「鉄腕アトム・ロボット爆弾」の代筆

佐藤和美

 「鉄腕アトム・ロボット爆弾」は雑誌「少年」に昭和31年12月号から昭和32年8月号まで連載された。そのうち32年7月号が内野純緒という人の代筆になっている。

 この号ではメイスンの人質になっていたタマちゃんが救出されるエピソードが描かれている。助けたのは桑田船長(海底でロボット爆弾に捕まっていた人。講談社全集版では名前が出てこないし、メイスンとも無関係に変更されている。)である。桑田船長はメイスンの部下だったのだが、裏切ってタマちゃんを助けたのだった。

 手塚治虫は単行本化するときには、いつも代筆部分には手を入れていた。「ロボット爆弾」の代筆部分にも手を入れ、現在ではアトムが金の仏像になって、タマちゃんを助けに行くように変更されている。ただしこの変更は中途半端で、メイスンのアジトから脱出するところは描かれていない。いつの間にか脱出していたという具合である。

 現在でも代筆部分は若干であるが残っている。アトムが金の仏像になってタマちゃんを助けた後、メイスンが金貨プールに行こうとするあたり(「鉄腕アトム」講談社版全集4巻P56)である。メイスンの顔をよく見ると、手塚治虫のタッチではない。

(1998・11・07)


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