図書館員のためのパソコン・インターネット入門 第20回

Netscape Communicator


 「Netscape Navigator 3.01」のバージョンアップ版、「Netscape Communicator 4.01」の日本語版が発売された。「Netscape Navigator 3.01」を使ってきた人は、「どんなところが変わったのだろう」、「バージョンアップしたほうがいいだろうか」と思案しているかもしれない。僕も発売と同時に、早速買い求めてみた。大きな変化はないが、細かいところではかなり使いやすくなっている。5000円〜6000円前後で市販されているが、インターネットに快適にアクセスしようと思うなら、「Netscape Communicator 4.01」は手に入れておいたほうがよさそうだ。
 すでに、インストールして使い始めたという人のためにも、新機能を中心に使い方のポイントを解説しよう。基本的にはWindows95版について解説したが、Macintosh版と違うところにについては、その都度説明するようにした。

Netscape Communicatorって何だろう

 Netscapeの新バージョンはNetscape Communicatorという名称になったが、これは、従来のWWWブラウザ「Navigator」のほかに、メールソフトの「Messenger」、ニュースリーダーの「Collabra」(ネットニュースを読むためのソフト、ネットニュースについては、機会を見て解説します)、ホームページを作る「Composer」、音声会議ソフトの「Conference」を統合しているということ。ホームページをブラウズ(閲覧)するだけではなく、インターネットを使うための総合的なソフトというイメージを持たせるためだ。
 ただし、雑誌などの解説を読むと、Netscape Communicatorと呼ぶ場合にも、Navigator機能について指していることが多いようだ。Navigatorというと、3.01以前のブラウザと混乱するので、この連載でも、主にNetscape Communicatorという表現を使うことにする。
 Netscape Communicatorのインストールは簡単だ。
1.[スタート]→[ファイル名を指定して実行]でsetup.exeを探し、[OK]ボタンをクリックする。
2.エクスプローラからsetup.exeをダブルクリックする。
 普通のアプリケーションと同じように、上の2つの方法のどちらかでインストール用のプログラムを起動して、あとは画面の指示に従えばいい。Netscape Navigator 3.01をすでにインストールしている場合は、Netscape Communicatorは別のフォルダにインストールされるので、Navigator 3.01もそのまま使い続けることもできる。ホームページを作っている人の場合は、両者での見え方を比べてることができて便利だ。もちろん、Navigator 3.01は削除してもいい。
 Navigator 3.01をインストールしている場合は、Communicatorをインストールしている途中で、「プラグインやヘルパーアプリケーションを削除してください」というメッセージが出てくるが、このメッセージは無視してかまわない。

ツールバーが変わった

 Netscape Communicatorを立ち上げて最初に感じるのは、メニューバーの下のツールバーの雰囲気がずいぶん変わったこと。アイコンが立体的になっている。もちろん見た目だけでなく、ツールバーにはいろんな新機能が盛り込まれている。
 ツールバーは、コマンドツールバー、場所ツールバー、ユーザ設定ツールバーの3段に分かれている。それぞれは、メニューバーの[表示]で隠すことができるが、それだけではなく、バーの左端にある▼マークの付いたボタンをクリックするだけで、表示したり隠したり切り替えられるようになった。ホームページの画面を上下に広く表示したいときには便利だ。3段のメニューバーはドラッグ&ドロップで順番を入れ替えることもできる。

「戻る」と「次」のボタンが便利に

 ツールバーの一番上、コマンドツールバーはあまり変わっていないようだが、「戻る」のボタンをマウスの左ボタンで少し長く押し続けてみよう。そうすると、「戻る」の下にページの一覧が最大15個まで表示される。これまでは、1回のクリックで「戻る」ことができるのは、ひとつ前のページだけだったが、この機能を使えば、最大15まで前のページに直接戻ることができる。
 「次」ボタンでも、同じように、15個まで先へ進むことができる。これで、ネットサーフィンがさらに手軽になるはずだ。ただし、表示されている内容は、Netscape Comunicatorを終了すれば消えてしまう。

