雑感

1999年9月12日 携帯電話と着メロについて思う

 司法修習生の間では、携帯電話又は簡易型移動通信端末(PHS)を持つ人が多い(しかも圧倒的に前者)。というか、私のいたクラスでは67人中60人以上が持っていたから、ほとんどの人が持っていたことになる。

 このように普及率が高いのは、研修所が町中から離れた辺鄙なところにあること、修習生は昼は研修、夜は事務所訪問や飲み会で出歩いていて、なかなか連絡がとりにくい存在であることが大きいのだろう。

 でも、携帯電話は電磁波を出すし、また、気をつけないと、講義中などに着信音が鳴って人に迷惑をかける。金もかかるし。仕事でどうしても連絡をつけなければならないような人ならとにかく、一介の修習生が持つようなものではないと思う。

 中でも問題なのは電磁波で、日本の携帯電話は欧米のものに比べても出す電磁波が強いらしい。そのような強い電磁波を出すものを耳に直接当てるのだから、脳がおかしくならないか、イヤホンを使ったらどうかと他人事ながら心配してしまう。また、携帯電話を持つ人が増えるということは、電磁波が飛び回る量も増えると言うことだから、他人事ではない。

 加えて、列車の中などで平然として会話する連中のむかつくこと。しかも、自分から発信するのである!私が受験生時代よく予備校からご一緒に帰らせていただいた方は、携帯電話をかけるときはいったんホームに出てかけていた。それがマナーってもんだろうに。「せっかく持っているんだからいつどこでかけてもいいだろう」などと言う輩もいるが、内容の分からない話をそばでされていることは気味の悪いものなのだ。ひょっとしたらサリンを撒く相談をしているかもしれないなどと、余計な心配までしてしまう。

 だが世の中は携帯ばやりである。中高生まで持っているのには唖然とさせられる。まあ、マナーを守って使う限りはうるさいことは言わない。私も将来持つようになるかも知れないし……。でも、「携帯持っていないんですか?」なんて、まるで持っていないのが変であるかのようにいうのはやめてほしい。

 また、携帯で気になるのがあの着メロ(着信メロディー)である。着メロ自体はおもしろいものだと思うのだが、電車の中などで着メロが鳴ると(そもそも、ちゃんとスイッチ切っておいてほしいものだが。)、何人かの人が一斉に自分の鞄の中をまさぐり出すのはなんか変だ。着メロって、他人と分けるためのものじゃないのか?そうだったら、人が選ぶような流行曲を着メロにするのってどうなんだろう?こんなところにも横並び、人並み意識が現れているのだろうか。着メロ本もたくさん出ているし、楽器屋に行けば歌謡曲の楽譜も売っているのだから、流行歌ばかり入れずに、自分独自のものと認識できる歌を入れた方がいいと思う。
 もっとも、メロディーが鳴ると数人が一斉にあわて出すのは、アホな奴等だなあと見ていていられるので楽しいことでもあるが。

 しかし、こう文句を言ってばかりもいられなくなってきた。盗聴法が成立したからだ。携帯電話については傍受技術が今のところ未発達なので、盗聴を避けて電話しようと思えば携帯を持たざるを得ないということに今のところはなってしまうのだ。そうなると、盗聴対策として持った方がいいのではないかとも思ってしまう。

 このような悩みを持っていたが、最近のニュースで、法務省が携帯電話の盗聴技術の開発に7500万円を投じると報じられていた。民間機関と共同でやるのだそうだ。研究開発だけで7500万円ということは、開発された技術を使った盗聴機器を購入するのは別の費用でということだろう。まったく、国民の権利の侵害にこんなにカネをかけるなんて、どうかしているんじゃないだろうか。

 また、携帯電話については、最近はプリペイドカード方式のものが、個人情報が漏れないということで人気だそうであるが、これについても警察が電話会社の協力を得て通話者の通話地点の特定をしているという記事がとある雑誌に載っていた。盗聴法が施行されていない現在、こんなことしていいのかよ〜。協力する電話会社も電話会社だ、全く。通信の秘密を何と考えているのだろう。

 さて、このようにケイタイについても盗聴対策の点でメリットがないとなると、少しの利便のために電磁波をまき散らすという点で利用を考え直した方がいいのではないか。少なくとも、電磁波の害や発する量についてはもう少し消費者に対して情報提供がなされていいのではないかと思う。


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