広葉樹(白)   

ホ−ム > 医学トピックス > バックナンバ−メニュ− > 2004年6月−8月


2004年6月-2004年8月文献タイトル
飲酒が痛風に関与
禁煙コーナーと自宅禁煙で 10代の喫煙を抑制
食品添加物は注意欠陥多動性障害(ADHD)症状と関連
結腸直腸癌の早期発見にDNA診断
狂牛病にかからないクローンウシ作り プリオンの産生に関与する遺伝子の機能を止める新技術
暴力の芽を摘む逆療法 青少年に生々しい実像を呈示
鼻スプレーでSARS予防 米研究所がワクチン開発
知能維持には2言語習得を
牛乳で大腸がんの危険低下 コップ2杯半で12%減
青少年の高血圧予防に向け プログラムの作成提言
幼児期の睡眠障害が10代の物質使用リスクに 男児と両親を10年間追跡
子供の行動は妊娠中にプログラムされる可能性 妊娠第1期の12週から22週の不安は、小児期の障害罹患性と関連
異常プリオンの感染力確認 動物実験で証明と米教授
20-30代の動脈硬化2倍に 男性、食生活が原因 小児からの対策も必要 心筋梗塞など増える可能性
緑茶、女性の胃がん予防 「少し冷まして」と研究班
緑茶かウーロン茶を毎日飲むと高血圧を予防、1日1杯以上で、高血圧発症リスクが46%低い
元喫煙者も健康の回復とQOLの改善は可能
ブルーベリーは血中脂質とコレステロールを低下させる可能性

飲酒が痛風に関与
 長い間,飲酒は痛風発症のリスクが高いとされてきたが,マサチューセッツ総合病院関節炎部門のHyon K. Choi氏らは,飲酒により中足趾節関節に痛みを生じ,痛風患者となるリスクが高まることを示した初めての前向き研究を発表した。
 研究は飲酒と痛風の発症率について12年間にわたり男性医療職員 4 万7,000例を評価対象としたが,これは関節炎部位に関する疫学的研究としてこれまでにない規模のものであった。
 また,Choi氏らの知見によると,飲酒者の痛風発症リスクは,非飲酒者と比較して 1 日のアルコール摂取量が30〜50gであれば約30%高く,50gを超えると2.5倍であった。
 痛風の原因には単に飲酒量だけではなく,アルコールの種類も関与していることもわかった。
 Choi氏らは「ビール ,ワイン,蒸留酒の3 種類のアルコール飲料別の調査では,痛風リスクの違いが見られた」と報告した。1 日当たり 2 缶以上のビールを飲んでいる被験者は,ビール非摂取者と比較して痛風リスクが2.5倍となった。一方,ビールと同じアルコール摂取量でも,蒸留酒を飲んでいる者は,蒸留酒非摂取者と比較してそのリスクは1.6倍であった。
 同氏は「ワインの場合,ワイングラスで 2 杯飲んでも痛風リスクとの関係は見られなかった」と述べ,アルコール飲料にある非アルコール成分が痛風発症に重要な役割を果たしているようだと指摘。
Medical Tribune 2004-6-3
禁煙コーナーと自宅禁煙で 10代の喫煙を抑制
 フレッドハッチンソン癌研究センターのM. Robyn Andersen助教授らは,親が禁煙コーナーの席を希望することは,受動喫煙の回避だけでなく,その子(高校生)が喫煙の害から逃れるための大きな効果が得られると発表した。
 Andersen助教授らは「喫煙する親が,子供(高校 2 年生)の前で日常的に反喫煙行動を示すと,その子が高校 3 年生になるまでにたばこを吸う確率が有意に低下する可能性がある」と述べた。
 同助教授は,喫煙する親を持つ高校生のうち,公共の場所で喫煙コーナーを選ぶ親の子供に比べ,禁煙コーナーを選ぶ親の子供のほうが高校 3 年生になるまでに喫煙する確率が13%低くなると報告した。
 特に「通常禁煙コーナーには行かない」と答えた親を持つ高校生の42%は毎日喫煙していた。一方,親が通常禁煙コーナーを選んでいた場合,高校生が毎日喫煙する確率は27%であったという。
 同助教授は「環境の違いが結果にこれだけの差をもたらしたことは驚きだ。特に少なくとも片方の親が喫煙する影響がこれほど大きいとは予測しなかった。しかし,ほとんどの喫煙する親が,子供にはたばこを吸って欲しくないと願っていることを考えると,これは朗報である」と語った。
Medical Tribune 2004-6-3
食品添加物は注意欠陥多動性障害(ADHD)症状と関連
 食品添加物は注意欠陥多動性障害(ADHD)と関連がある、というランダム化試験の結果が、『Archives of Diseases in Childhood』6月号に掲載された。研究者らは、全小児の食事から食品添加物を排除することを推奨している。
