薬のききめ

佐藤和美

「ききめが永久につづく薬なんてあるか!!
なんにだって有効期限はあるんだ」
「のび太の宇宙小戦争」(藤子不二雄(藤本弘))のドラえもんのセリフである。この作品では薬の有効期限がクライマックスの伏線になっているのである。

 それでは薬の有効期限について、手塚作品で見てみよう。

 「ビッグX」ではビッグXの薬がこぼれて地下に染み込んでしまい、ジャガイモの怪物キング・ガレアが誕生する。ところでキング・ガレアはいつまでたってもビッグXの薬の有効期限がこない。手塚治虫は薬のききめがきれることを忘れてしまったようだ。キング・ガレアは昆虫好きの手塚治虫らしい最後を迎える。

 「アトム大使」では天馬博士が生物を小さくする薬を発明し、この薬を使って次々と宇宙人を消し去っていく。だが最後にはこの薬を自分自身にかけられてしまい消滅する。しかしこの薬もやがて有効期限がきたようだ。天馬博士は元の大きさになって再登場する。しかし他の薬をかけられた人は元にもどっていない。どうやら薬の有効期限がきたのは天馬博士だけだったようだ。

(2000・3・17)

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