図書館員のためのパソコン・インターネット入門 第32回

ソフトウェアのダウンロード


 これまで、ブラウザやメールソフトなど、インターネットで使ういろいろなソフトウェアについて解説してきた。
 ブラウザの Netscape Communicator なら、パソコンショップで買い求めることができる。Internet Explorer は、パソコンにプレインストールされている。第26回に紹介したメールソフトの Becky! Internet Mail は、インターネットからダウンロードできる。
 インターネットで使うソフトウェアは、どんどん新しいものになっていく。例えば、買ったパソコンに、Internet Explorer 3.0 がプレインストールされていても、半年も使っていると、バージョンアップしたIE4.0が登場する。これを新たに手に入れるには、マイクロソフトのホームページからダウンロードしなければならない。雑誌の付録のCD-ROMという方法もあるが、早く新しいソフトウェアを使いたいなら、やはりダウンロードだ。
 Internet Explorer のようなメジャーなソフトウェアならいろんな入手方法があるが、もっとマイナーなものなら、手に入れるにはホームページからダウンロードするしかないこともある。ブラウザで、音楽を聴いたり、動画を表示するのに必要なプラグインというソフトウェアも、たいていそれぞれのホームページからダウンロードするようになっている。便利なソフトをいろいろ使って、インターネットのアクセスを便利にするためには、どうしてもダウンロードが必要になる。
 インターネットで、ホームページをネットサーフィンしたり、電子メールの送受信をしていても、ダウンロードというと後込みしてしまう人がいるかもしれない。ネットワークが混雑しているとうまくいかないこともあるし、ダウンロードして、自分のパソコンのハードディスクにファイルを保存するのは、ウィルスに感染する心配があると思う人もいるだろう。しかし、普通の人が手に入れようとするよく知られたソフトウェアがウィルスに感染していることはほとんどない。念のためウィルススキャンプログラムなどを使って、ソフトウェアをインストールする前にウィルスの有無を確認すれば、心配はない。

ダウンロードに便利なホームページ「窓の杜」

 ソフトウェアのダウンロードできるホームページは、アプリケーションごとに専用のところもあるし、いくつかの使いやすいソフトがまとまっているところもある。その中でも、人気のあるソフトがほとんど集まっていて、ダウンロードも簡単にできる「窓の杜」というホームページを使うのが便利だ。「窓の杜」は雑誌『インターネットマガジン』を出版しているインプレスが運営しているページで、ホームページの人気ランキングでも常に上位に登場しているから、ご存じの方もいるだろう。
 「窓の杜」のURLは http://www.forest.impress.co.jp/。ここにアクセスしたら、「窓の杜について」をクリックして、使い方をよく読んでおこう。ファイルをダウンロードするのは、インターネットの回線やサーバーをある程度長い時間使うことになるから、なるべく効率的にダウンロードしないと、電話料金やプロバイダーの利用料金がかさむことになる。それだけでなく、他のダウンロードしようとしている人にも迷惑をかけることになるから、注意が必要だ。インターネットはみんなで使う限りのある資源という意識を持っていたい。
 インターネットにアクセスするときは、まず自分のパソコンから電話をかけて、プロバイダーのサーバーと接続する。電子メールはプロバイダーのメールサーバーに届くから、読むときにはそこから自分のパソコンにダウンロードすればいいが、ホームページを見たり、そこにあるファイルが必要なときには、目的のサーバーからダウンロードすることになる。
 といっても、インターネットではサーバーが網の目のようにネットワークでつながっているから、目的のサーバーから、自分のプロバイダーのサーバーまでダイレクトにダウンロードするのではない。いくつかのサーバーを経由してダウンロードすることになる。つまり、多くのサーバーを経由すればするほど、ダウンロードに時間がかかるし、それぞれの回線が細かったり混んでいれば、やはり時間がかかってしまう。
 これを避けるために、人気のあるダウンロードのためのサイトでは、ミラーサイトをいくつも設ける。これは、鏡で映すように、元のサイトと同じサイトを別に作っておくというもの。例えば、人気のあるソフトウェアがアメリカの1か所のサイトにしかなければ、日本など遠くからアクセスすると、ダウンロードに時間がかかってしまうが、ミラーサイトを日本にも置けば、その心配はなくなる。

