Dear Heart ★★★

1964 US
監督:デルバート・マン
出演:グレン・フォード、ジェラルディン・ペイジ、バーバラ・ニコルズ、アンジェラ・ランズベリー

左:ジェラルディン・ペイジ、右:グレン・フォード

小生は、この手の映画に目茶苦茶弱いところがあります。どれくらい弱いかというと、1日に2回見たことがある程です。基本的に映画は、何度も見てこそ価値が生まれると考えているとはいえ、さすがに1日に2回見た作品はほとんどありません。妻子持ちの中年男(グレン・フォード)とPostmistress(女性郵便局長でしょうか?)のオールドミス(ジェラルディン・ペイジ)の間に繰り広げられる静かなるラブロマンスが描かれ、特筆すべき要素は何もない代わりに、ソフトで繊細なタッチが実に素晴らしい作品に仕上がっています。内容的に考えると、エモーショナルなサイドに傾いてもそれ程おかしくはないはずですが、昼メロのようにお涙頂戴的なくどい展開には決して陥らず、またコメディタッチが加えられていながら、コメディにありがちな軽薄な展開に陥ることがありません。俗な用語を用いれば、ほのぼのペースが終始一貫して維持されているところが実にバランスよく感じられます。この作品を見ていると、ストーリーに大きなメリハリがなかったとしても、面白い作品になるものだと妙に感心させられます。その理由として、グレン・フォードのカジュアルではあるけれども決して限度を越えてはめを外さない中庸なパーフォーマンスと、ジェラルディン・ペイジの彼女ならではの独特なパフォーンマンスがうまく活かされている点が第一に挙げられるでしょう。最近の映画を見てよく思うのは、まさにこのような薄味で繊細なタッチの作品がほとんど絶滅に瀕していることです。主演二人の他にも、グレン・フォードの奥さんを演じているアンジェラ・ランズベリー、彼の息子を演じているマイケル・アンダーソン・ジュニア、ホテルの売店のお姉ちゃんを演じているバーバラ・ニコルズが出演しており、この三人は作品にほどよいコメディタッチを加えています。ヘンリー・マンシーニの音楽が作品のムードを巧みに盛り上げていることを、最後に付け加えておきましょう。


2001/02/25 by 雷小僧
(2009/03/05 revised by Hiroshi Iruma)
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