無責任恋愛作戦 ★★☆
(The Bobo)

1967 UK
監督:ロバート・パリッシュ
出演:ピーター・セラーズ、ブリット・エクランド、ロッサノ・ブラッツィ、アドルフォ・チェリ

左:ブリット・エクランド、右:ピーター・セラーズ

当時のピーター・セラーズは、ピンク・パンサーシリーズを除くとかなりジャンクっぽい作品に少なからず出演していたこともあり、一般的には「無責任恋愛作戦」も同様な目で見られているフシがあります。が、「無責任恋愛作戦」はそれほど悪くない作品です。売れない歌唄う闘牛士(ピーター・セラーズ)が仕事を得る為に街一番の美女で且つ街一番のわがまま娘のオリンピア(ブリット・エクランド)を3日の間にたらしこまなければならないといういかにもジャンクっぽいストーリー展開と、ところどころおいおいと言いたくなるギャグが飛び出すことがあるとはいえ、全体としてはエンターテインメント性が考慮された出来の良いコメディ作品であると評価できます。まず何と言っても、バルセロナであると思われるロケーションが素晴らしく、南欧らしい白っぽい明るさに満ちた街の風景が見事にカメラに収められています。また、フランシス・レイの音楽がなかなか素晴らしく、ピーター・セラーズが作品中で歌っている歌なども彼の曲なのでしょう。個人的には、フランシス・レイのようなビッグネームが音楽担当にクレジットされていると、それだけで映画も必ずや素晴らしいに違いないと思い込んでしまう方で、実際当時はまだ、音楽の価値が映画の価値の大きな部分を決定していた時代であったことにも間違いはありません。また、多分プロだと思われるフラメンコ?ダンサーが踊るシーンが5分程続き、これが実にパワフルであり、迫力が画面から伝わってきます。しかしながら、特筆すべきはブリット・エクランドの魅力で、個人的に見たものの中では「無責任恋愛作戦」が彼女のベスト(エクランドのベスト映画という意味ではなく、エクランドが最も魅力的に見えるという意味でのベストです)であるように思われます。エクランドはスウェーデン出身であり、一見するとどこかバルドー的な印象も受けますが、間の抜けたイメージがあってコメディに合う女優さんです。そのようなわけで、「無責任恋愛作戦」での我が侭且つコケティッシュな娘オリンピア役は、彼女にははまり役でしょう。エクランドファンが見逃す手はない作品です。「無責任恋愛作戦」という邦題にいみじくも示されているように、内容的にはくだらないといえば実にくだらない作品ではあれ、楽しめる映画であることにも間違いはないところです。尚、当時ピーター・セラーズとブリット・エクランドは実際に夫婦でした。


2003/02/08 by 雷小僧
(2008/11/06 revised by Hiroshi Iruma)
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