ブックマークの追加が簡単になった

 Navigator 3.01では、メニューバーにあった[ブックマーク]は、[場所ツールバー]に移動して、機能も追加された(ただし、メニューバーの[Comunicator]からも[ブックマーク]に行ける)。
 Navigator 3.01では、[ブックマークを追加]をクリックすると、そのとき表示されているページがブックマークに追加できるというのが基本的な使い方だった。登録したブックマークが増えてきたときに、フォルダごとにまとめる作業は、[ブックマークを編集]を開かなければならなかった。
 Communicator 4.01では、ブックマークのアイコンのすぐ右隣りにある「しおり」のアイコンをブックマークのところにドラッグ&ドロップすると、適当なフォルダにいきなりブックマークを追加することができる。いちいちブックマークを編集する必要がなくて手間が省ける。
(Macintosh版の場合は、「しおり」のアイコンはメニューバーにある。また、ブックマークアイコンも[場所ツールバー]にはないので、メニューバーから、ブックマークの編集ウインドウをあらかじめ開いておかないと、この機能は使えない)
 また、この「しおり」のアイコンから、その下の[ユーザ設定ツールバー]にドラッグ&ドロップすると、そのとき表示されているページを、[ユーザ設定ツールバー]上に登録することができる。「Yahoo! JAPAN」などの検索サーバーやよく行くホームページをここに登録しておくと、1回のクリックだけでそのページに飛んでいくことができる(この機能はMacintosh版にはない)。
 [ユーザ設定ツールバー]の内容は、[ブックマーク]を開いたリストにある、[Personal Toolbar Folder]で編集をすることができる。削除などはここで行なえばいい。また、[ユーザ設定ツールバー]に最初から表示されている3つのアイコンは、Netscape社が用意している、インターネットの検索サーバーのページに行くためのブックマーク。あまり使わないというのなら、削除したり、どこかのフォルダの中に隠してしまってもいい。

フォントの大きさが簡単に変えられる

 ホームページにアクセスしていると、文字が小さくて読みにくいページに出くわすことがある。Navigator 3.01では、フォントの大きさは、[オプション]→[全般の設定]→[フォント]のタグ、でしか変えられないので不便だったが、Communicator 4.01では、[表示]→[フォントを大きくする]または、[フォントを小さくする]で調節できるようになった。ただし、Macintosh版には、この機能はない。

コンポーネントバー


 最初に、Communicator 4.01ではツールバーの印象が全然変わったと書いたが、もうひとつ、「何だろうこれは」と思うのが、右下のあたりに出てくる「コンポーネントバー」だ。これは、Navigator(ブラウザ)や、Messanger(メールボックス)、Collabra(ディスカッション)、Composer(HTML作成)などの機能ををすばやく切り替えて使うためのもの。
 この場所にあるのはじゃまだという人は、[Communicator]→[ドックコンポーネントバー]をクリックすれば、ウィンドウの右下に収めることができる(コンポーネントバー自体の[×]をクリックしてもいい)。元の場所に戻すには、[Communicator]→[コンポーネントバーの表示]をクリックする(ウィンドウ右下に収めたアイコンの左端のボタンをクリックしてもいい)。

図書館員のためのパソコン・インターネット入門 第21回

Netscape Communicator その2


 前回に続いて、新発売のNetscape Communicator 4.01の新機能とその使い方の解説を続けます。

オンラインモードとオフラインモード

 Netscape Navigator 3.01では、ブラウザは、ダイヤルアップ接続でプロバイダーとつないだ状態(オンライン)で使うのが基本だった。もちろん、回線を切ってから、キャッシュに保存されているページを見ることはできたが、ブラウザは「まだオンラインでつながっている」と思っているから、動作や表示がおかしくなることも多かった。
 Netscape Communicator 4.01では、オフライン(回線がつながっていない状態)でもブラウザが扱えるようになっている。
 Communicator 4.01の設定は、メニューバーの[編集]→[設定]で行なう。ここを開くとツリー状になった設定のためのメニューが出てくるが、このツリーの中の[オフライン]で、オフラインとオンラインの切り替えを設定する。
 会社や学校で専用回線で常にインターネットにつながっている状態なら、[オンライン動作モード]に設定する。個人ユーザーで、その都度ダイヤルアップで接続する人は、[起動時に尋ねる]にしておくといいだろう。
 [起動時に尋ねる]に設定しておけば、Communicator 4.01を立ち上げるときに、オンラインにするか、オフラインにするか聞いてくるから、そのときの状況に合わせてオンラインかオフラインを選ぶことができる。
 ただし、オフラインのままでは、ダイヤルアップ接続でプロバイダーにつないでも、ブラウザはうまく動作しない。この場合は、オフラインからオンラインに切り替える必要がある。切り替えは、メニューバーの[ファイル]の[オンラインにする]または、[オフラインにする]で行なう。

