広葉樹(白)    

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2007年4月-2007年7月文献タイトル
トランス脂肪と心疾患リスクには強い関連性
伝統的な低脂肪食は健康によい 地中海式食事との比較では、両者とも等しく心臓によいことが示された
がん関係遺伝子に変異 ピロリ菌感染後の発がん
喫煙者は病気休暇の取得が多い可能性
脳の"掃除屋"を活性化 九大と山梨大、物質発見
肝がん進行、仕組み解明 酵素が関与
傷ついた網膜、薬で細胞再生 マウスとサルで成功
心臓死の予防には午睡(昼寝)が効果的
地中海式ダイエットが小児喘息様症状および鼻炎を予防する可能性
子宮内にも加齢臭のもと 受精卵着床の道しるべ?
ADHD発症児の母、喫煙率一般の2倍
妊婦さん!もっと葉酸摂取を 緑黄色野菜や果物に多く胎児の発達に不可欠
高齢者の抑うつ症状は糖尿病のリスクと関係
高脂血症の治療薬で早起き?睡眠障害治療薬の開発に期待
1メートル以内に近づかないで 総務省がタグリーダーで
想像の痛み、脳活動は同じ 群馬大などが発表
蛍光物質開発 「0.1ミリ」がんも見逃さず
鳥インフルに新ワクチン サルで効果、安全性確認へ 短期間で開発可能に
パーキンソン病、国内初の遺伝子治療 ドーパミン生成促す
関節リウマチに対する緑茶の効果
受動喫煙で認知症のリスクが増大
目への紫外線、朝もご用心 乱視や視力低下の恐れ 昼の2倍
認知症患者の免許取り消し257件 保有30万人、進まぬ危険防止
妊娠している乳癌患者は非妊娠患者よりも転帰が不良
傷跡から毛髪再生、脱毛症治療に光明…米大学で解明
マラソン中に水分を摂取しても体温は下がらない
肺癌患者の血縁者は悪性腫瘍のリスクが高い
緑茶成分とCOX-2阻害薬の併用 前立腺癌予防に相乗効果
肥満児の約15%で脂肪肝疾患
コンタクトスポーツでB型肝炎ウイルス感染
ピロリ菌と胃がんのメカニズムを解明…北大研究チーム
看護師の勤務さらに長く 8割が「疲れ取れない」
男性長寿、日本2位に 女性は1位、WHO統計
冠動脈疾患診断後の不安で予後が悪化
脅しより、高値が怖い 愛煙家、800円で7割禁煙
犬にかまれたら直ちに抗菌薬を  致死性のショックを回避する
40歳以上の糖尿病患者・予備群、33.3%に
1000人当たりの医師数、2020年にOECDで最下位に
多くの親は睡眠不足
屋内全面禁煙を勧告 受動喫煙防止でWHO
コーヒーで痛風のリスクが低下
高齢者における急速な筋力喪失に糖尿病が関係
大脳皮質、脳形成の酵素発見 アルツハイマー治療に期待
高齢者では2型糖尿病と脳萎縮が関係
コレステロール、脳機能の発達促進 でも血中濃度は無関係
緑茶よく飲む人ほど、摂取カロリー過多!?
慢性の苦悩で軽度認知障害のリスクが亢進する可能性がある
パーキンソン病治療に光明? 米大学で症状改善に成功
受動喫煙:認知症の恐れ 長期に及ぶと血管に悪影響--30年以上で発症率1.3倍
女性の脳卒中リスクは中年期に急上昇する
静脈注射で脳梗塞治療 長崎大教授らマウスで成功
在宅介護費が初の減少 家事援助制限などで サービス費全体は横ばい
肺がんの原因遺伝子を発見 早期診断に応用期待
ピロリ菌抑制物質合成に成功 除去薬開発に道
予防接種で子宮頸癌を予防 若年層への教育の徹底を
6年以内の認知症リスク予測 ベッドサイドで行う簡単な検査
抗体で脳梗塞治療 時間たっても効果か
リンゴポリフェノールで長寿!マウス実験で成果
匂いの識別困難は軽度認知障害の前兆となる可能性
たばこで余命3・5年短縮 男性、40歳時点で 1万人の追跡調査で推計 厚労省研究班
肥満は人間関係で広がる 米の大規模調査で判明
女性は22年連続世界一 85・81歳、06年の平均寿命 男性は79・00歳で2位
水を凍らせない物質を発見 移植用臓器の保存に応用も

トランス脂肪と心疾患リスクには強い関連性
 動脈を閉塞させるトランス脂肪がやがて心疾患につながることを示す非常に強力なエビデンスが報告された。
 女性看護師を対象とした研究において、保存検体中の赤血球におけるトランス脂肪濃度が最高群の女性はトランス脂肪濃度が最低群の女性に比べて心疾患を発現するリスクが3倍であることが認められた。
 トランス脂肪濃度が高いほど「悪玉」LDLコレステロール濃度は高く、「善玉」HDLコレステロール濃度は低かった。
 「食べ物における主要な飽和脂肪源は獣肉、鶏肉、全脂乳製品、バターである。パーム油脂やココナツ油脂などの熱帯地方の油脂も飽和脂肪の含有量が多い。より良い脂肪の摂取源は、ナッツ類、魚、オリーブ油、ほとんどの他の液体の植物性油脂といった一価不飽和脂肪や多価不飽和脂肪である。トランス脂肪を飽和脂肪に置き換えてもほとんど意味がない。できる限りトランス脂肪を避けるべきであり、より健康に良い脂質を選択すべきである」と、米国心臓病協会前会長Robert Eckel博士は話している。
m3.com 2007-3-29
伝統的な低脂肪食は健康によい 地中海式食事との比較では、両者とも等しく心臓によいことが示された
 以前の知見とは矛盾するが、米国心臓協会(AHA)推奨の伝統的な低脂肪食は、オリーブオイルとナッツを豊富に含む地中海式食事とちょうど同じように、心臓によいという。
 Providence Medical Research Center(ワシントン州)のKatherine Tuttle 博士の研究チームは、過去6週間に心臓発作を経験した被験者202例を検討した結果、いずれかの食事を摂った人は、それぞれ通常の食事を継続した人に比べ、新たな心臓発作、脳卒中、その他の心臓障害、死亡に至る確率が3分の2低いことが明らかとなった。
この差が生じた原因として、定期的かつ計画的な栄養士による訪問があった、とTuttle博士はに話している。
 「両者の食事とも、心臓によい賢明な食事内容である」とTuttle博士は述べている。「しかし、何の支援もなく生活習慣を変えることを維持するのは非常に困難であるため、目標の達成には、定期的かつ反復した栄養士訪問が重要である」。
 AHA推奨の食事および地中海式食事はともに、コレステロールの1日摂取量を200mg未満、飽和脂肪摂取量を総カロリーの7%未満に抑えるよう求めている。これとは対照的に、平均的な米国人の脂肪摂取量はこの2倍である、とTuttle博士は述べる。
m3.com 2007-3-30
がん関係遺伝子に変異 ピロリ菌感染後の発がん
 ヘリコバクター・ピロリ菌に感染した胃の細胞で、特定の遺伝子の働きが活発化、それをきっかけに、がんに関係するさまざまな遺伝子に変異が起き、胃がんになるという発症過程を解明したと、京都大病院の千葉勉教授と丸沢宏之助手らが発表した。
 千葉教授らは、ピロリ菌に感染した胃がん患者の胃の粘膜を調べ、上皮細胞で、通常は働いていないAIDという免疫に関係する遺伝子が活性化しているのを見つけた。
 培養したヒトの胃の細胞で実験。ピロリ菌を感染させるとAIDが働き、p53というがん抑制遺伝子などが変異することが分かった。AIDが働かないようにするとp53の変異は少なくなった。
