広葉樹(白)    

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2006年1月-2006年4月文献タイトル
アルツハイマー病と認知症の発症率 中年期の運動で大幅に低下
赤ワイン成分が老化を遅らせる可能性
イヌは高齢者の最良の友
酒量多いと自殺リスク倍増 厚労省研究班が調査
コーヒー功罪、遺伝子で差 心筋梗塞の危険高める?
内臓脂肪から食欲制御信号 〓やせ薬〓開発に可能性
食肉摂取で胃癌発症が増加
母親に喘息があると、早産や出生時低体重が発生しやすい 妊娠前最長5年間にわたる喘息の既往歴が影響する
初期乳癌への永久挿入小線源療法に成功
デキる脳は発達の仕方に差 米国立衛生研などが解明
ストレスで傷の治癒力が低下 夫婦の口論でも2倍の遅れ
ビタミンCが老化を抑制 マウスの実験で確認
膀胱組織再生し移植 米で7人の機能改善に成功
禁煙で心疾患リスク半減 厚労省研究班が調査
睡眠時間が短いことは高血圧のリスクファクターである可能性あり
能動喫煙、受動喫煙はいずれも耐糖能低下につながる可能性
女性の冠動脈性心疾患予防 正常体重の維持と定期的運動を
太りやすいDNA型を発見 米欧調査で10人に1人
遺伝子で肥満リスクを予測  三つの遺伝子が肥満と体型に大きな役割を果たす
炎症反応で大腸がん予測も 厚労省研究班の大規模調査
細胞内で異常タンパク分解 神経変性疾患防ぐ可能性
アルツハイマー病に有望な新薬 第 II 相継続試験で有用性示唆
糖尿病の増加は肥満のせい 太り過ぎが糖尿病の流行をあおっている
乳がん治療に新たな標的 タンパク質の結合阻止
カテキンがDNAと結合 がん予防の仕組みか
納豆でコレステロール低下 毎朝1パック、便秘も改善

アルツハイマー病と認知症の発症率 中年期の運動で大幅に低下
 カロリンスカ研究所のMiia Kivipelto博士らは,新たな試験により,中年期に運動をした人はしない人よりもアルツハイマー病(AD)その他の認知症発症率がきわめて低いことを見出した。
 Kivipelto博士らは「中年期の余暇を利用した運動は,その後の余生における認知症やADリスク低下と関連する」と結論。「定期的な運動は,特に遺伝的に認知症やADに罹患しやすい人でリスクを低下させたり発症を遅らせたりする可能性がある。こうした所見は,予防医療に幅広い意味を持つ可能性がある」と付け加えている。
 今回の住民対象コホート試験では,65歳以上の東フィンランドに住む1,449例の運動習慣を平均21年間フォローアップしたところ,中年期に週 2 回以上運動を行った被験者の認知症発症率が50%低く,AD発症率が60%低かった。
 同博士は「若年期と中年期のライフスタイルが活動的ならば,それ以降,身体的にも認知的にも活力に満ちた余生を楽しむ可能性が増すであろう」と述べている。
マウスでも実証
 New York Timesの記事は,ADを発症するように遺伝子操作されたマウスを用いたKivipelto博士らの試験の重要性を指摘している。この試験では,ケージにトレッドミルが設置されていたマウスは,トレッドミルが設置されていない対照マウスの 2 倍の速度で迷路の脱出ルートを学習しただけでなく,剖検時にβアミロイドの沈着がきわめて少なかった。
Medical Tribune 2006-2-9
赤ワイン成分が老化を遅らせる可能性
 グラス1杯の赤ワインは食事に華を添えるだけではなく、人生を楽しむ時間をさらに増やしてくれるという。
 新規の研究において、ぜん虫およびミバエでの延命効果が以前に証明されている赤ワイン成分が、脊椎動物(魚類、またヒトも含まれる可能性がある)の寿命も延ばす可能性が示されている。
 研究者らによると、ブドウ、特に赤ワインに含まれる有機成分resveratrolを短寿命の魚の毎日のエサに加えたところ、寿命が延長し、老化に関連する記憶などの障害の発現が遅くなった。