複数の人が使うのに便利

 1台のパソコンを家族何人かで使っているという人にとって、Communicator 4.01はかなり使いやすくなった。Navigator 3.01では、電子メールアドレスの設定などプロファイルはひとつしかできなかったが、Communicator 4.01では、複数のプロファイルの設定ができるようになった。
 ひとりで1台のパソコンを占有している場合でも、最近は複数のプロバイダーと契約して、電子メールアドレスを複数持つこともも増えているから、この機能は役に立つ。
 複数のプロファイルを設定すれば、電子メールアドレスの他、ブックマーク、アドレス帳も個別ものを作ることができる。設定は、Communicator 4.01をいったん終了させてから、タスクバーの[スタート]→[プログラム]→[Netscape Communicator]→[Utilities]→[User Profile Manager]をクリックして行なう。

スタイルシートのサポート

 ホームページを作ってみるとわかるが、ホームページのデザインにはいろいろと制約がある。文字のレイアウトを細かく指定することはできないし、イラストと文章を重ねることも不可能だ。
 これでは、ホームページで満足のいく表現ができない。そんなところから、出てきたのが「スタイルシート」というものだ。これを使えば、ホームページでも、ワープロのように、文字や画像のレイアウトを細かく指定することができる。僕自身は、スタイルシートのホームページはまだ作ったことがないので、細かいところはわからないが、インターネットのホームページの表現力を拡大する大きな力になることは間違いない。
 前回の原稿で、「インターネットに快適にアクセスしようと思うなら、『Netscape Communicator 4.01』は手に入れておいたほうがいい」と書いたが、Communicator 4.01はこのスタイルシートをサポートした。Internet Explorer 3.02でもすでにサポートされていたが、Communicator 4.01もサポートしたことで、今後スタイルシートを使ったページは増えて行くに違いない。
 スタイルシートは、Navigator 3.01でも表示はできるが、大きくしたフォントが小さいままになるなど、ちょっとマヌケ≠ネページになってしまう。最新のホームページを美しく表示するという点からも、ブラウザは最新のものをインストールしておいたほうがいい。

スマートアップデート

 最近のソフトウェアは頻繁にバージョンアップされるので、ユーザーはついていくだけで大変だ。ソフトメーカーによっては、CD-ROMを送ってくれるサービスもあるが、有料のものが多い。インターネットでダウンロードすれば無料という場合が多いが、パソコンにインストールしているソフトウェアはたくさんあるから、いちいちそのソフトウェアメーカーのホームページにアクセスしてダウンロードするのはけっこう面倒くさい。
 Netscape Communicator 4.01から、「スマートアップデート」というバージョンアップ方法が使えるようになった。「スマートアップデート」をするには、(オンラインでつないだ状態で)メニューバーの[ヘルプ]→[ソフトウェアアップデート]をクリックする。これで、ネットスケープ社のページにアクセスして、ダウンロードの画面が表示される。あとは、画面の指示に従えばいいが、今のところ、画面表示は英語のみ。日本語版なのだから、日本語で「スマートアップデート」できるページも早急に作ってほしいものだ。

その他の新機能

 他にも、Communicator 4.01はいろいろと便利な機能が増えた。
 一度アクセスしたページに、もう一度アクセスしたいとき、ブックマークに登録しておけば簡単だが、忘れてしまうことも多い。そんなとき、Communicator 4.01は、[場所ツールバー]にURLを入力していくと、あるところまで入れると、そのあとを自動的に表示してくれる。この「オートコンプリート」という機能は、使ってみると、考えているよりずっと便利な機能だ。
 Communicator 4.01は、ヘルプ機能もNavigator 3.01に比べて、充実した。Navigator 3.01では、オンラインでつないでいないと、機能しない部分があったが、Communicator 4.01は、オフラインでも使うことができる。特に、検索機能は充実しているので、わからないことがあったら、まず、メニューバーの[ヘルプ]→[ヘルプの目次]を開いてみよう。

 次回は、Communicator 4.01に付属したメールソフトMessengerについて解説します。


図書館員のためのパソコン・インターネット入門 第22回

Netscape Messenger


 Netscape Navigator 3.01には、Netscape Mailというメールソフトが付属していたが、新しいNetscape Communicator 4.01では、機能アップしてNetscape Messengerになった。
 旧Netscape Mailはオマケ程度で、メールが送受信できるという程度のものだったが、新Netscape Messengerになって、ようやくメールソフトとして使いやすいものになった。今回は、Netscape Messengerの新機能を紹介しながら、その使い方の基本を解説していこう。

