狙撃者 ★☆☆
(Get Carter)

1971 UK
監督:マイク・ホッジス
出演:マイケル・ケイン、イアン・ヘンドリー、ブリット・エクランド、ジョン・オズボーン

上:マイケル・ケイン

海外にはここに取り上げる「狙撃者」のカルトファンがかなりいるようですが、それにしてもイギリス映画にしばしば見られる陰鬱さ、質素さが恐ろしく際立っています。一匹狼の主人公による復讐がテーマであるとはいえ基本的にギャング映画でありながら、ハリウッド産のギャング映画に見られる派手さも豪華さもイギリス産の当作品には全く見られません。ストイックといえるほどの抑制が効いていて、それが逆にスタイリッシュでひなびた効果を生み出しています。従って、70年代の犯罪映画というと「ゴッドファーザー」シリーズなどのゴージャスな作品を期待する向きには、「狙撃者」には必ずや驚かされる、或いはそうでなければ眠たくなること間違いなしでしょう。最近、シルベスタ・スタローン主演によるリメイク「追撃者」(2000)が公開されましたが、そちらが単なる暴力映画に成り下がっていたのに比べると、オリジナルの有していた独自のスタイルがより一層明瞭になります。いずれにしても、映画館で「追撃者」を見ていたのは小生を含めてたった3人であり、いまやそもそもシルベスタ・スタローンでは客が呼べなくなってしまったのかもしれません。オリジナルに主演しているマイケル・ケインはリメイクにも脇役として登場しており、どちらの作品においても結局は殺されてしまうのが何とも哀れです。「狙撃者」は、いわば華のない作品なので万人向けではなく、ハリウッドのアクション映画を見慣れたオーディエンスには全く馴染まないかもしれませんが、質素で緊張感溢れる作品が好みであれば、一度は見ても損はないはずです。


2001/10/06 by 雷小僧
(2008/11/16 revised by Hiroshi Iruma)
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