「とんびとして飛ぶ」

航空カメラマンと打ち合わせる。
撮影地点、撮影内容と要望を訊き、現地までの距離、天候の現況と予測、地形や他の空港施設との兼ね合いを加味して所要時間を予測し見積もる。
必要があれば、航空施設や空港に連絡し、書面や電話での調整をする。
同時に機体の装備やコンディション、搭載燃料などの状況の確認
煩雑期は他のカメラマンの撮影予定地も訊いておき、飛行中に出来るだけ自分でデータを集める。
そして機体の最終点検を行いコックピットに収まる、、、

これを30分でやる時もあるのだ。


「プロとアマの違い」

安全に空を飛ぶことに差はない。
危険を冒すことなく必ず帰ってきて、大地に足を降ろす。
ただ、絶対的に違うのは「効率」を求められること。
効率的なルート、効率的な操作、、、
そしてそれを求めてもなお安全マージンを減らしてはならないという絶対条件が付く。
そしてその効率は時間やモノの消費に如実に現れるのだ。
だから、厳しい。


「いいパイロットの条件」(とんび説)

ポルコは「インスピレーションだなぁ、、、」って言ったけど、
「イマジネーション(想像力)だなぁ、、、」って言いたい。
「こうしたらどうなるか?」を常に考え、
出来るだけリアルにシミュレートすることが
安全や効率、突発的事態への対処に効くんだ。
「どうなるか?」は事態だけでなく、自分自身もどうなるか?
までイメージすること。
それをしているからヘナチョコで弱虫な俺でも飛べるんだ、、、と思ってる。
そして、、、それは人生のあらゆる事にも通じている、、、


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「命たちの犠牲の上に」

バードストライク、、、
 久しぶりに飛んだ。
なに気なく下界を見下ろして、ふと正面に視線を戻した瞬間、黒い小さな影が右上と左下にすっと消えた気がした。
 地上に戻って点検してみると、小鳥だろうか?機体にダメージもなかったから、きっとハトより小さいツグミぐらいの大きさだったのだろう。
彼にとっても一瞬の出来事。
大きな鳥ならこっちも気付いて、よけてあげられたかもしれないけど、、、。

 20年飛んでいて、海鳥をよけながら飛んだりもしたけれど、バードストライクはこれが2度目だった。一度着陸間際に、老いていたのか?群れから遅れて飛び立とうとしたカラスが当たったことがあったぐらいだった。
 でも、夏になれば虫たちが風防や翼に付いているし、それはクルマに乗っていてもそうだ。
いや、休日にMTBで里山を走っていてもその轍には屍累々なのかも知れないな、、、

彼の命の残滓を拭いながら思う、、、
人が文明や利便を追求すると、直接その犠牲になったり、環境を変化させたり汚したりして命を奪ってしまっている。

せめてそれをいつも心の隅に置いておこう
そして、せめてその犠牲が少ないように心がけよう
それが文明を享受する、「命の輪廻」の輪から飛び出してしまった人間の宿命なのかもしれないから、、、、
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「(長編)忘れられない離着陸」(前向きじゃないと事故っちゃうぞ編)

 サラリーマンパイロットとしての終わりに近いある月曜日のことだった。
快晴で絶好の撮影日和。撮影の予定は目いっぱい詰まってた。
日曜の午後から関東付近を通過した猛烈な低気圧に引きずられた寒冷前線は教科書通りの強風を連れてきていた。あまりにも勢力が強く、そこに引きずり込まれる西よりの風は強風という表現では物足りないほど。

調布飛行場は、西に秩父、奥多摩、丹沢山系があるので西よりの風は弱められるか、向きを変えられほぼ北風になるのが普通だけれど、(だから、調布以西の立川、横田のランウェイはほぼ南北)あの日の風はその山を乗り越えてすら西の風向を変えず、ばかりか山越えの乱気流まで伴なって地表にまで及んでいた。

 同業各社は社内基準やパイロットやカメラマンの判断で飛行を控えるところが多かったのか?快晴の朝なのに無線機はシーンとしていた。

 しかしここに集うカメラマン達はつわものぞろいだから「飛べるなら上がって!」というスタンス。
現時点の天候とこの先の見込みを考慮すると、「風速はまだ上がっても、低気圧の移動に伴なって風向は北に変わっていくだろうからいける」と判断したが、、、

