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雑感

8月12日 映画2題〜ボンベイ、レインメーカー

 暦の上では秋となってから漸く暑くなってきた。
 最近は結構横浜の親元に行き、テレビゲーム三昧の日々を送ったりしている。今やっているのは「真・女神転生if…」と「ファイナルファンタジー6」、そして「ウィザードリィ5」の3本。「真・女神…」はシナリオが複数あるうちの1つは終わり、裏モードといってもよい場面に入っている(ただ、これが長そう・・)。
 PlayStationも買いたいのだが、金がないし、買うとはまりそうだし、テレビはないしということで、買っていない。面白そうなゲームはいくつかあるんだけれど・・。

 さて、先週、今週と水曜日に映画を1本ずつ見たので、今日はそれに関連して。


 先週見たのは「ボンベイ」というインド映画。

 冒頭のシーンから突如歌と踊りが。これにはびっくり。でも踊りが本当にすごい。音楽もかっこいい。

 映画の内容は、ヒンズー教徒の家に生まれた男とムスリムの家に生まれた女の恋愛とそれをめぐる両家の対立から始まり、男女のかけおち、結婚、出産、そして、1992年に始まる、宗教的対立に端を発する暴動に若い一家が巻き込まれていく様子を描く。その暴動の過程で男女の親は、そして子どもは・・。暴動の様子が本当にリアルで、見ていて本当に痛々しい。子どもが暴走している群衆に踏みつけられるシーン、鎮圧に乗り出した警察(軍か?)と暴徒の双方から逃げまとう子ども。宗教をめぐって相争うことのばからしさを説く主人公。宗教的対立が政治的に利用されているというのだ。争いのあまりの激しさに、ボンベイの市民の中から争いを止めようと立ち上がる人々も出現する。この争いのシーンに重なるようにして、争いの無益さを説くBGMが流れる。2時間30分にもわたる映画であるが、長さを本当に感じさせない映画だった。

 それにしても、宗教って何なんだろう。宗教って、人を幸せにするものではないのか。それが原因で人を殺しあうなんて・・。
 でも、考えてみれば、人間の歴史って、宗教が原因で、血で血を争うことが繰り返されてきたんだものね。それに、宗教って、基本的に絶対主義に基づくものだから、自分が信仰しているものをなんで他人も信仰しないんだ!ってなりがち。そう考えると、政教分離って大切なんだなあっていうことが分かる機がする。特に、横並び主義、集団主義の強い国では。


 今週見たのは「レインメーカー」という映画。正義感に燃え、弁護士という職業についてちょっと斜に構えてみている、司法試験受かりたての若者が主人公の映画だ。「レインメーカー」、成功した弁護士という意味らしいが、直訳すれば雨降らし。ごたごたを作り出して、その解決に自ら乗りだし、たんまり報酬をせしめるという皮肉をこめた呼び名なんだろうな、きっと。まあ意味を組んで「大立者」と訳しましょうか。

 ストーリーは、ロースクール卒業直前の若者が、就職先と決まった事務所で手がけることになった事件について勝訴していくまでを主軸に、事件入手のために通っていた病院(まさにambulance chaser(救急車追跡人)である。)で出会った女性(夫に手ひどく暴力を受けている。)との愛、遺言について相談を受けた老婦人宅の別棟での暮らしが展開される。

 まず感じたのは、米国においてはやらずぶったくり得を許さないシステムがあるということ。主人公が相手にする保険屋は貧しい人を相手に掛け金を徴収し、そしていざ事故が起きても保険金支払い請求は全て許否するという悪徳会社である。そのことが訴訟で明るみにされると、被告に対して命じられる損害賠償の額は、当初支払われるべきだった保険金の額(通常賠償)の数百倍にも及ぶことになるのだ。これは、故意に損害を与えた者については実際に生じた以外の損害についても賠償すべきという懲罰的損害賠償の制度があることによる。

 具体的には、原告の請求した保険金の額が十数万ドルだったのに対し、懲罰的損害賠償の額は、原告の請求段階で1000万ドルになるのだ。さらに、陪審により認められた損害賠償の額は何と5000万ドル!おいおい、原告が求めた額以上のものを認めていいのかね・・。

 この懲罰的損害賠償の制度、濫訴の原因にもなるし、被告会社の負担が過大になるため、結局支払いきれず倒産ということになる場合もある。しかし、ちっぽけな額の損害賠償が認められるにすぎない日本と比べると、訴訟による法や正義の実現という点ではずっと勝っているのではないだろうか。

 次に感じたのは、弁護士稼業が何でもあり、の世界だということ。訴訟の相手方の会社のゴミ箱を漁ったり、病院に行って事故によるけが人のリストを入手し、被害者を直接訪ねて委任状にサインさせたり。日本の弁護士界もこんな風になっていくのかなあ。

 まあ、一番印象的だったのは、弁護士を続けることを辞めた主人公が、相棒(元保険屋で、司法試験未合格者)に対し、「早く司法試験受かれよ」というシーンだったりするけれども(汗)。


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