Inherit the Wind ★★★

1999 US
監督:ダニエル・ペトリ
出演:ジャック・レモン、ジョージ・C・スコット、ボー・ブリッジス、パイパー・ローリー

向:ジャック・レモン、手前:ジョージ・C・スコット

この映画は、スペンサー・トレイシーとフレデリック・マーチがすさまじい法廷劇を演じた1960年のスタンリー・クレイマーの名作「風の遺産」のリメイク(もともとは舞台劇のようですね)で、ほぼオリジナルに忠実なのではないでしょうか。そもそもテーマがすごい。進化論を学校で教えたある教師が逮捕されるところから始まるこの映画は、そのほとんどのシーンがこの教師を弁護するジャック・レモン(オリジナルではスペンサー・トレイシー)と原告側の弁護士ジョージ・C・スコット(オリジナルではフレデリック・マーチ)との間の強烈な進化論を巡っての論争に終始するわけですから、法廷劇が受けない日本ではオリジナルもテレビでしか公開されていないし、リメイクもビデオも含めて日本ではまだ未公開(だと思います。間違っていたらすすすすすんましぇん)であるというのがよく分かるような気がします。けれども、詳細はオリジナルのレビューを参考にしてほしいのですが、この映画は共同体社会及び近代的な自由人としての個人に関する色々な問題を見事に浮き彫りにしている点において(私目はこの映画は進化論についての映画としてよりも、共同体とは何か、個人とは何かについての映画であると考えています)、まずこの映画に匹敵する映画はそうざらにはないのではないかと考えている程重要な作品であると捉えています。所謂思考する人の映画であると言ってもよい映画なのですが、こういう映画がいとも簡単に見捨てられてしまうとするならば日本という国はちょっとやばそうじゃんという気がいやでもしてきますね(ちょっとこれはオーバーかな。)。それにしても配役がまた見事です。オリジナルの方のスペンサー・トレイシーは、強烈な論争の中にもソフィスティケートされたユーモアを巧妙に持ち来んでいましたが、現存する俳優さんでこのスペンサー・トレイシーの域に少しでも近付けるとすればそれは恐らくジャック・レモンをおいて他には考えられないように思います。それから、対するジョージ・C・スコットもこの映画が撮影された時点で現存していた俳優さんの中で、フレデリック・マーチの醸し出す緊迫感に匹敵するものを持っていたのはこの人しかいなかったのではないでしょうか(残念ながら昨年であったか亡くなりましたが)。それからオリジナルではジーン・ケリーが演じていたシニカルな新聞記者の役をボー・ブリッジスが無難にこなしています。また、ジョージ・C・スコットの奥さん役にこれまた古豪のパイパー・ローリーが起用されています。オリジナルでもリメイクでもどちらでもいいですから(或は両方セットにすればなおいいですね)、これは明日の日本の為に(何のこっちゃ)是非日本語版を出して下さい。お願いしますよーーーーーー(誰に言っているのでしょうか?)。

注:Ja_aJさん、たどんさんの指摘によると、この映画の日本語版ビデオは既に存在するそうです。失礼しましたーーーー。逃げ逃げ逃げ。


2001/03/12 by 雷小僧
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