キッスは殺しのサイン ★☆☆
(Deadlier Than the Male)

1966 UK
監督:ラルフ・トーマス
出演:リチャード・ジョンソン、エルケ・ゾマー、シルバ・コシナ、ナイジェル・グリーン

左:エルケ・ゾマー、右:シルバ・コシナ

見方によっては007シリーズをパロったとも見なせる作品であり、たとえばディーン・マーティン主演のマット・ヘルムシリーズや、ジェームズ・コバーン主演の電撃フリントシリーズと似た面を持っています。但し、イギリスはラルフ・トーマスの作品ということもあってか、主演のリチャード・ジョンソン及び悪の親玉を演じているナイジェル・グリーンがこの手の作品としてはあまりにも地味過ぎます。「キッスは殺しのサイン」同様、ド派手な007シリーズも、本来はシブ好みであったはずのイギリス産であったことに思い至ると、むしろ007シリーズの方が例外中の例外であったことに気付かされます。しかしながら、「キッスは殺しのサイン」のそのような致命的な欠点を補うのが、ビューティフルなビューティフルな悪玉二人エルケ・ゾマーとシルバ・コシナであり、カワイイ顔をして平気で人を殺すのです。何しろ、原題は「Deadlier Than the Male」であり、野郎などは目ではないのです。その意味で云えば、「キッスは殺しのサイン」には、イギリス人お得意の人を食ったようなブラックな側面が見られます。いずれにしても、ゾマーAND/ORコシナのファンにはそこそこ楽しめても、そうでなければかなり大きな疑問符がつく作品であるかもしれません。ゾマーとコシナのコンビですが、意外なことにゾマーの方がしっかりお姉さんタイプの役どころで、コシナの方がお嬢さん的なおとぼけ役(他人のものを何でも欲しがる性格が災いして、最後は自分の仕掛けた爆弾で二人ともドッカンしてジエンドになります)を演じており、いつもはゾマーが得意とするような役をコシナが演じているような印象を受けます。それから、もう一人綺麗どころとしてスザンナ・リーが出演しています。不思議なことに前年の「ボーイング・ボーイング」(1965)での彼女よりも恐ろしく幼く見えるばかりか、声まで全然違うので一体どうなっているのでしょう。ゾマーとコシナ以外にウリのない作品ですが、一応続編があります。


2003/07/05 by 雷小僧
(2008/11/01 revised by Hiroshi Iruma)
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