彼女の全盛期は、アカデミー主演女優賞に4度ノミネートされ、その内の1回を受賞した80年代にあるとはいえ、テレンス・マリックの「地獄の逃避行」(1973)や、ブライアン・デ・パルマの「キャリー」(1976)などの今日でもかなり知られている70年代の作品にも出演しています。それにしても、何度もオスカーにノミネートされる実力派であるとはいえ、また女優になったきっかけはリップ・トーンのいとこであったことも影響したとはいえ、殊にデビュー当時は、「本当に彼女は、女優さんなのだろうか?」とオーディエンスに思わせる、華奢というよりも一層のこと貧相とでも言った方が妥当であるようなイメージがあり、70年代以前であれば主演格で映画に出演する女優には間違いなくなれなかったはずです。そもそも26才で高校生を演じ、果ては30才の時に出演しオスカーを受賞した「歌え!ロレッタ愛のために」の冒頭では、彼女が演じるシンガーソングライターは14才という設定になっているというように、彼女にはまったくもって年齢を超越した印象を受けざるを得ません。それゆえか、彼女は現在でも現役バリバリであり、しかもよくある昔の名前で出ています的なチョイ役ではなく、「イン・ザ・ベッドルーム」(2001)などでは主演格で出演し、コンテンポラリな女優として今だに活躍しています。70年代から活躍しながら、現在でも彼女ほどのステータスを維持する女優さんは極めて少なく、他にはスーザン・サランドンくらいしか思い浮かばないところです。要するに、彼女(シシー・スペイセク)は極めて息の長い女優さんになったということです。 |
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