女性よ永遠に ★★☆
(Forever Female)

1953 US
監督:アービング・ラッパー
出演:ウイリアム・ホールデン、ジンジャー・ロジャース、ポール・ダグラス、パット・クローリー

左:ウイリアム・ホールデン、右:ジンジャー・ロジャース

あの!あの!あの!当サイトはどうやら女性も結構ご覧になられているようなので、最初にヨイショしてこのタイトル通り「女性よ永遠に」ですと日記には書いておきます。それ(日記に書いておくという部分)は冗談として、この作品はいわゆるひとつの舞台の内幕もので、内容的には同時期に製作された「イヴの総て」(1950)にかなり似ていて、若い舞台女優(パット・クローリー)がベテラン女優(ジンジャー・ロジャース)を押しのけて台頭するというようなストーリーが展開されます。但し、「イヴの総て」と大きく異なる点は、「女性よ永遠に」の方は完全なコメディ調であることです。実際にはかなりエグい内容も含まれているようにも思われますが、ハンドリングがライトタッチで、ラストも皆揃って目出度し目出度しの大団円で終ります。このタイプの映画が持つ魅力の1つは、何と言っても会話のテンポです。もともと舞台劇というジャンルは視覚に頼ることがあまり出来ないので、会話の内容或は会話のテンポそのものに大きなポイントが置かれることが多いのではないかと考えられますが、舞台を扱ったこの作品も流麗な会話のテンポが見ている者を酔わせる程に絶妙です。最近の映画にほとんど見られなくなった要素の1つにこれがあり、確かに50年代当時は白黒作品がほとんどで視覚的に訴えるものが現在程なかった為に聴覚重視傾向があるのかもしれませんが、それにしても映画を見る時の楽しみの1つには会話の流麗なテンポを楽しむことにもあるのだよという点が、現代においてももう少し考慮されてもいいのではないかと、「イヴの総て」や「女性よ永遠に」を見ているとどうしても思えてしまうのです。まあコメディなので内容的にはこれと言って目新しい要素はなく、またホールデンが演ずる劇作家キャラクターに少し一貫性がない(最初はジンジャー・ロジャース演ずる大女優の面前で彼女の演技を辛辣に批判し、俳優は節度謙遜を持たねばならないが劇作家は自己中心的であらねばならないなどと、上記画像からも分かる通りいかにもカッコつけて大言するにも関わらず、まさにその大女優に自分の劇の主役を演じてもらいたいが為に、すぐに自作劇を自ら改作し始めるのです)という欠点があるにはありますが、そもそもシリアスなキャラクタースタディを提示するのがこの作品の目的ではないはずであり、純粋に会話の妙味、テンポを味わうのがこの作品の正しい見方であると言えるように思います。尚、エンドクレジットで、主演の一人パット・クローリーが、この映画における彼女と同様、将来のスター候補としてポートレート画像とともに紹介されますが、どうやら映画配給会社の目論見は見事にはずれたようで、この作品以外ではパット・クローリーという名前はほとんど見かけたことがありません(TV出演が主になったようで、そういえば刑事コロンボのエピソード「指輪の爪あと」(1971)にパトリシア・クローリーとして出演していました)。


2001/10/20 by 雷小僧
(2008/10/06 revised by Hiroshi Iruma)
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