広葉樹(白)   

ホ−ム > 医学トピックス > バックナンバ−メニュ− > 2005年2月−4月


2005年2月-2005年4月文献タイトル
抗酸化サプリメントで男性の全癌罹患率低下 野菜や果物の有効性を再確認
ストレスは皮膚癌の発症早める
喫煙と膵癌の早期発症に強い関連 非喫煙者より10年早く発症
コーヒーでありふれた癌を予防できる可能性
一般男性の6割、女性の4割が耐糖能異常、久山町研究の最新成果、「糖尿病学の進歩」学会で発表
携帯電話を介した創傷治療に関する皮膚科との相談は実行可能とみられる
笑いは血管にも好影響 米研究チーム発表
高食物繊維食が高血圧を撃退する可能性
サツマイモに眼病予防効果 葉に多量のルテイン含有
笑いが食後血糖値を抑制 漫才で実験、遺伝子関与か
ファストフードが肥満とインスリン抵抗性を助長
日焼けサロンは18歳未満禁に 皮膚がん増えるとWHO
がん細胞を確実に死滅 東北大が発熱針開発
ブラックチョコレートでインスリン感受性/抵抗性と血圧が改善
過去の喫煙も現在の喫煙もメタボリックシンドロームの危険因子
喫煙者は非喫煙者より自殺について考えやすい可能性
教育は高齢者の知力を活動的かつ鋭敏に維持する 長期間の教育は年齢による記憶力低下を防ぐ可能性
正常蛋白質食に含まれるカルシウムで、糞便への脂肪とエネルギーの排泄量が増大する
うつ病に中等度の有酸素運動が有用
アルコール摂取は母乳哺育に有効ではない
高周波アブレーションは手術の適応とならない肺癌に有効
C型肝炎の母子感染12% 危険性ある妊婦は検査を
水の飲みすぎは危険? マラソンで研究結果発表
肥満は生後8日で決まる? 米調査、急な体重増は危険
喫煙者の半数、禁煙試みた 男性4・6回女性3・6回
ノートPCも男性不妊リスク
糖尿病患者に適量のビールかワインを
中年男性3割が上半身肥満 20代女性、やせ4人に1人 03年国民健康・栄養調査
体重減量によって痛風のリスクが低下
早期乳癌診断後の絶望感、やっぱり無再発生存率を下げる

抗酸化サプリメントで男性の全癌罹患率低下 野菜や果物の有効性を再確認
 仏国立衛生医学研究所(パリ)のServe Hercberg博士らは,フランス人成人 1 万3,107例を対象とした試験で低用量抗酸化サプリメントが男性の全癌リスクを減少させることを発表。この結果は,野菜や果物の多量摂取の有効性を再確認するものだと結論している。
 Hercberg博士らは「低用量抗酸化サプリメントを摂取してから7.5年後,男性の全癌罹患率と全死亡率が低下したが,女性では低下しなかった。抗酸化サプリメントが男性だけに有効であるのは,一部の抗酸化物質,特にβカロチンの血中濃度が試験前に男性では低かったからである」と説明している。
 投与された抗酸化物質の量は,野菜や果物を含む健康的な食事で摂取可能な量であった。同博士らはサプリメント群に抗酸化サプリメントのカプセルを投与したが,野菜や果物の豊富な食事についても報告。「バランスの取れた適切な抗酸化栄養素を豊富に含む野菜や果物で取れる量だけ補充すれば,男性では癌の予防効果が認められることが示唆された。したがって,男性では抗酸化物質の補充による血中抗酸化物質濃度の改善が癌予防になることが証明された。このことは,果物や野菜を摂取することの有効性に関する前向き観察研究の結果を確認するものだ。生涯にわたって抗酸化物質が豊富な食品を食事で取るのがよいと一般的に勧められているが,今回の研究でこの勧告が強化されるだろう」と述べている。
 Hercberg博士らは,この試験を「われわれの知る限り,初めて先進国で実施,報告された男女対象の低用量抗酸化物質による 1 次予防試験」と評価している。
 しかし,抗酸化サプリメントの有効性が男性のみに認められたのは,治療前での栄養摂取量や一部の抗酸化物質,特にβカロチンの濃度が女性より男性で低かったからであると示唆しており,これまでの複数の試験でも,女性は男性に比べて抗酸化物質濃度が高いことが証明されている。
 同博士らは「治療前の血清βカロチン濃度と癌リスクの逆相関関係は,多くの観察研究で指摘されている。この逆相関関係がプラセボ群の男性で見られ,女性で見られなかったのは,男性の治療前のβカロチン濃度が低いからである。サプリメント服用7.5年後,男性の血清βカロチン濃度はプラセボ群の女性と同濃度に達した。サプリメントの癌罹患率抑制効果は(われわれの試験の男性のように),抗酸化物質濃度が至適値以下の人で,十分量の抗酸化物質の摂取により抗酸化物質濃度を正常化しうることと関係すると思われる」と述べている。