 朝一番の離陸は、それでも「よいしょよいしょ」と声が出てしまいながらも、まあ「冬に良くある気流の悪い日」程度だった。上空3000ftぐらいまでは山越えの乱気流の中なので、撮影地点までは高度をとって移動する。
撮影地点では高度を1000ft以下に降りるので、予想した通り地形やビルの影響で乱気流と格闘だった。カメラマンが要求するポイントに機体を横っ飛びしながら流されるのを予測して持って行く。シャッターを押す瞬間は機体をチョットでも落ち着かせるように全神経を注ぐ。

 撮影終了!いつもより腕も脚もパンパンになりながら帰途につく、、、
「ん?風が強くなってるか?」
着陸進入経路に入るために高度を下げると地形の影響の乱流でガツンガツンと上下に激しく揺れカメラバッグが浮き上がりそうなほどになってきて確信する。
管制塔と交信すると風は滑走路に対してほぼ90度から18kt最大突風34kt!
指定された滑走路の向きは35(北向)きだから左からかなり風が吹いていることになる。
セスナのマニュアルでは保障される横風性能は15kt。限界とか禁止ではないから「そこからは腕次第」という事だ。
 しかもここ調布飛行場のファイナルアプローチの後半風上側に味の素スタジアムがある。
「ったく、どこのバカだ?飛行場の脇にこんなもん作りやがったのは!」
こんな日は誰とも知らない机の上だけで計画し、決定していった奴等に毒づきたくなる。
おそらく通常の進入角ではそこを超えた乱気流が襲いかかるだろう、、、
「巻き込まれたら落ちるかも、、、マジでかからないとヤバい」
どうやら自分の持ってるものを全て出さないと無事に済みそうもない。
 「へへっ、こりゃ面白くなりそうだ」半分は強がりの言葉が口を突いて出る。
いや、そう自分を鼓舞しないとこういう場合ヤバい。

馴染みのお客に「すげー吹いてます!かなり揺れますよ。まぁ、スタジアムをやり過ごせばいいから大丈夫ですが、、、」と、状況を説明する。
俺より長年飛んでいる人だから、たぶんわかっているのだろう。
「あ、そう、、、」といった顔がちょっと引き締まっている。

 進入角をいつもの倍にして、とにかくスタジアムの後流をできるだけ高度の高いうちにやりすごす、、、滑走路まで200m高度600ft。
ガツガツと乱流が機体をロールさせようとする。
修正舵を打っても20度以上傾く。
スタジアムの風下を通過したら強風を利用して機首はそのまま、風上側に機体を傾け気流に対して横に滑らせて一気に降下させる。
管制塔も心配してか、風向風速を逐次一方送信してくれる。
滑走路が下から迫ってきて機体を引き起こすと今度は風上にある建物から起こる地表付近の乱流が機体を翻弄する。(ここにもお役所仕事のツケが、、、)
機体が滑走路からはみ出さないようにコントロールするのが精一杯。
まるで暴れ馬の様な機体をなだめ、なんとか滑走路をバウンドしながらタイヤを横に擦りつけるように接地。まるで初めて飛んだ訓練生の様だがこんな日は降りただけでも良しとしよう。
機体は徐々に速度を落としているがまだ横風の影響で蛇行する。ここで気を抜くとめくり上げられてひっくり返される。実際に過去にはそんな事故もあった。

 ようやく地上滑走の速度になって一安心した頃、ずっと無言だったカメラマン氏がようやく「いやー凄かったね!」と口を開く。
管制塔から進入経路の乱気流の状況を訊かれたので「ミディアムからシビアです」と答える。こう答えたのは初めてだ。実際かなりいっぱいいっぱいだった。

 駐機スポットに戻ると次のフライトのために整備さんと別のカメラマンが待っていた。
「すごかったね!暴れてたじゃん!ヤバいかなーってみんな見てたよ」
、、、って言ってんのに「次行こうか!」とカメラマンさん。
「マジっすか!かなり揺れますよ」
「上がれない?今日ぐらいしかこの天気ないし、締め切り迫ってるんだよね」
「上がれなくはないけど、、、降りる時結構怖いっスよ」
「上で揺れるかな?低空あるんだよねー日野で、、、カーゴドア外しで」
「え゛ーっ!しょーがないなー」