プロバイダーから近いミラーサイトを選ぶ

 「窓の杜」にも10以上のミラーサイトがあるので、アクセスしたら、まず自分から一番近いミラーサイトを見つけて、そこを使うように設定する。といっても、どうやってそんなこと調べるの? と思うかもしれない。実はそれほど難しくないし、調べてみると、インターネットではいろんなサーバーを経由して目的のホームページのあるサーバーに行くのだな、というのがよくわかって、面白い。
 プロバイダーに接続したあと、タスクバーの[スタート]→[プログラム]→[MS-DOSプロンプト]をクリックする。デスクトップに黒いウインドウが開くが、これが、MS-DOSプロンプト(画面右)。ここで、c:\windows> のあとに、tracert (ミラサーバー) とコマンドを入力する。例えば、ftp.so-net.or.jp の場合は、次のようになる。

c:\windows>tracert ftp.so-net.or.jp

 このコマンドを入力すると、自分のプロバイダーのサーバーから、ミラーサーバーまでに経由するサーバーが順に表示される。サーバーの数が少ないほうが、ダウンロードにかかる時間は短くなるから、ミラーサーバーすべてについて、tracertのコマンドを使って調べて比較する。ちょっと手間はかかるが、自分のためであると同時に、インターネットを利用するすべての人のためになることだから、ぜひやっておこう。
 日本の場合は、〜or.jp 〜ne.jp 〜ad.jp 〜co.jp のつく商用系インターネットと 〜ac.jp 〜go.jp のつく学術系インターネットが分かれていて、間をつなぐ回線が細いので、自分がどちらからアクセスしているかで、ミラーサイトを絞り込むこともできる。

 アクセスするミラーサイトが決まったら、そこをクリックすると、そのミラーサイトのトップページ(表紙のページ)が開く。ここをブックマークに登録しておいて、次からはそこに直接アクセスすればいい。
 「窓の杜」でダウンロードに使うサーバーをFTPサーバーという。FTP とは File Transfer Protocol の略で,インターネットで標準的に用いられるファイル転送方式のこと。パソコン通信では、ネットワークによって「X-MODEM」「QuickVAN」「BPLUS」などの転送方式が用いられるが,インターネットでは、普通FTPではという方式を用いる。
 ダウンロードに使うサーバーは、anonymous FTPサーバーともいう。これは、一般にはFTPサーバーを使うには、IDとパスワードが必要だが、誰でも無料で利用できるように、anonymous というIDと、自分の電子メールアドレスをパスワードに使うという方式がとられていた。現在では、ホームページ上でクリックするだけでFTPでのダウンロードができるようになったので、こうしたことは意識しなくてもよくなったが、今でもよく出てくる用語だから、頭の隅にとめておくといいだろう。
(今回は、「窓の森」へのアクセスまでになりましたが、次回は、実際のファイルのダウンロードと圧縮・解凍について解説します)

図書館員のためのパソコン・インターネット入門 第33回

「窓の杜」からダウンロードする


 前回は、インプレスが提供するソフトウェアのダウンロードサイト「窓の杜」にアクセスして、自分のプロバイダーに近いミラーサイトを選ぶところまで解説した。ここまで来れば、実際のソフトウェアのダウンロードはそれほど難しくない。
 「窓の杜」の表紙ページ(http://www.forest.impress.co.jp/win12/frame.html)から、ミラーサイトの文字をクリックすると、総合メニューのページになる。フレームの左側に、「ジャンル別インデックス」として、ソフトウェアのジャンルが並んでいる。その種類の多さに驚かされるが、まず最初に必要になる「圧縮・解凍・変換」の項目をクリックして、ソフトの一覧を表示しよう。
 ソフトのタイトルが細かい解説とともに表示される。解説の内容はかなり難しいので、初めての人は後込みしてしまうかもしれない。しかし、このソフトを全部ダウンロードするわけではないので、それほど心配はいらない。取りあえず、手に入れておかなければならないのは、Lhasa(らさ)というソフトだ。

圧縮と解凍

 このソフトについて説明する前に、圧縮と解凍について解説しておこう。
 ソフトウェアというのは、複数のファイルで構成されている。高機能になるほどファイルの数も増えて、サイズも大きくなる。インターネットでダウンロードしようとする場合、サイズが大きいと時間がかかって大変だ。複数のファイルだと、ひとつひとつダウンロードしていては手間がかかる。
 その対策として、オンラインソフトウェアは、普通、複数のファイルをひとまとめにして、サイズも小さく圧縮して、ひとつのファイルとして提供される。圧縮されたオンラインソフトウェアは、ダウンロードしたあと、元のサイズのファイルに戻さなければならない。これが、解凍(または展開)と呼ばれる作業だ。
 この「圧縮・解凍」には、LHA、ZIP、ARJ、ISHなど、いくつかの形式があり、それぞれに対応している圧縮・解凍用のソフトウェアがある(複数の形式に対応しているソフトが多い)。Lhasaは、圧縮は行なわず、LHAとZIP形式のファイルの解凍専用ソフトウェアだ。圧縮もできるソフトのほうがいいのにと思うかもしれないが、オンラインソフトをダウンロードして使おうというだけなら、Lhasaだけで支障はない。
 しかも、Lhasaが優れているのは、極めて使いやすいところだ。Windowsでは、アプリケーションソフトを使うときに、DLL(ダイナミック・リンク・ライブラリー)というファイルを使う。