Medical Tribune 2005-2-17
ストレスは皮膚癌の発症早める
 ジョンズホプキンス大学皮膚科学のFrancisco Tausk准教授らは,マウスにおいてストレスで皮膚癌の発症が早まる可能性があることを確認し,「慢性ストレスは皮膚癌リスクの高い患者の発症を早める可能性がある」と発表した。研究では,ストレスの多い条件や癌の原因となる紫外線に曝露されたマウスは,非ストレスマウスの半分以下の期間で皮膚癌を発症することが示された。
 研究責任者のTausk准教授は「マウスで認めたことがヒトにも該当するとすれば,ヨガや瞑想などのストレス緩和プログラムは,皮膚癌リスクの高い患者の健康状態を維持するのに有用であろう」と説明。「慢性ストレスが免疫系を低下させたり健康面にさまざまな影響を及ぼす負の効果を示す多数の証拠は存在するが,確固とした治療手段を得るには,ストレッサーが皮膚癌の発症に影響を及ぼす機序をよく理解することが必要だ」と述べている。
Medical Tribune 2005-2-17
喫煙と膵癌の早期発症に強い関連 非喫煙者より10年早く発症
 ノースウェスタン大学フェインバーグ医学部(イリノイ州)のRandall Brand准教授らは,膵癌患者 1 万8,346例の医療記録を解析した結果,喫煙者は非喫煙者よりも10年早く膵癌を発症すると発表した。同准教授は「今回の解析結果から,喫煙は膵臓における発癌と進行を促進する因子であることが強く示唆された」と述べた。
 同准教授は「われわれの知る限り,今回の結果は喫煙が膵臓における腫瘍形成に早い段階からかかわっていることを明確に示したエビデンスとしては初めてのものである。この結果は,喫煙の回避や禁煙の追い風になるだろう」と述べた。
Medical Tribune 2005-2-17
コーヒーでありふれた癌を予防できる可能性
 最近の研究では日常的なコーヒーの飲用で糖尿病やパーキンソン病といった疾患発生のリスクが小さくなる可能性が指摘されているが、日常的なコーヒーの飲用でありふれた2種類の癌が予防できる可能性があるという研究が発表された。これはコーヒー無しの日を過ごすなど一日たりとも考えられないおよそ一億人の米国人にとって非常に良いニュースである。
 このコーヒー飲用が癌リスクに及ぼす影響を調べた最新の研究2件は別々のものであり、『Journal of the National Cancer Institute』2月16日号に発表された。
 日本の研究者によれば、定期的にコーヒーを飲む人の肝癌の発生率が、まったく飲まない人のおよそ半分であることが判った。また、ハーバード大学公衆衛生学部の研究によれば、カフェイン抜きのコーヒーも結腸直腸癌に対して変わらない効果がある。
m3.com 2005-2-24
一般男性の6割、女性の4割が耐糖能異常、久山町研究の最新成果、「糖尿病学の進歩」学会で発表
 一般住民における耐糖能異常者の割合が年々増えており、最近では男性の6割、女性の4割を占めることが、久山町研究の最新の解析結果から判明した。「糖尿病学の進歩」学会で2月18日に行われたセッション「EBMから見た糖尿病における心血管疾患予防の重要性」の中で、九州大学病院第二内科講師の清原裕氏が発表した。
 久山町研究は、福岡県糟屋郡久山町において40歳以上の全住民を対象に、1961年から継続して行われている前向きの追跡研究。住民健診の結果を基に、心血管病(脳卒中や虚血性心疾患など)とその危険因子に関する疫学調査を行っている。久山町町民の性別や年齢構成などは日本の平均的な水準。人口移動が少なく、健診受診率は85%以上、追跡率は99%以上と極めて高いことなどから、本研究の信頼性が裏付けられる。
 その結果から清原氏は、「最近では、降圧薬治療が普及して高血圧が十分管理されるようになった。心血管病に対する高血圧の影響が大幅に減弱する一方、肥満や高脂血症などの代謝性疾患、特に耐糖能異常の影響が増大しているものと考えられる」と分析した。
MedWave 2005-2-24
携帯電話を介した創傷治療に関する皮膚科との相談は実行可能とみられる
