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[このホームページは、「ホスピスを考える横浜市民の会」主催の公開講演会の報告書を中心に作成されたものです。従いまして、個人の職業・役職などは報告書作成時のものであることを、ご了承下さい。]


本会設立のアピール
 

 1991年4月におきた東海大学病院の安楽死事件は、私たちに大きな衝撃を与えました。 『死は医学の敗北』として、延命を最重視してきた現代医学では、癌末期患 者への対応にびずみが出るのは当然です。現実の臨床現場で、末期になったと たん医師から見放され、病棟の隅においやられてしまう癌患者の悲痛な叫びを私たちは知らなければなりません。

 このような悲劇が起きる背景には、死の臨床(ターミナルケア)が、現代医 学で軽視されているという現伏があります。死の臨床の知識経験が乏しい場合、 医師が末期患者の治療に熱心であればあるほど、どうすることもできない泥沼 にはまりこみ、医師も家族も疲労困憊し、安楽死事件のような悲劇が起きてし まう危険性が高いのです。

 日本で死の臨床が叫ばれ出して、15年近くたちます。先人の苦労が実り、ホ スピス運動も高まりを見せています。人間が必ず死ぬ運命にある以上、延命一 辺倒の現代医学の態度は、この安楽死事件を教訓にして、今こそ改めなければ なりません。

 そのためには、死の臨床を大学の講座の一つに組み入れ、専門的に研究する と同時に、医学教育や看護教育のなかで、死の臨床を医療者に教育しなければ なりません。さらに、生と死やホスピスの問題は、医療者のみでなく、社会問 題として患者、家族、一般市民がいっしょになって考えていく必要があります。 生と死を見つめ直すことによって、医の倫理ばかりでなく、現代の日本社会で 最も欠けているといわれる人倫・道徳の高揚をも、もたらすことでしょう。

 ホスピスを考える横浜市民の会は、このような趣旨のもとに発会しました。皆様の積極的なご参加を心よりご期待申し上げます。




本会設立までの経緯(世話人会・幹事会議事録より)

1992.2.10ホスピスを考える横浜市民の会の設立準備のため、発起人10名を金子保雄・高野正孝両氏が人選し各氏に要請する。

1992.2.26
第一回世話人会開催(相鉄二俣川ライフ・コミュニティーサロンにて)
<名称>
「ホスピスを考える横浜市民の会」とする。
<目的=趣旨>
横浜市民を対象にした、ホスピスおよび生と死の問題についての社会啓
蒙を会の目的とする。即ち、ホスピス自体についての我々自身の勉強と、
医療者だけでなく一般市民(地域社会)ヘの啓蒙と理解を深めることを
目指す。
<会長・幹事の選任>
・金子保雄氏を会の代表として会長に選任する。
・世話人の中より池田典次・高野正孝・谷荘吉・中村栄夫の各氏を幹事
として推薦承認する。
<顧問>
本会の方向性、活動内容を高めるために、適任者を推薦就任依頼をする。
<活動>
・年一回の公開講演会
・ターミナル研究会への参加
・その他

第一回の公開講演会(92.6.20)について検討。
・講師に柏木哲夫氏を迎える。
・会場は横浜市瀬谷公会堂とする。
・詳細および広報活動は幹事会・事務局に一任する。

1992.3.18
第一回幹事会開催(横浜市瀬谷公会堂にて)
<顧問>
岡幸男氏(元相鉄副社長)
千賀瑛一氏(神奈川新聞社取締役)
玉地任子氏(よりよい生と死を考える市民の会代表)
を推薦する。
<後援>
・市衛生局、市医師会等へ働きかける。

・第一回公開講演会のプログラム、予算、参加費、PR、ポスター、ちらし、およびその
配布方法について検討する。
・柏木先生の演題を「ホスピスで迎えるあたたかな死」とする。