Netscape Messengerを起動する

 Netscape Messengerは、Netscape Communicatorのメニューバーにある、[Communicator]→[Messenger メールボックス]をクリックして立ち上げる。ほかに、[コンポーネントバー](ウィンドウの右脇か、右下のバーにある)の[メールボックス]をクリックしても立ち上がる。
 また、旧Netscape Mailとは違い、Netscape Messengerを単独で、タスクバーの[スタート]からたどって立ち上げることもできる。とにかく急いでメールを送りたい時には、単独で起動できるのは便利だ。
 メールソフトは、細かい使い方以外は、どのソフトの使い方もそれほど変わらないから、使った経験のある人なら、Netscape Messengerでも、それほど迷うことはないはずだ。ただ、Netscape Messengerが少々使いにくいのは、メールボックスの名称が全部英語のまま、ということ。日本語ソフトとしてはこれでは使いにくい。Inboxは受信、Unsent Messageは未送信、Draftsは草稿、Sentは送信、Trashはごみ箱と訳せばいいのだから、日本語化はそれほど難しくないと思うが、なぜしないのだろう。

メールの自動振り分け機能

 新しいNetscape Messengerで一番便利になったのは、受信メッセージの自動振り分けができることだ。今の電子メールの使い方は、ただ知り合いからメールを受け取ったり、送ったりするだけではない。いろんなジャンルのニュースやバーゲンの情報などが無料や有料で定期的に送られてくる便利なメール配信サービスが増えている。連載第14回で紹介した、メーリングリストに参加すれば、そこからかなりたくさんのメールが送られてくる。
 僕の場合も、それほどたくさんのメールサービスやメーリングリストを利用しているわけではないが、それでも毎日50通以上はメールが届いている。そうした大量のメールは、ジャンルごとにフォルダに分類してしまっておくのが一番だが、それを自動的に処理するのが、“自動振り分け機能”だ。これがないと、1通1通、マウスでドラッグ&ドロップして振り分けなければならない。時間ばかりかかって、メール配信サービスの活用が難しくなる。
 今や、自動振り分け機能は、メールソフトには必須のものだ。インターネットを活用するには、振り分け機能を使いこなして、電子メールにかける時間をなるべく少なくすることを普段から心がけておく必要がある。これから、インターネットが普及すればするほど、受信するメールの数は増加していく。その情報の洪水に飲み込まれないための強い見方が、自動振り分け機能だ。

自動振り分け機能の設定

 メールの振り分けは、[編集]→[メール振り分け設定]で設定するが、その前に、振り分けたメールをしまうフォルダを作っておこう。Netscape Messengerのメニューバーの[ファイル]→[新しいフォルダ]をクリックして、新しいフォルダの名前を入力する。受信メールを振り分けるのだから、「Inbox」のサブフォルダ(下のフォルダ)として作るのがいいだろう。まず、自分が利用しているメール配信サービスや、メーリングリストごとのフォルダを作る。別に、「仕事」「プライベート」といったフォルダを作っておいてもいい。
 必要なフォルダを作ったら、メニューバーの[編集]→[メール振り分け設定]を開く。
[メールの振り分け]のウィンドウが開くので、[新規]ボタンをクリックする。開いた[振り分けの設定]で、「振り分け名」(メーリングリストの名前など、わかりやすいものを自由につける)を入力する。
 「差出人」というボックスは▼をクリックすると、その下に、件名、本文、日付、優先度、という項目が出てくる。
 “振り分け”というのは、例えば、メールサービスなら、「差出人」や「件名」の先頭が同じだし、メーリングリストも、「件名」の先頭が同じになる(メーリングリストには多数の人が参加しているので、「差出人」はバラバラになる)。これを、登録しておいて、同じメールサービスやメーリングリストからの電子メールを、ひとつのフォルダに自動的に移動させるのが、“メール振り分け”の仕組みだ。

