広葉樹(白)    

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2005年5月-2005年8月文献タイトル
前立腺がん3・5倍に 昼夜交代勤務の男性 心疾患死亡も2・8倍
白衣高血圧 長期的には脳卒中リスクに
運動によってアルツハイマー病の進行が遅くなる可能性
トラウマが細胞の新生阻害 金沢大、マウスの脳で実証
野菜摂取と大腸がん無関係 厚労省研究班が調査
中年期の肥満が晩年の痴呆のリスク増加に関連している可能性
禁煙による肺機能の改善は体重増加を抑えればより大きくなる−−英国の研究
健康被害の危険性も 都市外での携帯電話使用
ミツカン、1日15mLの食酢飲用で、血中コレステロールが低下を証明
遅い就寝時間+早い起床時間=糖尿病 睡眠時間6時間以下の人に糖尿病が多い
サメ軟骨延命効果みられず 米、進行がんの臨床試験で
犬と散歩するとストレスが和らぐ! 副交感神経が活性化―酪農学園大学が確認
週に3〜5時間のウォーキングは乳癌患者の生存率を向上
「がん予防8カ条」 生活習慣改善、数値で指導
インフルエンザ抗体増やす スプレーワクチン開発へ
妊婦ダイエット、子は肥満 マウス実験で確認、京都大
ウイスキー中に尿酸生成抑制成分を発見
免疫抑制剤なくても生存 順天大がサルで腎移植実験
菌類でマラリア対策 英の研究者らが発表
オリンパスが開発中のカプセル内視鏡動画を本邦初公開 さざめく小腸絨毛映し出す鮮明画像に期待高まる
たばこで老化、DNAまで 1日1箱40年で7・4年分
遅く歩いた方がカロリーを多く燃焼 速度の遅い歩行は肥満の減量に有効
線量限度の被ばくで発がん 放射線、少なくてもリスク 米など国際調査で結論
睡眠は記憶および学習に有用 睡眠中に脳が新しい技術を記憶し保存する
娯楽活動が認知症に有効 脳血管性で記憶力改善
1日に6〜7杯のコーヒーで2型糖尿病リスクが3分の2に、メタ分析で明らかに
運転中の通話、ハンズフリーでも事故リスクは3.8倍
皮脂の酸化が脱毛を引き起こす ライオンが世界で初めて解明
肥満に伴う高血糖を改善 理想の薬に?タンパク発見
ディーゼル毒性の正体解明 農薬との関連も判明 環境研、長年の謎に答え
血中脂質に対する効果は運動より遺伝子が勝る可能性 運動量にかかわらず、遺伝子が高脂肪食の影響を決定
「吸い込むインスリン」治療を実現する経肺投与システム インクジェットプリンター技術を応用、キヤノンが開発
お気に入りの音楽が鎮静薬に
運動中にトマトジュースで疲れ知らず カゴメと国際医療福祉大が疲労軽減効果を発表
ビールに放射線防護効果 染色体異常を40%軽減 放医研と東京理科大が確認

前立腺がん3・5倍に 昼夜交代勤務の男性 心疾患死亡も2・8倍
 24時間操業の工場や鉄道、ホテルなどの交代制職場で働く男性は、主に昼間働く日勤職場の男性に比べ、前立腺がんになる危険性が3.5倍、心筋梗塞などの虚血性心疾患で死亡する危険性が2.8倍高いことが、文部科学省が補助する大規模疫学研究(運営委員長・玉腰暁子名古屋大助教授)の分析で2日までに分かった。
 不規則な勤務による体内時計の乱れが関与していると考えられ、虚血性心疾患は血圧上昇やストレスも原因とみられる。
 厚生労働省の調査では、午後10時以降の深夜業に従事する労働者がいる事業所は2割に上り、うち半数が交代勤務を導入。研究者らは「前立腺がん検診の導入や、循環器病の危険因子を持っている人の適正配置など、労働管理の在り方を考えるべきだ」と話している。
m3.com 2005-5-2
白衣高血圧 長期的には脳卒中リスクに
 Ospedale R. Silvestrini(イタリア)のPaolo Verdecchia博士らは,患者の血圧が診療所で高くなる,いわゆる白衣高血圧は長期的には無害ではないようだとHypertension(2005; 45: 203-208)に発表した。
 この研究は米国,イタリア,日本の 1 万1,910例を対象に,同じ方法で24時間非侵襲携帯型血圧計で記録を取った 4 件の前向きコホート研究から得られたデータを用いている。また,同研究は白衣高血圧,外来高血圧,臨床上正常血圧である被験者に見られる脳卒中の短期的・長期的リスクを,複数の国と民族にわたり調査した初めてのものである。
 Verdecchia博士は「この研究で得られた予想外の知見は,フォローアップ 6 年目以降は白衣高血圧群の脳卒中の発生率が増加する傾向がはっきりと見られることである。脳卒中事象の数は少ないが,白衣高血圧の長期の安全性に懸念を示すもので,これを明らかにする長期研究が必要だ」と述べている。
 同博士らは,この脳卒中を起こしやすくなる機序は,ストレスに対する血圧上昇が多くなると,アテローム動脈硬化巣が増大するためではないかと推測している。
Medical Tribune 2005-5-5
運動によってアルツハイマー病の進行が遅くなる可能性
