(特殊の材料又は構法)

第三十八条

 この章の規定又はこれに基く命令若しくは条例の規定は、その予想しない特殊の建築材料又は構造方法を用いる建築物については、建設大臣がその建築材料又は構造方法がこれらの規定によるものと同等以上の効力があると認める場合においては、適用しない。

 

 

昭和六十一年三月建設省告示第八百五十九号

 

法第三十八条の規定に基づく建築物の構造耐力上主要な部分に用いる丸太組構法で同法施行令第四十一条から第四十三条まで、第四十五条から第四十七条及び第四十九条の規定によるものと同等以上の効力があると認める場合

 

最終改正 平成二年十二月十五日建設省告示第二千二十三号

 

 建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)第三十八条の規定に基づき、建築物の構造耐力上主要な部分に用いる丸太組構法(丸太、製材その他これらに類する木材[以下「丸太材等」という。]を水平に積み上げた壁により建築物を建築する工法をいう。)で、次の第一から第六までの規定に適合するものについては、建築基準法施行令(昭和二十五年政令第三百三十八号。以下「令」という。)第四十一条から第四十三条まで、第四十五条から第四十七条まで及び第四十九条の規定にかかわらず、これらの規定によるものと同等以上の効力があると認める。

第一 階数等

次のイからハまでに適合する建築物であること。

イ 地階を除く階数が二以下であること。

ロ 延べ面積が三百平方メートル以下であること。

ハ 高さが八.五メートル以下であること。

第二 材料

一 構造耐力上主要な部分に使用する丸太材等の種類は、令第八十九条第一項の表種類の欄に掲げるもの又はこれらと同等以上の品質を有するものでなければならない。

二 構造耐力上主要な部分に使用する木材の品質は、腐れ、著しい曲がり等による耐力上の欠点がないものでなければならない。

第三 土台及び基礎

耐力壁の下部には、土台又はこれに代わる丸太材等(以下「土台等」という。)を設け、次に定めるところにより、これを一体の鉄筋コンクリート造の布基礎にアンカーボルトで緊結しなければならない。ただし、独立基礎を用いる場合等で、これと同等以上の効力を有する方法により土台等及び基礎を更正するものについては、この限りでない。

イ アンカーボルトは、直径十三ミリメートル以上で基礎に定着される部分の長さがその径の二十五倍以上であること。

ロ アンカーボルトは、土台等の両端部及び継手の部分に配置すること。

ハ ロに定める部分のほか、土台等の長さが二メートルを超える場合においては、アンカーボルトの間隔を二メートル以下として土台等の部分に配置すること。

第四 耐力壁等

一 耐力壁は、建築物に作用する水平力及び鉛直力に対して安全であるように、つりあいよく配置しなければならない。

二 二階部分は、耐力壁を設けず、小屋としなければならない。この場合において、当該小屋の荷重は一階の構造耐力上主要な部分が直接負担する構造としなければならない。

三 耐力壁を構成する丸太材等は、断面積百二十平方センチメートル以上千四百平方センチメートルとし(壁相互の交さ部、耐力壁の最上部、耐力壁の最下部等で、欠き取ることが必要とされる部分を除く。)、かつ、これらに接する部材に円滑に存在応力を伝えることのできる形状としなければならない。

四 耐力壁は、高さ四メートル以下とし、かつ、幅は高さに〇.三を乗じて得た数値以上としなければならない。

五 耐力壁線相互の距離は六メートル以下とし、かつ、耐力壁線により囲まれた部分の水平投影面積は三十平方メートル以下としなければならない。ただし、構造計算又は実験によつて構造耐力上安全であることが確かめられた場合においては、耐力壁線相互の距離及び耐力壁線により囲まれた部分の水平投影面積は、それぞれ八メートル以下及び四十平方メートル以下とすることができる。

六 耐力壁線相互の交さ部においては、張り間方向及びけた行方向に耐力壁を設け、かつ、丸太材等を構造耐力上有効に組み、壁面から端部を二十センチメートル以上突出させなければならない。

