サイキンのタケウチ


〔身辺雑記〕

4月10日(水)
 昨日はぽかぽか陽気だったので洗濯や庭仕事に励んだんだけど、今日は朝から肌寒いので、下山していろいろ用事を片すことに。
 いろいろ回る中で動物病院にも寄ったんだけど、獣医師処方の療法食ドッグフードを買おうとしてびっくり。――十数キロの大袋が無料でもらえた上、逆にこっちがお金を貰えたのだ。こんな経験、生まれて初めてである。
 実は以前、ここの先生から、フード会社がキャンペーンをやってるから、フード袋のバーコードをためて応募葉書や応募カードに貼ってもってきなと言われたことがあった。住所氏名を書いとけばあとはこっちで手配してあげるからと言われたので、細かいことは気にせずにただ指示に従っといたのだが……これが、「バーコードを送ると割引」とか「何袋か買うと1袋無料」とかいうサービスだったのだ。そのキャンペーンの成果が重なったもんだから、「1袋買うつもりが無料、逆にお金もらえる」なんて結果になったのである。
 まあキャンペーン内容を説明されれば納得はいくのだが、なんだか不思議な気分であった。物を買うとお金をもらえるってネタ、子供の頃に『ドラえもん』で読んだなーと、しみじみ思いだしちゃったりなんかして。

 車の窓を開け、下界は桜が咲いててきれいだなーと思っていたら、どこからか芳しい香りが漂ってきた。ピンときたので信号待ちの間に見回すと、道路沿いの家の庭にジンチョウゲの花を発見。今年初めてかいだ気がするし、僕はこの香りが大好きなので、ちょっと幸せな気分になれた。
 しかし、ジンチョウゲってのは桜より1カ月くらい早く開花する印象がある。少なくとも群馬で育って埼玉や東京や千葉で暮らした経験からするとそんな感じだったのだが、ほぼ同時ってのはここらが寒いからか、今年の冬が寒く春が早い天候のせいか。あとは植えてあるジンチョウゲへの日当たり具合も関係してんのかな。
 んなこと考えつつ帰宅したら、我が家の周りは午後から雪が降り出し、夜にはすっかり積もっていた。なんなんだこの季節感はーと、これはこれで不思議な気分なのであった。

4月20日(土)
 午前中にちょこっと著者校仕事。昨日は寒かったけど、今日はいい天気になりそーだなーと、昼前にゲラ持参でお出かけ。
 最近は山の中腹あたりに買い出しに行くついでに、美味しいパン屋で昼食ってパターンがお気に入り。ミニカップのコーヒーがサービスってのが嬉しいし、サンドイッチやチーズ系の食事パンが充実してるのが好きなのだ。実をいうと僕は、この界隈ではパン屋の名店が多いわりにスイーツ系が多くてあんまりサンドイッチがないのが不満だったのである。
 この店も開店当初はスイーツ系やハード系が多かったような覚えがあるが、その後1年ほどの間に食事系に発展してたようだ。この春に山荘に戻ってそれに気づいた僕は、すっかり見直して通っている。メニューが豊富で入店するたびにあれこれ試してもまだ未知の味があるのも嬉しいところ。

 買物を済ませた後はお茶飲んで、夕方までのんびりとチェス。最近はリアルチェスの相手ができて、これもまた嬉しいのである。
 ルール覚えたばかりの相手なので、僕はクイーン落ちなんだけど、それでちょうどいい具合に実力伯仲となる。いささか思考時間が長いものの、今回はそれを見越してゲラを持参してきたのだ。自分でささっと1手指した後、わりと長い待ち時間の間に校正作業に励むってえと、結構仕事もはかどる。不思議なもんで、自宅の仕事部屋でゲラに向かってる時よりも、チェスの合間にやってる方が能率あがる気がするんだよなあ。
 不思議といえば、昼飯を食い終わる頃には天気が悪化してきて、チェスしてる最中に雨が降り出し、ひと勝負終える頃には本降りに。帰路につく間に雨はみぞれに変わり、みぞれが雪に変わって我が家のあたりはすっかり雪景色。――前回、4月10日の日記で雪に言及した時にゃあ、そろそろ最後の雪だろうと思って書いたもんだが、この4月20日の雪もしっかりと積もりそうである。困ったもんだなあ……