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「(長編)忘れられない離着陸」(また上がるの?編)

、、、で、上がることに、、、。

 エンジンを始動し、誰の声も入ってこない周波数で管制塔とまた交信する。
風向風速はさっきとほぼ変わらない。
チェックを済ませ離陸の許可が出て滑走路に入ろうと風に正対してスロットルを少し開けた途端に機体はヘリコプターの様にその場でズズズッと浮き上がろうとする。

 離陸のために滑走を開始!
機体はいきなり風見効果で風上である滑走路左側の草地へ向かおうと暴れ出す。操縦桿を左に切って機体を傾ける。左から吹く風に右にめくられたらおしまいだ。
そして、「滑走路から出なけりゃいい」と多少の蛇行は許して風の力を逃がしながら舵を使い過ぎないようにして機速をつける事を優先する。離陸速度になったら一気に地面から引き剥がすように機体を浮かせ、すぐ機首を風上側に向け水平飛行し速度をつける。それでも突風の息つきに合わせ機体は再び滑走路に車輪が着きそうになるほど落とされる。
速度をつけてようやく上昇姿勢に持ちこむ。
こうなればあとは揺れるだけだ。少し緊張を解く、、、。

管制塔からまた乱気流の情報提供の要請があった。
「滑走路上から離陸経路にかけてもミディアムからシビアーです。
風向がほぼ直角なので場合によっては南向きに進入した方が良いかもしれません。」と、報告する。
「了解しました。ウィンド270/18ktガスト(突風)34ktハブ・ア・ナイスフライト!」
「シー・ユー・レイター」
機は高度を上げていく。

 2度目のフライトの最初の現場はまず8000ft上空。
高度を取るにつれ山越えの乱流の影響もほとんど無くなり綺麗に整流された一定の強い風が吹いている。ところが現場上空は寒気の吹き込みの雲が発生していた。
機体を倒して地面に対しカメラを垂直にする撮影なのだが、雲影が入ってしまうためスタンバイすること約20分、、、
なんとか雲の合間にタイミングを合わせて撮影し高度を下げる。
 高度を下げるとまた乱気流に揉まれる。山越えの気流だ。
風向きによっては機体は横飛びに流されながらも低高度もなんとか終了。

 次は日野だ。
陸上自衛隊立川基地の官制エリア内だけれど、強風のためか訓練は少ないようで、すぐに許可が出る。河岸段丘のキックアップした風の影響で機体は大きく揺れる。
そんな中でカメラマンさんは、貨物室の方に移動し、あらかじめ外してあったカーゴドアの開口部から身を乗り出して魚眼レンズで撮影する準備に入ると言う。
もちろん命綱を着けるのだが、まずそこに移動してベルトを固定するまでが危険だ。

 カーゴドアの開口部と反対の右に機体をバンクさせスタンバイの旋回に入る。
通常の旋回では強風の揺れでカメラマンが放り出されないとも限らないので機体を右に滑らせ、さらに地形からの気流を読み揺れないように旋回を続けるように神経を注ぐ。

「準備オッケー」の声を合図に撮影開始!
「高度を落として、翼を上げて、そのまま真っ直ぐ!」
この風の中ムチャな要求がどんどんくる。
機体は横風で横飛びしながら、、、河川敷上空高度700ft。
河岸段丘の気流に暴れる機体を、シャッターを押すタイミングを見計らっておとなしくさせる。

 撮影予定をすべてを済ませて帰途に着く。
撮影の間も調布の周波数をモニターして、離着陸の様子を傍受していたが、あれから伊豆諸島からの定期便2機、訓練機2機が着陸したようだ。
俺の乱気流レポートをもとにコーションが出されるが、みな無事に降りた。それぞれのレポートも乱気流レベル「ミディアムかモデレート」とのこと。
どうやら風向きが変わって気流が収まったようだ。さっきと様子が同じでほぼ真横の風なら、スタジアムの乱流を避けて反対側から南に向かっての着陸も試したかもしれないけれど、その必要はないらしい。どうやらあの着陸から離陸した時間が一番酷かったようだ。


