ヤム・ヤム・ガール ★★☆
(Under the Yum-Yum Tree)

1963 US
監督:デビッド・スイフト
出演:ジャック・レモン、キャロル・リンレイ、ディーン・ジョーンズ、イーディ・アダムス

左から:ジャック・レモン、イーディ・アダムス、キャロル・リンレイ、ディーン・ジョーンズ

「ヤム・ヤム・ガール」は60年代前半に盛んに製作されていた艶笑コメディの中の一本であり、家賃を徴収する必要すらないほど大金持ちの独身貴族(ジャック・レモン)が経営する豪華なアパートの部屋を、学生カップル(ディーン・ジョーンズ&キャロル・リンレイ)が借りますが、独身貴族で下心丸出しの大家が、ことあるごとにカップルに干渉するという誠に他愛のないストーリーが繰り広げられます。艶笑コメディといえどポルノ映画ではないので、怪しげなことを致すシーンがあるわけではないとはいえ、華奢なキャロル・リンレイがいかにもキュートで殊に野郎どもには嬉しい限りではないでしょうか。内容に取りたてて見るべきものはありませんが、60年代前半ののどかな雰囲気に溢れた作品で、個人的にはよく見る方です。殊に、当時ディズニー作品に数多く出演していたディーン・ジョーンズの顔を見るたびに、のほほんとした気分が味わえます。女性からすれば、ディズニー御用達の彼はほとんど安全パイでしょう。また、60年代前半のコメディといえば、カラフルな色彩が1つの大きな特徴であり、この作品もその例外ではありません。冒頭のオレンジ調から独身貴族の大家が住む御殿のような部屋の赤いインテリアまで色彩が実に鮮やかです。また、リンレイの叔母を演じているコメディエンヌのイーディ・アダムスが、なかなか魅力的です。アダムスはコメディアンのアーニー・コバックスの奥さんだった人ですがコバックスが交通事故で早逝したので、「ヤム・ヤム・ガール」に出演した時には既に未亡人であったはずです。TV出演がメインであり、映画出演はそれ程多くありませんが、有名どころではビリー・ワイルダーの「アパートの鍵貸します」(1960)で、フレッド・マクマレーの意地悪秘書を演じていました。コメディエンヌのアダムスが、コメディ調の「アパートの鍵貸します」で意地悪ばあさんのような役を一人で無愛想に演じていたのは不思議と言えば不思議ですが、「ヤム・ヤム・ガール」では彼女のコメディエンヌとしての本領がほどよく発揮されています。他愛ない作品ではあれど、50年代後半から60年代前半にかけて製作されていた艶笑コメディに目がない人にはお薦めの作品です。尚、ヤム・ヤムとは何のこっちゃと思われるかもしれませんが、それは作品を見れば分かります。一般的には「おいしい」のくだけた表現であるyummyを省略してyumと言いますが、ここではそれとは少し違うコノテーションが持たされているようです。


2001/11/25 by 雷小僧
(2008/10/23 revised by Hiroshi Iruma)
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