 C型肝炎ウイルスにより肝炎から肝がんになる場合にも、AIDが関係していることを突き止めた。  丸沢助手は「AIDを標的に遺伝子治療を開発すれば、炎症が起きた臓器での発がん予防が期待できる」と話した。
m3.com 2007-4-2
喫煙者は病気休暇の取得が多い可能性
 少なくともスウェーデンでは、喫煙者の方が非喫煙者よりも病気休暇日が8日多いと示唆する研究が発表された。 この試験は、年齢16-65歳のスウェーデンの労働者14,200人以上のデータに基づくものである。1988-1991年の間に、労働者が喫煙状況と年間の病気休暇取得日数を申告する調査票への記入を行った。
 これらの労働者のうち、45%が非喫煙者であった。さらに26%が喫煙経験者であり、29%が喫煙者であった。 労働者が申告した平均年間病気休暇取得日数は25日であった。
 アムステルダム自由大学経済学部に勤務するPetter Lundborg氏は、喫煙者と非喫煙者について病気休暇日のデータを分析した。その結果、病気休暇日は喫煙者では年間で平均34日であったのに対し、喫煙経験者では25日、非喫煙者では20日であることがわかった。
 労働者の年齢、健康状態、職種、その他の要因を考慮した後、喫煙者では非喫煙者に比べ平均年間病気休暇取得日数がほぼ8日多いとLundborg氏は算定した。
m3.com 2007-4-2
脳の"掃除屋"を活性化 九大と山梨大、物質発見
 損傷した脳の神経細胞を除去する"掃除屋"の役割を担う細胞「ミクログリア」の活動を高める物質を、井上和秀九州大教授らの研究チームがラットで発見した。
 この物質は、DNAの成分である塩基や糖から成る「UDP」と呼ばれる化合物。ミクログリアはアルツハイマー病や慢性疾患の神経因性疼痛などに関与しており、UDPでその活動を制御できれば、治療につながる可能性があるという。
 研究チームは、免疫細胞などの表面で細胞外からの情報を受け取っている「P2Y6」というタンパク質が、ミクログリアの細胞表面でも働いていることを発見。このタンパク質に結合するUDPをミクログリアに投与したところ、異物を食べて除去する働きが活発になった。
 さらにラットに薬剤を投与して神経細胞死を引き起こすと、死につつある細胞がUDPを放出。脳内でUDPの量が増加し、ミクログリアが活性化していることが確認できた。
 井上教授は「損傷した神経細胞からは(周囲の細胞も壊してしまう)タンパク質分解酵素なども流れ出し危険。ミクログリアによる除去の引き金をUDPが引いているのだろう」と話している。
m3.com 2007-4-6
肝がん進行、仕組み解明 酵素が関与
 C型肝炎ウイルス(HCV)が引き起こした慢性肝炎が肝臓がんに進行する仕組みを、人やマウスの細胞を用いた実験で京都大の丸沢宏之助手らのグループが解明した。HCVに感染することにより、本来は免疫細胞にしか存在しない遺伝子編集酵素の一種 「AID」が肝細胞に発現し、がんにかかわる遺伝子異常を継続的に引き起こすことを突き止めた。丸沢助手は「AIDを標的にした薬剤開発など、がん予防や治療に新たな道が開ける」としている。
 国内のHCV感染者は約200万人といわれる。HCVが引き起こす慢性肝炎は肝硬変を経て、肝がんに進行することが分かっており、肝がんの約4分の3はHCV感染が原因。HCVが未発見で対策が不十分だった時代に感染した人が、10-40年後に発がんする例が多いという。
 グループが行った培養細胞の実験などから、HCVに感染すると肝細胞内に発現したAIDにより、がんに関連するさまざまな遺伝子に変異が生じることが分かった。C型肝炎の治療薬「インターフェロン」での駆除など、適切な治療を欠くと自然治癒は見込めず、その間に遺伝子の変異が蓄積して発がんするとみられる。
 グループは最近、ヘリコバクター・ピロリ菌の引き起こす慢性胃炎が胃がんに進行する過程でもAIDがかかわっていることも解明している。

◇AID  遺伝子を改変させる能力を持つ特殊な酵素。ウイルスなどさまざまな抗原から体を守る抗体を作り出す免疫反応において重要な役割を担う。
m3.com 2007-4-11
傷ついた網膜、薬で細胞再生 マウスとサルで成功
 理化学研究所発生の研究グループは、マウスやサルの傷ついた網膜に薬を作用させ、物を見るのに必要な視細胞の再生を促すことに成功した。神経細胞を助ける役割のグリア細胞が分裂し、新たに視細胞ができたという。再生した細胞が機能すると確認されれば、眼球に薬を注射して網膜を再生させる治療法の道が開ける。
 目に入った光は網膜の視細胞で感知され、視神経を通じて視覚情報として脳に伝えられる。網膜は一度傷つくと修復が難しく、視細胞が徐々に失われる網膜色素変性という病気は日本に約3万人の患者がいるが、有効な治療法はない。グループは、マウスやサルの網膜を取り出し、「Wnt3a」というたんぱく質などを投与することで、網膜のグリア細胞を盛んに分裂させることに成功。さらに視細胞が作られる際に必要なレチノイン酸を加え、視細胞になることを確認した。
 高橋政代チームリーダーは「マウスやサルでも自然な網膜の再生はごくわずか。研究を治療に生かすには、人でも網膜再生が起きるか調べ、新しくできた視細胞が網膜の神経回路に組み込まれるか確認しないといけない」と説明している。
m3.com 2007-4-11
心臓死の予防には午睡(昼寝)が効果的
 世界には午睡を慣習としている国が多数ある。アテネ大学のAndroniki Naska博士らは,心臓死に対する午睡の効果に関して 6 年間研究を行い,午睡には心臓死を低減する効果があることを確認した。
 同博士らは,心疾患歴のない20〜86歳のギリシャ人男女合計 2 万3,681例を対象に研究を行った。その結果,平均6.32年のフォローアップ調査の時点で,1 週間に 3 回以上,1 回30分以上の午睡をしていた場合,午睡をしていなかった場合よりも心臓死による死亡リスクが37%低かった。
Medical Tribune 2007-4-12
地中海式ダイエットが小児喘息様症状および鼻炎を予防する可能性
 果物、野菜、ナッツを多く摂取し、伝統的な地中海式ダイエットを守るギリシア人小児では、喘息様症状と鼻炎が予防されたことを示す横断調査の結果が報告された。
 「クレタ島の田舎に住む小児でアトピーは珍しくないが、喘鳴および鼻炎がみられるのは稀である」とクレタ大学(ギリシア)のLeda Chatzi博士らは記している。
 「このような矛盾の一因として、生鮮果物および野菜の高摂取や伝統的な地中海式ダイエットが関与しているかどうかを検討するため、本研究を行った。特にビタミンA、C、Eの抗酸化ビタミン、カロテノイド、セレンやフラボノイドといった他の抗酸化物質が食事によって十分に摂取されない場合、肺の酸化刺激の調節に悪影響が及ぶと考えられる。これらの栄養素をより多く摂取すれば、喘息、喘鳴症状、換気機能に有益な効果が得られる可能性がある」。
 「本研究の結果から、果物、野菜、ナッツを日常的に摂取し、小児期に伝統的な地中海式ダイエットを守ることが、喘息および鼻炎症状に有益な効果を発揮することが示唆される」と著者らは記している。
m3.com 2007-4-13
子宮内にも加齢臭のもと 受精卵着床の道しるべ?