 皮膚科医は携帯電話を介して創傷治療に関する相談を受けることができるかもしれないという実行可能性試験の結果が『Archives of Dermatology』2月号に掲載されている。
 「下腿潰瘍は医療システムにおける重要なコスト要因である」とジュネーブ大学病院(スイス)のRalph Peter Braun, MDらは記述している。「遠隔医療による創傷治療相談は治療の質を改善し、費用削減に役立つ可能性があることが示されている」
 3名の医師が、61例の下腿潰瘍の上皮形成、フィブリン、壊死、中央部および正常境界部の肉芽組織、紅斑、チアノーゼ、湿疹、周辺部の色素沈着亢進について個別に評価した。1名の医師による対面での相談結果を標準とし、他の2名の医師が新世代のカメラ付き携帯電話を用いて遠隔評価を実施した。携帯電話で得られた画像はe-mailを介して速やかに送信された。
 Cohenのκ統計量から、遠隔評価と対面評価との一致は非常に良好であり、κ値は最高0.94であることが明らかになった。画質は36例(59%)で良好、12例(20%)で非常に良好と考えられた。50例(82%)では、皮膚科医は画像に基づく診断を快適と感じた。
 「本試験は第一世代の携帯電話を用いて実施したが、われわれはこのような遠隔創傷治療相談の実施可能性を証明できた」と著者らは記述している。「われわれは、この種の遠隔相談によって、下腿潰瘍に関連した多くの問題が解決できるという印象を受けた。病院または医師の診療所への患者の搬送に取って代わり、この方法は医療システム費用を節約することが可能かもしれない」。
m3.com 2005-2-25
笑いは血管にも好影響 米研究チーム発表
 お笑い映画を見て思い切り笑うと血管が広がり、血液の流れがよくなることが分かったと、米メリーランド大の研究チームが7日発表した。研究者らは「週3回の運動と毎日15分間の笑いを」と勧めている。
 健康な男女20人にお笑い映画と戦争映画を見せ、それぞれの映画の前後に超音波で血流を測定。お笑い映画を見た後では20人中19人で血管が拡張、血流が平均で22%増えていたが、戦争映画の後では14人の血流が平均35%減っていた。
 笑いの効用については「免疫を高める」「ストレス関連物質を減らす」などの報告はあったが、血管への影響が分かったのは初めてだという。
m3.com 2005-3-8
高食物繊維食が高血圧を撃退する可能性
 食物繊維の摂取増加が血圧の抑制に有用な可能性を示す新しい研究結果が報告された。
 研究者らは、血圧に対する食物繊維の影響を検討した研究25件の結果を記録・計算し、血圧高値または高血圧の被験者群において、高食物繊維食の摂取に伴い血圧値が有意に低下したことを確認した。
 食物繊維の増加による血圧への影響を扱った初めての包括的報告が今回の知見である、と研究者らは述べている。また、本知見は、大規模な被験者集団を対象に、血圧に対する食物繊維の長期的影響をさらに研究する正当性を示すものである、とも述べている。
m3.com 2005-3-9
サツマイモに眼病予防効果 葉に多量のルテイン含有
 サツマイモの葉に、カロテノイドの一種で眼病予防効果があるとされるルテインが多量に含まれていることを、九州沖縄農業研究センター(熊本県)が初めて確認し、14日発表した。
 同センターによると、葉を食用とするために改良したサツマイモの一品種「すいおう」の葉には、100グラム当たり約20ミリグラムのルテインが含有されていた。これは野菜の中で最もルテインを多く含んでいる「青汁」などの原料ケールとほぼ同じで、ホウレンソウの約2倍の量。
 ルテインは、人の目の角膜や水晶体などの組織に存在する成分。加齢とともにルテインが減少すると、白内障などの眼病にかかりやすくなる。1日当たり約6グラム摂取するのが、眼病予防に効果的とされている。
m3.com 2005-3-14
笑いが食後血糖値を抑制 漫才で実験、遺伝子関与か
 食事制限など日常生活でストレスが多い糖尿病患者も、漫才などを見て「わっはっは」と笑えば食後の血糖値上昇が抑えられる-。国際科学振興財団(茨城県つくば市)が17日までに、吉本興業の協力で行った実験の結果をまとめた。
 笑うと発現が増える遺伝子が関与しているとみられるという。
