ポートランド日記                                     スズキメディア

8月21日(水)──21日目


 今日は朝から涼しいというか寒いくらいで、Cは一度出かけたがジャケットを取りに戻ってきた。天気予報を見ていると、最高気温が(華氏)71度。アメリカは摂氏ではなく華氏を使っているのでわかりにくいが、摂氏だと22度弱。8月にしてはかなり低い。
 日本は台風11号が紀伊半島に上陸して、静岡に再上陸、横浜、千葉を通ってかなり被害がでたようだが、こちらのCNNのニュースでもちらっと台風の映像が出ていた。

 Cは、英語の壁と同時に文化の壁みたいなものも感じているようだ。こちらでCの面倒を見てくれている先生たちはいい人なのだが、自分たちの考えていることを押し付け気味なところがあるようだ。Cは英語にも慣れていないので、なかなか自分の意志を通すことができない。頑固に言い張ったとしても、向こうも頑固で(自分の信じるところを曲げようとしないのはアメリカ人の特徴のひとつかもしれない)、なかなかこちらの言うことに耳を貸してくれない。

 五か月弱という短い間でやりたいことが山ほどあって、向こうがやらせたいこともいろいろあって、自分の意志を通さずに流されてしまうと、貴重な五か月だがやりたいことが十分にできずに過ぎてしまうかもしれない。
 かといって、こちらでお世話になる先生たちにずけずけ物を言っていいものか。アメリカでは自分の意志をはっきり言ったほうがいいとはいうが、それで、それきり口を聞いてもらえなかったなんていう話も聞く。アメリカ人もいろいろいて、大雑把にとらえることはできない。

 アメリカの翻訳小説は好きでよく読んでいるが、登場人物の行動とか見ているとそれほど日本人との差は感じない(自分の頭の中で日本ふうに翻訳して読んでいるのかもしれないが)。でも、アメリカに来て、実際にいろいろなアメリカ人に会うと、考えていることがわからないというか、ずいぶん違う気がする。翻訳小説のアメリカは何なんだろう。この違いはどこにあるのだろうか。

 今日は一日部屋で仕事。お昼は一昨日のカレーをそばつゆでといて、カレーうどんを食べた。夕食は、鶏肉とジャガイモとタマネギで肉じゃがを作った。

 ウェルスファーゴ銀行から、小切手帳が届く。


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