 「人工添加物は小児の行動に有害な作用を及ぼす、と最初に主張されて以降、食品添加物に対する不耐性に関連して、多動の有病率を検証する住民対象の研究は行われていない」とサザンプトン大学(英国)のB. Bateman氏らは記す。「その後の研究では、方法論の改善にも関わらず、この主張を実証できないか、または僅かな影響が示されたに過ぎなかった」。
 食品中の人工食品着色料と保存料が、3歳時の活動亢進に与える影響について明らかにするため、試験開始前に、小児1,873例の集団を対象として、多動の有無に関する検査を行った。
 試験開始前の検査の後、小児には、人工着色料と安息香酸塩が添加されない食品を1週間与えた。その後、3週間にわたる食事による誘発試験相では、食事の他に、人口着色料(20mg/日)と安息香酸ナトリウム(45mg/日)、またはプラセボ混和物を含む飲料を、順不同で小児に与えた。
 「この結果は、食品から人工着色料および安息香酸ナトリウムを排除することによって、小児の活動亢進に有意な変化がもたらされる可能性があることを示唆している」と著者らは結論付ける。「幼い多動児には、行動障害および教育障害への移行も含めた、持続的行動障害のリスクがあることを示した追跡調査から、食品添加物の排除が公衆衛生上の長期的利益をもたらす可能性が示唆される」。
m3.com 2004-6-4
結腸直腸癌の早期発見にDNA診断
 バーチャル結腸鏡検査では,実際の結腸鏡検査で検知可能な腫瘍をすべて捉えることはできず,S状結腸鏡の検査可能範囲は限定されている。では,最も容易な結腸直腸癌検査とはどのような方式であろうか。この数年,便サンプルによる検査が試行され効果が期待されているが,インスブルック大学(オーストリア)のHannes Muller博士らの研究で,より正確で侵襲性の少ない便サンプルによる結腸直腸癌検査法が考案された。
 新しい検査法は,便中のDNA変異を調べるもので,結腸直腸癌細胞で通常見られる遺伝子変異であるDNAメチル化を便のスクリーニングで調べ,結腸直腸癌患者を同定できるかどうかを検討した。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)検査により癌患者と健常者を鑑別するDNAの変異を調べたこの研究では,癌患者の鑑別に最も有効と考えられるDNAメチル化マーカーの有無を患者群と健常対照群で調べた。
 患者群(26例)では便中のDNAにおけるSFRP2遺伝子のメチル化が,対照群と比べ,より高頻度で見られた。感度は77%(95%信頼区間46〜95),特異度は77%(同46〜95)であった。この結果から,SFRP2のメチル化がスクリーニングのツールとして利用できると考えられた。
Medical Tribune 2004-6-10
狂牛病にかからないクローンウシ作り プリオンの産生に関与する遺伝子の機能を止める新技術
 ウシ海綿状脳症(BSE)の原因タンパク質を体内で産生できないウシ胚を遺伝子操作により作り出すことに成功した、と米国と日本の研究者が発表した。この病原タンパク質をもたないウシならば、狂牛病にはかからないはずなのだ。
 この研究者によれば、来年始めにBSEにかからないウシが「数頭」生まれることになっている。このウシが生まれれば、狂牛病の原因タンパク質を注射して、本当に狂牛病にならないのかどうかをテストする予定だ。
 ただ、この技術によって作り出されたウシが食用になる可能性は低いように思われる。多くの消費者は、遺伝子組換え食品を食べることを拒んでおり、動物のクローン作製に反対している。
Nature 2004-6-10
暴力の芽を摘む逆療法 青少年に生々しい実像を呈示
 銃創患者の治療で有名なジョンズホプキンス病院外傷外科の研究チームは,銃撃外傷の悲惨なビデオや写真を高リスク児童や青少年に見せることで,暴力行為の価値や結果に対する青少年の信念を有意に変えられることを発見し,ワシントンで開かれたアフリカ系米国人外科医学会で発表した。
 Cornwell部長らは,同院東ボルティモアキャンパスの近くにある 2 つの警察スポーツリーグセンターの活動に参加している 7 〜17歳の男女97例を追跡調査した。研究チームは,暴力的行為への性行を含め,対人関係の紛争に関する青少年の態度を調査したうえで,銃創を治療されている実際の患者の生々しい写真を見せるセッションに参加させた。