 定期的な運動によってアルツハイマー病の進行が遅くなる可能性があることを示す、新しい研究が報告された。
 『Journal of Neuroscience』に掲載された報告は、アルツハイマー病様の脳疾患の遺伝子を有するマウスに関するものである。
 運動しているマウスは、5カ月後の脳内のアミロイド斑と呼ばれる物質の量が、運動しないマウスの半分程度であった。アミロイド斑とは、人の記憶ならびに学習能力および自立した生活を営む能力を破壊する進行性の脳疾患であるアルツハイマー病の患者の脳に認められる塊である。
 「運動は、より少ない脳の病理的変化、より速やかな認知能力を生み出す簡単な行動療法である」と、研究者のCarl Cotman, PhDはWebMDに語っている。
 「運動が脳をより長期間、より健康な状態に保っているものと思われる」と、カリフォルニア大学アーバイン校の神経学教授で脳老化・痴呆研究所の責任者であるCotman博士は述べている。
m3.com 2005-5-6
トラウマが細胞の新生阻害 金沢大、マウスの脳で実証
 トラウマ(心的外傷)を残す激しいストレスを経験した場合、脳で新しく作られる神経細胞の数が、ストレスを受けてから一定期間後に激減することが6日までに、金沢大薬学部の米田幸雄(よねだ・ゆきお)教授(神経化学)のマウスを使った研究で分かった。
 米田教授は「心的外傷後ストレス障害(PTSD)が動物の脳で神経細胞の新生を阻害することを実証したのは世界的に珍しい」と話している。
 人間でもPTSDの患者には脳の記憶をつかさどる「海馬」が委縮する症例が多いことが知られており、米田教授は「今後、人間の脳の委縮との関係についても追究したい」としている。
 米田教授は、マウスを狭いおりに入れ、メトロノームの音を聞かせながら3時間水に浸すストレスを与え、脳の変化を分析。実験後、マウスの海馬で作られる細胞の数が緩やかに減っていき、5日後に急激に減少した。
 その後、新生する細胞の数は回復し、14日後に元の水準に戻ったが、マウスは約2カ月間、メトロノームの音を聞かせると「フラッシュバック」が起き、おびえたような様子で動かなくなる状態が続いた。実験後、再度水中に入れると静止状態になった上、その時点から5日後、新生する細胞の数が再び激減した。
m3.com 2005-5-9
野菜摂取と大腸がん無関係 厚労省研究班が調査
 野菜や果物をたくさん食べても大腸がんになる危険性は変わらないとする大規模疫学調査の結果を、厚生労働省研究班(主任研究者・津金昌一郎国立がんセンター予防研究部長)が9日発表した。
 一方で、胃がん予防には野菜や果物の摂取が効果的との結果が既に出ており、研究班は「野菜や果物を食べることは奨励すべき生活習慣であることに変わりはない」としている。
 研究班は、秋田県、長野県、沖縄県など全国9地域で、40-69歳の男女約9万人を7-10年間にわたり追跡調査した。野菜と果物の摂取量により、「最も少ない」「2番目」「3番目」「最も多い」の4グループ(同人数)に分けて比較。全体で705人が大腸がんになったが、4グループとも大腸がんになる危険性は変わらなかった。
 野菜や果物摂取による大腸がん予防効果については、世界保健機関(WHO)や国際がん研究所なども2003年に「効果を示す証拠は限定的」などとする否定的な報告を発表している。
m3.com 2005-5-10
中年期の肥満が晩年の痴呆のリスク増加に関連している可能性
 中年期の肥満は晩年の痴呆のリスク増加に関連しているという27年間の人口ベースの縦断的研究の結果が『British Medical Journal』オンライン速報版に4月28日付けで掲載された。
 「横断的研究の所見とは反対に、最近のプロスペクティブ(前向き)研究では、高齢女性における肥満は痴呆のリスクを増加させるということが判明した」と、Rachel A. Whitmer氏とKaiser Permanenteおよびカリフォルニア大学サンフランシスコ校の研究者らは記している。「高齢期までの肥満の評価は、加齢に伴う除脂肪量と脂肪量の比率の変化が肥満をより正確に反映すると考えられ、結果として肥満指数(BMI)の低下をもたらす」。
 「中年期の肥満は社会人口統計学的特性および共存症とは無関係に晩年の痴呆のリスク増加に関連している」と、著者らは記している。「肥満および痴呆に関する今後の研究で、肥満の分布および脳の構造・機能に対するアディポサイトカインの役割を検討する必要がある。これらの結果が他の研究によって裏づけられれば、肥満の治療で痴呆のリスクが減少する可能性がある」。
m3.com 2005-5-13
禁煙による肺機能の改善は体重増加を抑えればより大きくなる−−英国の研究