 同財団は昨年12月、2型糖尿病患者23人と、健常者15人を対象に実験。同じメニューの昼食後、1日目は医学教育用ビデオを、2日目は吉本興業所属の「ザ・ぼんち」による漫才を45分間ずつ見てもらい、食前と食事2時間後の血糖値(血液1デシリットル当たり)を比較した。
 糖尿病患者では、ビデオの場合、平均113ミリグラム上がったが、漫才の場合は同89ミリグラムの上昇にとどまった。健常者の場合、ビデオでは同11ミリグラム上昇、漫才では同8ミリグラム減少した。
m3.com 2005-3-14
ファストフードが肥満とインスリン抵抗性を助長
 ファストフードレストランで頻繁に食事を取る若年成人が中年に達すると,体重とインスリン抵抗性がより増加する。この知見は,ミネソタ大学疫学のMark Pereira助教授らが米国立心肺血液研究所の助成を受けて実施した大規模多施設試験で明らかにされたもので、詳細はLancet(2005; 365: 36-42)に発表された。
 ファストフードレストランで週 2 回以上食事をしていた若年成人は15年後,同じく週 1 回未満しか食事をしていなかった若年成人に比べ体重が平均4.5kg増加し,インスリン抵抗性は 2 倍高くなっていた。インスリン抵抗性は 2 型糖尿病の危険因子であり,糖尿病は心血管疾患の主要危険因子である。
Medical Tribune 2005-3-17
日焼けサロンは18歳未満禁に 皮膚がん増えるとWHO
 世界保健機関(WHO)は17日、日焼けサロンなどで使われている紫外線ランプで人工的に日焼けの状態を作ると、皮膚がんになる危険が高まるとして、特に18歳未満の若者は日焼けサロンなどの利用を絶対に避けるよう勧告した。
 WHOによると、日焼けマシンの規格や日焼けサロンの利用に関する規則を定めているのはごく一部の国に限られる。フランスと米カリフォルニア州では18歳未満の日焼けサロン利用を禁じており、WHOは各国が同様の規制を導入し、日焼けマシンを利用する際には必ず専門家が立ち会うようにするべきだと訴えている。
m3.com 2005-3-18
がん細胞を確実に死滅 東北大が発熱針開発
 東北大工学部の松木英敏教授らの研究グループは22日、針を腫瘍に埋め込み、がん細胞だけを加熱、壊死させる新たな温熱療法の開発に成功したと発表した。微量の電磁波でがん細胞だけを効率的に死滅させることができるのが特徴。5年以内の実用化を目指す。
 がん細胞は正常組織に比べて熱に弱く、温熱療法はがん細胞を45度以上に熱して壊死させる。腫瘍両側に電極を刺してマイクロ波を流したり、電磁波装置で全身を加熱する方法があるが、腫瘍全体に熱が届かずがん細胞が残ったり、逆に患者の体温が異常に上がるなどの問題があった。
 松木教授らは粒子状の酸化鉄にニッケル、銅、亜鉛を混ぜて棒状に固め、外側に金を巻き付けた針を開発。これを腫瘍に埋め込み、体の外に置いたコイルから電磁波を発生させると針が発熱する仕組み。針を媒体とすることで電磁波が従来の方法より微量で済むようになった。また、金属の混合率を変えると90度、70度など温度を一定に保てるのも特徴。
 がん細胞を移植したマウスに太さ1平方ミリメートル、長さ1センチの針を差し込んで70度で約10分熱する実験では、正常細胞との境界約1ミリを残し、約5ミリ四方まで壊死したという。
m3.com 2005-3-23
ブラックチョコレートでインスリン感受性/抵抗性と血圧が改善
 ブラックチョコレートではインスリン感受性と抵抗性が改善され血圧が低下するが、ホワイトチョコレートにはそのような効果がないというランダム化試験の結果が、『American Journal of Clinical Nutrition』3月号に発表された。
 「フラバノール類は、その抗酸化能力と一酸化窒素のバイオアベイラビリティを高めることにより、顕著な血管保護作用を発揮することが数多くの研究で示されている」と、アクイラ大学 (イタリア)のDavide Grassi氏らが記している。「次に、一酸化窒素のバイオアベイラビリティはインスリン刺激による糖取り込みと血管緊張に大きな影響を与える。このようにフラバノール類には、正の代謝作用と血圧に対する効果もある」。
 この試験の制限としては、ブラックチョコレートによるインスリン感受性の変化が、一酸化窒素のアベイラビリティが増大した結果かどうかの判定ができていない点と、ブラックチョコレートバーには含まれていてホワイトチョコレートバーには含まれていないその他の物質による関与を、完全に排除することができていない点が挙げられる。
