プレイラブ48章 ★★☆
A Guide for the Married Man

1967 US
監督:ジーン・ケリー
出演:ウォルター・マッソー、ロバート・モース、インガー・スティーブンス、ルシル・ボール

左:ロバート・モース、右:ウォルター・マッソー

原題は「A Guide for the Married Man」ですが、これは、浮気はしたいが根性がない所帯持ち(ウォルター・マッソー)の為の浮気指南書というような意味です。指南役は、この根性なしの所帯持ちが住む家のお隣さん(ロバート・モース)で、浮気の様々なケーススタディを、いかにも自分は浮気のプロだと言いたそうな顔をして得意気に語ります(上掲画像参照)。とはいえ、結局失敗例が多いのには笑えます。かくして、「プレイラブ48章」は、ロバート・モースがウォルター・マッソーに浮気指南をする部分がメインパートを構成し、浮気の各エピソードがメインパートの中に嵌めこまれる、いわゆる枠構造が取られています。このような構造は、ホラー/ファンタジー系映画でよく見掛けますが、その次に多く見られるのがコメディ映画においてです。どちらの分野でも、エピソードの性格が明確に決定付けられ、のみならずそのような性格がデフォルメされることによって大きな効果が得られ易いのでしょう。浮気の各エピソードには、ルシル・ボール、ジャック・ベニー、ポリー・バーゲン、ジョーイ・ビショップ、シド・シーザー、アート・カーニー、ジェーン・マンスフィールド、ハル・マーチ、カール・ライナー、フィル・シルバース、テリー−トーマス、ジェフリー・ハンター、サム・ジャフェなどの主にコメディ系の有名な俳優さん達がズラリとゲストスターとして登場します。いわば細切れのエピソードがウリの作品であると見なせますが、その中には結構愉快なものがいくつかあります。個人的に気に入っているエピソードは、妻子持ちのスーパースター(カール・ライナー)が、記者の目を逃れて浮気をする為、自分は東廻りに地球を半周し、浮気相手に西廻りに地球を半周させてヨーロッパのどこかかの片田舎で密会しようとするにも関わらず、結局落ち合ったその瞬間に雑誌記者に怒涛のごとく雪崩込まれるエピソードと、妻子持ち(テリー−トーマス)が奥さんのいない間に自宅でグラマラスな娘(ジェーン・マンスフィールド)と浮気をしたのはいいけれど、娘のブラジャーがどうしても見つからないので奥さんに見つかるのではないかと心配して夜も眠れなくなり(何しろ、かのジェーン・マンスフィールドのブラジャーなのであり、見つかればたちどころに奥さんの持ち物ではないことが分かってしまうわけです)、一気に白髪頭になってしまうエピソードです。他愛のない作品といえばそれまでですが、各エピソードがなかなか可笑しいのと、登場するゲストスターにはコメディの壷を心得た達人が多いこともあり結構楽しめます。しかしながら皮肉なのは、浮気指南を受ける主人公の奥さんというのが、インガー・スティーブンス演ずるゴージャスブロンド美人(彼女、スウェーデン出身だけあって本当に肌の色が透き通るように白いのですね)で、しかも料理はプロ並み、旦那の為ならば何でもするというような21世紀の今日においては絶滅の危機に瀕している天然記念物のような奥さんなのです(ゲゲゲ!すんましぇん。つまらないジョークなので世の奥さん連中は怒らないで下さい)。それでは、浮気をすれば必ずや天罰が下るというものです。ということで、まだそれ程有名でなかった頃のジョン・ウイリアムズの60年代ポップス調音楽が楽しいのと、メインパートにモデルのようなギャル達がゾロゾロ登場するのは野郎どもにはお楽しみであることを最後に付け加えておきます。


2002/11/16 by 雷小僧
(2008/11/05 revised by Hiroshi Iruma)
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