 禁煙すると太る。しかし、肺機能に及ぼす禁煙のプラスの影響は、体重増加の害を上回るとの報告がある。英London大学King's CollegeのSusan Chinn氏らは、西欧と米国で、禁煙による肺機能の改善と、体重増加の影響を調べた。その結果、体重増加を防げば、禁煙のプラス面はさらに大きくなることが明らかになった。
 肺機能は加齢とともに低下し、喫煙は低下を加速する。しかし、禁煙して太れば、様々な悪影響が出てくる可能性がある。特に女性では、これが禁煙に踏み切れない理由になっている人が少なくない。
MedWave 2005-5-13
健康被害の危険性も 都市外での携帯電話使用
 スウェーデンの研究者らは17日、都市部以外での継続的な携帯電話の使用が、都市部よりも脳腫瘍(しゅよう)など健康への危険性が高くなる可能性があるとの研究結果を英医学雑誌に発表した。田舎では基地局の距離が離れているため、より強い電波が使われていることが原因の可能性があるという。
 研究者らは脳腫瘍の患者と健康な人、それぞれ約1400人を対象に居住地や携帯電話の使用年数、頻度などを調査。田舎に住み3年以上携帯電話を使用している人は、都市部の人に比べ脳腫瘍の発症率が3倍で、5年以上だと4倍となったという。
 研究者は、調査対象者数が少ないため、携帯電話の使用と脳腫瘍の間の因果関係は証明できていないと認めている。しかし何らかの問題がある可能性を示していると指摘し、特に発達段階にある子どもの携帯電話の使用に注意を促している。
m3.com 2005-5-17
ミツカン、1日15mLの食酢飲用で、血中コレステロールが低下を証明
 ミツカングループ本社中央研究所は、食酢15mL以上を毎日摂取することで、高めの血中コレステロールを低下させるられることを証明したことを、2005年5月13日から開催された第59回日本栄養食料学会で発表した。
 血中コレステロール値が180-260mg/dLの男女95名(平均年齢47.2歳:男性44.3歳、女性52.8歳)を「年齢」「体重」「BMI」「血圧」および「血中の総コレステロール(TC)値」「HDLコレステロール値」「LDLコレステロール値」「中性脂肪値」が均等となるように3群に分け、それぞれに1日当たり食酢を30mL飲用する「食酢高用量群」、15mL摂取の「食酢低用量群」、食酢を取らない「プラセボ群」とした。
 その結果、飲用12日目で食酢高用量群のTC値が14mg/dL程度、食酢低用量群が13mg/dL程度の低下が認められた。プラセボ群が変化認められなかった。また、試験飲料の飲用終了後の後観察時における血中コレステロール値が急激に上昇するリバウンド現象は低用量、高用量群ともに認められなかったという。
MedWave 2005-5-18
遅い就寝時間+早い起床時間=糖尿病 睡眠時間6時間以下の人に糖尿病が多い
 就寝時間が遅く、起床時間が早いと、目の下にクマができるだけでなく、糖尿病リスクが高まるという。
 しかし、朝寝坊が奨励される理由もない。睡眠時間が過剰に長い場合も、糖尿病リスクは高まる。
 この知見は、自発的な睡眠時間の制限についてのものであって、不眠症患者には適用されない、とボストン大学およびVA Boston Healthcare SystemのDaniel J. Gottlieb, MD, MPHらは報告している。
 「自発的な睡眠の制限が、糖尿病という大きな公衆衛生上の重荷の一因となっている可能性がある」とGottlieb博士らは『Archives of Internal Medicine』4月25日号に記している。

 得られた知見は以下の通りである。
・一晩の睡眠時間が5時間以下の人では、糖尿病が2.5倍多く認められた。
・一晩の睡眠時間が6時間の人では、糖尿病が66%多く認められた。
・一晩の睡眠時間が9時間以上の人では、糖尿病が79%多く認められた。

 「短い睡眠時間と[心臓発作]および死亡率との間に関連性が認められたが、これについては、短い睡眠時間と[糖尿病]および耐糖能異常との関連によって一部説明できる可能性がある」とGottlieb博士らは記している。
 この知見は、毎晩7-8時間の睡眠を推奨してきた長年にわたる医師のアドバイスを支持するものである、とGottlieb博士らは示唆している。
m3.com 2005-5-18
サメ軟骨延命効果みられず 米、進行がんの臨床試験で
 がんの代替療法として日本でも利用されているサメの軟骨について、米メイヨークリニックなどの研究グループが、進行した乳がんと大腸がんの患者を対象に米国製品で臨床試験を実施、その結果「延命効果も生活の質の向上もみられなかった」とする論文を23日、米医学誌キャンサー(電子版)に発表した。
 試験は男女計83人の患者が対象。標準的な治療を行いつつ、無作為に選んだ約半数、42人にサメ軟骨を、残り41人に偽薬を与え、医師もどの患者がどちらを飲んでいるか分からない厳しい条件で実施した。