その日はさすがに疲れて、午後は事務所でノビていた、、、。


そして木曜日、、、
またまた前線通過前の南風が強い日、、、
 千葉市郊外で野焼きが杉林に類焼した火事を発見!
風上に機種を向けフラップ10度下げ、パワーオン、機種をやや上に、速度を極力下げる。
セスナはヒバリやチョウゲンボウの様に空中の一点にホバリングした。

春は案外そんなフライトが多い、、、



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台風22号直撃の中、地上で飛ぶ?」

 '04年は夏から今まで西日本の方にお任せしていた台風ですが、とうとうお鉢が東日本に回ってきた。
ま、季節も進んだしそろそろ東に流れてくるな〜なんて思ってたけど、いきなり強力なクラスが接近。
愛機JA3748は屋外係留だからこれは深刻。
何日か前からかなりコースがヤバいって予報は出ていたけど格納庫に入れるコストも馬鹿にならない。コースは北にずれる方に賭けて、「コースによっては大して風向が変わらないから凌げるし」などと、とりあえず管理会社には、機首を南に向けて係留するように頼み最終判断を保留していた。

 その日の朝になり整備さんから「単発の高翼機で格納庫に避難してないのは一機だけだよ」と電話で起こされ、テレビでチェックしてみると、、、おおっ来やがった!それもど真ん中コース!しかしすでに飛行場の格納庫は避難した機体で満杯状態だという。こうなりゃ飛行場の北側を通る今までのパターンになることを祈るしかない!
通常北側を西から東へ移動するということは台風の右半円に入るので移動速度と風速がプラスされて危険なのだが、調布飛行場の西側から北にかけては秩父丹沢山系があり風力は弱められるはず。格納庫に入れない機体は各社南に向けていたから、その時点での大方の予想はそうだったのだが、、、
で、見事期待交じりの予測は外れ!
さらに一昨年だっけか?茨城の高圧鉄塔をへし折った小型台風より強力だと聞いて「こりゃイカン」と思ったけどもう遅い!
「こうなりゃ乗るっきゃないかな〜」なんて独り言がついて出る。以前から台風被害の話を聞くたびに、「もし機内でコントロールしていたら、ひっくり返されるなんてことないと思うんだけど、、、」 と思っていたので、この際だから毒食らわば皿までということで試したくなった。

 夕方飛行場に着いてiモードで進路の変化をチェックしながら、外の風や雲の流れの変化を観察していると、風が少しずつ北から吹き始めてきた。ど真ん中直上通過コースから南に逸れ始めた兆しだ。
暴風圏が狭い台風は吹き始めるとすぐにガツンと強い風になるので、格納庫で作業している整備さんを急かしてクルマで機体の所へ、、、しかし、まだ吹いていない強風をイメージするのは難しいもので、ついつい準備に時間が掛かって機体の所に着いた時にはもう近づけないほど強風が吹き荒れていた。(たぶん平均45kt以上)
気流の中を進むように作ってある飛行機は向かい風には強いけど、後ろから吹かれると弱い。機体は大きく揺れ、エレベーター(昇降舵)はバタつきはじめ、今にも折れ曲がりそうで見ていられない。ガストロックで操縦桿を固定しているだけのエレベーターはコントロールワイヤーの張力だけで支えていることになるからいつまでもこの状態だといつか切れてしまいそうだ。切れたら一気にエレベータが動き機体はめくり上げられるだろう。でも今無理してロープを解いたら、この強風が翼の下にもぐりこみ機体はめくられ裏返しになるかもしれない。過去にそうした被害があった話は聞いている。
ベテランの整備さんも、「こりゃ手遅れだ、ヤバいよ」とクルマから出ようとしない。 いや、出られないほど吹き荒れていた。
「とにかく舵を守らなきゃいけないから、クルマを尾翼ぎりぎりに横向きに寄せて風を弱めて!」と頼む。固唾を呑んで見守る。クルマが風除けになり先程よりずいぶんマシになった。尾翼は守れたけど、主翼がまだヤバい!でも、風というものは必ず息をつく様に弱まる時がある、、、無言で二人はそれを狙っていた。
 果たして、ほんの一瞬弱まった!風音の変化を聞いて真っ先に外に飛び出したのは整備さんだ。さすがベテランの判断!弾かれた様に自分も後に続く、、、
それでもカッパが引き千切られそうな風の中で主翼のロープを外し、すばやく車輪止めを外し、息を合わせて押して機首を風上に向ける。その時間おそらく数分、、、アンカーに両翼を固定し始めた頃またドンッと風が強くなり始めた。いい判断だった。
クルマに戻る頃には長靴の中に水がたまっていた。様子を見ていると機体は左右に翼を振るように凄く暴れている。主翼下からアンカーに繋いでいるロープが交互にピンと張り切れそうに見える。ロープがもし切れたら、、、