Jmailの自動振り分けを設定する

 僕が利用している、メール配信サービスにソニーが提供している「Jmail」がある。自分の希望や興味のあるジャンルなどを登録しておくと、それに合わせて、一人一人カスタマイズした雑誌の目次、コンサートやイベントなどの情報を毎日メールとして無料で届けてくれるけっこう役に立つサービスだ(申し込みは、http://www.jmail.com/)。
 Jmailから毎日届くメールは、「差出人」が「msmaster@jmail.com」、「件名」が「Jmail Mailing Service(このあとに、番号と日付)」となっている。先程の、[振り分けの設定]で、

「差出人」が「msmaster@jmail.com」「である」
ならば「フォルダに移動」「Jmail」

 と設定すれば、Jmailから届いたメールを「Jmail」のフォルダに、自動的に振り分けすることができる。

「件名」が「Jmail Mailing Service」「が含まれる」
ならば「フォルダに移動」「Jmail」

 としてもいい。この条件は5つまで「増やす」ボタンを押して、増やすことができる。同じ差出人から届くメールを、「件名」や「本文」から2つ以上のフォルダに分類することもできるわけだ。メールの自動振り分けは、メール配信サービスやメーリングリストだけでなく、個人からもらうメールに使うこともできる。一人一人について設定しなければならないから、ちょっと面倒だが、「仕事」と「プライベート」のメールを仕訳することも可能だ。

アドレス帳

 Netscape Messengerは、旧Netscape Mailに比べてアドレス帳が実用的で使いやすくなった。Netscape Mailのアドレス帳は、ニックネーム、名前、メールアドレスのほかは、説明として書き込むことしかできなかったが、Netscape Messengerになって、ようやくアドレス帳らしくなったと言ってもいいだろう。
 組織、役職が記入できるようになって、ビジネスユーザーを意識しているようだ。また、[連絡情報]として住所や電話番号などの欄もできた。ただし、住所の入力方法が、番地→市町村→都道府県と欧米方式なのはちょっと使いづらい。
 電子メールを活用するには、アドレス帳を充実させておくといい。メールを表示してから、メニューバーの[メッセージ]→[アドレス帳に追加]→[差出人]を選ぶと、アドレス帳が開いて、差出人のアドレスを追加することができる。メールを受け取ったら、こまめにアドレス帳に追加しておくようにしよう。


図書館員のためのパソコン・インターネット入門 第26回

便利な電子メールソフト Becky!


 これまで、第6回でマイクロソフトのInternet Mail、第12回と13回で電子メールのマナーと注意事項、第14回でメーリングリスト、第22回でNetscape Messengerについて、それぞれ解説してきた。
 最初にInternet Mailを解説したのは、そのとき僕自身が使っているメールソフトがInternet Mailだったという単純な理由だ。当時は、他にNetscapeメールもあったが、機能的にはそれほど差がなかった。取りあえずダウンロードで手軽に手に入ったメールソフトを使っていたに過ぎない。
 知り合いと電子メールのやりとりをする程度ならメールソフトの選択にそれほどこだわることはないが、メーリングリストに入ったり、メール配信サービスを利用するようになると、そうも言っていられなくなる。Internet Mailではどうも使いにくくなったので、インターネット関係の雑誌の編集者に聞いて、評判のいい「Becky! Internet Mail」というメールソフトを使い始めた(Windows95用のみ)。

 Becky! は、インターネットやNIFTY-Serveからダウンロードで手に入れ、気に入って継続して使う場合は、振込やNIFTY-Serveの送金代行システムで、料金の4000円を支払うシェアウェアというソフトだ。ダウンロードが面倒だという人は、雑誌の付録CD-ROMから手に入れることもできる。
 Becky! は、いろんな点で優れたメールソフトだが、読者の方にすすめる第一の理由、使いやすさだ。メールを分類するフォルダが画面左に、Windows95のエクスプローラと同じようにツリー表示される。他の使い方についても、Internet MailやNetscapeメールを使っていた人なら、ほとんど迷うことはないだろう。もちろん、初めてメールソフトを使う人でもだ。

