Last of the Red Hot Lovers ★☆☆

1972 US
監督:ジーン・サックス
出演:アラン・アーキン、サリー・ケラーマンポーラ・プレンティス、レニー・テイラー

左:サリー・ケラーマン、右:アラン・アーキン


ニール・サイモンの戯曲が元になっている映画で、サイモン物の映画化成功作二本すなわち「裸足で散歩」(1967)、「おかしな二人」(1968)を監督しているジーン・サックスがこの映画も監督しています。アラン・アーキン演ずる中年の魚レストラン経営者が、三人のおねーちゃん達を(というよりも実際はおばさん達なのですが)自分の母親のアパートの一室まで誘う(というよりもおねーちゃん達の方からやって来る)のはいいのですが、そこは中年の何やらかやらで妄想ばかり膨らませて実際は何も起こらないというようなコメディです。この三人のおねーちゃん達をサリー・ケラーマン、ポーラ・プレンティス、レニー・テイラー(私目はよく知らない女優さんです)が演じているのですが、3人が同時に出てくるわけではなくアーキンとそれぞれの女優さん達とのパートが3つあるというようないわばオムニバスに近い形式になっていて、同じサイモン物でこれも映画化成功作と言ってもよい「おかしなホテル」(1971)に形式的には似通っていると言えましょう。この「Last of the Red Hot Lovers」は、今まで挙げた他の3本のサイモン物映画化作品に比べると、やや一般受けはしないかなという感があり、またあちらでの評価は極めて悪い方です。一般受けはしないであろうという理由の1つとして出演している俳優さん達の人気度ランクが、他の作品の主演俳優さん達のそれに比べるとかなり落ちるということが挙げられ、またもともとサイモンの映画化作品は、どうしても彼独自のセリフ廻しがあるのでそれに波長が合わない人にはあまり面白い作品にはならないという傾向があるように思われますが、この映画もその例に漏れず(というよりもその傾向が最も顕著であり)、ほとんどのシーンはあるアパートの一室で撮られており最初から純粋にサイモン調のセリフ廻しを楽しむ心構えで見ないとなかなか面白いと思える映画にはならないかもしれません。余談として更に付け加えると、そういう特質を持つサイモンの映画化作品は、日本語吹替えにすると全部その主要エッセンスが消し飛んでしまうでしょうし、字幕でも独自の言い回しが正確に反映されることはまずないことが予想されますので、殊に日本語化が難しい部類に入るかもしれません。が、いずれにしても、逆に考えればサイモン物に波長が合う人にはこの映画をビデオライブラリに加えるのはそう悪いアイデアではないとも言えるでしょう。まあ、それは別としても相変わらず風変わりなサリー・ケラーマンと独自の声が相変わらず素晴らしいポーラ・プレンティスを鑑賞するのもまた楽しいかもしれませんね。


2001/09/29 by 雷小僧
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