 「ホワイトチョコレートでなくブラックチョコレートは、健常者において血圧を低下させ、インスリン感受性を向上させる」と著者らは記述している。「今回の知見は、ブラックチョコレートが、インスリン感受性を向上させることによっても、血管内皮に対して保護的作用を発揮する可能性を示したものである。大規模試験を実施して、本態性高血圧や肥満といったインスリン抵抗性の条件が悪い集団においてブラックチョコレートを始めとするフラバノール含有食品がこうした保護的作用を発揮するかどうかを確認する必要がある」。
m3.com 2005-3-23
過去の喫煙も現在の喫煙もメタボリックシンドロームの危険因子
 過去の喫煙も現在の喫煙もメタボリックシンドロームの危険因子であることが報告された。三井記念病院の石坂裕子氏らが3月21日の日本循環器学会2005ポスターセッションで発表した。
 石坂氏らの研究グループは、喫煙がメタボリックシンドロームのリスクをどの程度増大させるのか、などを調べるため今回の検討を行った。
 対象は、1994年から2003年までの間に三井記念病院総合検診センターを受診し、頚動脈超音波を施行、かつ、喫煙状態についてのアンケートに回答した35歳から65歳の症例。頚動脈プラークは局所的な「内膜−中膜厚」が1.3mm以上と定義した。
 解析の結果、過去の喫煙も現在の喫煙もメタボリックシンドロームの独立した危険因子であることが分かった。また、禁煙することでメタボリックシンドロームのリスクは減少したが、5年以上の禁煙期間を経ても、非喫煙群に比べると、メタボリックシンドロームのリスクは依然として高いままだった。
MedWave 2005-3-23
喫煙者は非喫煙者より自殺について考えやすい可能性
 喫煙者は非喫煙者より自殺について考えることが多いと10年にわたる研究が示唆している。
 タバコの煙の雲に囲まれている人は自らの人生の終わりについて考える割合が非喫煙者より82%高い。
 ここで朗報なのは、喫煙を止めれば、煙の雲だけでなく、自殺という憂鬱な気分の雲も晴れるらしいという点である。過去に喫煙していた人が非喫煙者よりも自殺念慮にとりつかれやすいということはない。
 この知見はミシガン州立大学の研究者Naomi Breslau, PhDらによるものであり、『Archives of General Psychiatry』3月号に発表されている。
m3.com 2005-3-28
教育は高齢者の知力を活動的かつ鋭敏に維持する 長期間の教育は年齢による記憶力低下を防ぐ可能性
 長期間の教育は卒業後長い年月が経ってからでも報われる可能性がある。受けた教育期間が長ければ長いほど、高齢になってもより活動的な知力が保たれる可能性があることが新しい研究により示されている。
 高齢成人と若年成人とでは、記憶タスクの作業時の脳の活動のパターンと教育水準との関係が反対である、と同研究は示している。例えば、記憶タスクを行う場合に、高学歴の高齢成人と低学歴の若年成人では前頭葉領域(前額直下の脳部位)の活動がより多く用いられるが、低学歴の高齢者と高学歴の若年成人では側頭葉のみにより多く依存している。前頭葉は問題解決、記憶力、言語のほか、言葉や絵を分類するのに有用な、記憶入力の体系化に関与している。
 長期間の教育により高齢者では脳における効率的な「予備力動員」が可能になることが研究結果により示された、と研究者らは述べる。課題の解決に前頭葉の助けを借りることは高学歴の高齢者が年齢による記憶機能低下を補うために使用する脳の代替ネットワークである可能性があることをこの研究は示している、と研究者らは述べている。
 この知見は、教育が、年齢がすすむと生じる記憶力などのスキルの通常の低下から脳を保護するのに役立つ可能性があることも示している、と研究者らは述べている。
m3.com 2005-3-31
正常蛋白質食に含まれるカルシウムで、糞便への脂肪とエネルギーの排泄量が増大する
 正常蛋白質食とともに摂取されるカルシウムによって、糞便への脂肪とエネルギーの排泄量が増大するというランダム化クロスオーバー試験の結果が、『International Journal of Obesity』4月号に掲載された。この研究者らは、これが高カルシウム食で見られる体重減少の説明のひとつになりうると示唆している。