 結果は両群の生存率に差はなく、患者本人が評価する生活の質の点数についても統計的に意味のある差はなかった。試験の継続期間は最長1年2カ月だが、胃腸の不調を訴えるなどして約1カ月で患者の半数近くが脱落。このためグループは研究に限界があることも認めている。
m3.com 2005-5-24
犬と散歩するとストレスが和らぐ! 副交感神経が活性化―酪農学園大学が確認
 ペットの癒やし効果は確かにある。酪農学園大学獣医学部獣医学科に所属する本岡正彦氏のグループが行った研究で、高齢者が犬と過ごすと副交感神経が活性化されることがわかった。
 自律神経のひとつである副交感神経が働くと、心拍数が低下して体がリラックスした状態になる。本岡氏は、「ペットによって高齢者のストレスを緩和できれば、様々な疾患の予防につながる」と期待する。
 海外では、1980年にFriedmann博士らが、ペットの飼い主は、飼い主でない人よりも、心臓病退院1年後の生存率が高かったという研究報告を発表している。
 その後、ペットの飼い主の方が飼い主でない人よりも、血圧や血液中の中性脂肪値などが低いことも報告されている。
MedWave 2005-5-25
週に3〜5時間のウォーキングは乳癌患者の生存率を向上
 WHOの推算によると、活発な運動は乳癌の発症率を20〜40%減少させる。一方、乳癌診断時の肥満や診断後の体重増加は、生存率を低下させるという報告も多い。米Harvard大学Brigham and Women's病院のMichelle D. Holmes氏らは、週に3〜5時間のウォーキングに相当する運動により、乳癌患者の死亡率が半減することを明らかにし、Journal of American Medical Association(JAMA)誌2005年5月25日号に報告した。
 運動は、卵巣ホルモンの血中レベルを下げる。したがって、運動が乳癌患者の再発や生存率に影響する可能性があるが、この仮説を支持するデータはほとんどなかった。そこでHolmes氏らは、前向き観察研究を行った。  その結果、週に1時間以上のウォーキングに相当する運動をすれば、運動しない場合に比べ乳癌死のリスクは減少し、最大の利益が得られる3〜5時間/週のウォーキングでは死亡率は半減することが明らかになった。
 日本のウォーキング人口は3000万〜4000万人。40代以上の日本人が行う最も一般的な運動がウォーキングだという。乳癌の予防になり、発症後も生存率向上に役立つというのは、喜ばしい。
MedWave 2005-5-30
「がん予防8カ条」 生活習慣改善、数値で指導
 日本人のがん予防に役立つ8項目の指針を、国立がんセンターがん予防・検診研究センターの津金昌一郎予防研究部長らがまとめた。
 指針はまず、禁煙を「がんになる確率を3分の2に減らせる。最も確実ながん予防法」として推奨。吸わない人には、他人の煙を吸い込む受動喫煙の危険性を警告した。
 飲酒は「適度」で、具体的には「日本酒換算で1日1合(ビールで大瓶1本)以内」。
 食事では、野菜・果物を1日に少なくとも400グラム取るようにする。胃がんのリスクとなる可能性が高い塩分の摂取は1日10グラム未満にして、熱い飲食物も最小限にするよう求めた。
 また、毎日合計60分程度の歩行など適度な運動と、週に1回程度は汗をかく激しい運動が必要で、成人期での体重を維持する。肝臓がんの予防としては、B型やC型の肝炎ウイルスの感染に注意し、感染者は治療することが重要とした。
m3.com 2005-6-6
インフルエンザ抗体増やす スプレーワクチン開発へ
 人の肺にある脂肪とタンパク質の特定の複合体に、インフルエンザウイルスへの抗体をつくるのを強める働きがあることを木戸博徳島大教授(応用分子酵素学)らが見つけ、3日発表した。
 ワクチンとともに鼻の粘膜に投与すると、ウイルスの感染を効果的に防ぐことをマウスの実験で確認。スプレーによる粘膜ワクチンとして臨床応用を目指している。
 木戸教授らによると、この物質は「生体板状抗原ビークル」。ウイルスを認識し、抗体をつくるよう伝える抗原提示細胞の働きを強めることを突き止めた。
m3.com 2005-6-6
妊婦ダイエット、子は肥満 マウス実験で確認、京都大
 妊娠中に母親の栄養が不十分だと、子どもが成長後に肥満になりやすいことを、藤井信吾京都大教授(産婦人科)と由良茂夫助手らがマウスの実験で確かめ発表した。
 由良助手らは、妊娠後半期のマウスの栄養を約30%減らしたところ、生まれたマウスの体重は通常に比べ17%少なかった。急速に発育し間もなく通常と同じまで体重は増えたが、糖尿病に近い状態になった。
 その後成長期に高脂肪の餌を与えると肥満になり、食欲を抑えエネルギーを消費する働きのあるレプチンというホルモンを投与しても食べる量は減らず、エネルギーを体内にため込んだ。体重は正常なマウスより約15%多くなった。
 由良助手は「人間も小さく生まれた子どもは肥満になりやすく、同じメカニズムだろう。ダイエットで低体重児が増えているが、妊娠中の栄養は無理に抑えるべきではない」と話している。