複数のメールアドレスが使える

 使える機能が多いのにもBecky!の特徴だ。
 まず、他のソフトはサポートしてものが多いのが、複数のメールアドレスが一括して管理できる機能(マルチアカウント対応という)。
 ひとつのプロバイダーとだけ契約していると、混雑していてつなぎにくい時間帯があったり、サーバーがダウンして困ることがある。そんな場合に備えて、特に仕事でインターネットを使っている人は、複数のプロバイダーと契約して、メールアドレスを2つ以上持っている場合が多い。会社や学校のアドレスと自宅で使う個人用の2つのアドレスを持っている人もいるだろう。
 98年1月末には、パソコン通信のNIFTY-ServeのメールもPOPサーバーとSMTPサーバーに完全対応したので、インターネットの他のプロバイダーにつないだままでNIFTY-Serveのアドレス宛のメールを読むことができるようになる。複数アドレス管理の必要性はますます高まっている。
 そんな場合、Internet MailやNetscapeメールでは、その都度アドレスの設定を書き換えなければならなかったが、Becky!では、複数のメールアドレスを設定して、ボタン一つクリックするだけで巡回してチェックすることができる。
 アカウントの設定は、メニューの[ツール]→[設定]で行なう。開いた画面(画面右)の[アカウント選択]で20個までのメールアドレスが設定できる。ここで、POPサーバー名、SMTPサーバー名、ユーザーID、パスワードなどを入力する。メールの後に付ける「署名」もそれぞれのアカウントについて設定して、家族何人かでメールソフトを共有して使うのも可能だ。署名の内容は、[作成]のタグをクリックして作る。

添付ファイルのエンコード・デコード方式

 インターネットのメールは添付ファイルという便利な機能がある。メールの本文と一緒に、画像ファイルやワープロのファイルを簡単に送ることができるので活用している人も多いだろう。
 しかし、添付ファイルを送るときには、エンコード・デコードという問題が出てくる。電子メールは基本的にテキストデータを送るように作られている。添付ファイルはテキストファイルではないので、送信側でテキストデータに変換(エンコード)して送り、受信側で元のファイルに戻す(デコード)という作業をする。この方式に、Base64、uuencode、BinHexという3つの異なった方式がある。
 Base64、uuencodeの2方式はたいていのメールソフトが対応しているが、BinHexはMacintoshで標準的なエンコード・デコード方式のため、Windows用のメールソフトでは対応していないものが多い。そのため、Internet MailやNetscapeメールで、MacintoshのメールソフトEudoraなどから送られてくるメールを受けると、添付ファイルが正常に受信できず、文書ファイルの場合は文字化けして読めなくなるという事態になる。
 Becky!は、Base64、uuencode、BinHexの3方式に対応しているので、こうした添付ファイルの送受信で起きる問題を解決することができる。
 メールを作成するときに、Base64、uuencode、BinHexの3方式を選ぶこともできる。[メール作成画面]の[添付]ボタンの右のボックスで3方式が選べるので、受け取る相手が、MacintoshでBinHexでしか添付ファイルが受信できないような場合(Eudora-Jなど)は、BinHexで送るようにする。

最近増えてきたHTMLメールについて


 最近、テキストだけでなく、HTMLのタグを付けて送る「HTMLメール」が増えている。Netscape MessengerやInterent Explorer4.0に付属するOutlook Express というメールソフトで、HTMLメールが簡単に出せるようになったためだが、BeckyではHTMLメールも受信して表示することができる。
 ただし、このHTMLメール、むやみに送るのは考えものだ。受信できないメールソフトを使っている人も多いし、単に文字を大きくしたり色を付けたりするだけでは、メールの容量が大きくなるだけで、インターネットの回線を無駄に使うことになる。
 電子メールは、普通のテキストで送るのが基本だ。画像ファイルや文書ファイルを添付して送ることができるのは便利だが、必要がなければ、本文のテキストファイルだけにしたほうがいい。1年か2年たって、誰もがHTMLの受信ができるようになればまだいいが、今の時点でやたらにHTMLメールを送るのはさけるようにしよう。インターネットを始めたばかりで、メールソフトでHTMLメールが送れるからという程度で送ってしまっている人が多いかもしれないが、メーカーがデファクトでHTMLメールを送れるように設定するのは止めてほしい。
 Netscape Messengerでは、むやみにHTMLメールを出すことがないように、[設定]の[メッセージ]のところで、「常にHTMLメッセージを送信]のチェックを外しておくようにしよう。