 被験者に暴力を美化するラップビデオ(音楽,プロモーションビデオなど)として,例えば銃で撃たれた歌手が次のシーンでは顔に小さなバンドエイドを付けただけでふだん通りの生活を続けているなどのビデオと,弾丸で腹部が裂けた男性のビデオや,腹部を銃撃されて 8 か月の胎児とともに殺された妊婦のビデオを見せて比較した。
 フォローアップを終えた48例では,暴力行為を支持する信念が有意に減衰していた。紛争を力で解決しようとする性行が減少するというエビデンスも得られた。
 共同研究者のDavis C. Chang博士は「今回の研究は,テレビで流される暴力を美化する映像に立ち向かうには,暴力が実際に肉体にどのような結果を引き起こすのかざっくばらんに語り合い,提示するのが有効だと示唆している」と説明。同博士は,今回のデータに関して米国外傷学会で「高リスク青少年に暴力の真の姿を見せれば,彼らの暴力行為への態度,信念,意欲を変えることができる」と発表した。
Medical Tribune 2004-6-17
鼻スプレーでSARS予防 米研究所がワクチン開発
 鼻の中にスプレーする「経鼻ワクチン」で、新型肺炎(SARS)の感染を予防する実験にサルで成功したと、米国立アレルギー感染症研究所が発表した。26日付の英医学誌ランセットに論文が掲載される。
 経鼻ワクチンは注射器を使わずに済むほか、SARSの主な感染経路である気道の免疫を直接高められるなどの利点がある。研究チームの1人は「患者の治療に当たる医療従事者を素早く感染から守るのに有効」と話している。
 ワクチンは、SARSコロナウイルスの表面のタンパク質をつくる遺伝子を、病原性を弱めた別の呼吸器感染症のウイルスに組み込んで作製。
 4匹のアフリカミドリザルに1回分のワクチンをスプレーし、約1カ月後に鼻からSARSを感染させる実験をしたところ、体内でのウイルス増殖を予防できた。ワクチンを接種しなかった4匹はすべて感染した。
m3.com 2004-6-28
知能維持には2言語習得を
 ヨーク大学(トロント)のEllen Bialystok博士は,中高年層を対象に言語運用能力と認知機能の関連を調査した結果,2 か国語に通じることが加齢に伴う認知機能低下の予防になると発表した。
 Bialystok博士によると,ヒトの知能には加齢によっても失われることのない習得知識や習慣的行動などの“結晶化した知能”と,加齢により低下する注意力保持という“流動的知能”がある。後者は加齢により失われていくものだが,バイリンガルにおいて低下が抑えられるものと思われる。
Medical Tribune 2004-7-1
牛乳で大腸がんの危険低下 コップ2杯半で12%減
 牛乳やカルシウムには大腸がんの危険を低下させる効果があることが分かったと、米ハーバード大などのグループが7日付の米国立がん研究所雑誌に発表した。
 欧米5カ国で行われた10の疫学調査(計約53万人が参加)のデータを分析した結果、1日当たり500グラム(200ccのコップ約2杯半)の牛乳を飲むと、大腸がんの危険が12%減少することが明らかになったという。
 カルシウムの大腸がん予防効果は動物実験では指摘されていたが、人への効果が大規模調査で判明したのは初めて。
 調査は主に1980年代に行われ、6-16年にわたって追跡。牛乳とヨーグルト、チーズの摂取と大腸がんの関係を調べたところ、ヨーグルトでも予防効果を示す傾向がみられたが、統計データで予防効果が確認されたのは牛乳のみだった。
 カルシウムについては、摂取量が1日1000ミリグラム以上になると、それ以下の場合に比べ女性は15%、男性は10%、大腸がんの発生が減るとしている。
m3.com 2004-7-7
青少年の高血圧予防に向け プログラムの作成提言
 テュレーン大学(ルイジアナ州)公衆衛生・熱帯医学部疫学科のPaul Muntner博士らは,米国の青少年の血圧が上昇傾向にあることを明らかにした研究結果を発表。「青少年を対象にした本態性・二次性高血圧の効果的予防プログラムを早急に作成し実施する必要がある。プログラムには肥満予防,減量,身体活動の増加,食生活の改善を盛り込むべきだ」と提言している。
 研究チームは,全米から抽出した 8 〜17歳の青少年サンプルを含む 2 つの調査,1988〜94年(3,496例)と1999〜2000年(2,086例)に実施された第 3 次国民栄養調査(NHANES III)から得た収縮期血圧(SBP)と拡張期血圧(DBP)を調べた。