 resveratrolはポリフェノールと呼ばれる抗酸化物質群の一種であり、赤ワインに含まれる。この物質は、抗炎症作用および抗癌作用をもつことが報告されており、幅広い医薬分野での利用について現在研究されている。
m3.com 2006-2-15
イヌは高齢者の最良の友
 セントルイス大学のWilliam A. Banks教授は,ナーシングホームの入居者を対象に新たな研究を行ったところ,他の入居者とともにイヌといるよりも,イヌとだけいるほうが気分がよいことが判明したと発表した。
 イヌは医学の実験で用いられているため,一部の動物愛護家の怒りを買ってきたが,一方でだれも欲しがらなかったり,人にかみ付くイヌは安楽死させられてきた。
 このような状況にもかかわらず,米国ではイヌは通常「ヒトの最高の友人」とされている。
 Banks教授は,過去数年間,入院中の患者の士気を高めるようイヌを訓練してきた。ナーシングホームの入居者37例を対象に調査したところ,イヌとだけで過ごすほうが,イヌに加えて他の入居者とともに過ごすよりも,ずっと寂しくないことが判明した。
 同教授は,この結果は自身が予想したのと反対であるとし,「イヌは社会的潤滑油として機能して居住者相互の交流を深めると考えていたが,実際にはそうではなかった」と述べている。
Medical Tribune 2006-2-23
酒量多いと自殺リスク倍増 厚労省研究班が調査
 週1回以上飲酒し1日当たりの飲酒量が日本酒3合以上に相当する男性は、時々(月に1-3回)飲酒する程度という男性に比べ自殺の危険性が2.3倍とした大規模疫学調査の結果を、厚生労働省研究班が発表した。
 日本酒3合はアルコールに換算すると59グラムで、ビールなら大瓶3本、ウイスキーならダブル3杯に相当。自殺リスクは飲酒量が多いほど高まる傾向がある一方、「全く飲まない」男性のリスクも2.3倍だった。
 研究班は「飲まない人で高い理由は不明だが、酒量を適度に減らすことが自殺防止に役立つということは言えそうだ」としている。
m3.com 2006-3-2
コーヒー功罪、遺伝子で差 心筋梗塞の危険高める?
 遺伝子のわずかな違いによって体内でのカフェイン分解が遅い人は、1日2杯(1杯250cc)以上のコーヒーを飲むと心筋梗塞の危険が高まる恐れがあるとする論文をカナダ・トロント大などの研究チームが発表した。
 分解が速いタイプの人は逆に1日1-3杯飲む方が1杯未満の人に比べ、心筋梗塞の危険が少なかった。研究チームは「将来は遺伝子タイプ別の食事指導が必要になりそうだ」としている。
 分解が遅い人では、コーヒーを1日2-3杯飲む人の心筋梗塞の危険度は1杯未満の人に比べ36%、4杯以上だと64%、それぞれ高かった。50歳未満の人に限って分析すると、4杯以上飲む人は危険度が約4倍も高まった。
m3.com 2006-3-8
内臓脂肪から食欲制御信号 〓やせ薬〓開発に可能性
 内臓脂肪が、食欲を抑えるホルモンを働かせるよう神経を通じて脳に信号を出していることを東北大大学院医学系研究科の片桐秀樹教授(内分泌代謝学)らのグループがマウスの実験で突き止めた。
 食欲抑制ホルモン「レプチン」は脂肪細胞から分泌され、脳の満腹中枢を刺激する。肥満の人はうまくレプチンが働かず、食欲のブレーキが利きにくいが、今回の研究で内臓脂肪の信号を出す機能の低下が一因とみられることが判明。信号を活性化する物質を解明できれば〓やせ薬〓につながる可能性がある。
m3.com 2006-3-8
食肉摂取で胃癌発症が増加
 牛や豚など赤身肉の摂取が非噴門部胃癌を増加させており、特にヘリコバクターピロリ(H. pylori)陽性例でその傾向が顕著であったとする欧州の前向きコホート研究結果が報告された。