1992.4.22
第二回幹事会開催(横浜市瀬谷公会堂にて)
・プログラム、ポスター、案内状の内容決定と配布方法の確認。

1992.5.27
第二回世話人会開催(相鉄二俣川ライフ・コミュニティーサロンにて)
・顧問の方々の紹介。
・発会記念講演会成功にむけて全員協力体制の確認と役割分担。
・各顧問より講演会へのアドバイスを受ける。

1992.6.20
・ホスピスを考える横浜市民の会発会記念公開講演会開催。
・あいにくの雨にもかかわらず定員オーバー(680名)の参加者。
・大きな感動を与えて参加者からも好評をいただく。

1993年6月20日
第二回公開講演会
会場 横浜市市民文化会館関内ホール
参加者 1000名

 基調講演
  演題「今、世界のホスピスでは・・・」
  講師 アルフォンス・デーケン 先生

1994年6月12日(日曜日)
第三回公開講演会
会場 横浜市市民文化会館関内ホール
参加者 1,000名

 基調講演
  講師 西丸與一先生
 パネルディスカッション
   司会 谷荘吉
   パネラー 池田典次
         岩田利子
         紺野美沙子
         西丸典一
         本橋久彦

1995年7月16日(日曜日)
第四回公開講演会
会場 横浜市市民文化会館関内ホール
参加者 1,000人

  第一部講演 養老孟司先生(解剖学者・東京大学医学部名誉教授)
           柳田邦男先生(ノンフィクション作家)
  第二部 対談
     司会 谷荘吉先生
         養老孟司先生
         柳田邦男先生

1996年8月18日(日曜日)
第五回公開講演会
会場 横浜市市民文化会館関内ホール
参加者 1,100人

  第一部 基調講演ー尊厳ある生と死ー山崎章郎(聖ヨハネ会桜町病院ホスピス科部長)
  第二部 事例報告ーいま、末期医療の現場でー
     司会:高野正孝 
      1.音楽療法の試み 岩谷房子(横浜市立市民病院看護婦)
      2.「在宅医療」への導き 西連寺意勲(神奈川県立がんセンター外科第三科部長)
      3.ホスピス病棟での出会い 青木福代(元横浜甦生病院看護婦)

1997年9月13日(土曜日)
第六回公開講演会
会場 横浜市市民文化会館関内ホール
参加者 600人

 テーマ 「家で死ぬということ」
  第一部 基調講演ーうちで死にたいー高宮有介(昭和大学病院緩和ケアチーム医師)
  第二部 パネルディスカッションー末期医療のためのネットワークー
     司会(コーディネーター):高宮有介
     パネリスト:
      ・竹田 節(タケダ訪問看護クリニック院長)
      ・乙坂佳代(港北医療センター訪問看護ステーション管理者)
      ・伊集院一成(ホームケアファーマシー薬剤師)
      ・井上友子(在宅で看取られた患者家族)

1999年1月30日
幹事会にて、インターネットにホームページ「ホスピスを考える横浜市民の会」を開くことが決まった。





世話人(1997年4月現在) (五十音順敬称略)

金子保雄(元神奈川大学教授)
池田典次(前横浜市立市民病院外科部長)
岩田利子(財団法人 日本児童家庭文化協会相談員)
楠 豊和(横浜市立大学医学部教授)
児玉文雄(神奈川県立がんセンター内科第四科部長)
千賀瑛一(鰍ゥながわ文化センター常務取締役)
高野正孝(横浜甦生病院長)
谷賢治(横浜市立大学医学部助教授)
谷荘吉(医療法人協仁会小松病院長)
中村栄夫(前横浜市立中尾小学校長)
西郊文夫(西郊医院長)
西丸與一(横浜市総合保健医療センター長)
本橋久彦(神奈川県立がんセンター外科第三科部長)
森下節子(東京都立医療技術短期大学看護学科助教授)
柳田恵子(神奈川県立看護教育大学校教員)
渡辺武臣(神奈川大学特任教授)

<顧問>
岡幸男(衣笠病院理事)
松山秀介(横浜市立大学医学部教授)

<事務局>
事務局員 田中ひとみ・石毛仁美
〒246-0014 横浜市瀬谷区中央9-13