 1999〜2000年の平均SBPは106.0 mmHg,平均DBPは61.7mmHgで,年齢,人種・民族,性の補正後,1988〜2000年と比べてSBPが1.4 mmHg,DBPが3.3mmHg高かった。
 Muntner博士らは,米国における肥満の増加を特に危険な傾向と見ており,「血圧値の上昇はそうした肥満の増加が一因だ」と指摘。「過去数十年間に米国の肥満は増加し続けていることから,青少年におけるbody mass index(BMI)と血圧値の強い相関が懸念される。BMIと血圧,そして一向に減らずに急増している米国の肥満との関連を考えれば,高血圧は今後増えそうだ」と述べている。
 同博士らは詳述していないが「肥満の増加以外の要因も血圧値の上昇に寄与している」と断言している。
Medical Tribune 2004-7-15
幼児期の睡眠障害が10代の物質使用リスクに 男児と両親を10年間追跡
 ミシガン大学保健システム(UMHS)の長期家族研究から,幼児期の睡眠障害と10代におけるアルコール,たばこ,薬物などの使用(以下物質使用)の比率との間に有意な関連が示された。
 学齢前に睡眠習慣が不良だった小児は,10代で物質使用の確率が 2 倍以上になる。
 この幼児期の睡眠障害と10代の物質使用の関連性の発見は,UMHSチームが男児257例と両親を10年間追跡した家族保健研究の一部からもたらされたもので,抑うつや攻撃性,注意障害,親のアルコール依存症など他の問題を調整した後も関連性が認められた。
Medical Tribune 2004-7-22,29
子供の行動は妊娠中にプログラムされる可能性 妊娠第1期の12週から22週の不安は、小児期の障害罹患性と関連
 妊娠第1期の12週から22週の母親の不安は、注意欠陥多動障害(ADHD)のような障害に対する小児の罹患性増大と関連がある、とのプロスペクティブ(前向き)試験の結果が、『Child Development』最新号に掲載された。本研究は、母親-胎児間のプログラミング仮説を支持する。
 「ADHD、外面化型問題行動(externalizing problems、訳注:注意欠陥多動、攻撃的・反抗的行動等)、内面化型問題行動(internalizing problems、訳注:過度の不安や恐怖、心身症状等)などの、一般的に診断される小児期の障害においては、遺伝的、非遺伝的因子が、病因の一つとして働くことが分かっている」とルーフェンカトリック大学(ベルギー)のBea R. H. Van den BerghおよびAlfons Marcoenは記す。「このような異常に認められる神経発達上の障害には、脳の発達段階における出生前因子の有害な影響に起因するものがある」。
m3.com 2004-7-22
異常プリオンの感染力確認 動物実験で証明と米教授
 牛海綿状脳症(BSE)などを引き起こすタンパク質「異常プリオン」に病原体としての感染力があることを動物実験で初めて証明した、とスタンリー・プルジナー米カリフォルニア大教授らの研究チームが30日付の米科学誌サイエンスに発表した。
 プルジナー教授は異常プリオンの発見で1997年にノーベル医学生理学賞を受賞。DNAなど遺伝物質を持たない異常プリオンに感染力があるかどうかをめぐっては疑問の声もあった。同教授は今回の結果について「説得力ある証拠だ」と自信を見せている。
 チームはまずマウスの遺伝子を大腸菌に組み込み、正常プリオンを作らせた。その構造を異常プリオンのように変形させ、普通よりも多く正常プリオンを持つように遺伝子操作したマウスの脳に注射。約1年後、脳にBSEに似たスポンジ状の病変が起きた。
 このマウスの脳の抽出物を普通のマウスの脳に注射すると、約5カ月後に同様の症状が出現。異常プリオンの感染力を確認できたとしている。
m3.com 2004-7-30
20-30代の動脈硬化2倍に 男性、食生活が原因 小児からの対策も必要 心筋梗塞など増える可能性
 心臓の筋肉に血液を送る冠動脈に動脈硬化が起こる割合は、20-30代男性で1980年前後から90年代前半の十数年間に2倍以上になったことが、由谷親夫岡山理科大教授らの研究で4日までに分かった。