 浜松医科大などの研究チームは、子宮内に「加齢臭」のもととして知られるノナナール(ノネナール)など2種類のにおい物質があることを、世界で初めて突き止めた。受精卵が着床する際、このにおいが「道しるべ」になっている可能性があるという。
 研究チームは、健康な女性約10人の子宮内を生理食塩水で洗って回収、分析した。ノナナールは主に中高年男性の皮脂中の脂肪酸が酸化、分解されると発生すると考えられている。しかし、なぜノナナールが子宮内に存在しているのかは分かっていない。
 研究チームは昨年、受精卵が成長してできた細胞の表面ににおいのキャッチにかかわるたんぱく質が存在することを確認しており、今回の発見で受精卵が子宮へ戻る仕組みに、におい物質がかかわっている可能性が示された。
 研究チームの金山尚裕・同大教授は「皮脂から発生するノナナールが子宮内で見つかったのは驚きだ。受精卵側のにおい受容体と、見つかったにおい物質の関係をさらに分析し、受精卵の輸送の仕組みに迫りたい」と話している。
m3.com 2007-4-16
ADHD発症児の母、喫煙率一般の2倍
 落ち着きがないなどの症状が表れるADHD(注意欠陥・多動性障害)の子どもの場合、母親の喫煙率が同年代の女性の2倍程度高いことが、大阪府の小児科医の調査でわかった。
 母親の喫煙とADHD発症との関係を示す研究は、これまで海外ではあるが、日本では初めてという。
 ADHDは、生まれつきの脳の機能異常による発達障害とされ、集中力がない、衝動的な行動をするなどが特徴。治療経験の豊富な大阪府寝屋川市の安原昭博医師が、小児患者の母親167人に喫煙歴などをアンケートした。
 その結果、喫煙経験は47%にあり、妊娠時にも35%が喫煙していた。特に出産時の年齢が20〜24歳の母親では、喫煙率が88%にのぼった。
 一般の出生児を対象にした厚生労働省調査では、母親の喫煙率は17%、うち20〜24歳は35%で、ADHD児の母親は2倍程度高い。安原院長は「ADHDには遺伝的要因もあるが、母親の喫煙も関係があると考えられる。妊娠が分かってから禁煙したのでは遅い可能性がある」と話す。
読売新聞 2007-4-20
妊婦さん!もっと葉酸摂取を 緑黄色野菜や果物に多く胎児の発達に不可欠
 背骨や内臓が正常に発達せず、歩行困難などの症状が表れる神経管閉鎖障害を持って生まれる子どもの率が、日本では世界的に見て非常に高い。ビタミンの一種である葉酸の摂取量が妊婦に不足しているのが原因のひとつといわれる。危機感を抱いた専門家たちは4月3日を「葉酸の日」と決めた。これから赤ちゃんを産む女性に葉酸の大切さを知ってもらうのが狙いだ。
 葉酸はビタミンB群の一種。ホウレンソウやブロッコリー、イチゴなど緑黄色野菜や果物に多く含まれ、胎児の神経組織が発達していく際に必要な栄養素だ。妊娠前や妊娠初期に不足すると、無脳症になったり、背骨や内臓が正常に形成されずに歩行困難や排尿障害などが生じる二分脊椎(せきつい)という病気になるリスクが高くなる。
m3.com 2007-4-23
高齢者の抑うつ症状は糖尿病のリスクと関係
 抑うつ症状のある高齢者は2型糖尿病を発症しやすい可能性があることが、新たな研究結果により示唆されている。さらに、その関連性は既知の糖尿病リスク因子を調節した後でも明らかであった。
 抑うつ症状患者の糖尿病リスク上昇を示唆する研究として初めてのものではない。しかし、既知の糖尿病リスク因子を考慮し、抑うつ状態と糖尿病双方の有病率の高い患者群としての高齢者に焦点を絞り、これらの症状を経時的に評価できたという点では初めての研究である。
 当調査には65歳以上で心血管医学研究に参加した被験者4,681名が関与した。
ロイターヘルス 2007-4-23
高脂血症の治療薬で早起き?睡眠障害治療薬の開発に期待
 高脂血症の治療薬「フィブレート製剤」に、睡眠のリズムなどを刻む「体内時計」を調節する働きがあることを、産業技術総合研究所などの研究チームが突き止めた。
 睡眠障害を持つマウスにこの薬を飲ませたところ、いつもより早起きし、正常マウスと同じように活動することがわかった。研究チームは今後、この治療薬を飲んでいる患者に早起きの傾向があるか調べ、睡眠障害の治療薬の開発につなげていきたいとしている。
読売新聞 2007-4-25
1メートル以内に近づかないで 総務省がタグリーダーで
 総務省は24日、コンテナ用のICタグ(電子荷札)を読み取る据え置き型の高出力読み取り機(タグリーダー)の半径1メートル以内に心臓ペースメーカー装着者は近づかないよう注意喚起した。
 タグリーダーが出す電波が、75センチ離れた場所でも心臓ペースメーカーなど埋め込み型医療機器に影響を与えることが判明したため。同省は、電波が医療機器に及ぼす影響を防止するための指針に「半径1メートル以内に近づかないようにする」ことなどを追加した。
 据え置き型タグリーダーは、倉庫でコンテナなどに張り付けた電子荷札を、5メートル離れた場所からでも読み取れるシステム。国内に200-300台あり、今後も普及が見込まれるという。
m3.com 2007-4-25
想像の痛み、脳活動は同じ 群馬大などが発表
 痛みを想像したときに脳が活動する部位は、けがなどで実際に痛みを感じた場合とほぼ同じとする研究結果を、群馬大の斉藤繁教授(麻酔神経科学)らのグループが発表した。
 グループは「傷が治っても痛いと訴え続けたり、検査で痛みの原因が見つからず治療困難となったりする患者の治療法開発に役立つ」としている。
 20代と30代の男性10人に、注射をしている画像などを見せて痛みを想像してもらい、機能的磁気共鳴画像装置(fMRI)で測定。血流が増し脳が活動しているのは側頭部や中心部に近い部分などで、実際に痛みを感じたときに活動することが分かっている部位と、ほぼ一致した。
 一方、ヘビなどの画像で恐怖を想像してもらった場合の活動部位は、主に違うところだったという。
m3.com 2007-4-27
蛍光物質開発 「0.1ミリ」がんも見逃さず
 がん細胞に取り込まれると光り続ける蛍光物質を、米国立衛生研究所と東京大の研究チームが開発した。マウス実験では、従来の検査では見つけにくい小さながんでも強い光を発することが確認された。微小ながんを正確に見つける新しい診断薬の開発につながる可能性があるという。
 研究チームは、がん細胞に取り込まれると光るスイッチが入り、スイッチが入っている間は、がん細胞の中やがん細胞表面にとどまる物質の開発に取り組んだ。その結果、(1)がん細胞に取り込まれると分解されて光り始め、光ると水に溶けにくくなって細胞から排出されにくい(2)事前にがん細胞が取り込んだ酵素で処理されると光り始め、水にも溶けにくくなる(3)がん細胞表面に張り付けた結合分子と結びつくと光り始め、結合が長く続く----という性質を持つ3種の蛍光物質を開発した。いずれも従来の物質に比べ光が強いという。
 研究チームは、マウスの腹部に多数のがん細胞を植え付け、これらの蛍光物質を散布して観察。0・8ミリ以上のがんの9割以上を見つけることができ、0・1ミリのがんまでとらえることができたという。
m3.com 2007-5-1
鳥インフルに新ワクチン サルで効果、安全性確認へ 短期間で開発可能に
 ウイルスの遺伝子が自然に組み換わる「遺伝子再集合」という方法で鳥インフルエンザのワクチンを作り、カニクイザルの実験で効果を確かめたという研究結果を北海道大と滋賀医大がまとめた。医薬品メーカーなどと協力、ヒトで安全性を確かめる試験を進める。
 世界で170人以上が死亡しているH5N1型ウイルス用に作った。日本では、遺伝子の一部を人為的に組み換える操作で開発されたワクチンが国に承認申請され、審査中だが、厚生労働省は「新型インフルエンザ対策の選択肢が広がる」と話している。
 ワクチンを投与していないサル6匹の鼻の粘膜にウイルスを付着させると発熱、肺炎になり、感染が確認された。
 ワクチンを投与し、ウイルスの感染性を失わせる抗体ができた別の6匹に、ウイルス感染実験をしても発熱などの症状はなかった。

▽遺伝子再集合
 遺伝子再集合 宿主に2種類のインフルエンザウイルスが同時に感染した際、増殖する過程で遺伝子の一部で組み換えが起き、新しいウイルスができること。人から人に感染する新型ウイルスができる原因の1つで、過去に大流行したインフルエンザは、ブタの体内でヒトと鳥のインフルエンザが遺伝子再集合した可能性が指摘されている。
m3.com 2007-5-1