 「胃・食道癌発癌過程において食事内容が重要な役割を有すると考えられているが、その点に関するコホート研究のエビデンスは少ない」と、カタロニア腫瘍学研究所(スペイン)のCarlos A. Gonzalez, MDらは述べている。「食肉消費量と結腸直腸癌、乳癌あるいは前立腺癌の発症リスクは関連している。しかし1997年に発表された栄養と癌に関する報告書で、食肉及び保存加工肉の消費量と胃癌・食道癌の発症リスクとの関連はエビデンス不十分と結論づけられていた」。
 「総食肉摂取量、赤身肉摂取量および加工肉摂取量は、特にH. pylori抗体陽性の被験者では非噴門部胃癌のリスク増加と関連していたが、噴門部胃癌でが関連が認められなかった。欧州では胃癌、食道癌患者の5年相対生存率が低い(23%、10%)ことを考えると、発癌リスクファクターの同定とコントロールがこれらの腫瘍の発症を減らす最も有効な方法である」と著者らは述べた。
m3.com 2006-3-8
母親に喘息があると、早産や出生時低体重が発生しやすい 妊娠前最長5年間にわたる喘息の既往歴が影響する
 喘息のある女性は早産児や低出生体重児を出産する可能性が高いという研究結果が発表された。
 「母親の喘息は妊娠前5年間にわたりリスク因子となる」と筆頭研究者のJoel J. Liem, MD(マニトバ大学)は述べている。したがって、医師は、たとえ数年間症状がなくても、妊娠女性には喘息の既往歴について尋ねる必要がある、とLiem博士は述べている。
 「Liem博士の研究で明らかになっているように、こうした女性たちの喘息が管理されなければ、妊娠に支障を来たす可能性がある」とCamargo博士(ハーバード大学)は述べている。「これらの知見により、妊娠中には確実に最適な医療を受ける必要があることの理由が追加された。最適な喘息管理もその一環である。ほとんどの喘息患者にとって、最適な管理を行うには、定期的に喘息治療薬を服用するとともに、喘息コントロールを維持するのに有用な他の諸手段を講じることが必要である
m3.com 2006-3-13
初期乳癌への永久挿入小線源療法に成功
 サニーブルック女子大学健康科学センター(カナダ)放射線腫瘍学のJean-Phillipe Pigno博士は,乳房温存術後,数週間にわたる外部照射治療を行う代わりに,胸部に放射線小線源を挿入する治療が可能であることを発表した。
 Pignol博士らの研究は,永久挿入小線源療法による成功例を示した初めてのもので,2004年 5 月に開始後44例の治療に成功している。一般的には手術後に外部照射を行うが,外部照射は38%の症例に顕著な毒性を示している。同博士らは,前立腺癌男性患者に対して一定期間体内で徐々に照射する永久挿入線源の治療が可能なのと同様に,女性も永久挿入線源による治療が可能であるかを調べるためにこの新たな研究に取りかかった。
 患者は 1 回のみの手術で,挿入線源を除去する必要もなく,一時的な挿入線源を用いた場合のように週に10回の交換が必要となることはない。同研究では,44例が永久挿入小線源療法に成功し,線源の放射線量は徐々に減少した。現在までに再発症例はないという。さらに,外部照射に比べ急性の皮膚過敏性は 6 分の 1 に減少した。同博士は「研究のおもな動機は初期乳癌の患者における治療の負担を減らしたいということであった」と述べている。
 手術が 1 回のみという利点に加え,小線源は放射線量を通常の乳癌治療よりも減らすことが可能である。それにより患者は癌治療後のQOLにかかわる問題を減らすことができる。同博士は「大きな利点は,患者が処置後にすぐ帰宅でき,放射線を受けながら通常の生活が可能なことである」と述べている。
Medical Tribune 2006-3-23
デキる脳は発達の仕方に差 米国立衛生研などが解明
 知能指数(IQ)が非常に高い子供は、高度な精神活動をつかさどる大脳前部など特定の皮質の発達パターンに独特の特徴があると、米国立衛生研究所などのチームが発表した。
