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雑感

99年11月14日 「買ってはいけない」論争について思う

 今日は友人と万博公園に遊びに行った。帰りに梅田の本屋(紀伊国屋書店)で、本をいろいろ見て回る。その中で、「買ってはいけない」と、それに対する批判、検証本が並んで置かれているのを発見した。

 「買ってはいけない」とは、いろんな商品について、安全性についての問題点を挙げて、商品の実名を前面に出して買ってはいけないとしている本だ。雑誌「週刊金曜日」に連載された記事をまとめたものである。何と100万部以上売れたという。

 これに対して、批判・検証本が併せて3冊も出ているのだ。何か、2匹目のドジョウをねらっている感じがするなあ〜。確かに、間違っているというところがあれば直すことは必要だが、何もこんなに出なくとも。

 「買ってはいけない」の記事のねらいは、売れている製品に有害物質が入っていることを主張し、成分表示には注意しましょう、と言っている点にある。指摘された商品だけでなく、同業他社の製品でも当該成分を含んでいれば、やはり買ってはいけないものなのである。記事では、強烈な印象を人々に与えるために、標題に特定の商品名をつけているが、これは、本当に問題なのは入っている成分であるということを隠し、その他の類似商品は大丈夫であるかのような印象を与えかねない。これはまずかろう。

 ちなみに私は、買ってはいけないの記事が連載されている「週刊金曜日」の定期購読者である。しかし、「買ってはいけない」の記事は、目を通すことは通すものの、あ、そう、くらいにしか思っていない。なぜって、食品添加物の有害性自体は以前から言われていたことで、何をいまさら、という感じであるし、書き方が何かことさら過激にしていて、気に入らない点もあったからだ。

 ところで、「買ってはいけない」で非難されている添加物には、昔から使われている天然の品物に含まれていたのではなかったっけ?と思われる成分も入っている。こうしたものについては、もともと使っていた品物が安全であれば、安全であるという推測が成り立つのではないだろうか(絶対安全とまでは言えないが。)。私は、いぜん、食品に限らず物の表示に関する規制についての仕事にたずさわっていたことがあるのだが、その時の経験で、上に挙げたような物質があったように記憶している。

 このように、食品添加物の安全性を論ずるに当たっては、その食品添加物が見いだされた由来が一定の目安を示すのではないかと思える。

 また、食品添加物の中には、それまで使用が認められていなかったものが、外国で認められているのに何で日本では認められていないんだ、貿易障壁だ、という文句が外国からついて認められたものもあるやに聞く。このようなものについては、何かうさんくさいという気もする。

 さらに、添加物には、使用が認められていない国があるのに、日本では使用が認められているものも存在する。このような物についても、安全性を疑ってかかる余地がありそうだ。

 このようなことを書いていくと、不確かな根拠で添加物を排斥するな、とのおしかりを受けそうだ。しかし、添加物が安全かどうかについて、科学的主張があっているかどうかということは、素人の私たちにはきわめて理解しにくい。だとすれば、添加物に関する、上に述べたような情報を元に、安全性に不安を感じるかどうかで摂取を避けるかどうか決めるしかないのではないか。

 このように考えていくと、添加物等に関しては、以下の情報が公開されることが強く望まれる。

  1. 添加物が発見、生成されるに至った経緯(天然の物からの採取、自然食品に含まれている有効成分の発見)
  2. 添加物の使用が認められるに至った経緯(安全性の確認、外国からの圧力等)
  3. 添加物の外国における使用許可状況

 このうち2については、役所や企業の側としては、安全性が確認されたからと言うに違いない。外圧によるんだ、というのは自らの首を絞めるようなものだからである。

 そこで、添加物の使用が認められた年月日を公表させるとともに、添加物にまつわる政治的・経済的動きについての年表を別に作るのがよいだろう。年表と認可年月日を対照することによって認可が外圧によるものかどうか推測できるようにしておくのである。

 上記のような作業が理論上可能なのは、日本では食品添加物の使用規制についてポジティブ・リスト方式なるものを採用しており、認可したものだけが使用できることになっているので、現在使用が認められている添加物のすべてを建前上は把握することが可能だからである。

 うーん、でも私自身はこんな作業をする能力も時間的余裕もない。誰かやってくれないかなぁ・・。


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