パーキンソン病、国内初の遺伝子治療 ドーパミン生成促す
 自治医大付属病院は、パーキンソン病患者に国内で初めて遺伝子治療を行ったと発表した。病気は脳内の神経伝達物質ドーパミンの減少で発病する。治療ではドーパミンの生成を促す酵素の遺伝子をウイルスベクター(運び屋)に組み込み、脳内の線条体に注入した。薬物への依存度や副作用が低い治療が期待できるという。
 中野今治教授(神経内科)らによると、発病後約11年が経過した50代の男性患者に、「L-アミノ酸脱炭酸酵素(AADC)」の遺伝子を注入した。この治療法は米国で6例実施され、重大な副作用は確認されていないという。同病院は今後、6カ月かけて安全性と効果を検証する。
m3.com 2007-5-8
関節リウマチに対する緑茶の効果
 緑茶に含まれる化合物が関節リウマチの炎症および関節損傷を軽減する可能性がある。
 これは、ミシガン大学医学部のSalah-uddin Ahmed博士らが発表したものである。
同博士らの予備実験の結果は、緑茶に含まれる化合物EGCG が関節リウマチの治療薬として期待できる可能性を示している。
 EGCG非処理細胞と比較して、EGCG処理細胞では、他の2種類の炎症性化学物質の産生の低下が認められた。実際に、実験時、最高試験用量のEGCGは、確かにそれらの炎症性化学物質の産生を抑制した。
 さらに実験を実施した結果、EGCGが炎症および関節損傷に関連する化学連鎖反応を阻害することが判明した。
m3.com 2007-5-8
受動喫煙で認知症のリスクが増大
 配偶者がいまだに喫煙しているとすれば、禁煙をすすめるための新しい理由がまた一つできた。
 新しい研究で、喫煙者と30年以上同居している人は、喫煙者と同居したことがない人に比べて認知症の発症率がおよそ30%高いことが示されている。
 脳につながる動脈の閉塞のために認知症のリスクがある人では、さらにリスクが高くなる非常に厳しい状況であると研究者でカリフォルニア大学の上級統計学者のTad Haight, MAは述べる。
 このような人では、30年以上の喫煙者との同居によって、喫煙者と同居したことがなく、脳動脈閉塞がない人に比べ、認知症のリスクが2倍以上上昇するみられるとHaight氏は語る。
m3.com 2007-5-10
目への紫外線、朝もご用心 乱視や視力低下の恐れ 昼の2倍
 そろそろ紫外線が気になる季節。目が浴びる有害な紫外線の強さは、真昼よりも午前9時ごろと午後2-3時ごろがピークで、午前9時ごろでは真昼の約2倍に達することが金沢医大の佐々木洋教授らの調査で分かった。
 紫外線を長年浴び続けると、手術でしか治せない「翼状片」になり、乱視や視力低下となる恐れがあるという。佐々木教授は「日焼けと目への紫外線対策は別と考え、サングラスや帽子などでケアを」と話している。
 春から秋にかけてほぼ同じ傾向とみられるが、冬の11月の調査ではピークは昼だった。
m3.com 2007-5-14
認知症患者の免許取り消し257件 保有30万人、進まぬ危険防止
 全国の公安委員会が認知症を理由に運転免許を取り消した件数は、06年末までの4年半で257件にとどまることが警察庁の調べで分かった。認知症の免許保有者は65歳以上だけで推計30万人とされる。家族が取り消しを求めても警察が消極的なケースも多く、専門家や家族は、危険な運転を防ぐ新たな対策を求めている。
 道路交通法の改正で02年6月以降、認知症患者の免許を取り消せることになった。しかし、同庁によると、実際の取り消しは▽02年(6-12月)5件▽03年29件▽04年47件▽05年63件▽06年113件。別に、6カ月以内に回復の見込みがある患者の免許を停止した処分が4件あった。
 免許取り消しと停止を合わせた行政処分計261件について、きっかけを調べたところ、約3分の2にあたる170件が「家族からの相談」だった。事故処理の過程で当事者が認知症と分かった例が42件。高齢者講習や免許更新時に判明したのは、わずか16件だった。
 一方、国立長寿医療センター長寿政策科学研究部の荒井由美子部長らが04年、3県警本部(県名は非公表)に行った調査によると、運転をやめさせたい家族が警察に相談しても、行政処分を避け、自主返納などを進める方針が採られていた。荒井氏は「法律で認知症は免許取り消しの対象と定めているのに進まないのは、警察の現場レベルで具体的な指針がないことも一因だ」と指摘する。
m3.com 2007-5-15
妊娠している乳癌患者は非妊娠患者よりも転帰が不良
 妊娠している乳癌女性は、妊娠していない乳癌女性よりも予後がわずかに不良であるという知見が、米国産婦人科学会で発表された。
 腫瘍の病期、大きさ、ホルモン受容体の有無について補正した後でも、妊娠中の乳癌女性の方が死亡の危険性がわずかに高かった。他のすべての因子について補正した後も、依然として妊娠が死亡の危険因子であった。
m3.com 2007-5-15
傷跡から毛髪再生、脱毛症治療に光明…米大学で解明
 毛髪は、皮膚の傷が治る過程でも自然に再生して生えてくることを、米ペンシルベニア大医学部のグループが動物実験で突き止めた。脱毛症の新たな治療法の開発につながる成果だ。
 同大の伊藤真由美研究員らは、毛が生えそろった大人のマウスの背中の皮膚を1〜2平方センチほど切り取って経過を観察。表皮がふさがった時の傷が直径5ミリ以上の大きさだと、中心部から毛が生えてくることを確認した。皮膚の内部では、毛根や毛根を包む「毛包」が新たに作られていた。
 この毛包を分子生物学的な手法で調べたところ、周囲にある普通の表皮細胞からできたことが判明。いったん分化した大人の表皮細胞にも、新たな毛包を作る能力があることが確認された。また細胞増殖にかかわるたんぱく質の量を調整して、毛包の数を増減させることもできた。
読売新聞 2007-5-17
マラソン中に水分を摂取しても体温は下がらない
 レース中に水分を摂取しても長距離ランナーの体温は下がらない。シンガポール軍の兵士が蒸し暑いハーフマラソン大会でそれを証明した。
 ランナーは長距離レース中に水をたくさん飲むといいとされているが、既に発表されている研究データでは、この戦略は疑問視されていた。しかしレース中にランナーの体温を測ることは困難なため、根拠はあいまいであった。
 この問題を解決するため、シンガポールのヒューマン・パフォーマンス研究センターのChristopher Byrne博士らは、2003年のハーフマラソン大会の前に、兵士に熱センサーを飲み込ませた。この長さ約19mm、直径約8.5mmのセンサーは、ランナーの腰に固定した小型レコーダーに測定した体温を送信する。
 兵士らは105-146分のタイムでレースを完走した。熱中症になった者はいなかったが、体温の上昇は明らかであった。ゴール時、半数は中心体温が40℃以上に達していた。1名は、レース終了時体温が41.6℃に上昇していた。
 摂取した水分量と、それににより補った喪失水分量は体温に影響を与えなかった。実際、体温が41.6℃に上昇したのは最もこまめに水分補給をしたランナーであった。
 レースの前に十分水分を摂ることは重要だが無理に摂る必要はない、とByrne博士は述べる。
 「体に聞いてみて、渇いていると感じたら飲めばいい。ただし(マラソン中に)数リットルの水を飲んでも早く走れない」とByrne博士は語っている。
m3.com 2007-5-17
肺癌患者の血縁者は悪性腫瘍のリスクが高い
 若年性の肺癌患者の1親等血縁者は、肺癌だけでなく、その他の部位の悪性腫瘍のリスクも高い。この知見を発表した研究では、血縁者のリスクにも人種で差があることも示されている。アフリカ系家系の者がタバコ関連癌になる確率は、白人家系に比べておよそ2倍も高い。
 若年性肺癌のアフリカ系患者の血縁者はタバコ関連癌のリスクが高いという報告は今回の研究が初めてだと、ウェイン州立大学(ミシガン州)Michele L. Cote助教授が語った。
 患者と医師の双方ともが、癌の家族歴について話しあっておく必要があると、Cote博士は語る。
 「患者は自分の家族に癌の家族歴について質問しておかなければならない。特に若年性の癌がある場合には、なおさら必要である。医師は、癌の種類だけでなくその発現年齢および、遺伝的要因を想定させるその他の因子についても注意を払うべきである。また、家族歴は年月とともに変わっていくので、医師は最新の家族歴を知るようにしなければならない。ある時期の1つの疾患だけしか尋ねないようなことは止めなければならない」とCote博士は述べる。