 7歳ごろには平均より薄い皮質が急激に厚くなって11-12歳でピークを迎え、その後急激に薄くなる。チームは「賢さには皮質の厚さ自体より、成長期の変化の仕方の方が重要らしい」と分析している。
 5歳以上の青少年307人について、磁気共鳴画像装置(MRI)による脳の撮影を、最長19歳まで行った。
 IQが「特に高い(121-149)」子供では、皮質が年齢とともに薄い、厚い、薄いとダイナミックに変化したのに対し、「普通(83-108)」「高い(109-120)」の子供は8-9歳が厚さのピークでその後徐々に薄くなるパターンだった。
 「特に高い」子は、高度な思考回路の発達に時間をかけ、その後は使わない回路を迅速に整理していると推定されるという。
m3.com 2006-3-30
ストレスで傷の治癒力が低下 夫婦の口論でも2倍の遅れ
 夫婦がいつもの口論を30分間続けると,ストレスのせいで傷のなおりが1日遅れ,仲の悪い夫婦では2倍も遅れる場合もある。
 オハイオ州立大学精神医学・心理学のJanice Kiecolt-Glaser教授らは,心理的なストレスがヒトの免疫系に与える影響を解明するために同大学の行動医学調査研究所で30年にわたり実施してきた一連の研究の最新結果を発表。
 Glaser教授は「これまでのすべての研究が,手術前の患者のストレスを軽減するには,病院が現在行っている方法を変えなくてはならないことを示しており,それを証明するデータは豊富にある」と述べている。この研究により,患者の入院期間の短縮,医療費削減,さらには感染症のリスク軽減につながることがわかった。
 Kiecolt-Glaser教授は「傷の治癒に関する過去の実験では,今回のような30分の夫婦げんかではなく,より大きなストレスのかかる状況が考察されていた。このような単なる夫婦げんかでさえ軽い傷の治癒を丸 1 日も遅らせるということは,治癒というものがかなりセンシティブなプロセスであることを示している」と指摘。Glaser教授は「今回の研究結果はサイトカイン濃度がわずかに変化しただけでも,健康に大きな影響を与えるというわれわれの長年の主張を裏づけるものだ」と述べている。
Medical Tribune 2006-3-30
ビタミンCが老化を抑制 マウスの実験で確認
 ビタミンCに、生物の老化の進行を抑える可能性があることを、東京医科歯科大などのチームがマウスによる動物実験で確認した。ビタミンCによる抗老化作用はこれまでも指摘されていたが、同チームは「ビタミンCが加齢に関係することを科学的に証明したのは初めてだ」としている。
 チームは、老化が進むと減少することが知られているSMP30と呼ばれるタンパク質に注目。このタンパク質が、多くの哺乳類が体内でビタミンC合成に使っている酵素と同一であることを突き止めた。SMP30を作ることができないマウスをビタミンCを含まない餌で育てると、発育が止まり、壊血病の症状となったことなどから、SMP30がビタミンC合成に欠かせない物質であることが確認された。
 このマウスは、正常のマウスに比べて約4倍早く老化が進むことも判明、ビタミンCが老化の進行に関連していることが分かった。
m3.com 2006-4-4
膀胱組織再生し移植 米で7人の機能改善に成功
 本人の細胞を使って膀胱組織をつくり、それを7人の患者に移植し低下した膀胱の機能を改善することに、米ウェークフォレスト大などのチームが成功した。
 骨や軟骨をはじめ比較的単純な組織の再生はこれまでも行われているが、膀胱のような臓器を本人の細胞で修復できたのは初めて。
 患者は神経機能に異常があるため、手術後も管を入れて排尿する必要があるが、2-5年の経過観察では目立った副作用もなかったという。
 チームは、患者本人の膀胱から採取した切手大の組織から、筋肉など2種類の細胞を分離し、まず試験管内で増殖させた。
 次に、生体内で分解する材料でつくったおわん形の骨組みの上で7-8週間細胞を成長させ、できた組織を本人のもともとの膀胱に縫い合わせた。
