ポートランド日記                                     スズキメディア

8月23日(木)──23日目


 今日も、一昨日、昨日に続いて涼しい。Cは午前中大学、午後から部屋で仕事。
 昼食をOHSU病院のカフェテリアで一緒に食べた。今日は、クスクス(アルジェリア料理)など、メインのメニューが豊富だった。僕が選んだのは、ニューヨークステーキ。サイドディッシュ(付け合わせの野菜)が2つ選べて、4.75ドル。レアだが、柔らかくてジューシーでおいしい。アメリカへ来て初めてステーキを食べた。

 ニューヨークステーキというのは、ローストビーフくらいの大きな固まりの牛肉を焼き上げたもので、ローストビーフほど時間をかけてじっくりではなくさっと焼き上げる。それを、ローストビーフみたいに薄くではなく、厚く切る。つまり、大きなステーキの上側も下側も赤く生(なま)で、周りだけ完全に焼けている。カツオのたたきのひと切れを大きくしたような状態だ。何のソースもかけない、塩こしょうと若干の香辛料だけの味付けが、肉そのものの味を引き出していておいしかった。

 付け合わせは、マッシュポテトと芽キャベツを選んだが、アメリカのマッシュポテトは日本に比べておいしい。グレイビーソースをたっぷりかけるとかなりいける。アメリカ人はマッシュポテトが大好きみたいで、サイドディッシュが2つ選べるので、マッシュポテトをダブルでと頼んでいる人もいた。芽キャベツはちょっと苦かった。

 アメリカというかオレゴンの人がそうなのかもしれないが、列がいくら長くなったからといって、後ろの人に悪いから自分の番を早くすませようという意識はない。お昼の混んでいる時間帯にカフェテリアに行っても同じだ。
 今日も、僕の前のおばさんが、「クスクスの野菜だけ頼んだので、同じ料金というのはおかしい」と抗議して、レジのおばさんは、「リストにはこの料金の物しかないので、そういうわけにはいかない」と突っぱねて。押し問答になっていた。結局、「クレームを紙に書きなさい」と言って、おばさんは紙に書き込んでいたが、その間、列に並んだ人は辛抱強く待っている。日本なら、「早くしろよ」と後ろから不満の声がかかるだろう(英語のやりとりなので推定)。
 こっちの人は、自分の納得できないことなら、自分の意見が通るまで抗議をするし、周りの人もそうした権利は認めて待つべきときは待っている。

 そのあと、大学の図書館と本屋に行ってみた。図書館は医学看護関係のものばかりなので、僕にはあまり関係ない。一階のフロアには、ブースが数十あり、各ブースにパソコンがそなわっている。
 本屋は、とても小さい。たくさんの建物のあるOHSUのなかに、食堂やコーヒーショップのほかは、病院のギフトショップとこの本屋くらい。これで足りるのかと思ってしまう。本屋といっても、医学看護関係の本ばかりで、ほかに、文房具やOHSUのロゴのついたTシャツやトレーナー、マグカップなども売っている。

 夜、ディズニーチャンネルで「マイティ・ジョー」を見る。白黒の古い特撮映画の『猿人ジョー・ヤング』(1933年)のリメイクかなと思って、インターネットで調べてみたら、1999年に公開された映画だった。全然記憶に残っていない。
 ディズニーの映画やドラマは、俳優がはっきりした発音でわかりやすく話すので、他の映画よりも理解しやすいようだ。


次を読む前に戻る目次表紙