3年ぶりのタイからのそよ風

キタンチャリーにインタビュー

秋池智子

タイからさわやかなそよ風が運ばれてきました。前号でご紹介した男女のデュオグループ、キタンチャリーが来日したのです。彼らのコンサートはブルース&フォーク・シンガーである豊田勇造さんとのジョイントで10月19〜27日、全国6カ所で開催されました。
キタンチャリーの歌には、タイの普通の生活がつまっています。今回もスラムに住む人々のこと、戦争の歌、タイの美しい景色を愛でる歌などをたっぷりと聴かせてくれました。
スリンの透明感のある声とソムサックの情感のこもった演奏は、心にしみわたり、哀しい曲には胸がしめつけられ、風景や愛をテーマにした歌には安らぎを覚えます。会場一同キタンチャリーに聴き入っていました。勇造さんの穏やかな京都弁による解説や通訳は、優しく誠実なキタンチャリーが直接私たちに語りかけているようでした。また、愛娘ナームちゃんが一緒に歌い、その愛らしさに思わず笑みがこぼれるというほのぼのした一場面もありました。

東京でのコンサートを終えたキタンチャリーに食事中のところをお邪魔して、簡単にインタビューをしました。

問 とても素敵な曲ばかりですが、作る時に意見の食い違いはないのですか?

答 スリンは家族や子供を題材にし、私ソムサックは戦争や人民活動などのハード面を扱っています。それから、作詞はスリンで作曲は私が力を入れるという分担ができているのでけんかをすることはありません。

問 日常生活でもけんかをすることはないのですか。

答 それはありますよ。普通の夫婦と一緒です(笑)。

問 今日ナームちゃんが歌いましたが、将来は家族でやっていくのでしょうか。

答 それは子供しだいです。やりたいというなら喜んで迎えます。

問 ところで、最近の日本の東南アジアブームについてどう思いますか。

答 一昔前までアメリカが一番だとする風潮がありましたが、アジアが日本人のみではなく世界的に認められてきたことは嬉しいことです。それとともにタイ人たちにも国民意識が芽生えてきています。思想家はタイの文化や宗教を、音楽家は民謡を見直し始めています。

問 最後に、タイ好きの日本人は沢山いますが、タイ人は私達をどう見ているのでしょうか。

答 物を売るだけで買わない金持ちの人というイメージです。けれども、合掌やおじぎの習慣などタイ人との共通点があり、実際に会ってみると柔らかい印象を受けます。日本人と接触している私達は、どこの国でもそうであるように日本人にもいい人と悪い人もいると思っています。

問 どうもありがとうございました。


里程標内容SVA東京市民ネットワーク