 メールソフトを別のものに切り替えるときに不便なのは、それまでの受信メールをどうするかということだ。Becky!では、付属の「BKUtil.exe」というユーティリティソフトを使って、他の電子メールで受信したメールをコンバートすることができる。
 Eudora、Netscapeメールの場合は、簡単にコンバートができるが、Internet Mailの場合はちょっと面倒くさい。Internet Mailでは、受信メールがテキストファイルで保存されていないので、ひとつひとつの受信メールをテキスト形式で保存して、それをコンバートしなければならない。また、アドレス帳はコンバートすることができないので、もう一度最初から登録し直すことになる。
 こんなふうに、メールソフトの切り替えにはけっこう手間がかかるが、Becky!はそうした手間をかけても、使う価値のあるメールソフトだ。特に、僕のように複数のメールアドレスを使っている場合、Becky!は必須のソフトだ。NIFTY-ServeのメールもBecky!で読むことができるようになればさらに便利になるだろう。
 「Becky! Internet Mail」の最新バージョンはVer.1.24(98年9月現在)。http://www.rimarts.co.jp/becky-j.htmのサイトでダウンロードできるほか、NIFTY-ServeのFINETAPのLIB 1にも登録されている。また、窓の杜(www.forest.impress.co.jp)などの大規模ダウンロード用サイトからも入手できる。
(ソフトウェアのダウンロードについては、第32回第33回で解説します。)

図書館員のためのパソコン・インターネット入門 第27回

Internet Explorer 4.0


 インターネットのホームページを見るためのブラウザは、現在Netscape CommunicatorとInternet Explorerの2つが広く使われている。Netscape Communicatorの最新バージョンは4.0で、連載の第20回から22回に解説したが、Internet Explorerもいよいよバージョン4.0の日本語版が登場。Internet Explorer 4.0はWindows98を先取りして、デスクトップも変えてしまうという新しいブラウザだ。今回から何回かに分けて、バージョン4.0の使い方について、新機能を中心に解説しよう。

CPUとメモリーをチェックしよう

 Internet Explorer 4.0は、新機能を満載している。インターネット関係の各誌も特集で取り上げていて、インストールして使ってみたいと考えている人も多いだろうが、最新のバージョンのソフトを使うには、ひとつ注意が必要だ。
 最新ソフトほど、CPUのスピードやメモリーの容量を要求する。最新のパソコンに合わせて作られているから、ちょっと古いパソコンだと、動作が遅くていらいらして、結局使いものにならないことがある。
 Internet Explorer 4.0の場合は、CPUは最低でも、Pentiumの100MHz以上、メモリーも32MB以上はほしい。インストールにはハードディスクに72MB以上の空きも必要だ。実際にソフトを使うときには、インストール前に100MB〜200MB程度の空きがあるのがベストだ。
 僕の場合は、現在使っているパソコンは、Pentiumの120MHz、メモリーは32MBという96年にそろえたものなので、Internet Explorer 4.0を使うにはぎりぎりの環境。実際には、他のソフトをいろいろと立ち上げながらだと、動作が遅くなっていらいらすることが多い。
(ブラウザの場合は、ダイアルアップネットワークとか、電子メールソフトなど、他のソフトを一緒に使うことが多い。ワープロで仕事をしながら、ちょっとインターネットでアクセスすることもある)。
 今(97年秋)はデスクトップパソコンを買うのに適した時期ではないので(NECがついにDOS/V機を出して、その後の各社の動きがまだ見えない。それに、98年の登場が予定されるWindows98がプレインストールされるまで待ったほうがいい)、MMX PentiumやPentium II(ツー)のパソコンに買い換えるのはもう少し先にしようと考えているが、取りあえず、メモリーは64KB以上に増設するつもりだ(増設といっても、4つあるスロットは8MB×4=32MBでいっぱいなので、8MBを2枚外して、32MB×2枚と差し替えなければならない。これで、8MB×2+32MB×2=80MBになる)。
 「CPUは最低でも、Pentiumの100MHz以上、メモリーも32MB以上」という条件を満たしていない場合は、Internet Explorer 4.0はインストールしないほうがいい。Internet Explorer 4.0がなければ、インターネットにアクセスできないわけではないし、Netscape Communicator 4.0でも、Internet Explorer 3.0でも、さしあたりアクセスしてもちゃんと見られないページがそれほどたくさんあるわけではない。