 「観察研究によって、食事によるカルシウム摂取量と体重との間には負の連関があり、因果関係がある可能性が高いことが示されている」と、デンマーク国立獣医農業大学のR. Jacobsen, MDらが記述している。しかし、その機序については明らかにされていない。
 「食事による正常蛋白質摂取の中で、カルシウム摂取量を短期間増やすと、糞便への脂肪排泄量が増え、エネルギー排泄量が(およそ)350 kJ/日増えた」と著者らは記していおり、今回の観察結果は高カルシウム食で体重が減少することのひとつの説明になりうるとしながら、食事中の蛋白質量との相互作用が重要な意味を持つ可能性を示唆している。
m3.com 2005-4-1
うつ病に中等度の有酸素運動が有用
 テキサス大学サウスウェスタン医療センター精神医学のMadhukar Trivedi教授らが行った研究により,週 3 〜 5 回の中等度の有酸素運動(30〜45分)がうつ病に有用であることがわかった。
 今回の研究は,軽度〜中等度のうつ病患者(20〜45歳)に焦点を当てた最初のものと考えられ,うつ症状がこの運動処方により47%減少することが明らかになった。
 同教授は「多数の効果的なうつ病治療薬が上市されているにもかかわらず,うつ病に関連した社会的不名誉のため多くの人々は治療を望まない。運動療法は広く多くの患者に推奨できる実行可能な代案となるかもしれない」と述べている。
Medical Tribune 2005-4-7
アルコール摂取は母乳哺育に有効ではない
 アルコールは母乳哺育を改善しないということが新しい研究で明らかになった。
 それは民間伝承と正反対である、とモネル化学感覚研究所(フィラデルフィア)の研究者Julie Mennella, PhDは述べている。同博士らは通説を検証し、アルコールは不合格であった。
 1杯のアルコールでしばらくの間、母親の緊張がほぐされる可能性はあるが、母乳の産生には役に立たない、と『Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism』4月号において Mennella博士らは述べている。
 実際のところ、アルコールは母乳の産生を妨げる可能性がある。「授乳を補助するものとしてアルコールを推奨することは逆効果である可能性がある」と、同博士らは記している。
 米国小児科学会は、アルコールは母乳を介して乳児に移行し得るので、授乳中はアルコールを避けるよう勧めている。「飲酒する場合は、授乳の直前ではなく直後に飲むべきである」と、母乳哺育および食事に関する米国小児科学会のウェブページで述べられている。
m3.com 2005-4-11
高周波アブレーションは手術の適応とならない肺癌に有効
 肺癌の小さな病巣に対する高周波アブレーション治療に関する多施設共同試験では、高周波アブレーションは非小細胞肺癌患者において癌特異的2年生存率で91.5%達成したという結果がインターベンショナル・ラジオロジー学会第30回年次集会(ニューオリンズ)で報告された。
 大腸癌の肺転移患者における2年無病生存率は72%であったとPisa大学放射線科(イタリア)准教授のRiccardo Lenconi, MDは述べている。また、同腫瘍の完全切除は186病巣中173病巣で達成され、その奏効率は93%であったとLenconi博士は話している。
「初期の肺癌患者にとっては依然として手術が一次選択治療であるが、手術や標準的放射線治療の候補とならない患者には高周波アブレーションを選択肢と考えるべきである」とLenconi博士は述べている。
 コンピュータ断層撮影(CT)ガイドによる高周波アブレーションは、有意識下鎮静状態にて、150ワットから200ワットの発生器および多数の尖端が傘状に開く電極を用いて実施された。追跡調査は、1カ月時点と3カ月時点、およびその後は3カ月ごとにCT検査を行った。追跡期間の中央値は9カ月間であった。
 高周波アブレーション は総じて忍容性良好であり、手技関連の副作用で最も多かったのは気胸(n=27)であったが、「気胸の発生率はバイオプシーで認められる割合を上回ってはいなかった。気胸は探針の抜去後すぐに判明し、胸腔チューブで対処できた」とLenconi博士は述べている。
