ニューヨークの大停電 ★☆☆
(Where Were You When the Lights Went Out?)

1968 US
監督:ハイ・アバーバック
出演:ドリス・デイ、ロバート・モース、パトリック・オニール、テリー・トーマス

左:ドリス・デイ、右:ロバート・モース

子供の頃テレビでこの作品がしばしば放映されていた記憶があり、そもそもニューヨークの大停電を題材にしてどのような映画ができあがるのか、ガキンチョながら不思議に思ったことを覚えています。テレビ放映されていたのは70年代のことなので、大停電でパニックが発生するパニック映画かとも思っていましたが、実際には50年代60年代にしばしば製作されていた艶笑コメディに分類されるべき作品です。大停電の中で浮気に励んでいた旦那(パトリック・オニール)の姿を嫁さん(ドリス・デイ)が見つけ、里へ帰らせてもらいますとばかりに怒って田舎へ帰ってしまった彼女を旦那が慌てて追いかけ、そこでもドリス・デイ+パトリック・オニールの夫婦と、通りすがりのケッタイなキャラクター(ロバート・モース)がハチャメチャを繰り返すのです。下らないといえば極めて下らない作品ではあれ、ドリス・デイ+ロバート・モースというユニークな組合わせが結構笑えます。ドリス・デイは当時既に40も半ばであったにも関わらずよくやると思わせるドタバタを見せ、ロバート・モースはロバート・モースでいかにも彼らしいコミカルなパフォーマンスを披露しています。ロバート・モースが出演して傑作映画になることはまずありませんが、逆にまったく見所のない作品にもならないのです。というのも、時にピクシーとも呼ばれるように、彼は他の誰もが持っていない独自のケッタイなキャラクターを持っているからです。睡眠薬をしこたま飲んでフラフラになりながらベッドルームファースを演ずるシーンには、いかにもこの二人らしいキャラクターが滲み出ています。それに加えて、ロバート・モース以上のきっかいなパーソナリティを誇るテリー−トーマスが、いつものテリー−トーマス調を発揮しており、この3人、すなわちドリス・デイ、ロバート・モース、テリー−トーマスの三者三様ケッタイなパフォーマンスを楽しむ為だけに見ても損はないかもしれません。ドリス・デイは同年にもう1本の映画に出演し、以後映画界には姿を見せなくなるので、「ニューヨークの大停電」は彼女のほぼ最後の出演映画ということになり、その意味でも貴重です。いかにも60年代的ポップスを思わせる主題歌がまた楽しいことを最後に付け加えておきます。


2001/12/16 by 雷小僧
(2008/11/08 revised by Hiroshi Iruma)
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