SVA東京市民ネットワークNEWS LETTER「里程標」第7号(1996年発行)

タイからのそよ風

フォーク・デュオのキタンチャリーが

3年ぶりに来日、コンサートに来て下さい。


3年ぶり5度目の来日

 1990年に初来日して以来、93年まで4年連続して日本各地でコンサートを行い、好評を博していたキタンチャリーが、3年ぶりに来日します。1992年の日本ツアーはSVAの「アジア教育奨学基金」のためのキャンペーン運動の一環として企画され、福岡、山口、長野、東京などでSVA主催のコンサートが開催されました。東京でのコンサートは、実行委員会方式で行われ、私もこの時はじめてSVAと出会うことになった思い出深い企画でした。現東京事務所スタッフの河口尚子さんもこれが契機でしたし、その時中心となって活躍した青木教泰さん(タロウ君)は現在、プノンペンのスタッフになっています。SVAの基金作りのために大きく貢献は出来ませんでしたが、キタンチャリーコンサートはSVAボランティアに新しい流れを作り出したという成果をあげました。そのキタンチャリーが10月に来日し、大阪、兵庫、神奈川、東京の6か所でコンサートを開くことになりました。

生きるための歌を歌う人たち

 さて、キタンチャリーの歌を聞いたことのある方はご存じでしょうが、初めての方に解説します。去る7月に来日した「カラワン」の名前を聞いた方は多いと思います。キタンチャリーもそのカラワンと同じ傾向の歌を歌い、タイではこの分野を総称して「プレーン・プア・チィウィット」訳語としては「生きるための歌」と呼ばれています。分かりやすく言えば「社会的な歌」を歌う人たちということです。政治の不正、平和、環境、スラム、農村、買売春などをテーマにした歌詞が目立っています。
 タイ特にバンコクなどの都会では、日本と同様に欧米型のポップスやロックの人気が高く、若者が積極的にこの分野の音楽を聞くというわけではないようですが、「カラワン」の人気や知名度はものすごいものです。8月にバンコクで、さるホテルに滞在中の知人あてに伝言を頼んだとき、カラワンと今晩会うと言ったら、ホテルのフロントが興奮し、仕事をほっぽらかして話に夢中となる経験をしました。
日本の音楽評論家の一部は、この分野の音楽はすでに後退し、ごく少数のインテリが自己満足的に信奉していると書いていますが、ちょっと違うような気がします。やっぱり、タイ社会の中に根付いている音楽のひとつと言えましょう。

キタンチャリーの美しい歌声

 来日するキタンチャリーについてですが、はっきり言って知名度は余り高くありません。しかし、日本人の心にぴったりくる声質とメロディーを持ち、個人的にもとても誠実で素敵な音楽ファミリーです。音楽の実力から言えば、タイでヒットしている人気ミュージシャンのはるか上をいくでしょう。
何よりもそのレパートリーが魅力です。ボブ・ディラン風アメリカンフォークがメインですが、タイの伝統音楽や民謡も取り入れ、さらには中国、韓国、沖縄の音楽などもこなしています。さらに、最近はタイの歌謡曲「ルーク・トゥン」(田舎の歌と呼ばれている)との交流もあり、日本で言う、ひばり・はるみばりの演歌も歌っています。

10月27日にコンサート(96年のものです。)

 東京でのコンサートは一度だけ、神奈川でも2〜30人限定のスペシャル企画ですから、お見逃しされないよう今から手帳にチェックしておいてください。
 出演は、キタンチャリーとして3人、ソムサックとスリンの夫婦に長女のナーム、それにタイとの交流を積極的に進めている京都のブルースシンガー豊田勇造、さらにゲストとしてチャームビーチの高級リゾートホテルのオーナージュニアが来日します。
なお、会場のライブハウス「BUDDY」は都内でも有数のライブスポットで、テーブル付きのゆったりスペースでコンサートを聞くことが出来ます。日曜日ですが、早めの開演としていますので、ぜひご家族連れでおこしください。

キタンチャリーにインタビュー


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