4月29日(祝)
 ゴールデンウィークのお祭りイベント、炭火焼屋さんの焼鳥屋台のお手伝いに駆り出された。
 お祭りの販売役で働くのは、学生時代に世田谷ボロ市でバイトして以来である。今回はバイトじゃなくてボランティアだが、お祭りで働くのって普通の労働より心楽しい気がする。朝から洗濯してちょこっと仕事した後、くろべーと共に出かけて車を走らせた。
 車じゃなきゃいけない距離だし、時間を気にせず動くためには車でくろべーを同伴する必要があるのだが……車だと酒が飲めないのが困りもの。特に、目の前で酒の肴にぴったりなもんが焼かれてたり、近くを一杯機嫌の人々が歩いてたり、屋台でビールや日本酒が売られてたりする環境というのはなかなかに欲求不満である。
 そーいやボロ市で働いた時は、寒波到来でえらく冷え込む中、熱燗のコップ酒で体を温めながら働いたっけなーってことを思い出す。今日は見事なまでに春の陽気で風もなく日差しもあたたかいので熱燗がほしくはならないが、それならそれでビールが飲みたくなるのだ。ビールばかりじゃなく、ホッピーを売ってる屋台も結構あって、そのチョイスが粋だなーって思うとしみじみ飲みたくなる。
 んなことばかり考えてるとアル中みたいだが、そんな時にかぎって生ライムと生ミントを使ったノンアルコールモヒートを差し入れていただいた。これが実に美味しいもんだから、これでラムが入ってたらどんだけうまかろうと思わずにはいられない。いや自分からはカクテルってほとんど飲まないんだけども。
 自分からはほとんど飲まないといえば、ここ数年ビール系の擬似飲料はなるべく飲まないようにしていた。一度エンドウ豆由来のビール風アルコール飲料を飲んで気持ち悪くなったことあったし、ほとんど贅沢らしいことをしない生活なんだからビールくらいは高いもん買ってもいいやと思ってたのだ。
 ところが最近、「ビール」ではなく「リキュール(発泡性)」と書かれた酒を好んで飲むようになってしまった。ふと味見した「麦とホップ赤」が美味かったせいなんだけど、こういうのも一種の堕落だろーか。あるいはアベノミクスによるデフレ脱却ムーブメントに対するアンチテーゼとは……いえねえか、やっぱ。

 話は変わって、今日のお祭りの屋台の中に、「指定した日の新聞をプリントアウトしてくれるサービス」ってのがあった。
 こういうのって調べ物のために新聞の縮刷版をチェックするのとは微妙に違うから、やはり誕生日とか結婚記念日とか、個人的に思い入れ深い日をオーダーするもんなのだろーか……などと考え、ふと思い出したのが最近読んでる本。ここ数日、チャールズ・M・シュルツの『スヌーピーの50年』という、傑作集かつ回顧録みたいな本を読んでるのだ。
 名作『PEANUTS』の傑作選だからもちろん面白いし、そこに添えられたシュルツさんの文章がとても味わい深くていい本である。各キャラクターの誕生秘話とかを作者自身が語ることで抜群の創作論になってるんだけど、編年体で構成されてるおかげで作風の変化を追っていけるのが実に興味深い。絵柄の変化で、60年代には子どもたちの丸顔化がほぼ完成してるのに対し、スヌーピーの鼻面が短くなって全体に丸くなるのはずいぶん後のことだったんだなーとか、ぬいぐるみ等の立体化されたキャラクターグッズが本家の絵柄に影響したことがあったのかなーとか、詳しい人に尋ねてみたくなってきている。
 あ、そんで話を戻すと。
 過去に何かしら思い入れのある年月日があるのなら、その日の新聞の一面やらトップ記事やらを見るのもいいけど、その日の『PEANUTS』作品を読んでみると面白いのじゃなかろーか。時に哲学的なほど含蓄深い言葉があったりするし、絵柄のデザイン性の高さは言うまでもないわけで、そういうプリントアウトサービスがあったら申し込みたいもんだなーと思う。やっぱり新聞の紙面よりはシュルツさんの絵の方が魅力的だもんなー。
 などと考え、そーいや俺って昔、図書館の本で1971年7月9日『PEANUTS』を探したことがなかったっけなと思いだす。なのにどーゆー話だったか思い出せないのは、見つけられなかったのか忘れちゃったのか。日本版は無節操なほどに様々な形で出版されてる上に時期的な順番をばらしてる編集が多いから、そういうのを見つけるのも結構大変なんだよな。
 そーいえばネット上にそういう検索サービスがあったような気もするんだけど、我ながら記憶は曖昧である。今日のブログもなんだかとりとめないなーと思うんだけど、こういう文章になっちゃうのも手伝い疲れと「麦とホップ赤」の酔いのせいってことにしておこー。

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