 その結果、膀胱に尿をためる機能が全員で改善した。
m3.com 2006-4-5
禁煙で心疾患リスク半減 厚労省研究班が調査
 たばこを吸う人が心筋梗塞などの虚血性心疾患になるリスクは、吸わない人の約3倍だが、禁煙すればリスクを半分以下に下げられるとの大規模疫学調査の結果を、厚生労働省研究班が発表した。
 喫煙は虚血性心疾患の原因となる血栓の形成や動脈硬化を促すと考えられている。禁煙の効果は2年以内に表れ、研究班の磯博康大阪大教授は「たばこをやめれば直ちに血液の状態が良くなる。日本人全員が禁煙すれば、年間約8300人の虚血性心疾患による死亡と同30万5000人の発症を防げる計算だ」としている。
m3.com 2006-4-11
睡眠時間が短いことは高血圧のリスクファクターである可能性あり
 睡眠時間が1晩6時間未満であると高血圧のリスクが増加するという縦断研究の結果が報告された。
 「健康な被験者を断眠状態にすると、急に血圧が上昇し交換神経系の活動が亢進することが認められている」と、コロンビア大学医学部のJames E. Gangwisch, MDらは述べている。「睡眠時間が短い状態が長期間続くと、24時間血圧と心拍数の上昇、交感神経系の活動亢進、ならびに塩貯留の増加に長期間曝露されることを通して、高血圧につながる可能性がある。そのような力が、構造的適応、および上昇した圧平衡状態で作動するための心血管系の同調につながる可能性がある」。
 年齢が32-59歳の被験者の場合、1晩の睡眠時間が6時間未満であることは、高血圧のリスクが2倍以上高いことと関連があった(ハザード比 2.10;95%信頼区間[CI] 1.58-2.79)。可能性のある交絡変数について調整したところ、この関連は部分的にしか弱まらなかった。リスク増加は、肥満および糖尿病について調整した後も有意であり、このことは、これらの変数が部分的メディエイターとして働くという仮説と一致する。
 「したがって、睡眠時間が短いことは高血圧の有意なリスクファクターである可能性がある」と著者らは述べている。「睡眠時間が短いことと高血圧を結びつける生物学的メカニズムを検討するため、更なる研究が必要である。もし睡眠時間が短いことが血圧を上昇させるように働くなら、睡眠の量を増やし質を高める対策が、高血圧の治療および一次予防手段としての役目を果たす可能性があるだろう」。
m3.com 2006-4-11
能動喫煙、受動喫煙はいずれも耐糖能低下につながる可能性
 能動喫煙、受動喫煙はいずれも耐糖能低下の発現リスクを上昇させるというプロスペクティブ(前向き)コホート研究の結果が報告された。
 「喫煙は耐糖能検査への反応性低下およびインスリン抵抗性につながると言われてきた」とバーミンガム退役軍人庁医療センター(アラバマ州)のThomas K. Houston, MD,らは記している。「喫煙を中止すると体重が多少増加する可能性があるものの、喫煙は、より不健康な上半身の体重の分布とウエスト:ヒップ比の増加に関連している。喫煙は慢性膵炎および膵癌のリスクとも関連するとされ、膵臓に直接有毒である可能性が示唆されている」。
m3.com 2006-4-13
女性の冠動脈性心疾患予防 正常体重の維持と定期的運動を
 ハーバード大学公衆衛生学部のFrank B. Hu准教授らは「冠動脈性心疾患(CHD)の発症を避けたい女性にとり,元気で過体重でないことは不可欠である」と発表した。この研究結果は,正常体重の維持と定期的運動の重要性を強調している。
 Hu准教授は「非活動的な肥満女性は,活動的でやせた女性に比べてCHDリスクが3.5倍になる」と指摘している。
 肥満と非活動的ライフスタイルは,それぞれ心疾患の主要危険因子であると認識されている。しかし,非活動的であっても正常体重を維持していれば,心疾患の予防には十分という考えがある。また過体重であっても,活動的であるなら心疾患を十分予防できるという考えもある。
