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2001年 以前の映画 日記 1975年から2000年まで 池田 博明
見た日と場所 | 作 品 | 感 想 (池田博明) |
見た日と場所 | 作 品 | 感 想 (池田博明) |
1979年6月17日 TBS 21:00 |
露玉(サファイア)の首飾り CBC 1979年 |
東芝日曜劇場で萩原健一、夏目雅子、岡田嘉子共演で市川森一脚本の作品。演出は村上正樹、プロデューサーは伊藤松朗。![]() 外語学院の院長・沢井貴子(岡田)は一人娘の瑠璃子(夏目)から、「私を助けて下さい」という手紙を受け取り、岐阜県八幡の木偶師・文造(萩原)の許へ向う。 八幡ではお祭りだった。きつね面を付けた少女しのぶが貴子を案内する。一昨日、瑠璃子は手足を縛られていた、それを少女が救ったのだと言う。瑠璃子が文造に虐待されているというのは本当だったのだろうか。文造の家の向かいの家の母娘の話では二人はよく喧嘩をしていたというし、文造には万引きの癖があり、父親は大酒飲みで酔っ払って母親をついたときに頭を打って死んでしまったのだという。 文造がケガをして帰ってくる。文造は蚊帳の中へ入り何も言わない。貴子は五百万円の小切手を置き、離婚届に署名と捺印をするように話す。そこへ少女が瑠璃子に貰ったというサファイアの首飾りを返しに来る。文造はく美飾りは文造が瑠璃子に買い与えたものだと言う。 刑事がやって来て、チンピラと喧嘩した被害届を確認するためと、首飾りを返してもらいに来たのである。貴子は刑事に瑠璃子の捜索を依頼する。それとともに文造には捺印を迫る。 すると、刑事がもう捜索し始めていると意外なことを言う。瑠璃子の手配写真まである。瑠璃子は指名手配中の男と逃亡中だったのだ。そして実は万引き犯は瑠璃子だったのである。 刑事は帰るが貴子は茫然となる。翌朝、貴子は朝食を作る。貴子は文造に謝罪する。文造は貴子に小切手を返し、「必ず瑠璃子はここへ帰って来ます」と言う。貴子「でも・・・・地獄ですよ」、文造「いいんです。待ちます」。カット・バックで回想場面になる。瑠璃子が来て二人が結ばれるものの、仕事ばかりしている文造に退屈した瑠璃子がスナックで働きに出て、文造から離れていく。一昨日の真相が明らかになる。 文造は人形を完成させる。 文造は瑠璃子がどしゃ降りの日に持ちながらも、手離していった人形を村へ入る橋のたもとで貴子に贈る。貴子「娘を・・・・よろしく・・・・頼みます」。 人形を作りつづける文造に<終>のマーク。 |
1979年3月30日 小田原東映 |
龍の子太郎 東映 1979年 |
![]() 山あいの村が水墨画で描かれる。ヒエやアワをまいて暮らしを立てている貧しい人々。そんななかに太郎はバアヤと二人で住んでいた。このバアヤがまるでつげ義春のマンガに出て来るような感じで、「太郎や、起きろ」と声をかけても、太郎が高いびきで起きて来ないと、ゆっくりと自分だけカゴをしょって畑へ出るようなおばあさん。太郎が母親を探しに行くというと、「今は夜中だ。明日の朝になってからせぇ」とつぶやくようなバアヤである。 龍の子太郎は大めし食らいだが、おむすびを野山のけものにわけてやっているせいもある。相撲をとっていたケモノたちに本当の相撲を教えてやる太郎。シコを踏むたびに振動でネズミが倒れるのが可笑しい。そこへ天狗が来て、太郎と相撲をとる。いったんは太郎が負けるが、負けず嫌いの太郎は、天狗に向かっていき、外掛けで天狗を負かす。天狗は太郎のきっぷが気に入り、他人のために使うならと、太郎に百人力を授ける。太郎は隣り村の動物寄せの笛吹き、アヤと知り合いになる。バアヤから龍になった母親のことを聞いて、太郎は母親を探しに出ようと決意する。龍は太郎を育てるために目を使ったので盲目なのだ。バアヤは形見の櫛を渡す。 ![]() アヤにバアヤを任せて、太郎は母を求めて旅を続ける。途中で鶏長者の強欲ババアにだまされて働かされたり、山姥に誘惑されそうになったり、雪女にとり殺されそうになったり。太郎の姿を映し出す鏡を持っているアヤは一日に千里を駆けるという仔馬に乗って雪の下の太郎を掘り出す。北の湖で盲目になった龍の母親と再会した太郎。母親は山の掟を破ったために龍にされたと話す。仲間のために昼食に準備したイワナを、妊娠していた母親は3匹とも食べてしまったのだ。太郎は「悲しい掟だ。食べ物が少なすぎるんだ」と言う。 太郎は龍と協力して湖の水をせきとめていた岩を破壊し、川下の村に水を供給する。湖の水がすっかり流出た後、龍は力尽きて死んだと思われたが、魔法が解けると素裸の母親が現れた。 ![]() 音楽は真鍋理一郎で、「南の風よ、プイと吹け」という主題歌がよい。 東映まんが祭りの同時上映は『闘将ダイモス』『キャプテンフューチャー』『ピンクレディーと春休み』。 『キャプテンフューチャー』は背景までよく作りこまれていたが、『ピンクレディー』はピンクレディが声の出演と某ステージ公演での3曲だけ。 『龍の子太郎』は国際児童年記念作品だったが、映画ファンの間ではあまり話題にならなかった。しかし、原作をよくいかしたアニメーションで、「他人を助けて生きよ」という時代錯誤的な性善説の直截なメッセージとともに愛すべき一篇だった。レンタル・ビデオはあったが中古店落ち。2010年にようやくDVDが発売された。 |
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