 手技関連の死亡はなかった。4例のうち、1例は治療を必要とする胸水、2例は肺炎、1例は無気肺を有した。
m3.com 2005-4-12
C型肝炎の母子感染12% 危険性ある妊婦は検査を
 C型肝炎ウイルスに感染した妊婦から生まれた赤ちゃん460人のうち、55人(12%)がウイルス感染していたとする調査結果を、厚生労働省研究班の白木和夫聖路加看護大教授が12日、同省の専門家会議で報告した。
 研究班は調査結果を基に、輸血、手術歴や、家族に肝臓疾患を持つ人がいるなど、感染リスクがある妊婦は、希望により検査を実施することなどを定めた管理指導指針を作った。
 調査は、福島県立医大や独協医大、鳥取大などで実施。母親から感染しても約30%は3歳ごろまでに血中のウイルスが自然消失することも判明、指導指針で「原則として3歳までは治療を行わない」とした。
 また、普通分娩に比べ予定した帝王切開による出産の方が感染率が低いことも確認されたが、同指針では「母子に与える危険性などを勘案すると、必ずしも適応とは考えられない」とした。
m3.com 2005-4-13
水の飲みすぎは危険? マラソンで研究結果発表
 マラソンのレース中に水分を補給しすぎると、体を壊す危険性があるとする研究結果が13日、米国のニューイングランド医学ジャーナル誌で発表された。
 研究は2002年ボストン・マラソンに出場した488選手を対象に実施され、13%の選手が血液中の塩分が危険な状態の低レベルに落ち込む「低ナトリウム血症」に陥ったとしている。28歳の選手はゴールまで残り6キロで「低ナトリウム血症」のため死亡。それ以来、レース主催者は水分の過剰摂取は危険と出場者に警告している。
 研究グループは「最も危険なのはレース後に体重が増えているような選手」と結論づけ(1)3、4リットルの水分補給(2)スローペース(3)女性(4)肥満度指数が20%以下のやせ形-などの条件を満たす人は可能性が高いという。また今回の研究結果ではどんな種類の水分でも同じとされ、研究者は「一般的に利用されている『スポーツドリンク』でも保護されないと理解することが重要だ」と説明した。
m3.com 2005-4-15
肥満は生後8日で決まる? 米調査、急な体重増は危険
 将来肥満になるかどうかは、生後8日までにどれだけ急激に体重が増えたかと密接に関係していることが分かったと、米ペンシルベニア大などのチームが19日付の米医学誌「サーキュレーション」に発表した。人工栄養で育った米国人を調査した。
 赤ちゃん時代の体重急増が肥満につながる恐れは指摘されていたが、これほど早い時期の重要性が明らかになったのは初めて。チームは「多くの慢性病にかかりやすい体が、生後ごく初期にできてしまう可能性がある」とし、予防策の検討が必要だと話している。
m3.com 2005-4-20
喫煙者の半数、禁煙試みた 男性4・6回女性3・6回
 習慣的にたばこを吸っている人の半数以上は禁煙を試みたことがあり、その回数は男性が平均4.6回、女性は3.6回に上ることが21日、厚生労働省の2003年国民健康・栄養調査の速報値で分かった。
 同日開かれた地域保健健康増進栄養部会で厚労省が報告。「やめたいけど、やめられない」人がいかに多いかを示した。
m3.com 2005-4-21
ノートPCも男性不妊リスク
 アラバマ大学泌尿器科の男性不妊を専門とするPeter N. Kolettis博士は,子供が欲しい男性にとってサウナ,熱い風呂,きつい下着は陰嚢の温度を上昇させるため生殖能力の敵であると警告してきたが,新たに,ノート型パソコンも危険であると注意を促している。
 膝の上にノート型パソコンを置くと陰嚢の温度が上がり不妊の原因になる。ある予備的研究によると,ノート型パソコンは陰嚢の温度を上げるが,その部位の温度が高くなると精子は損傷を受けることが知られている。
 したがって,同博士は「ノート型パソコンを膝の上で使うのであれば,クッションを置いて熱を遮断するかパソコンをテーブルに置くとよい」としている。
Medical Tribune 2005-4-21
糖尿病患者に適量のビールかワインを
 ベルギー・アントワープの糖尿病専門医Ivo De Leeuw教授によると,1 日約500mLのビールを摂取するのが健康によいという。一方,他の研究では,ワイン摂取が血糖値に及ぼす影響は認められなかったが,インスリン感受性の向上と代謝改善が認められた。