 同准教授は「高い運動度が肥満関連CHDリスクの上昇を防ぐことはなく,やせが不活動関連CHDリスクの上昇を防ぐこともなかった」と述べている。
 Hu准教授は,肥満と不活動に喫煙が加わるとCHDリスクはさらに上昇することを指摘した。こうした女性では,活動的で正常体重の非喫煙女性に比べてCHDリスクが 9 倍上昇していた。
Medical Tribune 2006-4-13
太りやすいDNA型を発見 米欧調査で10人に1人
 太りやすさに関係しているDNAの型を新たに発見したと、米ボストン大を中心とする米欧の研究チームが14日付の米科学誌サイエンスに発表した。
 この型を持っていると、そうでない人より1.3倍肥満になりやすいという。危険度はそれほど大きくないものの、今回の調査では約10人に1人の割合でこの型がみられたほど一般的で、肥満の予防や治療法の開発につながると期待される。
m3.com 2006-4-15
遺伝子で肥満リスクを予測  三つの遺伝子が肥満と体型に大きな役割を果たす
 ジーンズが体にフィットするかどうかは遺伝子次第かもしれない。
 三つの特異的遺伝子の作用によって、脂肪細胞の数と、これらの脂肪細胞がリンゴ型に蓄積するか洋ナシ型に蓄積するかが決定される。この知見は、ハーバード大学ジョスリン糖尿病センターとライプチヒ大学の研究者らによって報告された。
 「その人の肥満度や体脂肪の分布様式は遺伝子で判る」と、ジョスリン糖尿病センター長でハーバード大学教授のC. Ronald Kahn, MDはニュースリリースで述べている。
 研究者らは、体に蓄積する脂肪の量と脂肪が集積する場所に大きな影響を及ぼす三つの遺伝子を同定。肥満になるかどうかの決定にこれらの遺伝子が大きな役割を果たしていることを示唆している。
 遺伝子は宿命であろうか? 大部分の科学者は、必ずしもそうとは考えていない。ライフスタイルなどの環境因子が、遺伝子活性に影響する。しかし、Kahn博士によれば、肥満遺伝子の指令を変更できるかどうかが判明するのはまだ先のことである。
 「現段階では、肥満のパターンは予測できるが、その転帰を変えるだけの特効薬は存在しない」と、同博士は述べている。「今回の新しい知見を用いて、いつの日にか体型を変えるための有望な標的を同定した。現段階では肥満のパターンを変える薬剤はないが、おそらくいずれははそうした薬剤ができるであろう」。
m3.com 2006-4-17
炎症反応で大腸がん予測も 厚労省研究班の大規模調査
 体内で起きている炎症反応を示す血液検査(CRP検査)の値が高い人は、低い人に比べ大腸がん発症の危険性が1.6倍との研究結果を、厚生労働省研究班が発表した。
 表面上は健康でも、がんに先立つかいよう性大腸炎などが起きていることがあり、こうした兆候を早期にとらえられる可能性が示された。
 通常のCRP検査は、細菌感染や関節リウマチの診断などに使われるが、今回の調査では動脈硬化の診断などに使われている100倍以上高感度の手法を採用した。研究班は「高感度の検査が標準のものになれば、大腸がんの発症予測に役立つかもしれない」としている。
m3.com 2006-4-19
細胞内で異常タンパク分解 神経変性疾患防ぐ可能性
 細胞内でタンパク質が分解される自食作用(オートファジー)という仕組みが、アルツハイマー病やパーキンソン病などの神経変性疾患を防ぐ可能性があることを東京都臨床医学総合研究所などの研究チームがマウスの実験で突き止めた。
 オートファジーは、飢餓状態で栄養が不足した時に細胞が自身の一部を分解して自給自足するシステム。しかし、ほかの器官から常に栄養が補給される脳内の神経細胞での役割は詳しく分かっていなかった。
 同研究所の水島昇プロジェクトリーダーは「オートファジー機能を高めることで、これまでにない神経変性疾患の治療法ができるかもしれない」と話している。