m3.com 2005-6-8
ウイスキー中に尿酸生成抑制成分を発見
 サントリーは、静岡県立大学と聖マリアンナ医科大学との共同研究で、ウイスキー中のオーク樽由来成分が尿酸生成抑制をすることがわかった。オーク樽由来成分の一つはエグラ酸で、これはオーク樽による貯蔵年数と比例してウイスキー中に増えていくという。
 研究では、(1)健康な人が適量飲酒をした場合の尿酸値の変化を見る、(2)プリン体高含有食品を摂取し血清尿酸値が高い状態での飲酒の影響を見る、(3)尿酸排出促進成分の単離と構造決定――の3つが行われた。
 (1)では、ビール飲用時には血清尿酸値が13.6%、血糖値26.7%、インスリン値が5.1倍に上昇したが、蒸留酒である焼酎とウイスキーの飲用時にはこれらの指標に変動はなかったという。
 (2)では、焼酎や水の飲用時に比べ、ウイスキー飲用時では血清尿酸値が抑えられた。また、飲用後1時間までの尿中への尿酸排出量を比較した結果、ウイスキー飲用時の方が焼酎飲用時に比べて約27%排出量が高かった。これにより、尿酸排出促進作用はオーク樽による長期熟成によって得られる成分が関与していることが示唆された。
 (3)では、貯蔵年数の異なるウイスキーと焼酎で、試験管中でプリン体から尿酸を作るキサンチン酸化酵素の働きを阻害する活性を見た。その結果、焼酎では酵素の阻害活性がほとんどなかった一方、ウイスキーでは貯蔵年数が長くなるほど酵素阻害活性が高くなった。このキサンチン酸化酵素阻害活性成分の単離と構造決定を行った結果、その一つがポリフェノール類の一種であるエグラ酸であることがわかった。
MedWave 2005-6-9
免疫抑制剤なくても生存 順天大がサルで腎移植実験
 腎臓移植の拒絶反応を免疫抑制剤を使わずに防ぐことに奥村康順天堂大教授(免疫学)らのチームがアカゲザルを使った実験で成功した。将来、医療現場でも使えれば、患者の負担を大幅に軽減できる。
 臓器移植を受けた患者は、自分の体が臓器を異物として攻撃しないよう、免疫抑制剤を一生飲み続ける必要があり、感染症やがんにかかる危険が増える。今回の方法は、移植した臓器に対する免疫反応だけを弱めるとみられ、実用化に期待がかかりそうだ。
m3.com 2005-6-13
菌類でマラリア対策 英の研究者らが発表
 アジアやアフリカで今も多くの犠牲者を出しているマラリア対策に、ある種の菌類が効果的だとする研究結果を英国エディンバラ大などの研究者らがまとめ、9日発表した。
 効果が確認されたのは昆虫が感染すると体を硬化させて死んでしまう「白きょう病」の原因となる菌類。マラリア原虫を運ぶ蚊が感染すると、蚊の吸血活動が鈍る上、2週間程度で死ぬ。通常、蚊の腹中に入ったマラリア原虫が蚊の唾液(だえき)に達するのには2週間程度かかるため、ヒトへの感染前に蚊が死ぬことになる。
 この菌は人体に無害なことが分かっており、殺虫剤のDDTのように蚊に耐性を持たせることもないため、安全なマラリア対策に利用できる可能性が高いという。同大などはマラリアが発生する地域で、木や建物などに菌を噴霧して蚊に感染させる方法などを研究している。
m3.com 2005-6-13
オリンパスが開発中のカプセル内視鏡動画を本邦初公開 さざめく小腸絨毛映し出す鮮明画像に期待高まる
 内視鏡検査といえば、痛みやむかつきなどが避けられないつらい検査。このため、カプセル型の小さな内視鏡を、錠剤のように口から飲み込み、半日ほど普通に過ごすだけで検査が済む「カプセル内視鏡」への関心が高まっている。5月末開催の第69回日本消化器内視鏡学会総会で、国産初のカプセル内視鏡画像が国内では初めて公開された。
 カプセル内視鏡は、2001年に欧州諸国や米国で相次いで認可され、昨年末までに世界で約15万件もの使用実績がある。既に世界各国で広く行われている検査と言える。一方、日本では、2施設での臨床試験が2003年に終了し、医療用具としての承認を待っている段階だ。
MedWave 2005-6-13
たばこで老化、DNAまで 1日1箱40年で7・4年分
 喫煙者はたばこを吸わない人に比べ、細胞のDNAレベルでも老化が早い-。ロンドンのセントトーマス病院など英米チームがこんな研究結果を19日までにまとめ、英医学誌ランセットに発表した。
 試算では、1日1箱を40年間吸い続けると、吸わない人に比べ細胞が7.4年分、余計に歳をとることになるという。
 研究対象は18-72歳の女性1100人余り。白血球の核DNAにある「テロメア」と呼ばれる部分に着目した。テロメアは、ひも状になったDNAの両端でほつれを防ぐ「キャップ」役を果たしている。細胞分裂の度に少しずつ短くなり、若者より高齢者の方がこの部分が短いため、老化の1つの目安にもされている。
 「喫煙者」「元喫煙者」「非喫煙者」の3グループでテロメアの長さを比べたところ、非喫煙者が最も長く、元喫煙者はやや短縮、喫煙者はさらに短かった。