m3.com 2007-5-17
緑茶成分とCOX-2阻害薬の併用 前立腺癌予防に相乗効果
 ウィスコンシン大学皮膚科学のHasan Mukhtar教授らは,緑茶に含まれるポリフェノールの摂取と低用量COX-2阻害薬celecoxibの併用で,前立腺癌の増殖を遅らせる相乗効果が得られると発表した。
 Mukhtar教授らは,前立腺癌の培養細胞とモデルマウスにおける実験を通じて,シクロオキシゲナーゼ(COX)-2阻害薬のcelecoxibと緑茶ポリフェノールの併用投与が,それぞれの単独投与よりも前立腺癌の予防に高い有効性を発揮することを見出した。
 同教授は「次の研究では,こうした相乗効果がヒトでも認められるか否かを検討する。それにより,簡単な予防的治療法が得られることを期待している」と述べている。
Medical Tribune 2007-5-17
肥満児の約15%で脂肪肝疾患
 インディアナ大学小児科のJean Molleston教授らは,小児の肥満が増加するにつれて罹患率が高まっている疾患についてより綿密な研究を行った。非アルコール性脂肪性肝炎(NASH),世間でより広く知られる“脂肪肝疾患”は肥満児の約15%で見られる。
 脂肪が肝臓に蓄積した病態である脂肪肝疾患は,小児では生命にかかわるほどではないが肝硬変につながり,時には成人になるまでに肝移植が必要になることもある。   同教授は「脂肪肝疾患罹患児が増加するのを目の当たりにしているわれわれとしては,成人になって肝硬変を本格的に発症する前にこの疾患に対処できればと考えている」と述べた。
 米国の10歳代のおよそ 3 分の 1 が過体重で,15%が肥満である。脂肪肝疾患は肥満児の15%以上に発症する可能性がある。
Medical Tribune 2007-5-17
コンタクトスポーツでB型肝炎ウイルス感染
 Celal Bayor大学(トルコ)のS. Bereket-Y歡el博士らは,オリンピックに出場したトルコのレスリング選手70例を対象にした研究から,コンタクトスポーツの選手は血液だけでなく汗を媒体としてB型肝炎ウイルス(HBV)に感染するリスクがあるため,関係者は注意を払う必要があると発表した。
 最も重要な知見として,Bereket-Y歡el博士は「すべてのレスリング選手は競技生活をスタートする前にHBVワクチンの接種を受ける必要があること」を挙げている。
 実際,血中HBVのDNAを定量するためにリアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法を使用した今回の研究から,対象のレスリング選手70例中 9 例(13%)はB型肝炎に不顕性感染していることが明らかになり,このうち 8 例は汗中からもHBV DNAが検出された。
Medical Tribune 2007-5-17
ピロリ菌と胃がんのメカニズムを解明…北大研究チーム
 胃の中に生息するヘリコバクター・ピロリ菌が、胃粘膜を壊し、胃炎や胃潰瘍、胃癌を引き起こすことに関与するたんぱく質「PAR1」を、北海道大遺伝子病制御研究所の畠山昌則教授らのチームが特定した。ピロリ菌と胃がんの関係を証明する成果で、胃がんなどの予防・治療につながると期待される。
 ピロリ菌は内部にCagAというたんぱく質を持ち、胃粘膜を形成する上皮細胞に付着すると、まず注射針のようなトゲでCagAを打ち込む。
 上皮細胞は互いに結合して胃粘膜の働きをするが、細胞内に侵入したCagAは、細胞結合にかかわるたんぱく質「PAR1」に取り付き、その機能を失わせることを確認した。
 その結果、上皮細胞がはがれ落ち、進行すると胃炎や胃かいようを引き起こす。さらに、CagAが細胞増殖を制御するたんぱく質に取り付くと、これが活性化され、上皮細胞が異常に増殖、胃がん発症の原因となることもわかった。
読売新聞 2007-5-17
看護師の勤務さらに長く 8割が「疲れ取れない」
 国立大病院に勤務する看護師の超過勤務時間が長くなり、10人に8人が「翌日も疲れが取れない」と感じていることが、全国大学高専教職員組合の調査で分かった。
 1カ月の超過勤務時間が「20時間未満」は48%で、前回調査(2000年)の59%より大幅に低下。逆に「20時間以上-40時間未満」は32%(前回比3ポイント上昇)、「40時間以上」は16%(同4ポイント上昇)と長時間化の傾向を示した。
 勤務後に「一晩眠れば疲労は回復する」と回答したのは前々回調査(1995年)が34%、前回が25%で、今回は17%にまで低下。翌日も疲れが取れないことがあると答えたのは81%(前回56%)に上った。
 一方、61%が最近半年間に、医療事故などにつながりかねないミスや「ヒヤリハット」を経験。19%が「いつも辞めたいと思っている」と回答した。
m3.com 2007-5-18
男性長寿、日本2位に 女性は1位、WHO統計
 世界保健機関(WHO)は18日、2007年版の「世界保健報告」を発表した。それによると、05年の平均寿命が世界で一番長かったのは、男性はサンマリノの80歳、女性は日本の86歳だった。日本は前回統計まで男女とも「長寿世界一」だったが、05年には男性平均寿命が79歳で2位だった。
 WHOは男女合計の平均寿命を発表していないが、男女別の平均寿命を単純平均すると、日本は82.5歳となり、サンマリノの82歳を上回っている。
 男性の平均寿命が長いのはオーストラリア、アイスランド、スウェーデン、スイスで、日本と並ぶ79歳。女性はモナコが85歳で2位、フランス、サンマリノなど計7カ国が84歳で3位。
m3.com 2007-5-21
冠動脈疾患診断後の不安で予後が悪化
 冠動脈疾患患者では、患者の予後の良好度を決定づけるのは患者の不安の累積作用であるため、不安の測定はベースラインで1回行うのではなく、長期にわたり定期的に行うことが重要であるとの知見が研究により示されている。
 この研究では、最初に不安レベルが低く3.4年間の追跡調査期間にわたり不安レベルが高くなった(累積スコアを3段階に分けたうちの最高群)患者は、不安スコアが3段階中最低群の患者に比べて、非致死的心筋梗塞または死亡のリスクが2倍であることが認められた。これとは対照的に、最初から不安があり、追跡調査期間中に不安を沈静化できた患者ははるかに予後が良好であった。
 これらの知見は、不安を繰り返し測定して、その影響を評価することが必要であることを明らかにするとともに、不安になっている患者を安心させる上での臨床医の役割を示唆している。
m3.com 2007-5-21

脅しより、高値が怖い 愛煙家、800円で7割禁煙
 ヘビースモーカーは、健康リスクや多少の値上げといった「脅し」にはほとんど動じないが、価格が800円になると約7割が禁煙を試みる。京都大の依田高典教授(応用経済学)らのグループは、こんな研究結果を発表した。
 ニコチン依存度があまり高くない喫煙者には、価格や健康情報も禁煙を試みる動機になった。依存度別の調査は国内初。
 高度依存者は価格が欧米並みの600円になっても、禁煙を試みる率は30.2%(中度63%、低度78.1%)だった。ところが800円になると高度67.9%▽中度93.4%▽低度96%に。
 価格以外の要素は高度依存者にはほとんど効果はなかった。
m3.com 2007-5-22
犬にかまれたら直ちに抗菌薬を  致死性のショックを回避する
 大晦日に飼い犬に手をかまれた慢性閉塞性肺疾患(COPD)の69歳男性患者は,家庭医のもとで傷の手当てと,破傷風の予防接種を受けた。しかし, 4 日後に呼吸困難の増悪と頻脈のため,ニーダーラウジッツ病院(ドイツ)に入院。重度の血管内凝固を生じ,敗血症性ショックにより 1 月 6 日に死亡した。
 剖検の結果,同患者はウォーターハウス・フリデリクセン症候群,全身性出血および心筋炎と確認された。
 犬による咬傷の約 8 割からは病原菌が検出され,特に貫通性の創傷,手足や関節の創傷では感染症に至るリスクが高い。予後不良につながる危険因子としては,アルコール乱用,慢性肺疾患,血液の悪性腫瘍などが挙げられる。
 そのため,これらの危険因子を有する患者,免疫機能が低下している(特に脾臓摘出術を受けた)患者,インプラントを使用している患者が犬にかまれたら,遅くとも受傷後 8 〜12時間以内に抗菌薬療法を開始すべきである。
Medical Tribune 2007-5-24