 病理解剖された約1000人の血管を詳細に調べ、過去の同様の研究と比較した。この傾向はその後も続いているとみられ、狭心症や心筋梗塞などがさらに増える可能性を示すデータと言えそうだ。
 由谷教授は「動脈硬化が進んだケースは血液中の総コレステロール値が高い。動物性脂肪の過剰摂取など食生活が原因だろう。学童期から肥満の子らのコレステロール値を調べるといった対策を考える必要がある」と話している。
m3.com 2004-8-4
緑茶、女性の胃がん予防 「少し冷まして」と研究班
 女性は緑茶をよく飲む人ほど胃がんになる危険性が下がることが、約7万人を対象にした厚生労働省研究班(班長・津金昌一郎国立がんセンター予防研究部長)の大規模な疫学研究で3日までに分かった。
 ただ、熱い飲料が食道のがんや炎症の原因になることも分かっており、研究班は「緑茶を飲む時は熱いままでなく、少し冷ましてから」と勧めている。
m3.com 2004-8-4
緑茶かウーロン茶を毎日飲むと高血圧を予防、1日1杯以上で、高血圧発症リスクが46%低い
 緑茶かウーロン茶を毎日120ml(湯のみ1杯程度)、1年以上飲み続けている人は、高血圧の発症リスクが低いという台湾・国立成功大学による疫学調査結果が米医学誌「Archives of Internal Medicine」に発表された。
 対象は、高血圧の既往のない20歳以上の男女1507人。うち600人は、お茶(緑茶かウーロン茶)を飲む習慣のある人で、1日に120ml以上のお茶を少なくとも1年以上摂取していた。
 お茶の摂取量と血圧の関係を調べたところ、お茶を1日に120ml〜599ml飲む人は、お茶を飲む習慣がない人に比べて、高血圧の発症リスクが46%低いことがわかった。お茶を1日に600ml以上飲む人の場合は、さらに65%も同リスクが低かった。
 ただし、長期間飲み続けるほどリスクが下がるわけではなく、1年以上飲み続けている人は、10年以上飲み続けている人と同等の低リスクだった。
 緑茶やウーロン茶がなぜ高血圧の予防にいいかについては、これらに含まれるポリフェノール類による抗酸化作用などの働きによるものと考えられるが、まだ詳しくはわかっていない。
MedWave 2004-8-6
元喫煙者も健康の回復とQOLの改善は可能
 デューク大学(米ノースカロライナ州)医療センターのDonald Taylor, Jr.博士らは, 喫煙と健康に関するデータを分析した結果,35歳以前に禁煙した元喫煙者は時間の経過により健康を取り戻し,喫煙したことがない人と同等に長く健康な生活を送れる可能性が十分あることを見出した。
 Taylor博士らは,禁煙した元喫煙者は喫煙関連疾患の悪影響を免れ,中年以後に高いQOLを維持できるとしている。
 禁煙を促すには,喫煙と早死にの関係に加えて,喫煙がQOLに与える影響を強調すべきという。喫煙者は寿命が短くなるだけでなく,年を取ってからのQOLが著明に低下することを理解すれば,より禁煙しやすいと思われるからである。
 同博士は「いつ禁煙しても健康は改善する。しかし,多くの喫煙者は健康障害が現れるまで禁煙しない。こうした喫煙者や中年以後に禁煙する喫煙者が健康な生活に戻るのは,はるかに困難である」と指摘。「禁煙は先送りするより,たった今するほうがよいというのがメッセージである。その成果として,より長い健常者としての生涯が得られる」と述べている。
Medical Tribune 2004-8-12
ブルーベリーは血中脂質とコレステロールを低下させる可能性
 ブルーベリーには、強力な抗コレステロール化合物、抗脂質化合物が含まれている、と米農務省の研究者らは報告している。
 ブルーベリーが健康に良いことは既に知られている。また、ブルーベリーが加齢、心疾患、および癌の被害から身体を守る抗酸化物質に富んだ果物であることも既に宣伝されている。そして今度は、ブルーベリーの効果のリストに抗コレステロール効果がある可能性が追加されることを、米農務省天然物利用研究センターのAgnes M. Rimando博士は示唆している。
 ブルーベリーに含まれる抗脂質化合物のpterostilbeneは、抗癌性および抗糖尿病性を有することが認められた。これはブドウに含まれるレスベラトロールに似ている。適量の赤ワインが健康に良い理由の一つは、この化合物が含まれているからである。ブルーベリーの化合物は赤ワインの化合物よりさらに強力な可能性があることをRimando博士らは報告している。
m3.com 2004-8-26