燃えあがる仏跡たち

 

ワット・サッシーの降魔の仏。


午前O時。撮影を終え、燃えあがる仏跡のなかにいた。小さな炎のひとつひとつは人間の煩悩のごとくである。まるで何万何十万もの煩悩が燃え、解脱の世界へと導かれていくかのようだ。次第にクラトーンを流す人びとの姿がすくなくなっていく。それに従うように、遺跡に燃える小さな炎たちもひとつまたひとつと静かに消えていく。すべての炎が消え、夜を照らしていた満月が西に沈むと、あたらしい一日がはじまる夜明けだ。タイ王国は、自給自足が可能な、世界でも数すくない国だ。しかし、バーツの暴落、そしてスラムの存在など抱える問題はおおく貧富の差は想像以上である。わたしは、あしたがタイの人びとにとって真のスコータイ(タイ語で、自由の夜明けの意)であれと祈り、クラトーンを池に浮かべ、合掌した。


 

 

 

 

 

Wat Mahathat Sukhothai 11:00p.m.

 

 


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