40歳以上の糖尿病患者・予備群、33.3%に
 40歳以上の人で、糖尿病患者と予備群の割合が33・3%に達したことが、厚生労働省の「06年国民健康・栄養調査速報」で分かった。06年10月1日の推計人口に基づく推計では、有病者は約830万人、予備群は約1490万人に達することになる。
 調査では、過去1-2カ月の平均的な血糖の状態を示すと言われる「ヘモグロビンA1c(HbA1c)」が6・1%以上(正常値4・3-5・8%)か、インスリン注射、血糖降下薬を服用している人を「糖尿病有病者」と判定。HbA1c5・5%以上6・1%未満を「予備群」とした。
 有病者は40歳以上の11・9%で前年と変わらないが、予備群は21・4%と前年より2・7ポイント増え、合わせると33・3%だった。男女別では、男性は有病者14・6%、予備群18・8%、女性はそれぞれ9・9%、23・3%だった。
m3.com 2007-5-25

1000人当たりの医師数、2020年にOECDで最下位に
 人口1000人当たりの日本の医師数が、2020年には経済協力開発機構(OECD)加盟30カ国中最下位に転落する恐れがあることが、近藤克則・日本福祉大教授の試算で分かった。より下位の韓国など3カ国の増加率が日本を大きく上回るためだ。日本各地で深刻化する医師不足について、国は「医師の地域偏在が原因で、全体としては足りている」との姿勢だが、国際水準から懸け離れた少なさが浮かんだ。
 OECDによると、診療に従事する03年の日本の医師数は人口1000人当たり2人。OECD平均の2・9人に及ばず、加盟国中27位の少なさで、▽韓国1・6人▽メキシコ1・5人▽トルコ1・4人----の3カ国を上回っているにすぎない。
 近藤教授は「政府は医療費を抑えるため、医師数を抑え続けてきたが、もう限界だ。少ない医師数でやれるというなら、根拠や戦略を示すべきだ」と批判している。
m3.com 2007-5-28

多くの親は睡眠不足
 子供がいると睡眠時間を確保しにくい場合があることは誰もが認めるところである。この睡眠不足が米国の親ではいかに一般的であるかを示す研究が発表された。
 米国疾病管理センターのDaniel P. Chapman 博士は、米国の18州およびワシントンD.C.の成人79,000名以上を対象とした2002年政府健康調査の睡眠データを分析した。
 被験者に組み入れたのは、家庭で子供とともに生活している既婚の親、子供とともに生活している未婚の親、そして子供のいない既婚または未婚の成人であった。
 全体的に、親は子供のいない成人より睡眠不足であると報告する率が高かった。また、母親は父親より睡眠不足であると述べる率が高かった。
 このデータによれば、睡眠不足の報告頻度が最も高かったのは未婚の母親であり、最も低かったのは既婚の父親であった。
m3.com 2007-5-28
屋内全面禁煙を勧告 受動喫煙防止でWHO
 世界保健機関(WHO)は、受動喫煙(喫煙者の煙を周囲の者が吸入すること)の害を防ぐため、飲食店を含む公共施設と職場を屋内全面禁煙にするよう勧告した。WHOは今年の世界禁煙デーで受動喫煙の危険性をアピールする。
 勧告は、分煙や換気によって受動喫煙の害を減らすことはできないと指摘。各国政府が公共の場での屋内全面禁煙を法制化し、順守を徹底させるよう求めている。
 WHOの推計によると、世界で年間20万人が職場での受動喫煙で死亡している。またWHOと米疾病対策センター(CDC)が世界132カ国の13歳から15歳までの子供を対象に1999年から2005年にかけて実施した共同調査によると、子供たちの55・8%が受動喫煙を経験していた。
m3.com 2007-5-30
コーヒーで痛風のリスクが低下
 コーヒーを多く飲む男性ほど、痛風のリスクが低い。1日4杯以上で痛風のリスクが40%低下することがカナダ/米国の研究で示されている。
 痛風の初期段階は血中での尿酸の蓄積であり、続いて尿酸の結晶が関節や周辺組織に沈着し、腫脹と強い痛みが生じる。
 新しい研究は、男性医療従事者約46,000例のデータに基づくものである。
 この結果、コーヒーを多く飲む男性ほど痛風を発症する可能性が低いことがわかった。 1日1-3杯のコーヒーの飲用では、痛風リスクの低下は8%にすぎなかった。しかし、1日4または5杯の飲用では、痛風のリスクが40%低下した。また、真のコーヒー中毒、すなわち1日に6杯以上飲む人では痛風のリスクが約60%低下した。
 カフェインレスコーヒーでも効果があった。ただし、厳しい基準に合致したコーヒーほどの効果はなかった。
m3.com 2007-5-30

高齢者における急速な筋力喪失に糖尿病が関係
 2型糖尿病高齢患者は、非糖尿病高齢患者よりも骨格筋力の喪失が早いと、研究者らが報告している。
 糖尿病を有する高齢者は糖尿病を有していない高齢者よりも約50%早く下肢筋力を喪失した。下肢筋力は身体機能の維持に不可欠であるため、この喪失が糖尿病の高齢者において身体障害の発症リスクが2倍高い原因となっている可能性がある。
 Bundang CHA UniversityのDr. Parkらは、70〜79歳の1,840名に関するデータを研究し、地域の糖尿病および非糖尿病高齢者における筋肉量および筋力の長期の変化を調査した。
 ベースライン時と3年後の下肢・上肢の筋肉量および筋力を測定した。糖尿病群は、非糖尿病群よりも下肢筋肉量の低下が大きかった。下肢筋力も低下が大きかった。
 また、糖尿病群は非糖尿病群よりも急速に筋肉量単位の下肢の最大筋力が低下したことも判明した。
ロイターヘルス 2007-6-5
大脳皮質、脳形成の酵素発見 アルツハイマー治療に期待
 記憶や思考をつかさどる大脳皮質で、神経細胞を移動させて規則正しい層構造を形成するのにかかせない酵素を、理化学研究所などの研究チームが見つけた。酵素は脳の記憶、学習機能やアルツハイマー病と関連していると考えられ、この酵素が作用するたんぱく質を突き止めれば、治療につながると期待される。
 研究チームは96年、「Cdk5」という酵素を働かなくしたマウスで、大脳の構造が正常でないことを発見した。今回、この酵素に着目しながら、マウスの生きたままの脳を観察。その結果、Cdk5の機能を低下させた胎児や生後まもないマウスの大脳皮質では、神経細胞の移動が遅くなり、細胞の形も変化せず正常な神経細胞に成長しないことを突き止めた。
 研究チームの大島登志男・早稲田大教授は「Cdk5の活性化がアルツハイマー病に関連しているという研究もあり、活性化を制御できれば治療薬につながる可能性もある」と話している。
m3.com 2007-6-6
高齢者では2型糖尿病と脳萎縮が関係
 研究者らによると、高齢者では2型糖尿病が脳組織量および局所脳灌流に悪影響を及ぼす。
 「2型糖尿病は、前頭葉および側頭葉を優先的に含む脳萎縮や、血管反応性障害と関連する」と述べた。
 糖尿病群は対照群よりも白質および灰白質が有意に小さく、脳脊髄液(CSF)量が有意に多かった。
 前頭部の白質およびCSF、側頭部のCSF、頭頂後頭部の灰白質およびCSFについても当てはまった。
 さらに、糖尿病は局所脳血流やCO2反応性の有意な減少にも関連があった。前頭部の低灌流は灰白質萎縮と有意な関連があり、側頭部においては、より高い糖化ヘモグロビンは有意に少ない脳血流および有意に多いCSFと関連があった。
ロイターヘルス 2007-6-7

コレステロール、脳機能の発達促進 でも血中濃度は無関係
 脳の神経細胞中のコレステロール濃度が高いと、脳機能の発達を促す効果があることを、産業技術総合研究所関西センターの小島正己主任研究員らがラットを使った実験で明らかにした。コレステロールは動脈硬化の原因物質として知られる。アルツハイマー病など脳疾患の治療につながる成果という。
 小島研究員らは、ラットの脳細胞に、脳を成長させるたんぱく質「BDNF」を添加して培養。BDNFのない場合と比較すると、コレステロール濃度が最大1・4倍に増加し、同時に神経細胞の間の情報伝達を行う「シナプス」と呼ばれる構造の密度が2・5倍になった。コレステロール濃度を下げる薬のスタチンを投与すると、BDNFによるシナプス増加が抑えられた。
 脳内のコレステロール濃度は、動脈硬化につながる血中コレステロール濃度と直接関係はなく、コレステロールを含む食品を多く食べても脳機能が上がることはない。
m3.com 2007-6-14
緑茶よく飲む人ほど、摂取カロリー過多!?