七 耐力壁線相互の交さ部においては、耐力壁の最上部から土台等までを貫く直径十三ミリメートル以上の通しボルトを設けなければならない。ただし、構造計算又は実験によつて構造耐力上安全であることが確かめられた場合においては、この限りでない。

八 耐力壁線に設ける開口部の上部には、丸太材等により構成される壁を構造耐力上有効に設けなければならない。ただし、これと同等以上の構造耐力上有効な補強を行つた場合においては、この限りでない。

九 耐力壁の端部及び開口部周囲は、通しボルト等により構造耐力上有効に補強しなければならない。

十 丸太材等には、継手を設けてはならない。ただし、構造耐力上有効な補強を行つた場合においては、この限りでない。

十一 耐力壁内には、継ぎに定めるところにより、構造耐力上有効にだぼを設けなければならない。ただし、構造計算又は実験によつて構造耐力上安全であることが確かめられた場合においては、この限りでない。

イ だぼの材料は、日本工業規格G三一一二?一九八七(鉄筋コンクリート用棒鋼)に規定するSR二三五若しくはSD二九五Aに適合する直径九ミリメートル以上の鋼材若しくはこれらと同等以上の耐力を有する鋼材又は

小径が二十五ミリメートル以上の木材で令第八十九条第一項の表種類の欄に掲げるもの若しくはこれらと同等以上の品質を有する木材とすること。

ロ だぼの長さは、相接する丸太材等に十分に水平力を伝えることのできる長さとすること。

ハ 張り間方向及びけた行方向に配置するだぼに本数は、それぞれの方向につき、丸太材等の各段ごとに、次の(1)の式によつて得られる数値又は次の(2)の式によつて得られる数値のいずれか多い数値以上としなければならない。この場合において、だぼの本数は、だぼ相互の間隔が六十センチメートル以上のものについて算定する。

(1) nw=Sw/Sf

(2) nk=Sk/Sf

 

(1)の式及び(2)の式において、nw、nk、Sw、Sk及びSfはそれぞれ次の数値を表すものとする。

 nw及びnk だぼの本数

 Sw 令第八十七条に規定する風圧力によるせん断力

(単位 キログラム)

 Sk 令第八十八条に規定する地震力によるせん断力

(単位 キログラム)

 Sf だぼの種類に応じて、それぞれ次の表のせん断強度の欄に掲げる数値

 

だぼの種類

  せん断強度(単位 キログラム)

 

鋼材のだぼ _____________

   0.4{2テ1+20(d/D)(d/D)-1}dD'4.3dd

 又は0.81dDのうち最も小さい数値

木材のだぼ

 断面形状が長方形その他これに類するもの

_____________

   0.096{2テ1+15(d/D)(d/D)-1}dD'0.091dd

 又は0.19dDのうち最も小さい数値

 断面形状が円形のもの

_____________

   0.096{2テ1+10(d/D)(d/D)-1}dD'0.074dd

 又は0.19dDのうち最も小さい数値

 

この表において、dはだぼの小径(鋼材のだぼにあつては十六を超える場合においては十六、木材のだぼにあつては三十を超える場合にあつては三十)(単位 ミリメートル)を、Dは各段の丸太材等の見付高さ(単位 ミリメートル)を表すものとする。

 

ニ イに掲げる耐力及びロに掲げる長さを有するアンカーボルト、通しボルトその他これらに類するボルトについては、ハの規定によるだぼの本数の算定に当たつてだぼの本数とみなすことができる。

十二 地階の壁は、鉄筋コンクリート造としなければならない。

第五 小屋

一 屋根は、風圧力その他の外力に対して安全なものとしなければならない。

二 小屋組は、風圧力に対して安全であるように、耐力壁と緊結しなければならない。

第六 防腐措置等

一 地面から一メートル以内の構造耐力上主要な部分(床根太及び床材を除く。)、基礎の上階から三十センチメートル以内の高さの丸太材等及び木製のだぼで常時湿潤の状態となるおそれのある部分に用いられるものには、有効な防腐措置を講ずるとともに、必要に応じて、しろありその他の虫による害を防ぐための措置を講じなければならない。

二 常時湿潤の状態となるおそれのある部分の部材を緊結するための金物には、有効なさび止め措置を講じなければならない。