問題2-3 解説

一般に, \(e^x\) の \(x=0\) のまわりのテイラー展開は \(|x|\ll 1\) のとき, \begin{eqnarray*} e^x & = & 1 + x + \frac{1}{2}x^2 + \frac{1}{6}x^3 + \cdots, \\ & \approx & 1 + x. \end{eqnarray*} と近似できます.よって, Rb-Sr 法のアイソクロンの式は次式のようになります. \[ \left(\frac{^{87}\mathsf{Sr}}{^{86}\mathsf{Sr}}\right) = \left(\frac{^{87}\mathsf{Sr}}{^{86}\mathsf{Sr}}\right)_0 + \lambda t\left(\frac{^{87}\mathsf{Rb}}{^{86}\mathsf{Sr}}\right). \] 下図のアイソクロンの傾きから年代 \(T\) は, \[ T = 0.01656\div 1.42\times 10^{-11} = 1.166\times 10^9\ \mathrm{yr}. \] 有効数字3桁と考えて, 1170 Ma となります (Ma は百万年前).

このように,約12億年前という年代は,多くの隕石が太陽系が形成された約45億年前を示すので,その起源については議論があったようです.火星から飛来した隕石であることは,この隕石の化学組成が火星大気のそれと一致したことで確認されました.

火星の隕石のRb-Sr年代決定におけるアイソクロン