m3.com 2005-6-20
遅く歩いた方がカロリーを多く燃焼 速度の遅い歩行は肥満の減量に有効
 通常より速度の遅い歩行は、カロリー燃焼と膝障害の回避という点で、肥満男女にとって努力に見合う価値が高いものと思われる。
 遅い速度で歩く肥満者の方が通常の速度で歩く肥満者よりカロリーを多く燃焼することを研究者らは認めた。さらに、時速2マイル(約3.2km/h)という遅い速度で歩くと、時速3マイル(約4.8km/h)で軽快に歩くよりも膝関節にかかる負荷が最大で25%低下するという。
 「つまり、歩行速度を遅くすることによって、肥満者は1マイルあたりの消費カロリーを増やせるとともに、関節炎や関節障害のリスクを低下させることができる」と研究を行ったコロラド大学(ボルダー)統合心理学博士課程の学生であるRay Browningはニュースリリースで述べている。
 速度の遅い歩行は肥満男女がカロリーをより効率的に燃焼させるのに有効と思われるが、心血管系に対する効果という点ではみるべき効果は少ないと研究者らは述べている。したがって、遅いウォーキングに加えて、最適な健康状態を保つための水泳、自転車こぎ、エリプティカル・トレーニングなどの活発で衝撃の少ない活動を行うことを研究者らは推奨している。
m3.com 2005-6-27
線量限度の被ばくで発がん 放射線、少なくてもリスク 米など国際調査で結論
 放射線被ばくは低線量でも発がんリスクがあり、職業上の被ばく線量限度である5年間で100ミリシーベルトの被ばくでも約1%の人が放射線に起因するがんになるとの報告書を、米科学アカデミーが世界の最新データを基に30日までにまとめた。報告書は「被ばくには、これ以下なら安全」と言える量はないと指摘。国際がん研究機関などが日本を含む15カ国の原発作業員を対象にした調査でも、線量限度以内の低線量被ばくで、がん死の危険が高まることが判明した。
 それによると、100ミリシーベルトの被ばくで100人に1人の割合でがんを発症する危険が判明。この線量は、胸部エックス線検査なら1000回分に相当するという。また、100ミリシーベルト以下でもリスクはあると指摘。10ミリシーベルトの被ばくになる全身のエックス線CTを受けると、1000人に1人はがんになる、とした。
m3.com 2005-7-1
睡眠は記憶および学習に有用 睡眠中に脳が新しい技術を記憶し保存する
 あなたが眠っている間に、あなたの脳は次の日に備えてせっせと準備をしている。
 脳がなすべき仕事の一覧表には、新しい技術を記憶し、翌朝、効果的に使用できるようそれらを整理することが含まれる。睡眠をとらなければ、それらの新しい課題を習得するのは困難さを増す可能性がある。
 Beth Israel Deaconess病院(ボストン)の専門家らの研究では、記憶および学習が睡眠によって改善されたことが認められた。それらの知見は『Neuroscience』に掲載されている。
 そのため、乳児、小児およびティーンエイジャーには成人よりも多くの睡眠が必要なのかもしれない。睡眠が脳損傷後の人々の回復を促進する可能性もあると研究者らは述べている。
m3.com 2005-7-5
娯楽活動が認知症に有効 脳血管性で記憶力改善
 体操や風船を使ったバレーボール、ちぎり絵などのレクリエーションによって、脳血管性の認知症(痴呆症)の患者の約3分の1で認知能力、記憶力が改善したと、国立長寿医療センター(愛知県大府市)の長屋政博(ながや・まさひろ)リハビリテーション科医長らが5日発表した。
 アルツハイマー型の認知症では改善しなかったが、脳血管障害が原因で起きる脳血管性を中心に、認知症患者の15%以上に効果が期待できそうという。レクリエーションが認知症予防に有効との報告はあるが、治療で効果を確認したのは初めてとしている。
m3.com 2005-7-6
1日に6〜7杯のコーヒーで2型糖尿病リスクが3分の2に、メタ分析で明らかに
 最近、コーヒーが健康に好影響を与えるとする研究結果が相次いで発表され、注目を集めている。オランダAmsterdam自由大学のRob M. van Dam氏らは、コーヒー摂取と2型糖尿病リスクの関係を調べる系統的レビューを行い、1日にドリップ式コーヒー6〜7杯でリスクが35%減少することを示した。
 コーヒーには、グルコース代謝との関係が明らかになっている成分が複数含まれている。コーヒー摂取が2型糖尿病リスク低下をもたらすという報告も増えていた。
 著者たちは、なぜ糖尿病リスクが下がるのかについて考察している。In vitroでは、コーヒーの抗酸化作用が証明されている。また、コーヒーに含まれるクロロゲン酸の血糖値低減効果がラットで示されている。さらに、その分解産物であるキニドはラットのインスリン感受性を高める。クロロゲン酸は、コーヒーの抗酸化作用を担うとともに、金属キレート剤としての作用も持つ上、小腸でのグルコース吸収を競合的に阻害する。こうした作用が、食後の血糖値上昇を防いでいる可能性がある。また、マグネシウムの含有量が高いことがインスリン感受性とインスリン分泌によい影響を与えるとも考えられるという。