 緑茶を1日に4杯以上飲む人は、ほとんど飲まない人より、摂取エネルギーが1日あたり約200キロカロリーも多いことが、山形大の研究チームの調査で明らかになった。
 緑茶を多く飲む人は、菓子を食べる回数も多く、研究チームは「緑茶を多く飲む人は一緒に菓子を口にする傾向があり、カロリー過多になりがちであることが明らかになった。食事だけではなく、菓子など間食にも気を配ってほしい」と話している。
 調査は04-05年、山形県高畠町に住む40歳以上の男性875人、女性1129人を対象に実施。食事内容や日常の活動量など生活習慣について聞いた。
 その結果、緑茶を1日4杯以上飲む人の1日あたりの摂取エネルギーは2356キロカロリーだったが、1日1杯以下の人は2153キロカロリーだった。
m3.com 2007-6-15
慢性の苦悩で軽度認知障害のリスクが亢進する可能性がある
 認知障害を発症していない高齢者において、慢性の精神的苦痛が強いと軽度認知障害の発生率が高いことが研究で示された。
 「軽度認知障害(MCI)は疾患や死亡との間に関連があるが、その発現機序についてはよく分かっていない。今回我々は、高齢者において慢性の精神的苦痛に伴いMCIの発生率が増加するという仮説を検証した。」と、ラッシュ大学医療センター(シカゴ)のR.S. Wilson博士らが記述している。精神的苦痛とは、うつや不安といった負の情動を指す。
 認知障害を有しない被験者1,256例分(適格者の95%)のデータが収集された。追跡は12年という長きに及び、その間に482例 (38%)がMCIを発現した。
 「認知障害を発現していない高齢者においては、慢性の精神的苦痛の程度が高くなるに伴い軽度認知障害の発生率が高くなる」と著者らは記している。
m3.com 2007-6-15

パーキンソン病治療に光明? 米大学で症状改善に成功
 体のふるえなどが起きるパーキンソン病患者の脳内で不足する物質を、遺伝子治療によって増やし、症状を改善することに、米コーネル大などの研究チームが成功した。
 臨床試験の初期段階で、対象の患者は12人だけだが、治療から1年たっても効果は持続している。
 研究チームは、神経の興奮を抑えるGABAという物質が、患者の脳内の視床下核という部分で不足することに着目。GABAの生成を促す酵素「GAD」の遺伝子を特殊なウイルスに組み込み、視床下核に入れた。注入は、半身の左右どちらかをつかさどる部分だけに行った。
 その結果、注入部位に対応する半身で、症状が12人とも緩和。パーキンソン病の重症度を表す点数が、注入前に比べて1年後には平均27%も下がった。ウイルスが細胞に感染し、GADを作り出しているらしく、副作用は見られない。
 研究チームは今年後半から、患者の数を増やして効果を確かめる第二段階の臨床試験を計画している。
読売新聞 2007-6-22
受動喫煙:認知症の恐れ 長期に及ぶと血管に悪影響--30年以上で発症率1.3倍
 他人が吸ったたばこの煙を吸わされる「受動喫煙」が長期間に及ぶと、認知症の恐れが高まるとの分析を、米カリフォルニア大が公表した。たばこを吸う人は認知症リスクが高まるとの研究はあるが、受動喫煙と認知症の関係に注目した本格調査は初めてという。同大は「受動喫煙が血管に影響を与え、発症のリスクを高めているのではないか」と推測している。
 認知症の主な原因には、脳梗塞などの血管障害とアルツハイマー病がある。
 たばこが中枢神経系に与える影響を探る目的で調査を実施。研究に協力する65歳以上の市民3602人のうち、過去に喫煙歴や心血管疾患がない985人(66-92歳)を6年間、追跡した。
 このうち、受動喫煙があった人は495人で、その期間が30年以上だと、認知症の発症率が約1・3倍になることが分かった。30年未満の人では、受動喫煙の影響を受けなかった人と発症率の差はほとんどなかった。
 また、30年以上の受動喫煙者のうち、脳に血液を供給する頸動脈の狭窄が見つかった人では、認知症を発症する率が約2・4倍とさらに高かった。30年未満の受動喫煙者でも約1・3倍だった。喫煙は動脈硬化の危険因子とされ、狭窄もその一種。
m3.com 2007-6-26
女性の脳卒中リスクは中年期に急上昇する
 米国の45歳から54歳までの女性は同年齢層の男性に比べて脳卒中リスクが2倍あると、最新研究は示唆している。
 この年齢層の脳卒中リスクの独立予測因子としては、冠動脈疾患の存在や胴囲の増加(肥満)などがあるが、そのことから、このグループの女性におけるリスクの増加はリスク因子の管理が悪いことが理由である可能性を示している。
 1999年から2004年にかけて脳卒中の有病率が男性では減少しているのに女性では増えていることもこの研究で分かった。
 脳卒中の多くは高齢者で起きるが、35歳から64歳までの中年期にも脳卒中のリスクはある。65歳未満の女性は特に、妊娠、経口避妊薬の使用やホルモン補充療法、片頭痛の有病率の増加に伴うリスクといった、その性別に特有のリスク因子を持つ。
 とにかく、45歳から54歳までの女性に多大な被害を及ぼす脳卒中は、修正可能なリスク因子を至適に管理することで簡単に反応する可能性のあることが今回の研究から想定される。こうした被害を軽減することを目標にして、30代半ばから50代半ばまでの女性の循環器の健康に対してすぐにでも強い関心を向けることが必要である。
m3.com 2007-6-27

静脈注射で脳梗塞治療 長崎大教授らマウスで成功
 細胞中に存在するタンパク質の一種を静脈に注射すると、脳梗塞による脳細胞の壊死が抑えられることを植田弘師長崎大教授らがマウスを使った実験で突き止めた。
 発症から時間が経過した後も有効で、将来の治療薬開発に役立つと期待される。
 植田教授らは、全身の細胞核に含まれ、脳の血流が止まるなどのストレスを受けると細胞外に放出される「プロサイモシンα」というタンパク質を発見。
 マウスの脳の血管に管を差し込んで詰まらせ、血栓ができた脳梗塞の状態を人工的につくった後、管を抜いた30分後と3時間後にこのタンパク質を静脈注射した。
 その結果、放置したマウスには重度の運動障害や学習障害が現れたが、注射したマウスでは3時間後でも壊死の広がりが抑えられ、障害はほとんど残らなかった。
 植田教授は「人に適応できれば、より安全な治療薬になり得る。注射は1回で済み、応急処置にも役に立つのでは」と話している。
m3.com 2007-6-29
在宅介護費が初の減少 家事援助制限などで サービス費全体は横ばい
 国民健康保険中央会は、2006年度の介護保険サービス費を発表した。訪問介護や訪問看護などの在宅介護費は前年度比7・5%減の2兆9653億円となり、2000年度の介護保険制度の創設以来初めて減った。全体では0・7%増の6兆4345億円と横ばい。
 06年度からの介護予防サービス導入により、要介護度が低い人に対する家事援助の利用が制限され、さらに筋力向上トレーニングなどの介護予防の利用もサービス費用全体の3%弱にとどまり、在宅介護費を押し下げたとみられる。
m3.com 2007-7-3

肺がんの原因遺伝子を発見 早期診断に応用期待
 肺がんの新しい原因遺伝子を発見したと、間野博行自治医大教授らの研究チームが発表した。調べた肺がん患者の7%程度にこの遺伝子の異常がみられ、肺がんの原因遺伝子としては2番目に割合が高いという。喫煙者の患者に多いのが特徴。
 遺伝子異常を調べることで、従来は難しかった早期診断が可能になると期待されるほか、この遺伝子の働きを安全に抑えられれば、新たな抗がん剤として有望だという。
 チームは、喫煙者の男性患者の肺がん細胞から遺伝子の断片を200万種類以上抽出。それぞれ培養細胞に組み込んで、異常増殖が起こるかどうかを調べた。その結果、ALKとEML4という2つの遺伝子が半分ずつ融合してできた遺伝子を組み込むと、細胞ががん化することを突き止めた。
m3.com 2007-7-12
ピロリ菌抑制物質合成に成功 除去薬開発に道
 胃かいようや胃がんの原因とされる細菌「ヘリコバクター・ピロリ」の増殖を抑制するヒトの体内物質を、理化学研究所の研究チームが人工合成することに成功した。大量生産が可能となったことで、ピロリ菌を除去する薬剤の開発や、増殖を抑制するメカニズムの解明につながるという。
 ピロリ菌はヒトの胃の粘膜表面にすみ着くが、粘膜の深部にはいない。深部粘膜から分泌される糖鎖と呼ばれる化合物に、ピロリ菌の増殖を抑制する作用があるためとされている。
 しかし、この糖鎖は粘膜にごく微量しか存在せず、研究に必要な量を抽出することができなかった。また、分子が巨大で立体構造が複雑なため、人工合成も難しかった。
 研究チームは、糖鎖の原料となる新たな化合物を独自に開発した。この化合物を使って化学反応を起こしたところ、目的とした糖鎖を効率よく合成することに成功した。
m3.com 2007-7-17
予防接種で子宮頸癌を予防 若年層への教育の徹底を
 ミュンヘン工科大学のBarbara Schmal-feldt教授は,欧州全域で実施された4,500人の女性を対象とした子宮頸癌に関するアンケートの結果について,「現在,子宮頸癌とその原因に関して詳しく知っている女性は少ないが,ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンで子宮頸癌を効果的に予防できる以上,患者に子宮頸癌のリスクについて説明しておくことは重要である」と発表した。
