テキサスの五人の仲間 ★★★
(A Big Hand for the Little Lady)

1966 US
監督:フィールダー・クック
出演:ヘンリー・フォンダ、ジョアン・ウッドワード、ジェーソン・ロバーズ、ケビン・マッカーシー


<一口プロット解説>
テキサスのある小さな町で年に一度金持ちが集まってポーカーマッチが開かれているが、今年はそこへヘンリー・フォンダとジョアン・ウッドワード及びその息子の3人がやって来る。
<雷小僧のコメント>
最初に宣言してしまいます。これは、目茶苦茶に面白い映画です。もともとはTV用に作成された映画のようですが、この映画はエンターテインメント性という点においてあらゆる要素を持ち合わせています。いわゆるコンメン(要するに詐欺師ですが)を扱った映画としては、あの「スティング」(1973)よりも面白いと私目は思っています。何故ならば「スティング」が騙すのは悪漢のロバート・ショーだけですが、こちらは見ている観客まで全部まとめて十羽一からげにして騙してしまうからです。この映画の最後のどんでん返し(この映画はネタをばらしたぐらいで、価値が下がるような映画ではないのですが、ここでは明かさないことにしましょう)には、ほとんどの人がうーーーーーんやられたと思うに違いありません。私目も一番最初に見た時は、ゲゲゲと思わずのけ反ってしまいました。よく人を驚かす為だけに、ストーリーと有機的にマッチしないとってつけたような意外な結末で終る映画(比較的最近では「理由」(1995)とかいうショーン・コネリーが出演していた映画がそのいい例です)がありますが、「テキサスの五人の仲間」の場合には完全に有機的にストーリー全体に噛み合っていながら尚且つ全く予期せぬラストで終るので非常に強いインパクトがあります。だからこそ、意外であると言っても1回しか見られないような映画ではなく、何回見てもラストシーンに感心することが出来るわけです。
また、ポーカーゲーム中に交わされる掛け合いのような会話が絶品で、ヘンリー・フォンダ、ジョアン・ウッドワードという主演の他にも、ジェーソン・ロバーズ(ハンフリー・ボガートに顔も声も似ている人です)、バージェス・メレディス(最近亡くなりました)、ケビン・マッカーシー(声が実に素晴らしいのですが、最近は職がないのか、なんとあるマルチメディアゲームに出演していました)、チャールズ・ビックフォード(これが遺作ではないでしょうか?)といった脇役が実に素晴らしい。それから、1950−60年代の脇役としては、「ティファニーで朝食を」(1961)でティファニーの店員を演じていた悪名高きシーンスティーラーのジョン・マクギヴァーと共に私目の大好きなポール・フォードが出演しています。鼻にかかるような声で独特のスピーチパターンを持つこの人を見ていると実に愉快な気分になります。しかし、何と言っても私目の一番好きなシーンは、ジョアン・ウッドワードが自分の持っている手札を担保にポール・フォードの経営する銀行からお金を借りようとするシーンでしょう。ポール・ニューマンもこんなかみさんを持っているとは、羨ましい限りではないですか。
そうそう、最後に一言付け加えたいのですが、この映画は日本語のタイトルが実に素晴らしい。理由を言うとある程度ネタばらしになるので言いませんが、この映画を初めて見る人はこのタイトルを10回程唱えてから見ることにしましょう。注意力のない人はこのタイトルに騙されるだろうし、それがある人は最後のどんでん返しを予想出来るかもしれません。私目は注意力などなきに等しいので見事に騙されました。

1999/04/10 by 雷小僧
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