 著者たちは、2型糖尿病の予防にコーヒーの日常的な摂取を推奨するには時機尚早という。が、今後、長期的な介入試験でその作用機序や、より有効な飲み方が明らかになれば、予防的摂取も現実的になると考えている。
MedWave 2005-7-8
運転中の通話、ハンズフリーでも事故リスクは3.8倍
 交通事故の増加を防ぐため、運転中の携帯電話使用については、手持ち通話を禁止している国が多い。オーストラリアで、実際に事故を起こして病院で手当を受けた運転者を対象に調査研究で、携帯電話の手持ち使用では事故リスクが4.9倍、ハンズフリーでも3.8倍になることが明らかになった。豪Sydney大学のSuzanne P McEvoy氏らが、British Medical Journal誌電子版に2005年7月12日に報告した。
 運転中の通話の危険性を調べた研究の多くは、少数のボランティアを対象としたシミュレーションなど、実験的な条件で行われている。得られた結果は、通話による運転能力の低下を示した。能力の低下は注意散漫から来ており、ハンズフリー通話でも注意が散漫になることは示されている。
 しかし、自分の車を公道で運転するドライバーを対象とする研究は少ない。また、事故時の携帯電話の使用の有無に関する確実な情報を得ることは難しい。そこで研究者らは、運転者自身が治療を必要とするけがを負うレベルの交通事故と、運転中の通話の関係を調べるケース・クロスオーバー研究を行った。
MedWave 2005-7-15
皮脂の酸化が脱毛を引き起こす ライオンが世界で初めて解明
 ライオンは7月12日、皮脂の酸化が脱毛を引き起こすこと、この皮脂の酸化による脱毛が、抗酸化効果のある薬剤「ピロクトンオラミン」と抗炎症効果のある「β−グリチルレチン酸」を同時に塗布することで防げることの2点を世界で初めて明らかにしたと発表した。
 この発見は、同社のビューティケア研究所と生物科学センターが、マウスを使った実験で確認した。マウスの背中に、過酸化物質の「過酸化水素」と「リノレン酸過酸化物」を5日間塗布したところ、毛胞の細胞が約9割死滅し、脱毛が誘発されることを確認した。
 次に、マウスに過酸化物質を塗布する際、抗炎症剤のβ−グリチルレチン酸を塗布したが、毛胞の細胞の死滅を防ぐことができなかった。しかし、抗酸化物質のピロクトンオラミンを塗布したところ、細胞の死滅を防止することが見出された。さらにβ−グリチルレチン酸をとピロクトンオラミンの両方を塗布すると、細胞死滅の防止効果がさらに高まることが分かった。
MedWave 2005-7-15
肥満に伴う高血糖を改善 理想の薬に?タンパク発見
 インスリンの働きを強めて血糖値を下げる作用があり、肥満の場合だけ多くできるタンパク質を和田淳岡山大講師(腎・免疫・内分泌代謝内科学)らが見つけ、米科学アカデミー紀要に19日、発表した。
 このタンパク質は内臓脂肪でつくられており、内臓脂肪蓄積による生活習慣病「メタボリックシンドローム」の解明や、糖尿病治療薬開発に役立つのではないかという。
 肥満マウスでは、インスリンの効きを悪くする酵素が増えているとみられ、今回見つけたタンパク質はこの酵素の働きを阻害し、インスリンが正常に働くようにしていると考えられるという。
m3.com 2005-7-19
ディーゼル毒性の正体解明 農薬との関連も判明 環境研、長年の謎に答え
 ディーゼル車から出る粒子(DEP)に含まれ、血圧低下や心拍の異常などを引き起こす化学物質の正体が、ニトロフェノール類と呼ばれる物質であることを、国立環境研究所、北海道医療大、東京農工大などの共同研究グループが21日までに突き止めた。
 このうちの1つは、3-メチル-4-ニトロフェノール(PNMC)で、日本など各国で広く使われている有機リン系のフェニトロチオンなどの農薬が分解されることによっても発生。日本の大気中などからも広く検出される物質だった。
 ニトロフェノール類が女性ホルモンに似た働きを持つことも確認され、今後、ディーゼル車や農薬使用に対する規制強化を求める声が高まりそうだ。
 DEPが、生物の循環機能や生殖機能に悪影響を及ぼすことなどは分かっていたが、その正体は長い間の謎だった。
m3.com 2005-7-21
血中脂質に対する効果は運動より遺伝子が勝る可能性 運動量にかかわらず、遺伝子が高脂肪食の影響を決定
 一部の人たちにとっては、ジムで時間を過ごしてもソファで時間を過ごしても、コレステロール濃度にはほとんど影響がない場合がある。
 一卵性双生児の新しい研究では、身体運動量にかかわらず、食事中の脂肪に対する感受性には遺伝子が大きな役割を果たしていることが示唆されている。