 調査結果によると,ドイツ人女性の95%は子宮頸癌に関する情報を耳にしたことがあると回答していたが,45歳以下の女性で子宮頸癌が 2 番目に多い癌であることを知っていたのは全体の21%にすぎなかった。
 子宮頸癌の誘因に関しても大半の女性が知らなかった。それどころか46%が遺伝的要因と考えており,「子宮頸癌の家族歴はない(から心配ない)」との回答も多く寄せられた。子宮頸癌にはほぼ必ずHPVが関与しているにもかかわらず,HPVが主要な誘因であることを知っていた女性は 8 %にすぎなかった。
Medical Tribune 2007-7-19
6年以内の認知症リスク予測 ベッドサイドで行う簡単な検査
 カリフォルニア大学精神医学のDeborah E. Barnes助教授らの研究によると,ベッドサイドで実施できる簡単な検査で 6 年以内の認知症発症リスクを87%の正確さで予測できる。
 Barnes助教授らは既往歴,認知検査,身体検査を組み合わせた14項目の指標で構成する検査を開発した。特別な装置は必要とせず,診療所や患者のベッドサイドなど臨床現場で行える新たな検査法は,この研究で開発された88%の精度の包括的で本格的な検査のベッドサイド版。
 同助教授によると,認知症を正確に予測する最初のツールで,個々の患者の心血管疾患などの発症率を正確に予測する検査はあるが,認知症に関しては同様の尺度が開発されていなかった。
 ベッドサイド版検査での測定によると,認知症発症危険因子は(1)70歳以上の高齢(2) 2 つの簡単な認知検査による低スコア(3)シャツのボタンを留めたり15フィート(約 5m)歩いたりなどの日常動作における緩慢な身体機能(4)冠動脈バイパス術の既往(5)body mass index(BMI)が18未満(6)現時点での非飲酒−である。
  6 年以内に認知症を発症する確率はベッドサイド版検査でのスコアが 0 〜 3 で 6 %,4 〜 6 で25%,7 以上では54%になる。
Medical Tribune 2007-7-19
抗体で脳梗塞治療 時間たっても効果か
 脳梗塞発症後、時間がたってからでも効く治療薬の候補を見つけ、ラットの実験で効果を確かめたとの研究結果を、西堀正洋岡山大教授らが発表した。
 この物質は、脳に炎症を起こすタンパク質を中和する抗体。注射することで、梗塞部分の範囲が縮小、運動まひが抑えられたという。
 西堀教授らは、炎症を促進させる「ヌクレオカイン」というタンパク質のグループに着目。脳細胞が壊死すると細胞からこのグループの一種「HMGB1」というタンパク質が排出され、炎症が悪化し、脳梗塞が進むとの仮説を立て実験した。
 このタンパク質の抗体を作り、脳の血管を詰まらせたラットに2時間後と14時間後の2回、静脈注射。その結果、脳の炎症が抑えられ、24時間後の脳梗塞の範囲は、注射しないラットの約1割にとどまった。運動まひも軽かったという。
m3.com 2007-7-20
リンゴポリフェノールで長寿!マウス実験で成果
 リンゴから抽出される「リンゴポリフェノール」に寿命を延ばす効果があるとの研究結果を、東京都老人総合研究所の白沢卓二研究部長らがまとめた。
 実験は、遺伝子組み換えにより老化の速度を速めたマウス55匹を使った。このうち32匹に、リンゴポリフェノールを0・1%配合した飲料水を飲ませ、残り23匹のマウスにはただの水を飲ませて寿命を比べた。
 その結果、ポリフェノール入りの飲料水を飲んだマウスの寿命はメスが平均37・90週、オスが平均28・84週で、ただの水を飲んだマウスよりメスで平均72%、オスで29%寿命が長くなった。
 マウスが摂取したリンゴポリフェノールは1日リンゴ0・02個〜0・04個分にあたり、人間の摂取量に換算すると1日リンゴ5〜10個分程度になる。
読売新聞 2007-7-21
匂いの識別困難は軽度認知障害の前兆となる可能性
 嗅ぎ慣れた匂いの認識が困難な高齢者は後に軽度認知障害を発現する可能性があることが研究により示されている。
 「このことは、嗅ぎなれた匂いの識別や認識の困難がアルツハイマー病(AD)のごく早期の徴候であることを示していると思われる。そして、この識別困難は、確かにADの初期徴候と考えられる認知障害に先立って現れる可能性がある」とラッシュ大学医療センターのRobert S. Wilson博士は話している。
 「この手法を用いれば、軽度認知障害や発病段階のADに伴う記憶および認知に関する悲惨な問題を発現前でも早期発見できることが示唆される」。
m3.com 2007-7-23
たばこで余命3・5年短縮 男性、40歳時点で 1万人の追跡調査で推計 厚労省研究班
 1日2箱以上吸う男性の余命は、1箱未満よりも0.9年短く、ヘビースモーカーほど短命の傾向がうかがえるという。
 喫煙が健康に悪影響を及ぼすことは広く知られているが、たばこの影響を余命で示したのは国内初の試みという。
 推計の根拠としたのは、1980年に全国300カ所の保健所で健康診断を受けた30歳以上の男女のうち、計9625人(男性4237人、女性5388人)に対する追跡調査。このうち99年までに死亡した約2000人の喫煙の有無や、年齢別の死亡率などを基に全調査対象者の平均余命をはじき出した。
 それによると、健診時にたばこを吸っていた男性は2666人(喫煙率・約63%)で、40歳の平均余命は38.6年。残る男性のうち、もともと吸っていなかった777人については42.1年で3.5年長かった。
 たばこに含まれるニコチンなどが健康に与える影響については多くの研究が行われ、喫煙者はがん、心臓病、脳卒中、肺気腫、ぜんそく、歯周病などの罹患率が高いことが知られている。厚生労働省によると、喫煙男性は、非喫煙者と比べて肺がんによる死亡率は約4・5倍、食道がんによる死亡率は約2・2倍。
m3.com 2007-7-24
肥満は人間関係で広がる 米の大規模調査で判明
 友人やきょうだい、配偶者が肥満になった人は、自分も肥満になる可能性が高くなるとの大規模調査の結果を、米ハーバード大などの研究チームが発表した。
 肥満への抵抗感がなくなってしまうことが一因らしく、先進国で社会問題となっている肥満が、親密な人間関係の中で広がる側面があることを示す結果だ。
 チームは米マサチューセッツ州でお互いに関係のある成人約1万2000人の集団を約32年間にわたって追跡調査。体格指数(BMI)が30以上の肥満になった人を取り巻く人間関係と、相手のBMIなどとの関係を統計的に解析した。
 その結果、友人が肥満になった人は、そうでない人に比べて肥満になる危険性が57%増加。きょうだいだと40%、配偶者だと37%、肥満になりやすかった。居住地が離れていても同様だが、単なる隣人関係では増加はみられなかった。
 チームは「人間関係を通じて健康の問題が生じているようだ。逆に、人間関係を通じて肥満の改善もできるかもしれない」と指摘している。
m3.com 2007-7-26
女性は22年連続世界一 85・81歳、06年の平均寿命 男性は79・00歳で2位
 2006年の日本人女性の平均寿命は85.81歳で、22年連続で長寿世界一となったことが26日、厚生労働省が公表した簡易生命表で分かった。男性は79歳で、05年の世界4位から、04年と同じ2位に順位を戻した。
 05年はインフルエンザの流行で男女とも前年を下回ったが、06年は再び延び、2年ぶりに過去最高を更新した。厚労省は、日本人の3大死因である、がん、心臓病、脳卒中の治療成績向上が主な要因と分析。「平均寿命は今後も延びていくと見込まれる」としている。
 厚労省によると、平均寿命は、05年と比べて女性は0.29歳、男性は0.44歳延びた。男女差は0.15歳縮まり、6.81歳。
 国際比較では、女性の2位は香港の84.6歳(05年)で、次いでスペインとスイスの83.9歳(05年)。男性の1位は、アイスランドの79.4歳(06年)で、3位は香港の78.8歳。
m3.com 2007-7-27
水を凍らせない物質を発見 移植用臓器の保存に応用も
 植物の色素などに含まれる物質に、低温下でも水が氷になるのを防ぐ「過冷却促進物質」があることを、北海道大の藤川清三教授らのグループが発見した。移植用の臓器を低温で長期間保存することなどに応用できそうだ。
 水は零度以下に冷やしていくと「氷核」というごく小さな氷ができ、そこを中心に凍り始める。藤川教授らは、寒冷地に生息する樹木組織が低温下でも凍らないことに着目。抽出した「ケンフェロール-7-O-グルコシド」が、氷核の生成を妨げることを発見した。
 この物質を0・01%混ぜた水はマイナス10度でも凍らないという。
 現在、移植用の臓器は生理食塩水を含む液に漬けて保存する。低温であるほど細胞の代謝が落ちて長期間保存できるが、液が凍ると細胞を傷つけるため、長期間の保存は難しかった。マイナス10度で保存できれば、保存期間を大幅に延ばせる可能性がある。
m3.com 2007-7-30