Internet Explorer 4.0のインストールで気をつけること

 Internet Explorer 4.0のインストールは、setup.exeを開いて(エクスプローラでダブルクリックするか、タスクバーの[スタート][ファイル名を指定して実行]で開く)、あとは、セットアップウィザードの指示に従えばいい。[インストールオプション]では、「標準インストール」と「完全インストール」のどちらかを選ぶ。「完全インストール」では、ホームページ作成ソフトの「Front Page Express」やチャット機能を持った「Microsoft Chat 2.0」などがインストールできるが、取りあえずは、「標準インストール」しておけばいいだろう。
 インストールで注意しなければいけないのは、[デスクトップのアップデート]のところだ。ここで、「はい」を選択すると、Windows95のデスクトップを書き換えてしまう。Internet Explorer 4.0はアクティブデスクトップという機能を備えているが、これは、Windows95のデスクトップをブラウザと融合して、どちらも同じような感覚で使えるようにするものだ。ここで、「いいえ」を選択すると、デスクトップはアップデートされず、4.0だけがインストールされる。メモリーやハードディスクに余裕のない人は「いいえ」を選択したほうがいい。
 [デスクトップのアップデート]を行なうと、Windows95が来年発売が予定されている新しいOS、Windows98の機能を先取りしたデスクトップに変身する。例えば、エクスプローラ(Internet Explorerではない)に、Internet Explorerのようなツールバーが表示され、インターネットにアクセスして、Internet Explorerではなくて、エクスプローラにホームページを表示することもできる。
 パソコンのフォルダやファイルを開いたり、デスクトップのアイコンを開くときに、使うのはダブルクリック。これがうまくできないという人も多いが、アクティブデスクトップでは、ダブルクリックではなく、シングルクリックで開くように設定することができる。
 設定するには、タスクバーの[設定]→[フォルダとアイコン]→を開いて、[全般]のタグの画面で、「Webスタイル」を選択すればいい。また、「カスタム」を選んで、表示方法を細かく設定することも可能だ。
 シングルクリックにすると、カーソルをアイコンやフォルダのところに持っていく(これをポイントという)と、今までのような「↑」ではなく、ブラウザのリンクしている部分をポイントしたときと同じ「手」のマークに変わる。そこで、一度クリックするだけで、フォルダやアプリケーションソフトを開くことができるようになる。慣れないうちは、間違ってアプリケーションを開いてしまうこともあるが、ブラウザと同じでなかなか使いやすい。

ブラウザとして変わったところ


 アクティブデスクトップなどInternet Explorer 4.0には新機能がいろいろとあるが、ブラウザとしては、3.0とそれほど変わりはない。使うときに、迷うことはないはずだ。
 便利になったのは、印刷の時に、フレームそれぞれではなく、ページ全体をそのままプリントアウトできるようになったこと。文字(フォント)サイズも5段階に細かく変えることができるようになった。また、メニューバーの[ファイル]→[オフライン作業]で、オフラインとオンラインの切り替えをすることができる。今までと違い、プロバイダーに接続しなくても自分のハードディスクにキャッシュされたページを見ることができて、ダイヤルアップ接続の人には便利だ。
 セキュリティもインターネットのページによって切り替えることができるようになった。ゾーンという考え方で、サイトを4つのゾーン「信頼済みサイトゾーン」「制限付きサイトゾーン」「イントラネットゾーン」「インターネットゾーン」に分類。セキュリティの段階が高→中→低と3段階に設定される。最初は、すべて「インターネットゾーン」に分類されるから、セキュリティは「中」に設定されるが、サイトごとに、「信頼済みサイトゾーン」「制限付きサイトゾーン」に登録していけば、セキュリティの段階を変えることができる(例えば、「信頼済みサイトゾーン」では、情報を送るときに警告が出ないなど)。この設定は、メニューバーの[表示]→[インターネットオプション]で、「セキュリティ」のタグをクリックして行なう。
 メニューバーの[表示]→[インターネットオプション]で、「コンテンツ」のタグをクリックすると、コンテンツアドバイザを使うことができる。これは、性や暴力に関するものなど子供に見せたくないサイトへのアクセスを制限するもの。ただし、コンテンツアドバイザーに対応した一部のサイトでしか使えないので、まだ実用的ではない。
 一番変わったのは、ブラウザの左側に、エクスプローラのように、アイコンやフォルダが表示できるようになったことだ(画面参照)。例えば、「お気に入り」のアイコンをクリックすると、ブックマークが左側に表示される。これまでは、メニューバーからいちいち開いていたが、これだとずっと表示されているので、次々「お気に入り」に登録したページにアクセスするのに便利だ。この左側のスペースは、「お気に入り」のかわりに「履歴」や「チャンネル」(これについては次回に解説する)を表示することもできる。

[パソコン・インターネット入門の目次]  [The Pigeon Post の表紙]