 「俺、乗ってますよ」突然そう切り出したから、整備さんはびっくりしたのだろう。「この風の中で?ヤバいんじゃないの?」って止められたけど、「この台風は障害物のない海上で中心付近の風がせいぜい50m/sエネルギーを補給することなく使いながら北上してさらに地上の障害物で風は弱められるから最悪でも40m/s。つまり80ktで乱気流の中を飛んでると思えばいいから」と説き伏せる。もちろんそれは机上論で確信とは程遠い。その揺れ様を見て躊躇しそうになる自分自身への励ましでもあったかもしれない。
とにかく車外へ、、、鍵を開け機に乗り込む。操縦席に座って操縦桿を固定してあるガストロックを外し、目いっぱい押した状態で膝で固定する。するとどうだろう、機体は安定して、乱気流どころか、冬の強風程度の揺れしかない。 「やっぱり!これはいける。せいぜい2時間か3時間だろうし、、、」独りの機内で誰が聞くともない言葉をつぶやく、、、
ふと見ると、雨の飛沫のキャノピーの向こうでうごめいているのは、やっぱり風向の反対に向いていた伊豆諸島便の双発機の整備士さんたちだ。大きい飛行機は丈夫だけれど、やはりこれほどの風を後ろから受けるのはまずいのだ。
アンカーの関係でJA3748の機首はほぼ真北に向いているが、まだ台風は南にいるのか窓越しに見る雨のしぶきの流れの向きは東寄りだ。操縦桿を右にめいっぱい切っておくとなおさら揺れが静かになった。

 機内では膝で操縦桿を固定していたから、両手は使えるので携帯のiモードで台風の位置を確認するが、情報が1時間遅れで遅い。高度計をセットして観察すると少しずつ高度表示が上がっていくからまだ気圧は下がり続けているのだ。台風はまだ接近中のようだ。リアルタイムでの情報が欲しい。
VHF無線機で羽田空港のの情報を聴き、ADFを使ってAMラジオの台風情報を聴く必要がある。また尾翼に飛行中と同じような風を当てれば機体がもっと安定するかもしれないとも思う。どうやらエンジンをかけた方がいいようだ。
ミクスチャーフルリッチ、プライミングして、スターターオン!先日乗って頂いた心の師匠も褒めてくれた、絶好調のエンジンがたのもしい唸りを上げて我が愛機が目を覚ます。
風を余計に強くしてもかえっていけないかもしれないので、エンジン回転は1000rpm前後とそんなに上げない。やっぱり目論見通り機体が安定した!
 羽田のATISによれば57kt(28.5m/s)らしい、、、。AMラジオの速報では横須賀を通過して6時には千葉に抜けると言っている。どうやら直撃ではなく、やや南から東に移動したようだ。そろそろ最大風速域から外れるだろう。風向もほぼ正面になって操縦桿を水平にしエルロンは中立、機は安定している。

そのうち揺れがほとんどなくなり、雨の飛沫の動きや景色も穏やかになっていった、、、
約1時間のことだった。
人の話によると調布の最大風速73kt(36.5m/s)だったらしい、、、もちろん体験したことない風だ。どうりで飛んでるみたいだったわけだ。乗り込む必要があった強風は1時間ほどだったけど、機内からメールで連絡したりiモードで情報を得ることが出来たぐらい意外に揺れず、危険も感じなかった。
これはいい経験だったと思う。豪雨のたびに起こる機内の雨漏りの原因もわかったし、、、 (^o^;)ゞ

でも、直撃じゃなかったからかもしれないし、駐機位置が乱流が発生する建物から離れた場所だったのも幸いしていただろう、、、驕るまい。


あまり度々は体験したくはない地上のフライト(?)だった。


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