している。「事実上、いかなる程度の蛋白尿も、微量アルブミン尿と言われるレベル以下のアルブミンであっても、患者は心血管イベントのリスクが有意に高くなることを我々は認めた。

 いくつもの他の研究では、高リスクの血管疾患患者において、高血圧患者において、このことが示唆されているが、我々の研究では特に低リスク集団を対象としていたため、この知見は安定した冠動脈心疾患を有するこの低リスク集団まで拡大された。微量アルブミン尿のカットオフ値について考えるのをやめるべきである。尿中でアルブミンが検出できるなら、その患者はリスクが高い」。
m3.com 2007-11-30
「トイレ行きたくない」水飲まず エコノミークラス症候群 大半は女性
 長時間の空の旅などで起きる「肺血栓塞栓症(エコノミークラス症候群)」は女性客に集中的に発生していることが、日本医科大千葉北総病院などによる成田空港利用客のデータ分析で分かった。同病院は「女性患者にはトイレに行きたくないから水分を取らなかったという人が多い。水を飲まないのはよくない」と注意を呼びかけている。

 分析は、94年1月-07年7月、重症の循環器病のため成田国際空港クリニックから同病院の集中治療室に転送された旅客72人(男性38人、女性34人、平均年齢59・7歳)を対象に実施した。

 最も多かったのはエコノミー症候群で31人。急性心筋梗塞(こうそく)23人、原因不明の胸痛5人、うっ血性心不全と不整脈各3人が続く。うち2人は病院で死亡した。

 エコノミー症候群の31人のうち29人は女性。31人中27人は帰りの飛行機着陸後に発症した。

 エコノミー症候群は、長時間同じ姿勢をとることで、足などにできた血栓が肺の静脈に詰まり、呼吸困難になることもある。女性は更年期を境に、血液が固まりやすくなるとされる。

 同病院の畑典武・集中治療部長は「肺血栓塞栓症を起こした女性患者の中には、10時間以上一度もトイレに行かなかった人もいる。じっとしていれば血流が悪くなるし、脱水状態は血栓ができやすい」と話す。
m3.com 2007-12-3
身体活動量は家系に特有である
 身体活動に関して言えば、思春期前の子供は親を見習う傾向があることが英国の研究で示されている。

 身体をよく動かすことは親子双方にメリットのある習慣であると研究者らは指摘している。

 「親の身体活動を推奨することは、子供にも影響を及ぼし、子供がよく身体を動かすようになる可能性がある。それに加えて、身体をよく動かす親は比較的健康であるという追加の利点もある」と研究者らは記述している。

 このデータは、長期健康試験に参加した5,400組以上の親子から得られた。

 思春期前の子供の身体活動量は、母親が妊娠中に早歩きや水泳を行っていた場合および子供が生後21ヵ月の時点で少なくとも父母のどちらか一方がよく身体を動かしていた場合に高かった。
m3.com 2007-12-3
緑茶が進行性前立腺がん抑制、1日5杯以上で危険性半減
 緑茶をよく飲む男性ほど、進行性の前立腺がんになる危険性が下がることが、厚生労働省の研究班の大規模調査でわかった。

 1日5杯以上飲む人は、ほとんど飲まない人に比べ、危険性は約半分だった。

 研究班は、40〜69歳の男性約5万人を対象に、1990年代初めから10年以上にわたって追跡調査。404人が前立腺がんを発症した。うち114人は、前立腺以外にもがんが広がっている進行性がん、271人が前立腺にがんがとどまっているタイプと診断され、16人は不明だった。

 こうした患者の食生活を調べたところ、緑茶1日5杯以上飲む習慣がある人は、1日1杯未満の人に比べて、前立腺がんになる確率自体は変わらなかったものの、進行性のがんに発展する危険性は52%に減った。

 動物実験などで、緑茶の成分のカテキンは、がん細胞の増殖や、前立腺がんの危険性を高める男性ホルモンのレベルを抑えることが分かっている。
読売新聞 2007-12-19
「体が全然違う」と退院 大阪大の心臓再生医療で
 足の筋肉細胞を培養してつくったシートを心臓に張り、心筋の働きを再生させる治療を受けた拡張型心筋症の重国増雄さん(56)が12月20日、大阪大病院から退院した。

 こうした治療の成功例は世界で初めて。重国さんは記者会見で「人工心臓の装着時とは(体の状態が)全然違う。びっくりするぐらい良い」。退院後は「おふくろに会いに行きたい」と笑い、妻も「退院できるとは思わなかった。夢みたいです」と喜んだ。

 重国さんは、心臓を収縮させる力が弱まる拡張型心筋症で昨年2月入院。補助人工心臓を付けて脳死移植の待機患者となったが、ことし9月には人工心臓を外し移植不要になるまで回復した。

 治療は、左大腿部から組織修復の働きを持つ筋芽細胞を採取して培養し、シート状にして左心室外側を覆うように張った。心臓血管外科の沢芳樹教授は「機能回復ぶりは想像以上だった」と話した。
m3.com 2007-12-20
米国の平均総コレステロール値が200 mg/dL未満に下がった
 米国の20歳以上の成人の平均血清総コレステロール値が200 mg/dL未満に下がったことが、2005-2006年の全国健康栄養調査データの分析で分った。1999-2000年の平均204 mg/dL、1960-1962年の平均222 mg/dLから下がり続けている。

 しかし専門家は、この結果を米国人そのものが過去より健康になったと解釈すべきではない。総コレステロール値が下がった主な理由は、単にスタチン療法(高脂血症治療薬)を受ける人の数が、特に60歳以上で増えたからであると警告している。
m3.com 2007-12-20
微小粒子で子どもの肺に害 母体通じて体内に 妊娠ザルで動物実験
 ディーゼル車の排ガスなどに含まれる極めて微小な粒子(ナノ粒子)を妊娠中に取り込んだサルから生まれたばかりの子の肺に、急激なアレルギー反応で引き起こされる細胞の障害や細胞死が多発していることを、栃木臨床病理研究所と東京理科大などの研究グループが実験で突き止めた。

 グループは「人間でも妊娠中の母親がディーゼル粒子を吸い込むことが、生まれた子どものぜんそくや乳幼児突然死症候群などの原因となっている可能性を示す」と指摘。疫学調査などさらに詳しい研究が必要だとしている。

 研究グループは、妊娠中のアカゲザル3匹の背中の皮下にディーゼル粒子を注射。それぞれから生まれた3匹の肺の組織を調べた。

 子ザルの肺の細胞には、アレルギー反応に関連する「マスト細胞」が多数確認され、肺の中で酸素を取り込む役割を果たす細胞の多くが死んだり変性したりしていた。通常、出生直後の肺の細胞でアレルギー反応が起こることはないという。

 一方、妊娠中にディーゼル粒子を注射しなかったアカゲザルの子に異常はなかった。
m3.com 2007-12-25