DLLファイル

 現在のプログラム開発は、共通の処理を行なう関数やデータの集まりである「ライブラリー」というものを使って作られている。つまり、プログラムの開発者は、アプリケーションプログラムを一から新しい作るのではなく、ライブラリーを使うことで開発の効率を上げることができる。
 このライブラリーの部分はアプリケーションに組み込んでおいてもいいのだが、それではアプリケーションのサイズが大きくなってしまう。それで、Windowsでは、ライブラリーの部分をDLLファイルとして、windowsのフォルダに入れて、複数のアプリケーションで共通に使うようにしている。
 アプリケーションソフトをインストールする場合、同時に必要なDLLファイルを、システムフォルダ(c:\windows\sysytem)に入れなければならない。市販のソフトウェアの場合には、DLLファイルも同時にインストールするようになっているが、オンラインソフトの場合は、必要なDLLソフトは自分で入れなければならないことが多い。
 慣れてくれば、この作業は何でもないことだが、初めてオンラインソフトをダウンロードするような人には、これはちょっと面倒くさい作業だろう。
 Lhasaは、解凍だけしかできないソフトだが、DLLファイルを必要としない。初心者でも、Lhasaをインストールするだけで、ダウンロードしたファイルの解凍が簡単にできる。しかも、エクスプローラからデスクトップ上にあるLhasaのアイコンに、圧縮ファイルをドラッグ&ドロップだけで、解凍ができてしまうというすぐれものなのだ。

フリーウェアとシェアウェア

 圧縮と解凍にはいくつかの形式があると書いたが、日本で主に使われているのはLHAだ(LHAについては、第13回で解説している)。ZIPはアメリカで主に使われている形式で、アメリカ製のソフトを解凍する場合には、ZIPに対応した圧縮・解凍ソフトが必要になる。Lhasaはこの2つの形式に対応してので、解凍に関してはたいていの用はすんでしまうはずだ。
 オンライソフトの一覧を見ていると、フリーウェア(フリーソフト)とシェアウェアという区別があることに気がつく。フリーウェアというのは、その通り、無料のソフト。ただし、作者が好意で無料提供しているのだから、感謝の気持ちは忘れないようにしたい。
 それに対して、シェアウェアは、ダウンロードして一定期間は試用することができるが、引き続き使う場合には、作者に代金を支払う必要がある。支払方法は、アプリケーションのヘルプなどで見ることができるが、NIFTY-Serveの会員なら、シェアウェア送金システムを使うのが便利だ。それ以外にも、銀行振込や郵便振替で支払うこともできる。

Lhasaをダウンロードする


 さて、圧縮と解凍については、十分理解できたと思うので、Lhasaを実際にダウンロードをしてみよう。表示されているオンラインソフトの前にあるアイコンをダブルクリックすると、「名前を付けて保存…」のウインドウが開く(画面左)。ダウンロードする場所を確認して(どのフォルダにダウンロードしてもいいが、デスクトップにダウンロードしたほうが、あとあとの作業が簡単だ)、「保存」をクリックすれば「場所を保存中」のウインドウが開いてダウンロードがスタートする(画面右)。
 「場所を保存中」のウインドウが閉じれば、ダウンロードは終了。デスクトップのある。「lhasa011.exe」のアイコンをダブルクリックすれば、自動的に解凍されて、デスクトップにLhasaのアイコンができる。ダブルクリックするだけで、解凍できる圧縮ソフトを、自動解凍のソフトという。当然ながら、圧縮・解凍のためのソフトは自動解凍でなければ役に立たない。
 アイコンができたら、あとは、解凍したいlzhやzipの拡張子を持った圧縮ファイル(LHAで圧縮したファイルの拡張子はlzhになる)を、エクスプローラから、デスクトップ上のLhasaのアイコンのところに、ドラッグ&ドロップすれば、ファイルは解凍できて、解凍されたファイルのフォルダがデスクトップ上にできる。
 第26回で紹介したメールソフトの Becky! Internet Mail も、窓の杜からダウンロードできる。「電子メール関連」の項目にあるから、使ってみたい人は、探してダウンロードしてみよう。 Becky! はZIP形式のファイルだから、Lhasaで解凍できる。
 「窓の杜」には、他にも役に立つソフトがいろいろとある。インターネットで使えるアプリケーションについては、回を改めて解説するが、興味のある人は、「窓の杜」のソフトの解説を読んでみて、面白そうなものはダウンロードして使ってみよう。

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