 同教授によると,数多くの研究で,適量の飲酒による 2 型糖尿病リスクの低下が証明されたという。さらに,自身の研究でもそのことが示されたため,患者には運動量を増やしてファストフードの摂取を減らすだけでなく,適量のビールを飲むよう勧めているという。
 薬理学的には,ビールに含まれるビタミンとミネラル,特にホップのイソフムロンに予防効果があるのは確かである。さらに,アルコールによりHDLコレステロール(HDL-C)値が上昇し,血管保護につながる。
 ドイツワインアカデミーは,ワインの予防効果を繰り返し強調している。適量のワイン摂取はインスリン感受性を高め,代謝を改善する。同アカデミーのプレスリリースには,多くの研究で,適量のワイン摂取により糖尿病に対するある程度の予防効果が認められたのは驚くべきことではないとある。
Medical Tribune 2005-4-21
中年男性3割が上半身肥満 20代女性、やせ4人に1人 03年国民健康・栄養調査
 ウエストが85センチ以上と太めで、心筋梗塞などになる危険性が高い「上半身肥満」の疑いのある人は、30-60代男性の30%前後を占めることが21日、厚生労働省の2003年国民健康・栄養調査で分かった。20代女性は逆に4人に1人が「やせ」体形で、両極化が進んでいた。
 この調査でウエストサイズまで計ったのは初めてで、同省生活習慣病対策室の担当者は「運動や食事に注意し、健康的な体形づくりを心掛けてほしい」としている。
 身長、体重から算出した「BMI」という体格指標が25以上の「肥満」の人は、平均で男性の27%、女性の21%。日本肥満学会の基準はこうした人のうち、男性はウエスト85センチ以上、女性は90センチ以上を「上半身肥満の疑い」としており、当てはまる男性は全体の25%、女性は14%だった。
 上半身肥満の人は内臓脂肪がたまっている可能性が高く、心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高いとされる。男性の30代(29%)、40代(32%)、50代(29%)、60代(28%)が基準に当てはまり、働き盛りの男性のリスクが目立った。
m3.com 2005-4-22
体重減量によって痛風のリスクが低下
 体重を減らすことが痛風予防の最善の方法であることが新しい大規模試験で示されている。
 肥満は痛風のリスクファクターの一つであることは知られているが、現在では以前よりもはるかに重要であるとみられる。
 マサチューセッツ総合病院の研究者Hyon K. Choi, MD, DrPHらは、12年間にわたり47,000例以上の中年男性に関するデータを収集した。男性の体重が増えるほど、痛風のリスクが上昇した。しかし、試験中に体重が減った人では痛風のリスクが低下した。
 「1986年の試験開始時以降の10ポンド(約4.5kg)以上の体重減少は、痛風リスクの大幅な低下に関連があった」とChoi博士らは報告している。「われわれの研究は、体重減少の重要な潜在的有益性を実証する最初の研究である」
m3.com 2005-4-22
早期乳癌診断後の絶望感、やっぱり無再発生存率を下げる
 癌という診断に対する心理的な反応が病気の進行に影響すると考える人は少なくない。英国Royal Marsden病院のMargaret Watson氏らが行った集団ベースのコホート研究によると、病気による絶望感は無再発生存率を下げるが、病気に向き合う闘志は無再発生存率に影響しないことを示した。
 著者たちは、初期の無力感あるいは絶望感が長期にわたって病気の進行に影響する理由として、免疫系や内分泌系への影響や、心理面に起因する行動の差(治療を避けるなど)などを想定している。また、診断後に患者をスクリーニングし、無力感や絶望感が強い患者に心理的な治療を行うことで予後の向上が可能かもしれないともべている。
 一方、闘志が生存に利益をもたらさないことは、患者の不安軽減に有用な知見と受け止めている。闘志を燃やす患者は、常に積極的な態度が維持できないと不安になる。再発した場合には罪悪感にさいなまれる。そうした気持ちは病気の悪化には影響しないと伝えれば、患者の不安は少なくなるだろう。
MedWave 2005-4-25