m3.com 2006-4-20
アルツハイマー病に有望な新薬 第 II 相継続試験で有用性示唆
 Myriad Genetics社は,カナダで軽度アルツハイマー病(AD)患者を対象に実施された選択的β-42アミ ロイド低下薬Flurizan(一般名R-flurbiprofen)の第 II 相継続試験データを明らかにした。
 12か月間の第 II 相試験の結果および 9 か月間の継続試験で得られたデータの要約を,ユタ大学神経精神医学研究所(ソルトレークシティー)薬理学の助教授で精神医学・神経学のDaniel Christensen教授が報告した。
 それによると,Flurizan 800mgの 1 日 2 回投与を受けたAD患者では,認知ならびに記憶減退に対する遅延効果が合計21か月に及ぶ投薬治療後も引き続き認められ,また,日常生活における総合的機能と活動の維持が同薬400mg群とプラセボ群よりも多く認められた。
Medical Tribune 2006-4-20
糖尿病の増加は肥満のせい 太り過ぎが糖尿病の流行をあおっている
 米国でかつてないほど糖尿病患者が増えている理由を新規研究がはっきり示している。それは肥満である。
 米国では糖尿病が流行している。肥満も流行している。それは決して偶然の一致ではない。
 米疾病管理センター(CDC)の統計学者Linda S. Geiss氏が参加した新規研究では、新たに診断された糖尿病患者のみを調査の対象とした。その研究によって、実際に糖尿病患者がますます増加していることが明らかになった。そして糖尿病に影響するその他の因子について調整したところ、糖尿病の人々には、圧倒的に、ある共通点がみられることが研究から明らかになった。肥満または過体重である。
m3.com 2006-4-25
乳がん治療に新たな標的 タンパク質の結合阻止
 多くの乳がん細胞に存在する特定のタンパク質複合体の働きを止めると、がんの進行や転移を抑えることができるとの研究結果を大阪バイオサイエンス研究所の佐辺寿孝部長(分子生物学)らがまとめ発表した。
 この複合体は2種類のタンパク質でできており、化学物質などでその結合を阻止する方法。副作用のない治療薬ができるのではないかという。
 佐辺部長らは、進行して浸潤した乳がんで「AMAP1」など2種類のタンパク質がくっついた複合体が多くあることに着目。複合体ができないようにするため、双方のタンパク質の結合部に似せた「おとり」を用意した。タンパク質がおとりにくっつき、タンパク質同士は結合しないように考えたものだ。
 これをヒトの乳がん細胞や、がん細胞が乳腺から肺に転移したマウスに投与すると、がんの進行や転移を抑えることができた。
m3.com 2006-4-26
カテキンがDNAと結合 がん予防の仕組みか
 緑茶に含まれるカテキンがDNAと結合することを確かめたと、徳島文理大の藤木博太教授(生化学)らが発表した。
 カテキンはがん予防効果があるとされるが、結合することでDNAを損傷から保護し、がん予防につながっている可能性もあるとみて、今後確かめたいとしている。
m3.com 2006-4-28
納豆でコレステロール低下 毎朝1パック、便秘も改善
 コレステロール値や中性脂肪値が高い人が毎朝1パック、30グラムの納豆を食べると、数値が低下するとの調査結果を国立循環器病センターがまとめた。
 佐賀県有田町で、普段、納豆を食べる習慣がない47-81歳の男女52人に毎朝4週間続けて食べてもらい血液を検査。調査期間の前後や、納豆を食べていない人と比較した。
 全体としては明確な効果は確認できなかったが、コレステロール値が一定基準より高い25人は値が平均約8%低下、中性脂肪値が高い10人は平均約13%低下した。聞き取り調査で便秘傾向があった25人のうち、20人が改善したと答えた。
m3.com 2006-4-28