ボクいかれたヨ! ★☆☆
(Dear Brigitte)

1965 US
監督:ヘンリー・コスター
出演:ジェームズ・スチュワート、グリニス・ジョーンズ、エド・ウイン、ブリジット・バルドー

上:ブリジット・バルドー

うしゃしゃ!思わずゲスト出演のブリジット・バルドーしか写っていない画像を掲載してしまいました。英米映画にターゲットを絞った当ホームページでバルドーを取り上げる機会は少ないこともあり、埋め合わせということで許して下さい。「ボクいかれたヨ!」は、数学の天才少年が憧れのブリジット・バルドーに会って文字通りボクいかれたヨ!になってしまう実に他愛ないコメディ作品です。当時のバルドーであってみれば、数学の天才少年ならずとも老若男女誰でもボクいかれたヨ!になってしまうでしょう。その証拠に天才少年の父親役を演じている百戦錬磨のジミー・スチュワートですらバルドーの前では何やら少し様子がおかしいほどです。「ボクいかれたヨ!」には、原題通りカメオにしろバルドー自身が実際に出演していますが、一にも二にもそれがなければただのホームコメディに終っていたところでしょう。たとえば、シドニー・ルメットが監督した作品に「ガルボトーク」(1984)という作品がありましたが、この作品が空振りに終った最大の理由は、グレタ・ガルボを捜して一万里といったストーリーが展開されるにも関わらず、一にも二にもガルボ当人が全く出演していないところにあります。実名をタイトルに含めているにも関わらず、当人が出演していないのは見る人を決定的にガックリさせてしまうのです。当時80才近かったガルボの出演を期待する方がおかしいとはいえ、代役を務めていたのはハーミオン・ジンゴールドであったはずであり、彼女はガルボよりも更に年上で当時既に90才近かったはずです。それに対して、「ボクいかれたヨ!」には、当時既に80才などということはなかったバルドーが原題通り律儀に顔を見せており、それまでの展開がどうであろうが、それだけでオーディエンスは狂喜することに相成るのです。いつBBが出てくるか期待させられながら最後までじらされるも、期待通りに最後にきちんと彼女が登場するから、内容そのものはどうであろうが、見終った後は幸福感で満たされるという、考えてみれば随分とずるい作品なのです。詐欺のような作品とも言えるでしょう。とはいえ、あまりにも軽薄な邦題の付いたこの作品の名誉の為に付け加えておくと、ストーリー展開自体もそれほど悪くはなく、いくら数学の天才であろうが競馬の着順を正確に当てるのは不可能だろうとは思いつつも、個人的には楽しんで見ている作品であり、60年代当時ジェームズ・スチュワートがしばしば主演していたホームコメディ映画の中では出来の良い作品であると評価できます。


2002/02/09 by 雷小僧
(2008/10/30 revised by Hiroshi Iruma)
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