 あまり動かない生活をして高脂肪食を食べても動脈に血栓ができない人もいる一方で、規則的に運動を行ってもコレステロール濃度が高い人もいるということの理由がこの知見によって説明される可能性がある、と研究者らは述べている。
 心疾患のリスクは低密度リポタンパク(LDL)コレステロール濃度の上昇とともに上昇し、高密度リポタンパク(HDL)コレステロール濃度の上昇とともに低下する。
 健康的な低脂肪食を摂り、規則的に運動をすれば、大多数の人たちは健康的なコレステロール濃度を維持できる。しかし、なかには、カウチポテト族であるかマラソンランナーであるかにかかわらず、食事中のコレステロールに感受性が高いか抵抗性が高いかを先天的に決める遺伝子を持って生まれる人がいる可能性を示す結果が得られたと研究者らは述べている。
m3.com 2005-7-25
「吸い込むインスリン」治療を実現する経肺投与システム インクジェットプリンター技術を応用、キヤノンが開発
 キヤノンは、同社のインクジェットプリンターに採用している「バブルジェット」技術を応用した手のひらサイズの経肺投与システムを開発した。他社との連携に向け検討を進めている段階だという。インスリンなど様々なたんぱく質医薬品は、患者の負担軽減などのメリットがあるため、開発競争が激しさを増している。印刷で培った技術を活用したキヤノンのシステムが、どの程度優位性を示していくか、今後が注目される。
 キヤノンが開発したシステムは薬液をカートリッジに詰めて、バブルジェット技術で霧化して吸入するもの。カートリッジには吐出ヘッドがついていて、微小なヒーターで薬液を加熱して発泡させ、その圧力を利用して液滴を吐出する仕組みだ。バブルジェット技術は加熱操作を伴うが、生体に利用経験のある物質を添加剤として利用することで、変性、凝集、沈殿することなく治療用たんぱく質の投与にも利用できる。
 ラットにインスリンを投与して血糖値の変動を見る実験を行ったところ、開発したシステムで投与すると、皮内に投与した場合と同様の変動を示し、インスリンが作用していることを確認できた。また、幅広い分子量のたんぱく質の放出ができるという。
MedWave 2005-7-25
お気に入りの音楽が鎮静薬に
 エール大学麻酔科のZeev Kain教授らは,手術中に患者に好みの音楽を聴かせると,ホワイトノイズや手術室の雑音が耳に入る場合に比べ,鎮静薬の投与量を減らせると発表した。
 筆頭研究者のKain教授は「過去の研究では,脊椎麻酔下で手術を受けている患者に音楽を聴かせると,術中の鎮静薬の投与量が低減できることが示されたが,それが音楽を聴くことによるものなのか,それとも手術室のノイズが聞こえなくなるためなのかを確かめたかった」と述べている。
 同教授は「手術中に聴かせる音楽には,補助鎮静作用があることを医師も患者も銘記しておくとよい」と述べている。
Medical Tribune 2005-7-28
運動中にトマトジュースで疲れ知らず カゴメと国際医療福祉大が疲労軽減効果を発表
 カゴメ総合研究所と国際医療福祉大学は、運動の合間にトマトジュースを飲むと、筋肉中に疲労物質の乳酸がたまりにくくなり、運動後の疲労を軽減させられる可能性があることを発見。
 実験は、健康な成人10人に、30分の運動、60分の休憩、30分の運動、60分の休憩をとってもらった。運動は心拍数が130程度になる程度の強度で、自転車エルゴメーターを用いた。初めの休憩の時にトマトジュース、水、またはクエン酸を加えた糖液のいずれか320mLを取ってもらった。クエン酸+糖液の濃度はトマトジュースに含まれるクエン酸と糖の濃度と同じにした。
 血液中の乳酸は、最初の休憩の時、2回目の運動が終わった直後、その30分後、さらにその30分後に計測した。また、運動終了後に主観による調査を行った。
 その結果、2回目の運動直後の乳酸値の上がり方は、トマトジュース、クエン酸+糖液、水の順に低く、回復もその順に早かった。主観による調査ではトマトジュース飲用群では水飲用群に対し、有意に疲労感が少ない結果となった。
MedWave 2005-8-8
ビールに放射線防護効果 染色体異常を40%軽減 放医研と東京理科大が確認
 放射線医学総合研究所は11日、ビールに含まれる「メラトニン」などの成分に、放射線による染色体異常を最大で40%近く減らす効果があることが分かった、と発表した。
 同研究所によると「チェルノブイリ原発事故で、被ばく者の放射線障害がアルコール飲料で軽減された」との報告は過去にあったが、放射線防護効果があるビールの成分を特定したのは初めて。将来は、放射線治療に伴う副作用軽減への応用などが期待できる。
 研究グループが、ビール大瓶1本(約630ミリリットル)を飲んだ被験者の血液細胞に治療に使う1-6グレイの放射線を照射したところ、飲酒前に比べて異常を起こした細胞の染色体数が最大40%近く減った。
m3.com 2005-8-12